課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、NECグループが判断したものです。

(1) 会社の経営の基本方針

当社は、2020年4月1日にNECグループ共通の価値観であり行動の原点を示す「NEC Way」を改定しました。

 

「NEC Way」は、企業としてふるまう姿を示した「Purpose(存在意義)」「Principles(行動原則)」と、NECグループの一人ひとりの価値観・ふるまいを示した「Code of Values(行動基準)」「Code of Conduct(行動規範)」で構成されています。

 

「Purpose(存在意義)」はOrchestrating a brighter worldをもとに、豊かな人間社会に貢献する姿を示した宣言です。

 

 

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NECは、安全・安心・公平・効率という

社会価値を創造し、

誰もが人間性を十分に発揮できる

持続可能な社会の実現を目指します。

 

 

「Principles(行動原則)」は、NECグループとしての行動のもととなる原則であり、次の3つの心構えを示しています。

 

 

創業の精神「ベタープロダクツ・ベターサービス」

常にゆるぎないインテグリティと人権の尊重

あくなきイノベーションの追求

 

 

「Code of Values(行動基準)」は、NECグループの一人ひとりが体現すべき日常的な考え方や行動の在り方を示した行動基準です。

 

 

視線は外向き、未来を見通すように

思考はシンプル、戦略を示せるように

心は情熱的、自らやり遂げるように

行動はスピード、チャンスを逃さぬように

組織はオープン、全員が成長できるように

 

 

「Code of Conduct(行動規範)」は、NECグループの一人ひとりに求められるインテグリティ(高い倫理観と誠実さ)についての具体的な指針であり、次の章から構成されています。

 

 

1.基本姿勢

2.人権尊重

3.環境保全

4.誠実な事業活動

5.会社財産・情報の管理

コンプライアンスに関する疑問・懸念相談、報告

 

 

NECグループは、「Purpose」を全うするため、「Principles」に基づき、中期経営計画をはじめとする中長期的な経営戦略を実践し、社会価値の継続的な創出と企業価値の最大化をはかっていきます。

また、NECグループの一人ひとりが、「Code of Values」に基づき、自らの働き方や組織のあり方を常に見直し、改善するとともに、高い倫理観と誠実さをもったよき企業人として「Code of Conduct」を遵守していきます。

お客さまや社会が期待する価値は常に変化し続けていることから、NECグループがこれからも社会から必要とされる存在であり続けるためには、何が価値となるのかを常に考え、新たな価値を創造していく必要があります。NECグループは、情報通信技術とさまざまな知見・アイデアを融合することで、世界の国々や地域の人々と協奏しながら、明るく希望に満ちた暮らしと社会を実現して未来に繋げてまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

NECグループは、企業価値の最大化に向けて、Purpose・戦略・文化の一体的な取り組みを経営方針として掲げています。Purposeの具現化に向けて、戦略ではEBITDA成長率(*1)を、文化ではエンゲージメントスコアを、特に中核指標と位置づけています。加えて、売上収益、調整後営業利益(*2)、調整後当期利益(*3)、EBITDA(*4)、およびROIC(*5)を経営上の目標として掲げています。

*1 EBITDA成長率:2020年度から2025年度までの期間におけるEBITDAの年平均の成長率を意味します。

*2 調整後営業利益:営業損益から、買収により認識した無形資産の償却費およびM&A関連費用(ファイナンシャルアドバイザリー費用等)を控除し、買収会社の全社への貢献を明確化した、本源的な事業の業績を測る利益指標です。

*3 調整後当期利益:「親会社の所有者に帰属する調整後当期損益」の略称であり、親会社の所有者に帰属する当期損益から営業損益に係る調整項目およびこれらに係る税金相当・非支配持分相当を控除した、親会社所有者に帰属する本源的な事業の業績を測る利益指標です。

*4 EBITDA:売上総利益-販売管理費+減価償却費・償却費

*5 ROIC:(調整後営業利益-みなし法人税<30.5%>)÷(期末有利子負債+期末純資産<非支配株主持分含む>)

 

