事業等のリスク

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、文中における将来に関する事項は、本報告書提出時点において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 市場環境の変化と競争

  当社グループの提供する製品は、いずれも最終的に個人消費者が顧客となります。そのため当社グループの販売に関しましては、経済情勢、景気動向、個人消費動向等に大きく影響される傾向があります。また、顧客の嗜好・流行の変化や競合他社との品質・性能・価格などで激しい競争が展開されております。その結果、当社グループの経営成績または財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。

 当該リスクへの対応として、当社グループでは安定した品質・性能・価格を維持する為、適材適所に必要な人員を配置することにより品質・性能の安定化を実現し、常に新しい技術・機能を製品に搭載することで価格競争力の高い製品の供給を行ってまいります。

 

(2) 技術開発及び製品開発

  当社グループは、長年に亘って培われた「音や映像」に関する固有のコア技術を保有しております。また、今後も積極的に技術開発を行い、従来からのコア技術と新規に開発した技術を融合させ、市場に適合した新製品の開発を推進してまいります。

 なお、この技術開発が継続して成果を獲得できない場合や開発した新製品が市場のニーズと乖離し顧客に受け入れられなかった場合には、将来の成長性と収益性を低下させ、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループにおいては、外部の調査会社を積極的に活用したマーケティング活動を行うと共に、各販売地域の販売代理店との積極的なコミュニケーションにより、的確に市場のニーズを捉える活動を行っております。

 

(3) 事業買収等の影響

  当社の新規事業への進出や既存事業における顧客獲得及び技術獲得等のために、M&A及び提携戦略は重要であると認識しており、必要に応じてこれらを検討していく方針であります。

 当社は、M&Aや提携を行う場合において、対象企業の財務内容や契約関係等について詳細なデューデリジェンスを行うことによって、極力リスクを回避するように努めておりますが、買収後その他における偶発債務の発生等、未認識の債務が判明する可能性も否定できません。また、M&Aや提携にあたっては、事業環境や競合状況の変化等により当初の事業計画の遂行に支障が生じ、当社の事業展開への影響が生じるリスクや、投資を十分に回収できないリスク等が存在しており、結果的に当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(4) 人材の確保・育成

 長年に亘る経験が必要とされるアナログ技術や技能の継承、また、最新のIT技術、IoT技術の獲得、開発など次世代を担う人材の確保と育成の重要性について強く認識し、人事諸制度の整備、新規採用・キャリア採用の充実など具体的施策を展開しております。

 なお、人材の確保と育成が要員構成計画と大きく乖離した場合は、事業活動や将来の成長が達成されず、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(5) 知的財産の影響

 当社グループ独自のコア技術については特許等の知的財産権を保有しておりますが、一方、製品の重要ないくつかの部分に第三者から知的財産権のライセンスを受けています。これらのライセンスロイヤリティの増加はコスト増となり価格競争力に影響が出るほか、ライセンスが受けられない事態に陥った場合には、当該製品の生産が出来なくなる可能性があります。

(6) 製品の潜在的な欠陥

 当社グループの製品につきましては、品質保証部門において厳格に管理されておりますが、潜在的な欠陥が発生する可能性を排除することはできません。そのため製造物責任賠償につきましては、市場での情報収集等に加え、当該欠陥の内容によりましては付保範囲を超える可能性があるものの、各種保険によるリスクヘッジを実施しております。

 また、事故の規模によっては、社会的評価の低下やそれらによる売上高の減少が予想され、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

(7) 公法規制の影響

 当社グループの事業は、グローバルに展開しており、それぞれの国における法律や環境保護を含むさまざまな規制の適用を受けております。当社グループでは、コンプライアンス基本規程を制定し、新人研修や管理職研修等においてコンプライアンスに関する教育を実施する等、コンプライアンスへの取り組みを推進し、コンプライアンスの遵守に尽力していますが、予期せずこれらの法令や規制を遵守できない事態に陥った場合には、企業活動の制限や社会的信用の低下により売上高の減少が予想され、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

(8) 為替レートの変動

 当社グループは、日本・中国・インド等で製造し、日本・アメリカ・ヨーロッパ・中国等にて販売を行っております。そのため外貨建取引が発生し、外貨建の債権・債務を保有していることから、為替相場の変動が経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(9) 金利の変動

 連結有利子負債残高は690百万円(2021年3月末現在)となっており、当社グループの経営成績は、金利の変動に影響を受ける可能性があります。

 

(10) 原材料の供給・製造の安定

 主要構成部品、原材料等の一部は特定の供給源に依存しており、その供給が中断した場合には製造に遅れが生じて、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。

 当該リスクは、当連結会計年度末現在において、営業債務の支払い遅延が継続したことにより顕在化しており、「「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(継続企業の前提に関する事項)」に記載のとおり、エクイティファイナンスや資産売却等を積極的に実施し、営業債務の支払い遅延の早期解消を目指しております。

 

(11) 自然災害や政情混乱による影響

 地震、水害などの自然災害の他、疫病、火災または、政情混乱、テロ行為など、多岐に亘る災害によって当社グループ施設や従業員、各種取引先、及び市場そのものに被害が及ぶ可能性があります。予測される災害については、保険によるリスクヘッジ等を実施しておりますが、災害の種類と規模によっては保険付保の範囲を超える可能性があります。その場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響が及ぶものと思われます。

