業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要は以下のとおりです。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

1)経営成績

当社は、2021年7月1日付で、これまで「その他」に含まれていたDXビジネスのテレマティクスサービス事業をオートモーティブ分野へ編入し、モビリティ&テレマティクスサービス分野として組織を再編しました。当期の実績は組織再編後の新分野にてご説明します。

当連結会計年度における当社の全社売上収益は、半導体などの部品供給不足による影響を主にモビリティ&テレマティクスサービス分野及びパブリックサービス分野で大きく受けましたが、新型コロナウイルス感染症による影響が前連結会計年度に比べて減少したことに加え、当第4四半期連結会計期間には大幅に生産と売上が回復したことなどから、前年同期比で増収となりました。全社営業利益は、第1四半期連結会計期間に実施した子会社の売却による売却益及び金融資産の評価益を計上したことなどから、前年同期比で大幅な増益となりました。

 

なお、当連結会計年度の決算に使用した損益為替レートは以下のとおりです。

 

 

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

損益為替レート

米ドル

約110円

約110円

約114円

約116円

 

ユーロ

約132円

約130円

約130円

約130円

前期(参考)

米ドル

約108円

約106円

約105円

約106円

 

ユーロ

約119円

約124円

約125円

約128円

 

* 売上収益

当連結会計年度における売上収益は、半導体などの部品供給不足による影響を主にモビリティ&テレマティクスサービス分野及びパブリックサービス分野で大きく受けましたが、新型コロナウイルス感染症による影響が前連結会計年度に比べて減少したことに加え、不足部品に対応した設計変更や新商品の導入などの対策を講じたことによって、当第4四半期連結会計期間には大幅に生産と売上が回復したことなどから、前年同期比で約85億円増(3.1%増収)となる2,820億88百万円となりました。

 

* 営業利益

当連結会計年度における営業利益は、第1四半期連結会計期間に実施した子会社の売却による売却益及び金融資産の評価益を計上したことにより、その他の収益が増加したことなどから、前年同期比で約42億円の大幅増(85.0%増益)となる90億54百万円となりました。なお、従業員の雇用等に関わる政府補助金を純損益として認識し、売上原価と販売費及び一般管理費から控除しています。

以下、セグメントの業績評価は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除した「コア営業利益」を使用して説明します。

当連結会計年度におけるコア営業利益は、不足部品に対応した設計変更や新商品の導入などの対策を講じたことによって、当第4四半期連結会計期間には急速に回復したものの、半導体などの部品供給不足や物流費も含めた価格高騰などによる甚大な影響を受けたことから、前年同期比で約3億円減(4.4%減益)となる71億44百万円となりました。

※ コア営業利益には、営業利益に含まれるその他の収益、その他の費用、為替差損益など、主に一時的に発生する要因を含みません。

 

* 税引前利益

当連結会計年度における税引前利益は、受取配当金の減少などがあったものの、営業利益の増加により前年同期比で約40億円の大幅増(87.8%増益)となる85億15百万円となりました。

 

* 親会社の所有者に帰属する当期利益

当連結会計年度における親会社の所有者に帰属する当期利益は、税引前利益が増加したことに加え、米国無線子会社の受注残が大きく増えたことにより繰延税金資産を新規に計上したことなどから、前年同期比で約37億円の大幅増(172.6%増益)となる58億73百万円となりました。

 

2)財政状態

*資産

資産合計は、営業債権及びその他の債権や棚卸資産など流動資産が増加したことから、前連結会計年度末比で約165億円増となる2,808億7百万円となりました。

 

*負債

負債合計は、銀行借入れの返済を進めたことから借入金は減少しましたが、営業債務及びその他の債務が増加したことなどから、前連結会計年度末比で約10億円増となる1,968億46百万円となりました。

 

*資本

資本合計は、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上に加えて、円安にともないその他の資本の構成要素が増加したことなどから、前連結会計年度末比で約154億円増となる839億61百万円となりました。

 

なお、親会社所有者帰属持分比率は、親会社の所有者に帰属する持分合計が増加したことから、前連結会計年度末比で3.8ポイント増加し28.3%となりました。

 

② セグメントごとの売上収益及び損益

セグメントごとの売上収益及びコア営業利益は以下のとおりです。

(百万円)

 

 

 

 

 

セグメントの名称

2021年3月期

2022年3月期

前連結会計年度比

 

 

 

 

 

モビリティ&テレマティクス

売上収益

157,130

164,251

+7,121

サービス分野

コア営業利益

5,610

2,246

△3,363

パブリックサービス分野

売上収益

60,881

58,089

△2,792

 

コア営業利益

1,865

2,467

+602

メディアサービス分野

売上収益

50,093

53,432

+3,338

 

コア営業利益

503

2,703

+2,200

その他

売上収益

5,503

6,315

+812

 

