当連結会計年度における世界経済は、引続き新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けており、ワクチン接種の普及による経済活動の正常化により回復基調にあった個人消費は、オミクロン株による感染再拡大により回復のペースは緩やかになっております。
当社グループが属する音楽用電子機器業界におきましては、コロナ禍におけるリモートワークやステイホームの浸透によるライフスタイルの変化により堅調な需要が継続している一方で、半導体の供給不足や物流網の混乱が大きな下振れリスクとなっており、先行き不透明な状況が続いております。このような状況の中、当連結会計年度におきましては、ポッドキャスト等の音声配信市場の拡大もあり当社製品への需要が大きく伸びる中、半導体部品について必要最低限の数量が確保できたことから、当社グループの売上高は大きく伸張いたしました。
以上に加えて、株式会社フックアップを連結子会社としたこともあり、当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高は13,417,856千円(前期比28.8%増)、営業利益は1,258,257千円(前期比66.6%増)、経常利益は1,216,663千円(前期比169.8%増)、及び親会社株主に帰属する当期純利益は854,084千円(前期比69.9%増)となりました。
当社グループは音楽用電子機器事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。製品カテゴリー別の説明は以下のとおりであります。
(ハンディオーディオレコーダー)
ハンディオーディオレコーダーは、2020年7月から販売を開始したH8の新製品効果及びサプライヤー工場火災への対応が順調に進み委託先工場での生産に大きな影響が出なかったこと等により、売上高は4,933,692千円(前期比9.7%増)となりました。
(デジタルミキサー/マルチトラックレコーダー)
デジタルミキサー/マルチトラックレコーダーは、ポッドキャスト収録に適したP4及びP8、ライブストリーミングやレコーディング用途としてのLシリーズの販売増加等により、売上高は2,203,176千円(前期比60.7%増)となりました。
(マルチエフェクター)
マルチエフェクターは、2020年11月から販売を開始したG6の新製品効果及びG1XFourへの需要が大きく伸びたこと等により、売上高は1,289,928千円となりました。なお、前連結会計年度までマルチエフェクターに含めていたボーカル用エフェクトプロセッサー(V3及びV6)については、当連結会計年度より別カテゴリーとして開示しており、当該製品を含まない前連結会計年度のマルチエフェクターの売上高は1,118,348千円であります。
(プロフェッショナルフィールドレコーダー)
プロフェッショナルフィールドレコーダーは、屋外での活動が再開されつつあることから需要が回復傾向にあり、また、2020年11月から販売を開始した新製品F2及びF2-BTの販売が好調であったことから、売上高は968,666千円(前期比42.4%増)となりました。
(ハンディビデオレコーダー)
ハンディビデオレコーダーは、WEB会議やオンラインレッスン目的等での需要は引続き堅調であるものの、前期は新型コロナウイルス感染拡大に伴うテレワークの浸透により、WEB会議目的等での需要の急増があり、その反動によって、売上高は819,026千円(前期比20.4%減)となりました。
(マイクロフォン)
当社が企画・販売するマイクロフォンについて、2020年8月にZDM-1PMP(ポッドキャスト用マイクパック)の販売を開始して以降、売上高が増加傾向にあり重要性が増したことから、前連結会計年度まで「モバイルデバイスアクセサリ」として開示していたスマートフォン/タブレット端末用のマイクロフォン(iQ6、iQ7及びAm7)を含め、当連結会計年度より新規カテゴリー「マイクロフォン」として開示することといたしました。2021年5月から販売を開始したZUM-2PMP(USBポッドキャスト用マイクパック)の新製品効果等により、マイクロフォンの当連結会計年度の売上高は476,907千円となりました。なお、前連結会計年度のマイクロフォンの売上高は316,075千円であります。
(ボーカルプロセッサー)
前連結会計年度までマルチエフェクターに含めて開示していたボーカル用エフェクトプロセッサー(V3及びV6)については、他のマルチエフェクターと用途が異なること及び売上高が増加傾向にあり重要性が増したことから、当連結会計年度より新規カテゴリー「ボーカルプロセッサー」として開示することといたしました。ボーカルプロセッサーの当連結会計年度の売上高は241,873千円となりました。なお、前連結会計年度のボーカルプロセッサーの売上高は105,208千円であります。
(オーディオインターフェース)
オーディオインターフェースは、サプライヤー工場火災に伴う電子部品不足の影響を受け、一部製品について十分な生産ができなかったこと及びオンライン会議目的での需要が減少したこと等により、売上高は97,295千円(前期比49.8%減)となりました。
(Mogar取扱いブランド)
Mogar取扱いブランドは、前期は南ヨーロッパのロックダウンの影響を受け売上高が減少いたしましたが、ワクチン接種の普及による経済活動の正常化により需要が回復傾向にあることから、売上高は827,339千円(前期比19.6%増)となりました。
(フックアップ取扱いブランド)
当連結会計年度から株式会社フックアップの損益計算書を連結したことにより、同社が取扱う当社以外のブランドの製品が売上計上されることとなりました。これにより、当連結会計年度の売上高は1,098,003千円となりました 。
また、財政状態については、当連結会計年度末の資産合計は10,829,574千円となり、前連結会計年度末と比べ631,364千円増加しました。これは主に、株式会社フックアップを連結子会社としたこと等により、流動資産が373,159千円増加したことによるものであります。
企業の安全性を示す自己資本比率は前連結会計年度50.2%に対し、当連結会計年度は53.9%と3.7ポイント増加しております。