(12) 投資有価証券の評価

 当社グループは、株式等、時価のある「その他有価証券」を保有しています。これら有価証券は、決算日の市場価格等に基づく時価法によって評価を行うため、決算日の株価によって連結貸借対照表計上額が変動する可能性があります。また、時価が取得価額に比べ著しく下落した場合には減損が発生します。これらは、当社グループの 経営成績 及び 財政状態 に悪影響が及ぶ可能性があります。

(13) 固定資産の減損会計

 当社グループが保有する有形固定資産について減損会計の対象となる可能性があります。その場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。

 営業損失が2018年3月期より継続しており、当連結会計年度末現在において当該リスクが顕在化しております。当連結会計年度に大規模な事業構造改革を実施し、また各事業の発展のために必要な提携・協業等について具体的な検討を進め早期解消を目指しております。

(14) 新型コロナウイルス拡大による影響

  新型コロナウイルス感染症は、ワクチンの登場により感染者の減少がみられる地域もありますが、世界的には流行が継続しており、当社グループにおいても一時操業停止しておりました各国の工場は概ね通常状態に戻りつつあるものの、欧米等の海外販売代理店では販売店への出荷は継続しておりますが、未だ販売活動は限定的となっており、当連結会計年度末現在において当該リスクが顕在化しております。

 当社グループは、お客様、ビジネスパートナー、従業員及びその家族の安全・健康を第一に考え、日本においては、大阪本社、東京オフィス共に原則在宅勤務とする等により感染拡大防止に優先的に取り組んでおります。その上で、各国政府及び地方自治体の要請、指導に基づきながら、事業への影響を最小限に抑えるべく対応を行っております。
 なお、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により株式市場が著しい影響を受けている現在の状況下では、相場回復の見込みが不透明になっております。

 

(15) 株価の低迷による影響

 本決算において債務超過になりますと上場廃止基準に抵触となる見通しから当社株価が低迷する可能性があります。これにより、計画していた資金が調達ができなくなる可能性があります。その結果、資金調達計画及び事業計画に支障を来たし、当社グループの経営成績及び事業展開に重大な影響を与える可能性があります。

 

(16) 継続企業の前提に関する重要事象等

 当社グループは、2013年度より経常損失が継続しており、当連結会計年度においても4,317百万円の経常損失を計上しております。また、取引先に対する営業債務の支払遅延が当連結会計年度末現在で4,852百万円(前連結会計年度末6,468百万円)存在していることに加え、当連結会計年度末において2,345百万円の債務超過となっていることから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。

当該状況を早期に解消するため、デット・エクイティ・スワップや包括的株式発行プログラム(“ STEP”)による資本増強に加え、株主総会決議の承認をもってEVO FUND を割当予定先として株式の有利発行や議決権のない種類株式の発行等により2021 年3月末までに債務超過を解消し上場廃止を回避することを目指してまいりました。

しかし、第 11 回新株予約権及び第 12 回新株予約権の行使について、 EVO FUND として、最終的にその行使をしない判断をされ、2021 年3月 31 日 付「 2021 年3月期通期連結業績予想の公表及び純資産の状況並びに営業外費用及び特別損失計上見込みに関するお知らせ」にて公表しましたとおり、債務超過を解消する事が出来ない見通しとなり、東京証券取引所ジャスダック市場の上場廃止基準に抵触する見込みとなりました。

上場廃止の見込みになったことを受け、当社は事業継続のためにあらゆる選択肢の検討を開始いたしました。その中で、昨年より当社米国販売代理店となった11 Trading Company LLCの親会社であるVOXX International Corporation及び当社との合弁工場であるS&O Electronics (Malaysia) Sdn. Bhd.を通じて以前より取引のあったシャープ株式会社と本譲渡に関する協議を行いました。両社とは、 ホームAV事業のビジネスにおいて、既に当社と協力関係にあり、事業譲渡のパートナーとして、適任であると判断し、本譲渡の正式契約締結に向けた基本合意書締結を2021年6月25日に開催された当社定時株主総会で決議されました。

 譲渡価額は3,323百万円を予定しており、これにより債務超過は解消する予定となっております。

今後、残存する事業においても協業先やスポンサーを継続して探すとともに、構造改革やスリム化、外部費用の内製化、オフィス及び倉庫の省スペース化などによるコスト削減を早期に実現し、小規模でも確実に収入を確保できる体制を整えてまいります。遅延している営業債務の弁済は、製品ベンダーを中心に一部相手先の債権放棄、債権減額交渉を進めており、一刻も早い債務の完済及び企業としての正常な事業運営のために、最大限の努力を尽くしてまいります。

 

 以上のような改善施策の実行により、グループ全体での合理化や各事業の選択と集中を進め、収益力及び財務体質の改善を図ってまいります。また、2021年8月1日より上場廃止が確定する予定であり、市場から資金調達ができなくなります。なお、今後の資金調達については現時点での計画であり、関係機関の状況に左右される部分があることから、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。

 なお、当連結財務諸表は継続企業を前提として作成されており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を当連結財務諸表に反映しておりません。

 

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