当連結会計年度における当企業グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度の期首から、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日、以下「収益認識会計基準」という。)等を適用しております。この結果、当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度と比較して大きく減少しており、以下の経営成績に関する説明の売上高については、増減額および前年同期比(%)を記載せずに説明しております。
また、当該会計基準等を適用したことに伴う当連結会計年度の売上高に与える影響につきましては、「第5 [経理の状況] [注記事項] (会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
①財政状態および経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、依然として新型コロナウイルス感染症の影響を受けており、またウクライナ情勢等による経済活動への影響が懸念され、先行きは不透明であり、今後も厳しい状況が続くものと予想されます。
また、当企業グループにおいては、引き続き半導体を中心とした部材調達難と販売機会損失に加え、調達価格の高騰による事業活動への影響がありました。
このような経済環境の中で、当企業グループは、2021年6月に2021年度から2023年度の3か年を計画期間とした中期経営計画(サクサは変わる。)を公表し、2026年3月期には、売上高400億円、営業利益25億円、ROE6.5%以上を長期目標に、3つの戦略「事業を変える。」「財務を変える。」「ガバナンスを変える。」を掲げ、始動いたしました。
「事業を変える。」について、連結子会社であるサクサ株式会社は、中堅・中小企業向けサイバー保険付きUTM(統合脅威管理アプライアンス)「SS6000」シリーズの販売を開始いたしました(2022年2月)。(成長事業:ITビジネス)
同じく、サクサ株式会社は「調達改革プロジェクト」を新設し、部品の調達難による販売機会損失および調達価格の高騰に、迅速かつ効率的に対応することを目的に活動を開始いたしました(2021年12月)。
また、連結子会社である株式会社システム・ケイは、株式会社アートと車両ナンバー認識システムと入退室管理システムが連携した入退場車両ナンバーシステムを共同開発し、販売を開始いたしました(2022年2月)。また、株式会社アートと日本コンピュータビジョン株式会社と新しいアクセスセキュリティの入退室顔認証システムを共同開発し、販売を開始いたしました(2022年4月)。(成長事業:ビジュアルソリューション)
サクサシステムアメージング株式会社は、サクサ株式会社と連動し、SIビジネスの拡大、経営資源の効率化を目的にサクサ株式会社を存続会社とし合併いたしました(2022年1月)。(成長事業:SIビジネス)
「財務を変える。」について、保有資産の有効活用を図るため、政策保有株式の一部売却を実施しました。また、保有不動産の流動化・収益化については、入札結果に基づき優先交渉先を決定し、交渉を開始いたしました(2022年3月)。
「ガバナンスを変える。」について、ガバナンス強化へ向けたグループ再編を実施し、プロダクト事業を展開する中核会社のサクサ株式会社とソリューション事業を展開する中核会社の株式会社システム・ケイとのツートップ体制によるグループ経営を開始いたしました(2022年1月)。また、投資家とのコミュニケーション強化に向けて、個人投資家向け会社説明会を実施いたしました(2022年3月)。さらに、今後のさらなる成長に向けて、多様な人材活用による新たな価値を創造し、多様性を受け入れ、相互に認めあう組織風土を醸成していくため、「ダイバーシティ&インクルージョン推進委員会」を新設いたしました(2021年11月)。
当連結会計年度の売上高は、30,793百万円(前年同期は36,561百万円)となりました。売上高のうち、成長事業の売上高は、9,552百万円(前年同期は10,273百万円)となり、コロナ禍に伴う働き方改革を追い風に市場環境は整っておりましたが、資材および部品の調達難によりITビジネスおよびSIビジネスの販売減少となりました。一方、基盤事業の売上高は、21,241百万円(前年同期は26,287百万円)となり、主に、資材および部品の調達難によりボタン電話装置の販売が大幅に減少いたしました。
なお、収益認識会計基準等の適用により、当連結会計年度の売上高は2,416百万円減少しており、成長事業の売上高は481百万円、基盤事業の売上高は1,934百万円それぞれ減少いたしました。
利益面では、資材および部品の調達価格の高騰に伴う材料費増加に加え、前期から取組んでいる不適切な会計処理に対応した改善措置実行費用、監査報酬等の増加はありましたが、経常利益が471百万円(前年同期は2,269百万円)、投資有価証券売却益447百万円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、1,208百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失217百万円)となりました。
分野別の営業の概況は、次のとおりです。
(ネットワークソリューション分野)
ネットワークソリューション分野の売上高は、21,886百万円(前年同期は24,798百万円)となりました。これは、ビジュアルソリューションの売上増加はありましたが、ボタン電話装置およびITビジネスの売上減少によるものです。
なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は682百万円減少いたしました。
(セキュリティソリューション分野)
セキュリティソリューション分野の売上高は、8,907百万円(前年同期は11,762百万円)となりました。これは、生産受託の売上が減少したことによるものです。
なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は1,733百万円減少いたしました。
当期の財政状況の概況は、次のとおりです。
当連結会計年度末の純資産は、配当金の支払い、子会社株式の追加取得をしたことによる非支配株主持分の減少などがありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により、前連結会計年度末に比べ535百万円増加し23,568百万円、総資産は433百万円増加し36,917百万円となったことにより、自己資本比率は63.8%となりました。
増減の主なものは、以下のとおりです。
流動資産では、当連結会計年度末後の受注を見据えた生産および部品の調達難による生産進捗未了による棚卸資産の1,308百万円増加等により流動資産全体で903百万円増加いたしました。
固定資産では、2022年1月に実施したグループ再編後、当社および連結子会社の繰延税金資産の回収可能性を慎重に検討し、繰延税金資産を計上したことにより319百万円増加しておりますが、無形固定資産がソフトウエアの償却などにより480百万円、投資有価証券が売却等により222百万円、有形固定資産が償却などにより145百万円それぞれ減少したことなどにより、固定資産全体で469百万円の減少となりました。
負債では、資金調達のため借入金が546百万円増加しておりますが、未払法人税等が391百万円、未払金が248百万円、それぞれ支払いにより減少いたしました。
