(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の概要
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルスの新たな変異株による再拡大に加え、ロシアのウクライナ侵攻などの地政学的リスク、原材料価格の高騰やサプライチェーンの混乱など、注視が必要な状況が継続しております。一方、当社グループの属する電子部品業界は、一部のアプリケーションでは半導体不足等により生産に影響を受けたものもありましたが、高品質な水晶製品に対してはスマートフォンやIoT関連市場向けを中心に需要が底堅く推移し、半導体等の部材不足に比例する形で水晶製品の必需性の強さが際立つものとなりました。
このような状況のもと、成長ドライバー製品の小型音叉型水晶振動子のさらなる販売拡大に注力すると同時に、製造及びサービス品質の向上を図るなど、競争優位性と収益力の向上に取り組んでまいりました。また、次世代製品のKoTカット水晶デバイスの量産技術の確立を進め、高付加価値かつ持続的な成長を可能にする企業体質への変革を全社で推進してまいりました。
これらの結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,239,004千円増加し、9,142,356千円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,034,753千円減少し、5,236,863千円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,273,758千円増加し、3,905,493千円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の業績は、売上高7,416,757千円(前年同期比35.9%増)、営業利益1,244,149千円(前年同期比115.6%増)、経常利益1,249,129千円(前年同期比134.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,111,123千円(前年同期比98.8%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、売上債権の増加や有形固定資産の取得による支出、長期借入金の返済による支出等の要因により一部相殺されたものの、税金等調整前当期純利益や減価償却費、長期借入れによる収入、新株予約権の行使による株式の発行による収入等により前連結会計年度に比べ172,209千円増加し、当連結会計年度末には1,307,592千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローにつきましては、1,113,092千円の収入(前連結会計年度は591,801千円の収入)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益1,245,750千円、減価償却費583,487千円、売上債権の増加額349,486千円、棚卸資産の増加額100,584千円、前受金の減少額151,934千円、法人税等の支払額146,543千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローにつきましては、1,169,695千円の支出(前連結会計年度は611,107千円の支出)となりました。これは主として、定期預金の預入による支出1,054,022千円、定期預金の払戻による収入1,022,529千円、有形固定資産の取得による支出1,129,494千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローにつきましては、153,919千円の収入(前連結会計年度は78,244千円の収入)となりました。これは主として、短期借入金の減少額437,766千円、長期借入金による収入900,000千円、長期借入金の返済による支出1,318,211千円、新株予約権の行使による株式の発行による収入1,104,991千円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
生産高(千円) |
前年同期比(%) |
水晶製品 |
7,218,255 |
130.8% |
その他の電子部品 |
50,555 |
119.5% |
計 |
7,268,811 |
130.8% |
(注)1.金額は販売価格によっております。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
水晶製品 |
8,315,545 |
140.4% |
2,593,217 |
164.8% |
その他の電子部品 |
50,871 |
116.1% |
4,660 |
116.1% |
計 |
8,366,416 |
140.2% |
2,597,878 |
164.5% |
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
水晶製品 |
7,364,343 |
135.9% |
その他の電子部品 |
52,414 |
128.8% |
計 |
7,416,757 |
135.9% |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
台湾晶技股份有限公司 |
1,832,093 |
33.6% |
2,134,828 |
28.8% |
邁億科技有限公司 |
262,471 |
4.8% |
1,082,917 |
14.6% |
サムスン電子ジャパン株式会社 |
1,235,118 |
22.6% |
- |
- |
(注)1.当連結会計年度のサムスン電子ジャパン株式会社に対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満のため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものです。
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.損益の状況
リバーグループは、「革新的技術を用いた最適価値の電子デバイスを世界に発信し、人々のくらしと生活環境の向上に貢献する」企業を目指しています。当連結会計年度は中期経営計画「R2023」における最重要指標である2023年度売上高営業利益率15%超を初年度において達成することができました。
当連結会計年度の売上高は半導体不足の影響を受け、スマートフォン向けは前期を下回りましたが、LPWA(Low Power Wide Area)向けを軸にIoT通信モジュール向けが伸長したほか、医療関連やVR機器向けも好調に推移しました。IoT時代の無線通信技術の1つであるLPWAは低消費電力で広範囲のデータ通信を可能にする無線通信技術であり、その特徴からIoTデバイスにも低消費電力化が求められるため、今後ますます音叉型水晶振動子の需要が増大すると考えております。また、注力市場である医療分野においても高齢化の進展等により、欧米を中心に補聴器市場が拡大傾向にあるほか、デジタル化に伴うウェアラブルデバイス市場の成長も期待されるところであります。
