(1) 経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当連結会計年度において世界経済は、欧米等の先進国経済の持ち直しが続く等、総じて緩やかな回復基調にあります。一方で、新型コロナウイルス感染症の再拡大や世界的な半導体不足による自動車の減産、中国経済の減速懸念等により、依然として先行き不透明な状況が継続しております。
わが国でも、一部の業種で回復の傾向が見られましたが、世界経済同様、新型コロナウイルス感染症の再拡大や半導体不足の影響により、経済活動が制約を受ける等、全体的な回復には至りませんでした。
そのような状況下において、当連結会計年度の売上高は66,871百万円(前年同期比22.6%増)、営業利益6,877百万円(前年同期比136.2%増)、経常利益7,704百万円(前年同期比188.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益5,921百万円(前年同期比414.3%増)となりました。
なお、セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
a. 電気・電子部品事業
電気・電子部品事業は、新型コロナウイルス感染症の拡大により、リモートワークやオンライン会議等が急速に普及したことを背景に、パソコン向けコネクタが全体をけん引し、売上高が増加しました。製品別では、細線同軸コネクタや基板対基板コネクタがパソコン需要の拡大を受け、年間を通じて好調を維持しました。アンテナ用超小型RF同軸コネクタは、パソコン向けが堅調に推移したことに加え、巣ごもり需要等にも支えられ、モバイルルーター等のネットワーク機器向けが伸長しました。HDD関連部品は、クラウドサービスの普及に伴い、データ通信の高速・大容量化が進展する中、データセンター向け大容量HDDの部品需要が好調に推移しました。
その結果、当事業の当連結会計年度の売上高は41,469百万円(前年同期比22.4%増)となり、営業利益は7,829百万円(前年同期比31.2%増)となりました。
b. 自動車部品事業
自動車部品事業は、年後半にかけて、半導体不足や新型コロナウイルス感染症の再拡大に伴うサプライチェーンの混乱等により、自動車メーカーが減産に転じた影響を一部受けたものの、旺盛な自動車需要に支えられ、車載用センサやLEDヘッドライトに使用されるコネクタ等の自動車部品は概ね堅調に推移しました。
その結果、当事業の当連結会計年度の売上高は21,524百万円(前年同期比16.4%増)となり、営業利益は1,683百万円(前年同期比590.6%増)となりました。
c. 設備事業
設備事業は、深刻な半導体不足の解消に目途が立たない中、半導体メーカーが増産のための設備投資を積極的に行ったことから、半導体製造装置の需要が高止まりし、半導体樹脂封止装置や金型、薄型半導体の製造に使用される自動テープ貼付機の受注が増加しました。
その結果、当事業の当連結会計年度の売上高は3,877百万円(前年同期比80.4%増)となり、営業利益は494百万円(前年同期比428.2%増)となりました。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比較して9,781百万円増加し、91,690百万円となりました。主な増加要因は、建物及び構築物2,974百万円、現金及び預金2,082百万円、機械装置及び運搬具1,894百万円、受取手形及び売掛金1,418百万円、仕掛品1,181百万円等であります。
負債につきましては、2,521百万円増加の34,914百万円となり、主な増加要因は、未払金1,601百万円、支払手形及び買掛金477百万円、未払法人税等350百万円等であります。
純資産につきましては、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等による利益剰余金の増加5,266百万円、為替レート変動の影響による為替換算調整勘定の増加2,046百万円等により7,259百万円増加し、56,775百万円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益7,292百万円、減価償却費6,898百万円及び減損損失412百万円の計上、仕入債務の増加368百万円、消費税等の還付額735百万円等に対し、売上債権の増加1,011百万円、たな卸資産の増加982百万円、未収入金の増加962百万円等により12,809百万円の増加(前連結会計年度は9,195百万円の増加)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出7,318百万円、無形固定資産の取得による支出292百万円、投資有価証券の取得による支出340百万円等により7,946百万円の減少(前連結会計年度は6,632百万円の減少)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純増額284百万円、長期借入れによる収入4,800百万円に対し、長期借入金の返済による支出5,481百万円、リース債務の返済による支出469百万円、長期未払金の返済による支出1,293百万円、配当金の支払額655百万円、自己株式の取得による支出421百万円等により3,236百万円の減少(前連結会計年度は2,558百万円の減少)となりました。
この結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ2,078百万円増加の13,797百万円となりました。
④ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
|
生産金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
電気・電子部品事業 |
42,948 |
117.8 |
自動車部品事業 |
25,112 |
126.6 |
設備事業 |
4,921 |
205.7 |
合計 |
72,981 |
124.3 |
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.電気・電子部品事業及び自動車部品事業には、自社生産設備となるものが含まれております。