コア営業利益

△505

△273

+232

合計

売上収益

273,609

282,088

+8,479

 

コア営業利益

7,473

7,144

△329

 

営業利益

4,893

9,054

+4,162

 

税引前利益

4,533

8,515

+3,981

 

親会社の所有者に帰属する当期利益

2,154

5,873

+3,719

(注)2021年3月期の「モビリティ&テレマティクスサービス分野」については、従来のオートモーティブ分野の各数値にその他分野に含まれていたテレマティクスサービス事業の各数値を加算した数値を記載しており、「その他」については、テレマティクスサービス事業の各数値を控除した数値を記載しております。

 

* モビリティ&テレマティクスサービス分野

当連結会計年度におけるモビリティ&テレマティクスサービス分野の売上収益は、前年同期比で約71億円増(4.5%増収)の1,642億51百万円、コア営業利益は同約34億円減(60.0%減益)となる22億46百万円となりました。

(売上収益)

OEM事業は、半導体などの部品供給不足による影響を受けましたが、中国市場の回復にともない、自動車メーカー向けスピーカー、アンプ、ケーブルなどの販売が、当連結会計年度を通じて堅調に推移したことなどから、前年同期比で増収となりました。

アフターマーケット事業は、当第4四半期連結会計期間には不足部品に対する設計変更などの対策を講じたことで急速に回復したものの、半導体などの部品供給不足による影響を大きく受けたことから、前年同期比で減収となりました。

テレマティクスサービス事業は、第3四半期連結会計期間以降、損害保険会社向け通信型ドライブレコーダーなどテレマティクスソリューション関連商品の販売が増加したことなどから、前年同期比で増収となりました。

 

 

(コア営業利益)

OEM事業は増収により前年同期比で増益、アフターマーケット事業は減収の影響から前年同期比で減益となりました。テレマティクスサービス事業は半導体不足や部品価格高騰の影響を受けたことから減益となりましたが、下半期では販売増加にともない前年同期比で大幅な増益となりました。

 

* パブリックサービス分野

当連結会計年度におけるパブリックサービス分野の売上収益は、前年同期比で約28億円減(4.6%減収)の580億89百万円、コア営業利益は同約6億円増(32.3%増益)となる24億67百万円となりました。

(売上収益)

無線システム事業は、国内及び米国を始めとする海外市場において需要は堅調に推移しましたが、アジア地域での新型コロナウイルス感染症によるロックダウンの影響や半導体などの部品供給不足による生産遅延の影響に加え、第1四半期連結会計期間に実施した米国無線子会社の売却による減収影響を受けたことなどから、前年同期比で約41億円減収となりました。

業務用システム事業は、半導体などの部品供給不足による影響を受けましたが、株式会社JVCケンウッド・公共産業システムの販売が徐々に回復してきたことに加え、ヘルスケア領域も国内海外ともにモニター事業の販売が堅調に推移したことから、前年同期比で約13億円増収となりました。

(コア営業利益)

無線システム事業は減収の影響を固定費削減などにより吸収し、前年同期比で若干の減益に留めました。業務用システム事業は増収の効果により、前年同期比で損失が縮小しました。

 

* メディアサービス分野

当連結会計年度におけるメディアサービス分野の売上収益は、前年同期比で約33億円増(6.7%増収)の534億32百万円、コア営業利益は同約22億円の大幅増(437.0%増益)となる27億3百万円となりました。

(売上収益)

メディア事業は、テレワークや巣ごもり需要の増加にともない、ホームオーディオやポータブル電源、プロジェクターの新商品などBtoCの販売が好調に推移したことに加え、BtoBも市況の回復にともない業務用リモートカメラの販売が好調に推移し、前年同期比で約16億円増収となりました。

エンタテインメント事業は、コンテンツビジネスが好調に推移したことから、前年同期比で約17億円増収となりました。

(コア営業利益)

上記の増収の効果から、メディア事業は前年同期比で大幅な増益となり黒字に転換し、エンタテインメント事業は前年同期比で増益となりました。

 

③ キャッシュ・フロー

* 営業活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度において営業活動により増加した資金は70億59百万円となり、前年同期比で約288億円収入が減少しました。主な要因は、半導体などの部品供給不足の影響により生産が遅延したことで原材料などの棚卸資産が増加したことに加え、営業債権及びその他の債権の増加により、運転資金が増加したことによるものです。

 

* 投資活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度において投資活動により減少した資金は98億4百万円となり、前年同期比で約20億円支出が減少しました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出は増加しましたが、第1四半期連結会計期間に実施した子会社売却により収入が増加したことによるものです。

 

* 財務活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度において財務活動により減少した資金は112億73百万円となり、前年同期比で約59億円支出が増加しました。主な要因は、銀行借入れの返済を進めたことによるものです。

 

なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前年同期比で約109億円減となる487億7百万円となりました。

 

 

