・2019年12月期における活動と決算の概況
当社を取り巻く経営環境は、2019年12月期においても2018年2月に公表しました中期経営計画(後述)策定時から大きな変化はみられませんでした。即ち、血液検査分野において国内市場は低成長でありますが、海外市場は特に中国が高成長を見込んでおります。また、病院検査室のIT化・自動化分野において、国内市場は均衡状態にありますが、海外市場は検査室の自動化、効率化を担う検体検査自動化システムの需要は高いと認識しております。
このような経営環境のもと当社は、2028年の創業50周年に向け「持続的な成長に向けた体制づくり」をテーマに掲げ、2018年12月期~2020年12月期の3カ年を対象とする中期経営計画を策定し、①自社製品販売の比率を高め、収益性向上を図る、②中国に向けた事業展開を強化し、海外売上高比率を高める、③開発と製造の連携を強化し、安定した高品質な製品の開発・生産体制を構築する、④働き方改革と人材育成を徹底する、を基本方針として、各種重点施策を推進してまいりました。
中期経営計画2年目の活動状況につきましては、国内では臨床検査情報システム、検体検査自動化システムの新規大型案件の獲得に努め、提案時において、自社製品販売の比率を高める営業活動を推進してまいりました。海外展開につきましては、需要の高い検体検査自動化システムを中心に、韓国では新規顧客の獲得、中国ではOEM販売を強化する営業活動を推進いたしました。また、製品原価の低減、品質向上のため製造と開発が一体となって主要センサーの改良に取り組み、不良率低減を実現いたしました。さらに人材育成を推進するため、全社横断的な教育プログラムを確立し、多くの社員が体系的な教育訓練を受講できるようにいたしました。
このような活動の結果、2019年12月期の決算につきましては、売上高は新製品の発売効果や一部消費増税前の需要増により、臨床検査機器システム及び消耗品の販売が堅調に推移し、11,049,649千円(前事業年度比5.9%増)となりました(詳細後述)。利益面につきましては、自社製品販売は増加した一方で、臨床検査情報システムの需要増に対応するため、エンジニアの中途採用を増やす等の人材採用を積極的に行ったこと等により製造原価に占める人件費が増加した結果、売上総利益は4,735,947千円(同6.5%増)となりました。販売費及び一般管理費につきましては、業容拡大に伴う採用強化の結果、採用活動費や人件費全体の増加により、営業利益は958,778千円(同23.8%増)、経常利益は943,212千円(同22.7%増)、当期純利益は695,845千円(同34.3%増)となりました。
当事業年度累計期間の売上実績を製品系列別に表示すると、次の表のとおりであります。
表 製品系列別売上高 当事業年度・前事業年度比較
<臨床検査機器システム>
検体検査装置は、電解質事業における海外販売の増加、グルコース事業における直接販売の増加及び凝固事業におけるOEM販売の増加により増収となりました。
臨床検査情報システムは、一部消費増税前の需要増に加え、新製品販売による新規・更新需要が旺盛となり増収となりました。
検体検査自動化システムは、中国向けOEM販売において、中国の金融環境変化、OEM先の在庫調整、営業活動期間の長期化等により減収となった一方、韓国や国内の新規大型案件の獲得により総じて増収となりました。その結果、売上高は6,320,148千円(同16.0%増)となりました。
<臨床検査試薬>
一部OEM先の販売減に加え、免疫事業におけるOEM販売及び各事業の直接販売が総じて減少したことにより、売上高は2,154,973千円(同4.9%減)となりました。
<消耗品>
電解質事業において既存OEM先へのセンサー販売が増加したことに加え、検体検査自動化システムにおいて韓国、国内の新規大型案件が増加し、分析前工程統合管理モジュール(製品名「MPAM+(エムパム・プラス)」)の稼働台数が増加いたしました。その結果、同モジュールで使われる消耗品の使用量が増加し、同品の販売が堅調に推移したことにより、売上高は2,044,999千円(同12.4%増)となりました。
<その他>
自社製品販売の比率を高め、収益性向上を図る基本方針のもと、自社製品の販売に注力した結果、臨床検査情報システム及び検体検査自動化システムの案件に付随する他社製品の販売が減少し、売上高は529,527千円(同41.0%減)となりました。
(2) 財政状態の概要
当事業年度末における総資産は、前事業年度末と比べ730,270千円減少し、11,881,692千円となりました。流動資産は同609,663千円の減少、固定資産は同120,607千円の減少となりました。
当事業年度末における負債の合計は、前事業年度末と比べ1,315,405千円減少し、 4,117,041千円 となりました。流動負債は同1,012,881千円の減少、固定負債は同302,524千円の減少となりました。
当事業年度末における純資産の合計は、前事業年度末と比べ585,135千円増加し、7,764,651千円となりました。
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ252,955千円増加し、当事業年度末には1,304,572千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動の結果得られた資金は、1,221,921千円(前事業年度は217,036千円の取得)となりました。これは主に仕入債務が731,187千円減少した一方、売上債権が1,068,201千円減少、税引前当期純利益を932,321千円計上したこと等によるものであります。
投資活動の結果使用した資金は、118,315千円(前事業年度は177,302千円の使用)となりました。これは主に湘南サイト整備のための改修工事等に伴い、資金が減少したことによるものであります。
財務活動の結果使用した資金は、850,163千円(前事業年度は145,137千円の使用)となりました。これは主に長期借入金を600,000千円返済、配当金を150,163千円支払ったことによるものであります。
当社は単一事業であるため、セグメント情報の記載をしておりません。そのため、製品系列別に記載しております。
