課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題は次のとおりであります。

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営理念、経営方針

当社グループは、「源流」「創価」「革新」を経営理念としております。

基本理念「常に、源流に立って考え、意欲して創造し、価値を創り、新しい時へ、自ら変革し対応しよう」に基づき、長期経営ビジョンを「革新的技術を用いた最適価値の電子デバイスを世界に発信し、人々のくらしと生活環境の向上に貢献する」とし、このビジョンを実現するために「顧客の満足と信頼の獲得」「独創的発想による価値の創造」「持続可能な経営基盤の確立・強化」という3つの中期経営方針を掲げ、グループ一体となってその実践に努めております。

(2)経営環境、中長期的な会社の経営戦略

当社グループは経営環境の変化に柔軟に対応するため2021年度から3ヵ年中期経営計画を毎年見直すローリング方式にしております。当社グループを取り巻く環境は、新型コロナウイルス禍の長期化に加え、ロシア・ウクライナ問題をはじめとする地政学的リスクの高まりにより世界経済は極めて不安定な状態にあります。また、少子高齢化による労働力不足も懸念される一方でこれらの環境の変化がデジタルネットワーク社会の進展を加速化させる一因となっており、中長期的に水晶デバイス市場は半導体市場と同様に右肩上がりで成長していくものと考えております。また、「脱炭素化社会の実現」や「働き方改革」、「コーポレートガバナンスの充実」等、CSRに対する重要性が高まっており、これらを経営に取り込むことが企業価値向上につながるものと認識しております。

当社グループはこのような環境下において、以下に掲げる中期経営戦略に従い、デジタルネットワーク社会の進展に貢献する時代に即した高品質、高信頼性を持った最先端の電子部品を世界に届けてまいります。

 

基本方針1「顧客の満足と信頼の獲得」

① 音叉型水晶振動子の圧倒的シェアの獲得・維持

引き続き、当社グループの成長ドライバーである小型音叉型水晶振動子の更なる販売拡大を目指し、特に1610サイズにおいて圧倒的シェアNo1を目指します。当期は半導体不足が影響し、スマートフォン関連市場は前期と比較して減収となりましたが、最重要市場として掲げていたIoT通信モジュール市場においてIoTデバイス関連の受注が伸長し、大幅な増収となりました。IoT社会において低消費電力化が求められるバッテリー駆動のIoTデバイス向けなどに音叉型水晶振動子の需要は今後も高まることが予想されます。また、超小型サイズ帯においてシェアを獲得することで収益力の強化を目指します。

② 顧客エンゲージメントの向上

3つの品質(開発・製造・サービス)を高め、顧客エンゲージメントの向上を図り、顧客とともに当社グループの成長を実現いたします。目先だけの提案でなく、顧客のことを深く理解し、長期的に見て当社グループが顧客にできる「ベスト」をご提案できる体制を構築します。注力する事業領域は、主要領域であるスマートフォン市場及びIoT通信モジュール市場に加え、変革期にあるモビリティ市場や医療ヘルスケア市場を注力市場とし、販売拡大に継続して取り組んでいきます。

 

基本方針2「独創的発想による価値の創造」

① 新素子デバイスの量産化技術確立

Beyond 5Gを見据え、開発中のKoTカット水晶振動子及び水晶発振器の量産に向けた開発を進めていきます。OPAW(直交板弾性波)振動モードを用いたKoTカット水晶デバイスは、市場から要求される「高周波」「周波数精度」「低位相雑音化」を始めとする信号源に対するより厳しい要求仕様にお応えできる製品であります。今後はKoTカット水晶デバイスのラインナップ及び対応周波数の拡張を進め、光通信、計測器、エアロスペース等の先端通信分野における技術進化に貢献できる体制を整えていきます。

② コア技術の深耕

当社グループのコア技術「金属間直接接合封止工法」「フォトリソ加工技術」などの深耕を図り、超小型ATカット水晶製品(0806サイズ)の開発に注力していきます。金属間直接接合封止工法は3枚の水晶ウェハに金属層を形成し、真空中で熱と圧力を加えることによって起こる金属間の拡散を利用して水晶ウェハ同士を張り合わせる独自先端技術であり、現在は音叉型水晶振動子TFX-05X(1210サイズ)で同工法が採用されています。これらコア技術の深耕が水晶デバイスの更なる小型化へのブレークスルーになると考えております。

 

基本方針3「持続可能な経営基盤の確立・強化」

今後の持続的な成長を見据え、事業及び製品の選択と集中に基づくスクラップ&ビルドを実施し、ポートフォリオの最適化を図ります。また、最適化を可能にするフレキシブルな生産ラインの強化に努めるとともに、働き方改革の推進、コーポレート・ガバナンスの継続的改善、GHG(温室効果ガス)排出量の削減などの環境対策等、CSRに関する重点課題に取り組み、長期安定的な企業価値向上を図ります。

創出されたキャッシュについては中期経営戦略に従い、持続的な成長と企業価値向上を可能にする長期的視点の投資を行うほか、財務の健全性向上を目的とした債務の圧縮を進めていきます。また、株主還元については配当性向20%を目安として安定的な配当の実施を行っていきます。

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、当期期初に策定した3ヵ年中期経営計画「R2023」において連結売上高及び連結売上高営業利益率を重要な経営指標と位置づけており、2023年度の目標である売上高営業利益率15%超を初年度において達成することができました。今回新たに策定した中期経営計画「R2024」においては企業価値の向上を経営の重要目標としたことからROIC(投下資本利益率)を重要指標として追加しております。なお、「R2024」における2024年度の目標として連結売上高100億円、連結売上高営業利益率25%、ROIC21%を掲げております。

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