(3) 経営環境

当連結会計年度の経済環境は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)(以下「新型コロナウイルス感染症」という。)の影響を受けた経済活動の制約、設備投資の抑制および物流の混乱による世界的な部材供給不足やウクライナ情勢の悪化による資源価格の高騰など供給面の影響があったものの、積極的な財政政策や経済活動制限の緩和等の需要喚起により、世界経済は総じて緩やかな改善となりました。日本経済は、度重なる緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発令もあり、改善は非常に緩やかなものとなりました。

一方で、従来のIT市場におけるクラウドシフトへの流れに加えて、新しい生活様式への変化が進む中で社会全体のデジタル化が加速しました。欧州における先進的なデジタル・ガバメントの取り組みが世界的に拡大する中で、日本においてもデジタル庁が創設されるとともに、政府により「デジタル田園都市構想」が発表され、今後、国および地方行政のDX(デジタルトランスフォーメーション)化が一層進む見通しです。また、環境問題がさらに深刻化する中で、持続可能な社会の実現へ向けて企業の貢献が求められており、テクノロジーの役割が増大しています。

このような経営環境のもと、NECグループは、Purpose・戦略・文化の一体的な取り組みを経営方針として掲げる「2025中期経営計画」を策定し、高いモチベーションをもって、日本を含むグローバルでの事業フォーカスと国内IT事業のトランスフォーメーションなどによる成長の実現や、サステナビリティ経営の基盤強化等を目指します。

 

(4) 中長期的な会社の経営戦略および対処すべき課題

NECグループは、Purposeの具現化に向けて2025年度を最終年度とする「2025中期経営計画」を2021年5月に策定しました。本中期経営計画ではPurpose・戦略・文化の一体的な取り組みを経営方針として掲げ、役員・社員一丸となって邁進します。

 

① Purpose

NECグループは、「NEC Way」において、安全・安心・公平・効率という社会価値を創造し、誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会の実現をPurposeとして掲げています。NECグループは社会価値を創造する企業として、社会や顧客との「未来の共感」を創ることで、その実現を目指します。そのためNECグループは、2030年に目指すべき未来像を「NEC 2030VISION」として策定しました。

 

NEC 2030VISION(目指すべき未来像)

 

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② 戦略

NECグループの強みである技術力を顧客価値に転換し、「日本を含むグローバルでの事業フォーカス」、「国内IT事業のトランスフォーメーション」および「次の柱となる成長事業の創造」により成長を実現します。

「日本を含むグローバルでの事業フォーカス」では、デジタル・ガバメントおよびデジタル・ファイナンス事業ならびにグローバル5G事業を注力領域と定め、事業成長を目指します。デジタル・ガバメントおよびデジタル・ファイナンス事業についてはNECソフトウェア・ソリューションズ・ユーケー社、ケーエムディ社およびアバロク・グループ社の事業基盤の強化を着実に進めるとともに、当社および子会社間におけるグローバルなシナジーの発揮により、成長と収益性向上を実現します。グローバル5G事業においては、国内外において基地局に関する商用商談の開拓を進めるとともに、提供対象国と事業領域を拡大することで事業成長を目指します。

「国内IT事業のトランスフォーメーション」では、業種横断の共通商材の開発やクラウド事業者との連携加速により、DX事業の共通基盤であるNECデジタルプラットフォームをさらに強化します。また、経営課題解決や社会価値共創を先進的な顧客とともに実現する戦略パートナーシッププログラムの推進や、政府が掲げるデジタル田園都市国家構想の実現に向けて取り組むことを通じて、新たな事業機会を創出します。

「次の柱となる成長事業の創造」では、学術・研究機関を含む社外との連携をさらに加速し、AI(人工知能)や医療・ヘルスケア領域での事業開発活動を進めます。

ベース事業においては、利益率が低い事業について改善計画を策定し、計画が未達成となった場合には事業撤退を含めた経営判断を行うなどして、各事業における堅調な成長と競合他社を上回る利益率の実現を目指します。

これらの成長戦略の実行の裏付けとなる財務力については、持続的なEBITDAの成長に加え、保有資産の最適化を進めることでキャッシュ・フローを創出します。それらを原資に事業成長を重視したキャピタル・アロケーションを実行するとともに、強固な財務基盤の構築を図り、今後の成長投資を支えます。