④ 生産、受注及び販売の実績

* 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前連結会計年度比(%)

モビリティ&テレマティクスサービス分野

169,097

9.71

パブリックサービス分野

57,585

△2.97

メディアサービス分野

56,869

16.73

その他

8,698

57.43

合計

292,250

9.16

(注)金額は販売価格で計上しており、消費税等は含まれていません。

 

* 受注実績

当社グループの製品のうち、モビリティ&テレマティクスサービス分野・パブリックサービス分野・メディアサービス分野・その他については原則として見込生産によっています。ただし、メディアサービス分野におけるエンタテインメント事業の一部は受注生産によっていますが、これらは受注と同時に生産・引渡しを行うため受注高と販売高はほぼ同額です。

 

* 販売実績

当連結会計年度における販売実績は、「(1)経営成績等の状況の概要 ②セグメントごとの売上収益及び損益」に、セグメントごとに記載しています。なお、主要な販売先については、総販売実績に対する販売割合が100分の10以上を占める相手先がないため、記載を省略しています。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討事項

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討事項は以下のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しています。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しています。詳細につきましては、「第5 経理の状況1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりです。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

1) 経営成績

当連結会計年度の経営成績は、2022年3月期の期初における連結業績予想との対比で、以下のとおりとなりました。なお、当社グループは、2022年4月21日付で2022年3月期通期連結業績予想の修正を行っています。

    (百万円)

 

2022年3月期
通期連結業績予想

(2022年4月21日付
業績予想の修正前の予想)

2022年3月期
通期連結実績

2022年3月期
通期連結業績予想比

売上収益

285,000

282,088

99.0%

営業利益

7,500

9,054

120.7%

税引前利益

6,400

8,515

133.1%

親会社の所有者に帰属する当期利益

3,000

5,873

 195.8%

 

当連結会計年度の経営成績は、半導体などの部品供給不足による影響を主にモビリティ&テレマティクスサービス分野及びパブリックサービス分野で大きく受けましたが、新型コロナウイルス感染症による影響が前連結会計年度に比べて減少したことに加え、当第4四半期連結会計期間には大幅に生産と売上が回復したことなどから、売上収益は2,820億88百万円となり、第1四半期連結会計期間に実施した子会社の売却による売却益及び金融資産の評価益を計上したことなどから、営業利益は90億54百万円、税引前利益は85億15百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は58億73百万円となりました。

 

2) 財政状態

財政状態の分析の詳細は、(1)経営成績等の状況の概況 ①財政状態及び経営成績の概要 2)財政状態 に記載しています。

 

3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

*キャッシュ・フロー

当社は、円滑な事業活動に必要な資金について、主として銀行など金融機関から長期借入金により資金調達を行っており、借入金の年度別返済額を平準化することで借り換えリスクの低減を図っています。

また、一時的な資金需要の増加にも対応できるように銀行とコミットメントライン契約を締結し、十分な流動性を確保しています。

なお、当社は、営業活動により獲得されたキャッシュ・フローと投資活動で支出されたキャッシュ・フローの合計をフリーキャッシュ・フローとして定義し、当社はこの指標を戦略的投資又は借入金返済に充当可能な資金、或いは資金調達にあたって外部借入への依存度合いを測る目的から、有用な指標と考えており、以下のとおりフリーキャッシュ・フローを算出しています。

 

また、これらの分析の詳細は、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フロー」に記載しています。

(百万円)

 

2021年3月期

2022年3月期

営業活動によるキャッシュ・フロー

35,829

7,059

投資活動によるキャッシュ・フロー

△11,804

△9,804

フリーキャッシュ・フロー

24,024

△2,744

 

*資金需要

当社の運転資金のうち主なものは、当社グループ製品製造のための材料及び部品の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。営業費用の主なものは人件費及び宣伝販促費等のマーケティング費用です。当社グループの研究開発費は営業費用の一部として計上されていますが、研究開発に携わる従業員の人件費が研究開発費の主要な部分を占めています。

 

*財務政策

当社は、株主への安定的な利益還元を図っていくとともに、今後の成長に向けた投資、財務基盤の強化を図り、大きな成長を実現する事業の構築を推進して行き、その時々の経営状況に鑑みて、株主還元、有利子負債の返済、投融資に配分して資金を使用します。

この2年間での資金配分は以下のとおりとなっています。

(百万円)

 

2021年3月期

2022年3月期

株主還元

819

819

投融資

14,199

16,273

有利子負債の返済

3,855

10,008

※1. 投融資は、投資キャッシュ・フローから定期預金の増減、資産売却及び分配による収入を除外した額。

※2. 有利子負債は、借入金純増減額の減少額とリース負債の返済額の合計額で、合計額がマイナスの場合は「-」(増加(収入)となる。)となります。

 

4) 経営成績に重要な影響を与える要因についての分析

当社グループにおいては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載した各種の要因が、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

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