b. 受注実績
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
|||
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
電気・電子部品事業 |
41,366 |
112.9 |
5,431 |
99.6 |
自動車部品事業 |
21,699 |
120.2 |
1,524 |
106.6 |
設備事業 |
6,836 |
296.2 |
3,686 |
506.2 |
合計 |
69,902 |
122.6 |
10,643 |
139.8 |
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c. 販売実績
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
|
販売金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
電気・電子部品事業 |
41,469 |
122.4 |
自動車部品事業 |
21,524 |
116.4 |
設備事業 |
3,877 |
180.4 |
合計 |
66,871 |
122.6 |
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
||
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
株式会社デンソー |
12,245 |
22.5 |
14,199 |
21.2 |
2.株式会社デンソー及び同一の企業集団に対する売上高を含めております。
3.セグメント間の取引については相殺消去しております。
4.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、経営陣による会計方針の選択・適用と資産・負債の評価などの会計上の判断・見積りが含まれております。当該見積りについては不確実性が存在するため、将来生じる実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関する見積りの情報は、第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項(追加情報)に記載しております。
a. 固定資産の減損
当社グループの保有する固定資産については「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、減損処理の要否を検討しております。会計上の見積りのうち、固定資産の減損については特に、当社グループの連結財務諸表に重要な影響を与えるものと考えております。
b. 繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産は毎期、過去の課税所得の推移や将来の見込額を勘案し、回収可能性を慎重に検討した上で法定実効税率を用いて計上しております。繰延税金資産の回収可能性の前提となる見積課税所得が、将来の不確実な経済状況の変動による影響を受け、翌連結会計年度以降に繰延税金資産を認識する金額が影響を受ける可能性があります。
② 経営成績の分析
a. 売上高
当連結会計年度は、売上高が66,871百万円と前連結会計年度に比べて22.6%の増収となりました。コロナ禍においてリモートワーク等が急速に普及したことを背景に、ノートパソコンやルーター向けコネクタを中心に年間を通じて好調を維持した電気・電子部品事業をはじめ、世界的な半導体不足により市場全体が影響を受けた自動車部品事業、設備事業においても、旺盛な需要に支えられたことから、売上高は全てのセグメントにおいて前年度を上回り、全体的に伸長しました。
b. 売上総利益
売上総利益は22,555百万円と前連結会計年度に比べて33.1%の増益となりました。電気・電子部品事業のノートパソコン向けコネクタを初め、全てのセグメントにおける需要増加が主な要因です。
c. 営業利益
営業利益は6,877百万円と前連結会計年度に比べて136.2%の増益となりました。売上好調に伴い運送費が増加したものの、上記の要因による売上総利益の増加が主な要因です。
d. 経常利益
経常利益は7,704百万円と前連結会計年度に比べて188.3%の増益となりました。上記の要因による売上総利益の増加の他、為替利益や助成金等収入もあり営業外損益が大きく増加したことが主な要因です。
e. 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は5,921百万円と前連結会計年度に比べて414.3%の増益となりました。固定資産の減損損失の計上や当期純利益の発生に伴い法人税、住民税及び事業税が増加したものの、上記の要因による売上総利益の増加により増益となりました。
③ 財政状態の分析
当社グループは、適切な流動性の維持、事業活動のための資金確保及び健全なバランスシートの維持を考慮し、体質を強化すべく財務の運営にあたっております。
当連結会計年度末の財政状態の分析については、上記「(1) 経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載しております。
④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループでは、市場の求める新製品開発を進めるとともにそれらの新製品開発を支えるための生産設備の開発並びに増強・更新投資を継続して行っております。また、研究開発や教育の総合拠点の新設にも注力しております。当連結会計年度においては、I-PEXキャンパス金型棟の増設を進めました。
運転資金及び設備投資資金については、自己資金及び借入によって安定的に確保することを基本方針としております。なお、当連結会計年度末の借入金残高は16,735百万円(前年同期比357百万円減)となっております。
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