当事業年度の生産実績を事業の製品系列別に表示すると、次のとおりであります。
(注) 1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
当事業年度の販売実績を事業の製品系列別に表示すると、次のとおりであります。
(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。この財務諸表の作成にあたっては、決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える判断と見積りが必要となります。これらの見積りにつきましては、過去の実績や状況に応じ、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当事業年度末における総資産は、前事業年度末と比べ730,270千円減少し、11,881,692千円となりました。流動
資産は同609,663千円の減少、固定資産は同120,607千円の減少となりました。
流動資産の減少の主な要因は、第4四半期会計期間における売上高が前年同期と比べ減収となったことにより、売掛金が1,133,989千円減少したことによるものです。
固定資産の減少の主な要因は、減価償却が進んだことにより、建物(純額)が88,471千円減少したこと等によるものです。
当事業年度末における負債の合計は、前事業年度末と比べ1,315,405千円減少し、4,117,041千円となりました。流動負債は同1,012,881千円の減少、固定負債は同302,524千円の減少となりました。
流動負債の減少の主な要因は、仕入債務の支払いにより、買掛金が731,187千円減少したことによるものです。固定負債の減少の主な要因は、江刺工場の増設に係る資金の返済及び1年以内返済予定の長期借入金への振替により、長期借入金が300,000千円減少したことによるものです。
当事業年度末における純資産の合計は、前事業年度末と比べ585,135千円増加し、7,764,651千円となりました。純資産増加の主な要因は、繰越利益剰余金が545,681千円増加したことによるものです。
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要 (3)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社の資本の財源は、主に営業活動の結果得られた資金を源泉とし、必要に応じて金融機関より資金調達を行っております。また、資金の流動性につきましては一定の手元流動性を確保できるよう、手元流動性比率を用いて管理しております。
売上高は、前事業年度に比べ618,774千円増加(前事業年度比5.9%増)し、11,049,649千円となりました。
検体検査装置につきましては、電解質事業における海外販売の増加、グルコース事業における直接販売の増加及び凝固事業におけるOEM販売の増加により増収となりました。
臨床検査情報システムにつきましては、消費増税前の需要増に加え、新製品販売による新規・更新需要が旺盛となり、増収となりました。
検体検査自動化システムにつきましては、中国向けOEM販売において、中国の金融環境変化、OEM先の在庫調整、営業活動期間の長期化等により減収となった一方、韓国や国内の新規大型案件の獲得により、総じて増収となりました。
臨床検査試薬につきましては、一部OEM先の販売先に加え、免疫事業におけるOEM販売及び各事業の直接販売が総じて減収となりました。
消耗品につきましては、電解質事業において既存OEM先へのセンサー販売が増加したことに加え、検体検査自動化システムにおいて韓国、国内の新規大型案件が増加したことに伴う消耗品の使用量増加により、増収となりました。
その他につきましては、収益性向上を図る基本方針のもと自社製品の販売に注力した結果、臨床検査情報システム及び検体検査自動化システムの国内大型案件に付随する他社製品の販売が減少し、減収となりました。
売上原価は、前事業年度に比べ329,232千円増加(同5.5%増)し、6,313,702千円となりました。売上原価率は臨床検査情報システムの需要増に対応するため、エンジニアの中途採用を増やす等の人材採用を積極的に行った事等により製造原価に占める人件費が増加した一方、自社製品販売が増加したことにより総じて収益性が向上した結果、57.1%(同0.3%減)となりました。
販売費及び一般管理費は、前事業年度に比べ105,263千円増加(同2.9%増)し、3,777,169千円となりました。これは主に業容拡大に伴う採用強化の結果、採用活動費や人件費全体が増加したことによるものです。
営業利益は、前述の①、②及び③の要因により、前事業年度に比べ184,281千円増加(同23.8%増)し、958,778千円となりました。
営業外収益は、前事業年度に比べ7,657千円減少(同59.3%減)し、5,259千円となりました。これは主に受取保険金が減少したことによるものです。営業外費用は、2,048千円増加(同10.9%増)し、20,824千円となりました。
以上の結果、経常利益は、前事業年度に比べ174,574千円増加(同22.7%増)し、943,212千円となり、当期純利益は前事業年度に比べ177,812千円増加(同34.3%増)し、695,845千円となりました。
当社は、2020年12月期を最終年度とした中期経営計画において、売上高120億円、売上高経常利益率10%以上、海外直接売上高比率10%以上を達成することを目指しております。中期経営計画の初年度となる2018年12月期は、売上高105億円、経常利益8億円の計画に対して、売上高104.3億円、経常利益7.6億円となりました。2年目となる2019年12月期は売上高112億円、経常利益10億円の計画に対して、売上高110.4億円、経常利益9.4億円となりました。基本方針に対する進捗につきましては、中国の売上高が5.3億円となり前事業年度に比べ2.4億円減少し、海外売上高比率が9.4%となりました。一方、自社製品販売は前事業年度に比べ9.7億円増加いたしました。概ね、中期経営計画通りに進捗しております。
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