(流動資産)
当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末に比べ373,159千円増加し、8,035,069千円となりました。これは主に、株式会社フックアップを連結子会社としたこと等により、現金及び預金が663,459千円減少した一方、売掛金が291,538千円千円、商品及び製品が447,301千円千円増加したことによるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末の固定資産は、前連結会計年度末に比べ258,204千円増加し、2,794,505千円となりました。これは主に、株式会社フックアップを連結子会社としたことにより、のれんが87,647千円増加したことによるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末の流動負債は、前連結会計年度末に比べ208,891千円減少し、3,675,051千円となりました。これは主に、短期借入金が254,292千円減少したことによるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末の固定負債は、前連結会計年度末に比べ64,875千円増加し、1,242,655千円となりました。これは主に、長期借入金が51,432千円増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べて775,380千円増加し、5,911,867千円となりました。これは主に、自己株式が286,955千円増加した一方、為替換算調整勘定が323,188千円増加したこと及び親会社株主に帰属する当期純利益を854,084千円計上したことによるものであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ664,807千円減少し、当連結会計年度末に2,032,387千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動により増加した資金は637,058千円(前連結会計年度は990,097千円の増加)となりました。資金の主な増加要因は、仕入債務の減少額370,329千円があった一方、税金等調整前当期純利益を1,216,527千円及び減価償却費を226,309千円、のれんの償却費を181,826千円計上したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動により減少した資金は478,302千円(前連結会計年度は1,269,748千円の減少)となりました。資金の主な減少要因は、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出285,428千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動により減少した資金は937,053千円(前連結会計年度は716,058千円の増加)となりました。資金の主な減少要因は、長期借入れによる収入155,892千円があった一方、自己株式の取得による支出426,363千円及び短期借入金の純減額380,318千円があったことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、外部に製造を委託しており生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
当連結会計年度における製品カテゴリー別の仕入実績は次のとおりであります。
(注) 1.金額は、仕入価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.当社グループの製品は、すべて生産委託しております。
4.前連結会計年度まで「マルチエフェクター」に含めていたボーカル用エフェクトプロセッサーについては、当連結会計年度より新規カテゴリー「ボーカルプロセッサー」としております。また、前連結会計年度まで「モバイルデバイスアクセサリ」としていたスマートフォン/タブレット端末用のマイクロフォンについては、当連結会計年度より新規カテゴリー「マイクロフォン」に含めております。加えて、当連結会計年度より株式会社フックアップの損益計算書を連結したため、同社が取り扱う製品の売上を、新規カテゴリー「フックアップ取扱いブランド」としております。そのため、該当カテゴリーにつきましては、前年同期比の記載を省略しております。
当社グループは、需要予測による見込みで販売数量を決定しており、受注生産の形態を採っておりません。
当連結会計年度における製品カテゴリー別の販売実績は次のとおりであります。
(注) 1.前連結会計年度まで「マルチエフェクター」に含めていたボーカル用エフェクトプロセッサーについては、当連結会計年度より新規カテゴリー「ボーカルプロセッサー」としております。また、前連結会計年度まで「モバイルデバイスアクセサリ」としていたスマートフォン/タブレット端末用のマイクロフォンについては、当連結会計年度より新規カテゴリー「マイクロフォン」に含めております。加えて、当連結会計年度より株式会社フックアップの損益計算書を連結したため、同社が取り扱う製品の売上を、新規カテゴリー「フックアップ取扱いブランド」としております。そのため、該当カテゴリーにつきましては、前年同期比の記載を省略しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
※ 売上高は、当該顧客と同一の企業集団に属する顧客への売上高を集約して記載しております。
3. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討結果は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社グループの連結財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすものと考えております。