収益面においては生産設備の増強に伴う減価償却費の増加はありましたが、増収効果や生産の全体最適化、コストコントロールの徹底等による生産性の向上から、収益性も大きく向上しました。ATカット水晶製品は前期は経常損失でありましたが、適正価格への見直しや製造部門のコスト削減に向けたテーマの実行等により当期は経常利益へ黒字転換することができました。
これらの結果、当連結会計年度の業績は、売上高7,416,757千円(前年同期比35.9%増)、営業利益1,244,149千円(前年同期比115.6%増)、経常利益1,249,129千円(前年同期比134.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,111,123千円(前年同期比98.8%増)となりました。
b.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、現金及び預金、受取手形及び売掛金、原材料及び貯蔵品、機械装置及び運搬具、繰延税金資産の増加等により前連結会計年度に比べ1,239,004千円増加し、9,142,356千円となりました。機械装置及び運搬具の538,301千円の増加は主として水晶製品事業における音叉型水晶振動子の生産増強によるものです。繰延税金資産の86,171千円の増加は当連結会計年度の実績及び今後の業績動向を勘案して計上されたものであります。
負債は、未払法人税等の増加等があったものの、設備関係支払手形、短期借入金及び長期借入金の減少等により前連結会計年度に比べ1,034,753千円減少し、5,236,863千円となりました。借入金は事業計画に基づく資金需要や金利動向等を考慮の上、調達手段や調達規模等を判断、実施しており、当連結会計年度は855,977千円減少しました。
純資産は、資本金が561,602千円、資本剰余金が561,602千円、利益剰余金が1,029,065千円、為替換算調整勘定が126,721千円の増加等により、前連結会計年度に比べ2,273,758千円増加し、3,905,493千円となりました。資本金561,602千円の増加及び資本剰余金561,602千円の増加は新株予約権の行使による株式の発行によるものです。利益剰余金の1,029,065千円の増加は主に親会社株主に帰属する当期純利益1,111,123千円によるものです。また、自己資本比率は前連結会計年度の20.6%に対し42.7%になりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、資本運用効率を重視しながら、適正な資本構成の構築を図り、財務の健全性改善を基本方針としております。また、当社グループ内における資金管理については、グループ内資金を当社が一元管理することで、効率的・横断的に資金を活用する体制を整えております。
主なキャッシュ・フローの状況は、以下のとおりです。なお、詳細については、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
|
前連結会計年度 (千円) |
当連結会計年度 (千円) |
増減額 (千円) |
営業活動によるキャッシュ・フロー |
591,801 |
1,113,092 |
521,291 |
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△611,107 |
△1,169,695 |
△558,587 |
財務活動によるキャッシュ・フロー |
78,244 |
153,919 |
75,675 |
現金及び現金同等物の期末残高 |
1,135,382 |
1,307,592 |
172,209 |
a.運転資金と投資資金
当社グループの資金需要は、事業活動に必要な運転資金及び研究開発・設備投資に係る投資資金が主たる内容であります。運転資金需要の主たるものは、製品を製造するための材料仕入、製造経費、営業経費を含む販売費及び一般管理費によるものであります。一方、投資資金需要の主たるものは、研究開発に携わる従業員の人件費を中心とした研究開発投資及び事業拡大・生産性向上を目的とした設備投資によるものであります。
また、その他借入金等有利子負債の返済及び利息の支払いに資金の充当を行っております。
なお、当連結会計年度における設備投資の概要については、「第3 設備の状況 1設備投資等の概要」、重要な設備投資計画については、「第3 設備の状況 3設備の新設、除却等の計画」にそれぞれ記載しております。
b.資金調達と有利子負債
当社グループは、まず営業活動で獲得した資金を運転資金及び投資資金に充当することを基本とし、不足分は借入金等による資金調達を活用しております。
長期資金の調達については、事業計画に基づくキャッシュ・フローや金利動向、有利子負債の状況等を考慮のうえ、調達手段や調達規模等を適宜判断して実施しております。他方、有利子負債の圧縮のため財務規律を維持し、積極的な投資と財務の健全性の改善を両立させるべく取り組んでおります。
当連結会計年度においては金融機関からの借入に加え、2021年3月5日の発行決議による第三者割当による行使価額修正条項付第1回新株予約権を発行、2021年3月24日に行使を開始、2021年6月7日に当社普通株式として1,200,000株の発行を完了しました。調達資金は当社製造子会社である青森リバーテクノ株式会社の水晶製品生産設備(当社より賃貸、2021年7月完了)やユーティリティ設備の更新(2021年6月完了)及び次世代製品の研究開発費並びに当社借入金の返済に充当しております。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、1,307,592千円であり、流動比率は172.9%と前連結会計年度から改善し、また金融機関とは幅広く好関係を維持しており、資金需要に必要な流動性を十分に確保していると考えております。
なお、当連結会計年度末現在の有利子負債の状況は、以下のとおりです。
|
1年以内 (千円) |
1年超 2年以内 (千円) |
2年超 3年以内 (千円) |
3年超 4年以内 (千円) |
4年超 5年以内 (千円) |
5年超 (千円) |
短期借入金 |
663,748 |
- |
- |
- |
- |
- |
長期借入金 |
998,462 |
657,178 |
607,986 |
350,142 |
47,646 |
- |
リース債務 |
17,535 |
16,537 |
12,013 |
11,163 |
9,508 |
34,055 |
合計 |
1,679,745 |
673,715 |
619,999 |
361,305 |
57,154 |
34,055 |
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響については、第5 経理の状況 1 連結財務諸表 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)に記載しております。
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