当期末における現金及び現金同等物は、前期末残高に比べ815百万円減少し、6,993百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,075百万円の支出(前年同期は1,903百万円の収入)となりました。これは税金等調整前当期純利益による収入はありましたが、部品調達難による生産進捗未了による棚卸資産の増加および売上債権の増加などによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、214百万円の収入(前年同期は1,087百万円の支出)となりました。これは設備投資による支出はありましたが、投資有価証券の売却による収入を計上したことによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、42百万円の収入(前年同期は679百万円の支出)となりました。これは連結子会社である株式会社システム・ケイの株式を追加取得したことによる支出はありましたが、長期借入を行ったことなどによるものです。
当企業グループは、事業区分が単一セグメントでありますが、本項目における分野別情報は、前連結会計年度と同一の区分によっております。
当連結会計年度における生産実績を分野別に示すと、次のとおりであります。
(注)1 金額は、販売価格によっております。
2 上記のほか下記の仕入製品があります。
(注)金額は、仕入価格によっております。
当連結会計年度における受注実績を分野別に示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度における販売実績を分野別に示すと、次のとおりであります。
(注)主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合
(注)NTTグループは、東日本電信電話株式会社、西日本電信電話株式会社およびエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社等であります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当企業グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2022年3月31日)現在において判断したものであります。
当企業グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
この連結財務諸表の作成にあたり、決算日における資産・負債の報告数値および偶発債務の開示ならびに報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積りおよび仮定の設定を行わなければなりません。
当企業グループの経営陣は、過去の実績や状況に応じ合理的であると考えられる様々な要因に基づき、見積りおよび判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
特に、以下の重要な会計方針が、当企業グループの連結財務諸表の作成において使用された重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすものと考えております。
なお、新型コロナウイルス感染症の収束時期が見通せない状況や半導体を中心とした部材調達難と販売機会損失等、当企業グループの事業活動に与える影響を合理的に反映することが難しい要素もありますが、期末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。
a. 機器組込みソフトウェア(販売目的ソフトウェアのうち、連結子会社であるサクサ株式会社にかかるもの) は定額法により減価償却費を計上しており、販売可能な見込有効期間に基づく償却額を計上しております。また各年度の未償却残高が、翌連結会計年度以降の見込販売収益の金額を超過している場合には、当該超過額について、一時の費用又は損失として処理しております。見込販売収益の算出に用いた主要な仮定は、見込販売数量であり、見込販売数量は市場環境の変化に影響を受けるため、見積りの不確実性が高く、情報通信ネットワーク製品の陳腐化に伴い、見込販売収益が大幅に減少した場合には、一時に費用又は損失が発生する可能性があります。
b. 売掛金、貸付金等の債権については、決算日以降に発生すると予測される貸倒損失に備えるため、適正な見積りに基づき貸倒引当金を計上しておりますが、顧客等の財政状況が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。
c. 製品保証費用については、出荷済製品のアフターサービス費用等の発生に備え、過去の実績に基づくアフターサービス費用の見積りに基づき製品保証引当金を計上しております。三現主義の徹底と広範囲にわたる品質管理システムの運用により品質向上に努めておりますが、実際の品質不良率または修理コストが見積りと異なった場合、アフターサービス費用の見積額の修正が必要となる可能性があります。
d. 受注残高のうち、損失の発生が見込まれるものについて、将来の損失に備えるため、その損失見込額を受注損失引当金として計上しております。将来、発生原価が見積額を上回ると予想される場合、追加引当が必要になる可能性があります。
e. 投資については、回復可能性があると認められない株式等の評価減を実施しておりますが、投資先の財政状態が悪化した場合、評価損の追加計上の可能性があります。
f. 繰延税金資産については、将来の課税所得および継続的な税務計画を検討し、回収可能性が高いと考えられる金額に減額するため評価性引当金を計上しております。この評価性引当金は当連結会計年度末で判断したものであり、将来の課税所得および税務計画の変更等により追加計上または取崩しが発生する可能性があります。
当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載しております。
当企業グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、当企業グループの主力市場である情報通信ネットワーク関連市場においては、多様化、高度化したネットワークを活用した様々な事業が生まれるなど大きな変化が続いております。
このような市場環境の変化と資材調達環境の変化により、当企業グループの業績も影響を受けます。
そのため当企業グループは、このような変化に柔軟に対応し、現在の事業環境および入手可能な情報に基づき、最善の経営方針を立案するよう心がけております。
また、経営成績に影響を及ぼす可能性のあるリスクについては、「2〔事業等のリスク〕」に記載しております。
当企業グループの経営戦略の現状と見通しにつきましては、多様化するお客様のニーズにお応えするため、お客様視点に立った安心、安全、快適、便利な環境を実現するソリューションをタイムリーに提供し続け、事業成長に向けた収益体質改善のための諸施策に取組んでまいります。
a.キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載しております。
b.資金需要と財務政策
当企業グループは、運転資金および設備投資資金につきましては、内部資金を充当し、必要に応じ金融機関からの借入により調達することとしております。このうち借入による資金調達に関しましては、運転資金については主に期限が1年以内の短期借入金により調達しており、設備投資資金等については長期借入金等により調達しております。
また、資産効率の向上、営業活動によるキャッシュ・フローの確保およびシンジケーション方式によるコミットメントライン7,000百万円を含む未使用借入枠13,455百万円により、当面の運転資金および設備投資資金を調達することが可能と考えております。
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