研究開発活動

 

5 【研究開発活動】

当社グループは、「電気・情報インフラ関連 製造・工事・サービス事業」及び「電子部品関連 製造事業」において各分野の商品を研究開発し、幅広く市場に展開しています。

当連結会計年度の研究開発費は2,778百万円で、当連結会計年度の研究成果のうち主なものは次のとおりです。

 

(1) 電気・情報インフラ関連 製造・工事・サービス事業

当連結会計年度の研究開発活動については、顕在化されているもののみではなく、潜在的な課題やニーズを発掘し、「日東工業の商品を使って良かった。」とお客様にご満足いただけるよう、社会の持続的発展へ貢献、チャレンジする活動を行いました。

当セグメントにおける当連結会計年度の研究開発費は2,175百万円で、研究成果のうち主なものは次のとおりです。

① 配電盤部門

配電盤は、『仮設盤』のラインナップ充実を図りました。『仮設盤』は、建設現場などで工事用に電力を供給するための分電盤であり、建設現場などにおける高頻度の電線着脱や端子台保守の作業負担などの課題がありました。この課題解決のため、『仮設盤』のブレーカ用端子台に『リペア端子形』を搭載しました。リペア機能により端子台を盤から取り外すことなく端子ユニットが交換可能なため、メンテナンスなど作業時間の削減や廃棄部品の削減に貢献します。

住宅用分電盤は、需要が拡大する家庭用蓄電システム向けの『電源切替機能付ホーム分電盤』として、蓄電池メーカー向けに機種設定を増加し、カーボンニュートラルの実現に貢献します。

また、海外開発部門ではNITTO KOGYO BM(THAILAND)CO.,LTDの新工場立ち上げに合わせ、ローカル市場向け分電盤シリーズの拡充を行いました。ターゲット市場の多角化により売上拡大を図ります。

光接続箱関連製品は、5GやIoTの普及により携帯基地局や監視カメラ、構内ネットワーク構築などにおいて、小心数光ファイバーとネットワーク機器をキャビネット内に同時収納可能でコンパクトな製品の需要が増加しています。このネットワーク構築に最適な『光接続箱 小心数樹脂タイプ』を機種追加し、製品の小型・軽量化や施工・配線の作業性向上により、社会インフラ構築に貢献します。

 

② キャビネット部門

ワークスタイルの変革に伴うテレワークやWeb会議個室スペースの市場拡大を背景に、需要が増加している『プライベートボックス』をモデルチェンジし、使い易さの向上や現地組立に対応しました。また、2人用タイプを機種追加し、2人でのWEB会議や面談にも対応しました。更に、空間をデザインする株式会社サンゲツとのコラボレーションにより、お客様の様々なニーズにお応えし快適なプライベート空間を実現します。

キャビネットは、近年の地球温暖化によるゲリラ豪雨や大型台風に伴う暴風雨など異常気象を背景に、『耐風雨キャビネット タフテクト』に続き、風雨対策キャビネットシリーズとしてプラボックスの風雨等級性能表示及び関連オプションの充実を図りました。防災・減災に関する製品ラインナップを充実し、安全・安心にご使用いただく環境づくりに貢献します。

システムラックは、データセンター向けラックのドアにエキスパンドメタル材を採用し、使用材料削減による環境に配慮した製品を開発しました。また、従来品より開口面積を拡大したことにより排熱性能が向上し、データセンター空調の省エネ化に貢献します。

 

③ 遮断器・開閉器・パーツ・その他部門

ブレーカへの接続に適した『ブレーカ用端子台シリーズ』に『リペア端子形』及び『スプリング端子形』をラインナップしました。『リペア端子形』は、工事現場の仮設盤での使用を想定し、破損した端子ユニットのみを交換可能としたことにより、従来比90%の交換作業時間短縮を実現しました。

また、現場で廃棄となっていた端子台が再利用できるため廃棄物の削減へと繋がる環境に配慮した製品となります。『スプリング端子形』は、端子台の二次側を速結端子とすることにより、工具レスで簡単な電線接続を可能としました。これにより作業時間を削減し、作業者不足の解消に貢献します。

EV普通充電器は、従来の倍速で充電可能な6kW高出力タイプをラインナップに加えた普通充電器『Pit-2Gシリーズ』を発売しました。主力の4G通信モデルは、遠隔での制御・監視が可能で、Webアプリを使って充電スケジュール設定や充電出力の調整などが可能です。このエネルギーマネジメント機能により、業務車両のEV化を進める企業に採用が広がっています。また、複数のEV充電サービス事業者とのサービス連携(サーバ間によるAPI連携)を実現しました。これにより、課金決済や予約の仕組み、スマート充電とも連携ができ、マンションから商業施設などのパブリック向けまで様々なシチュエーションで使える充電器となっています。さらにEV充電器の世界標準プロトコルOCPPにも対応しました。普通充電器のリーディングカンパニーとして、急速に進むEV化及び脱炭素社会の実現に貢献します。