また、NECグループと社会のサステナブルな成長を支える非財務基盤の強化に向け、ESG視点の経営優先テーマである「マテリアリティ」を、気候変動、セキュリティ、AIと人権、多様な人材、コーポレート・ガバナンス、サプライチェーンサステナビリティおよびコンプライアンスの7つに特定しています。継続的な成長に向け、マテリアリティの実践を進めることで、ESGインデックスへの継続組み入れを目指します。

 

③ 文化

Purposeの実現には、高いモチベーションをもつ社員の存在が不可欠であることから、社員に選ばれる会社(Employer of Choice)への変革を目指します。特に2022年度は「2025中期経営計画」を実現する「組織変革」と「人の変革」を実行します。

「組織変革」については、組織の大括り化や階層のフラット化などの組織改正により意思決定の迅速化や権限委譲をさらに進めます。「人の変革」では、2023年度のジョブ型人事制度導入に向けて取り組むとともに、ワークスタイルの革新やダイバーシティの推進および健康経営へのさらなる取り組みなどによりエンゲージメントスコアの向上を目指します。

また、NECグループのシンクタンクである㈱国際社会経済研究所を含めて強化した体制のもとにソートリーダーシップ活動を推進し、未来の共感創りの加速と目指すべき未来像の実現に貢献します。

これらの施策を通じて、2025年度に、EBITDA成長率9%およびエンゲージメントスコア50%、ならびに、売上収益3兆5,000億円、調整後営業利益3,000億円(利益率8.6%)、調整後当期利益1,850億円(利益率5.3%)、EBITDA4,500億円(利益率12.9%)、ROIC6.5%の達成を目指します。

NECグループは、Purposeの実現に向け、「2025中期経営計画」の達成および「NEC 2030VISION」で掲げた未来像の共創をとおして、国際連合の定める「SDGs」の達成に貢献します。

 

(5) 気候変動への対応

NECグループは、2017年に気候関連財務情報開示に関する在り方の提言であるTCFDに賛同を表明し、持続可能な社会に向けてNECグループが目指すべき方向と長期目標を定めています。地球温暖化がもたらす気候変動問題に対して、温暖化が進まないように温室効果ガスの排出を削減する緩和策だけでなく、気候変動リスクに備え、その被害を未然に防止し、または最小限に抑えるための適応策の両面から、戦略的に取り組んでいます。

 

①ガバナンス

NECグループは、環境に配慮した事業活動を通じて持続可能な社会の構築に貢献する環境経営の推進体制ならびに、その実践における各組織の役割、責任および権限を特定するために環境管理規程を策定し、運用を行っています。

NECグループの環境経営推進体制は下図のとおりです。

 

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執行役員等で構成され、NECグループの経営課題等を討議する事業戦略会議では、気候変動を含めた環境に関わる重要事項が事業執行に与える影響や戦略に関する討議を行います。事業戦略会議への付議にあたっては、各ビジネスユニットおよびユニット(以下「ビジネスユニット等」という。」)に設置された環境経営委員会やテーマ別専門部会における討議のうえ、重要性に応じて各ビジネスユニット等に配置された環境推進責任者で構成される環境経営推進会議で討議を行うなど、事前に討議を重ねています。また、NECグループの事業に対して特に著しい影響を及ぼす議題については、取締役会へ付議がなされます。

各ビジネスユニット等は、環境経営委員会の設置に加え、各部門や国内外の関係会社における具体的な取り組みにつながる体制を整えており、事業戦略会議や取締役会で策定された環境戦略をもとに具体的な活動計画を立案および実践することで、NECグループとして一貫した環境経営を推進しています。

 

②戦略

NECグループは、環境戦略として、不確実な未来への対応力を高めるため、複数のシナリオで将来起こりうる社会を予想し、対応策を検討しています。気候変動に関する政府間パネル等の公開情報やICTの動向および社会情勢をもとに、サプライチェーン全体における中長期的なシナリオ分析を行い、次のとおり事業のリスクと機会を認識しています。

リスク

内容

対策

移行リスク

カーボンプライシングによるコスト増

SBT1.5℃(*1)達成に向けた効率化の徹底と再生可能エネルギーの活用拡大

物理リスク

気象災害(洪水、土砂崩れ、水不足など)に伴うサプライチェーンの寸断、電気・ガス・水道などライフラインの長期間にわたる停止

サプライチェーン全体のリスク評価と気象災害を含む事業継続計画(以下「BCP」という。)対策、データセンターでの発電設備強化

 