当社グループは、たな卸資産の保有期間及び将来の需要予測に基づき検討した結果、正味売却価額が帳簿価額を下回るものについては商品評価損を計上しておりますが、想定よりも実際の市況が悪化した場合は追加の評価減が必要となる可能性があります。
当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、回収不能見込額を貸倒引当金として計上しておりますが、取引先の財務状況が悪化しその支払い能力が低下した場合又は債権が回収不能となった場合、追加の引当又は損失の計上が必要となる可能性があります。
繰延税金資産については、将来の利益計画に基づく課税所得の十分性を慎重に検討し、回収可能性を判断した上で計上しております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積り額が減少した場合は、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。
ニ.のれん
当社グループは、のれんに関して効果の発現する期間を見積り、その期間で定額法により償却しておりますが、その資産性の評価について検討した結果、当初想定したキャッシュ・フローが見込めなくなった場合に、評価の切り下げを行う可能性があります。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響については、現在の状況が2022年12月期末まで継続し、半導体不足については、2022年12月期の上期は現在の状況が継続するものの下期以降徐々に解消していくと仮定しており、連結財務諸表作成時点で利用可能な情報に基づき、これらの影響の不確実性を考慮の上で、合理的な見積りを行っております。
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、前期比28.8%増の13,417,856千円となりました。これは主に、ポッドキャスト等の音声配信市場の拡大もあり当社製品への需要が大きく伸びる中、半導体部品について必要最低限の数量が確保できたこと、及び2020年4月1日からZOOM North America, LLC(以下「ZNA」という。)を連結子会社としたことにより当連結会計年度は同社の1月から12月までの12か月間の損益計算書が連結されたこと(前連結会計年度は4月から12月までの9か月間)に加え、第2四半期連結会計期間から株式会社フックアップの損益計算書を連結したことから、当社グループの売上高は大きく伸長いたしました。
(売上総利益)
売上総利益は、前期比33.0%増の5,704,326千円となり、売上総利益率は1.3ポイント改善し42.5%となりました。これは主に、為替レートが年度を通じて円安方向に推移したこと、及び一部製品について値上げを行ったことによるものであります。
(営業利益)
販売費及び一般管理費は、前期比25.8%増の4,446,069千円となりました。これは主に、研究開発費が259,899千円増加したこと及び株式会社フックアップを連結子会社としたことによるものであります。
以上の結果、営業利益は1,258,257千円(前期比66.6%増)となりました。
(経常利益)
営業外収益は、前期比6.1%減の12,972千円となりました。また、営業外費用は、前期比82.8%減の54,566千円となりました。これは主に、前期に持分法による投資損失240,474千円を計上したことによる反動減によるものであります。その結果、経常利益は1,216,663千円(前期比169.8%増)となりました。
(税金等調整前当期純利益)
税金等調整前当期純利益は、経常利益の増加により1,216,527千円(前期比93.5%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、非支配株主に帰属する当期純利益を54,600千円計上しましたが、854,084千円(前期比69.9%増)となりました。
(経営上の目標達成状況)
中期経営計画「第3次中期経営計画 2021-2023」において、2023年度の売上高を150億円、営業利益を12億円としております。中期経営計画の初年度にあたる当連結会計年度において、当社製品への需要が大きく伸びたことから、営業利益については2023年度の目標値を達成いたしました。しかしながら、2年目にあたる2022年度については、半導体不足の影響により営業利益は半減すると見込んでおり、また、2023年度についても半導体の供給を含め不透明な状況であることから、2023年度の数値目標は現時点では変更しておりません。なお、当社グループは、第3次中期経営計画の達成に向けて、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載した課題に取り組むことにより、成長の実現を目指してまいります。
当社グループの主な資金需要は、製品の仕入れ、人件費や外注先への支払等の営業費用及び金型等の設備投資であります。これらの資金需要は自己資金を充当し、不足が生じる場合は金融機関からの借入で調達を行っております。なお、取引金融機関との関係は良好であり、当座貸越枠を確保していることから、充分な資金流動性を確保していると考えております。
当社グループは、「第2 事業の状況 2事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスクが当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると考えております。新型コロナウイルス感染症の影響については、ステイホーム需要による受注の増加により、当連結会計年度の当社グループの業績は堅調に推移いたしましたが、感染が沈静化した後についても、リモートワークやステイホームの浸透によるライフスタイルの変化は継続すると考えており、当社グループの業績に大きな影響は与えないと考えております。一方、半導体供給不足や物量網の混乱は、当社グループの業績への大きな下振れリスクとなっており、状況を注視していく必要があると考えております。
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