その他、電気火災の主な原因となる火花放電を検出し、電気火災の未然防止に貢献する放電検出ユニット『スパーテクト』の普及拡大を図るとともに、シリーズ強化に取組んでいます。

 

④ 研究体制

当社製品は、情報化社会の発展に伴い、屋外に設置される監視カメラ、携帯基地局など情報通信インフラの重要度が増す中、ゲリラ豪雨、強風、地震などの過酷な自然環境にも耐えられる性能が要求されています。当社は、業界に先駆け暴風雨を模擬できる「風雨試験設備」及び実際の地震の揺れを再現可能な「3軸耐震試験設備」を導入し、新たな市場開拓や顧客要求を満たす製品の研究開発を行っています。従来、キャビネットに対する保護性能は、IP性能(防塵・防水性能)で評価していますが、これに加え、実際の自然環境を模擬し、風と雨が同時に屋外キャビネットに与える影響を評価するため、一般財団法人建材試験センターと国立研究開発法人防災科学技術研究所のご協力をいただき、風雨等級(WP)で性能表示される風雨性能評価基準を制定しました。風雨性能評価基準に基づき風雨等級を性能表示した商品『耐風雨キャビネット タフテクト』が、各種インフラ関連機器を収納するキャビネットとして、沿岸部や高所などの環境で採用いただいています。

なお、一連の取り組みが一般社団法人レジリエンスジャパン推進協議会主催の第8回「ジャパン・レジリエンス・アワード(強靭化大賞)」にて評価いただき、優良賞を受賞しました(2022年4月27日)。

また、今後成長が見込まれる分野に向けた研究も進めています。次世代技術を構築するため、データセンター関連では熱対策技術、屋外用設備については騒音対策や屋外設置環境技術、省エネルギー及び安全性に関する研究や防災関連では放電検出技術、また、環境にやさしい新技術、新工法や新素材の研究を行っています。

 

(2) 電子部品関連 製造事業

当連結会計年度の研究開発活動については、自動車の電動化、各種機器の省力化及び5G通信に付随する電磁波障害問題や熱問題を中心として、振動衝撃問題や音問題などの対策製品開発に取り組んできました。また薄膜技術を応用した機能性部品や産学連携によるSDGsへ貢献するオリジナル素材の研究開発にも取り組んできました。

当セグメントにおける当連結会計年度の研究開発費は603百万円で、研究成果のうち主なものは次のとおりです。

 

① 電磁波環境コンポーネント部品

CО2削減に向けて自動車の電動化が加速する中で、HEV・EV・PHEV等の環境自動車(もしくは「新エネルギー自動車」)向けノイズフィルターの高性能化(高インピーダンス化、省スペース化、耐飽和対応)やユニット化の取り組みを強化しました。また基板上でのグランド強化部材として省スペース対応や接点用途に向けた自動実装グランド部品の取り組みを進めました。

 

② 精密エンジニアリングコンポーネント部品

多機能化の要求に対応すべく、グランド機能を付与した樹脂部品やアプライアンス市場に向けたスペーサー部品の開発に注力しました。

 

③ 熱対策部品

自動車市場において自動運転技術に必要な高速画像処理や各種センサーの搭載増加や、環境自動車に搭載されるバッテリーの容量拡大や小型化に対する温度管理の重要性から熱対策製品の需要が拡大しており、これらに向けた高熱伝導性能、低反発性及び絶縁性を向上させた熱伝導シートの開発に強化しました。また、5G時代を迎えた通信機器市場においては、SоCやDDRなど高密度高実装デバイス向けにディスペンサーによる自動実装塗布が可能で、グリスの様な液だれがせず、さらに高熱伝導化させた液状熱伝導材を新たに開発しました。

 

④ 振動・衝撃・音対策部品

車載市場において高電圧ハーネスやHMI機器の振動対策部材の開発に注力し、開発を進めました。素材開発のみならず実機評価からの最適な振動対策支援も積極的に進め、ソフトサービスにも注力しています。

 

⑤ 薄膜技術応用開発製品

車載市場や建材市場を狙った機能性フィルムの開発や社会インフラ関係を狙った環境検知センサーのモジュール開発を進めました。

 

⑥ 環境対応素材

カーボンニュートラルへ貢献する環境対応材料の開発及びウォーターポジティブへ貢献する造水モジュールに用いる素材を産学連携にて開発を進め、社会実装での検証をスタートしました。社会実装が出来るように評価の標準化や改良を進めていきます。

 

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