機会

内容

機会創出と拡大

移行リスク対策への価値提供

(緩和)

CO2排出の少ない交通インフラ整備

AIおよびIoT(Internet of Things)を活用した物流可視化・ルート最適化、EV・PHV充電クラウドなど

再生可能エネルギーの活用拡大支援

仮想発電所(VPP)、電力需給管理、RA事業化(需給調整市場への参画)、xEMS(エネルギーマネジメントシステム) など

エネルギーの無駄の削減支援

DXによるプロセス改革(業務自動化、スマートファクトリおよび需給最適化)、データセンターの省エネ化を支える製品・技術(相変化冷却、新冷媒) など

物理リスク対策への価値提供

(適応)

気象災害の増加への備え

AIおよびIoT、画像解析などを活用した災害発生前の予兆検知、河川氾濫シミュレーション、避難支援など

森林火災の増加への備え

森林火災監視・即応システム、人工衛星による災害監視など

農業生産適地の変化への備え

影響予測シミュレーション、農業ICTソリューションなど

感染症の拡大への備え

感染症対策ソリューション、地球規模感染症発生時の物流情報管理プラットフォーム、リモートワークによるワークスタイル変革、遠隔診療支援、教育クラウドなど

 

③リスク管理

「第一部 企業情報 第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載した包括的なリスク管理体制に加え、環境経営推進体制によるリスク管理を通じて、リスク評価を行い、潜在的および顕在的リスクに対する対応の進捗、成果や課題の把握および今後の計画などを検討することにより、リスクの低減や未然防止活動を行っています。

 

④指標と実績

2017年にお客さまと持続可能な社会を共創していく姿を示した「2050年を見据えた気候変動対策指針」を策定し、本指針に基づき、自社の事業活動に伴うCO2排出量(Scope1,2(*2))については、最新・最先端の省エネ技術によるエネルギー使用料の削減や再生可能エネルギーの導入拡大等により2050年までに「実質ゼロ」とすることを目指すなど、気候変動対策の強化を進めてきました。2021年には、Scope1,2のCO2排出量を実質ゼロにする目標に加え、Scope3(*2)を含むサプライチェーン全体からのCO2排出量を2050年までに実質ゼロにすることを掲げました。また、2030年までにScope1,2において55%削減(2017年度比)、Scope3のカテゴリ1(購入した製品・サービス)、3(Scope1,2に含まれない燃料、エネルギー活動)および11(販売した製品の使用)において33%削減(2017年度比)を目標に掲げるとともに、事業で使用する電力を100%再生可能エネルギーとすることを目指す国際イニシアチブ「RE100」(*3)に加盟しました。当該目標については、SBTイニシアチブ(*4)から2021年5月にSBT1.5℃の認定を受けています。加えて、再生可能エネルギーの拡大に向け、翌連結会計年度には当社本社ビルやNEC Cloud IaaSのデータセンターで使用する電力を100%再生可能エネルギー由来に置き換えます。

 

NECグループの気候変動の取り組みの詳細は以下の当社ホームページに掲載しています。

https://jpn.nec.com/csr/ja/eco/risk.html

 

*1 SBT1.5℃

Science Based Targetsの略。パリ協定が求める水準と整合した、5~15年先を目標年として企業が設定する、温室

効果ガス排出削減目標。

*2 Scope1:事業者が所有または管理する排出源から発生する温室効果ガスの直接排出

   Scope2:電気、蒸気、熱の使用に伴う温室効果ガスの間接排出

   Scope3:Scope1.2以外の事業者の関連する他社の温室効果ガス排出

*3 RE100

企業が自ら事業の使用電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目指す国際的なイニシアティブ

*4 SBTイニシアチブ

企業に対し、科学的根拠に基づく二酸化炭素排出量削減目標を立てることを求めるため、カーボン・ディスクロー

ジャー・プロジェクト(CDP)、国際連合グローバル・コンパクト(UNGC)、世界資源研究所(WRI)および世界自然

保護基金(WWF)の4団体により設立されたイニシアチブ

 

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