業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概況は次のとおりであります。

なお、当社グループは当連結会計年度の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。このため、前期比較は基準の異なる算定方法に基づいた数値を用いております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (会計方針の変更)」をご参照ください。

 

① 財政状態および経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が継続したことや、半導体や電子部品の世界的な供給不足などから、依然として先行きが不透明な状況で推移いたしました。

このような状況の下、当社グループは、2021年1月14日に発生した火災からの早期復旧と業績の回復に注力し、2021年9月には被災した建物の復旧工事を完了させ、引き続き、新型コロナウイルス感染症の影響による事業環境の変化に対応しつつ、2022年3月期を最終年度とする中期経営計画の達成に向けて各戦略を推進してまいりました。

 

当連結会計年度の受注につきましては、信号システム事業において前期と同水準を確保し、パワーエレクトロニクス事業においては半導体製造装置用電源装置が好調に推移したことから、全体としては前期を上回りました。

売上につきましては、信号システム事業においては2021年1月に発生した火災の影響により一部製品の出荷が前期から当期に延期となったこと、パワーエレクトロニクス事業において半導体製造装置用電源装置の受注が好調であったことから、全体としては前期を大きく上回りました。

利益面につきましては、売上の増加に加え各種コスト削減策の推進により、営業利益、経常利益は前期を上回りました。親会社株主に帰属する当期純利益は、営業利益、経常利益の増加に加え、火災に係る保険金の受け取りに伴う特別利益などを計上したことから前期を大きく上回りました。

この結果、当連結会計年度の業績につきましては、受注高75,441百万円(対前期比4,191百万円増)、売上高72,916百万円(同10,697百万円増)、営業利益3,666百万円(同2,452百万円増)、経常利益4,122百万円(同2,457百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益12,333百万円(同20,254百万円増)となりました。

 

セグメント別の業績概況は次のとおりであります。

 

〔信号システム事業〕

鉄道信号システムでは、受注は公営鉄道およびJR・民鉄各社向け信号設備、大阪メトロ向けホームドア、海外向けの信号設備などがあり、前期と同水準となりました。売上は公営鉄道およびJR・民鉄各社向け信号設備・ホームドア、インド国鉄電子連動装置などがあり、前期を大きく上回りました。

道路交通システムでは、交通信号制御機、交通信号灯器、情報板などの拡販に努めたものの、受注、売上ともに前期を下回りました。

この結果、当事業では受注高56,498百万円(対前期比64百万円増)、売上高56,047百万円(同8,485百万円増)、セグメント利益6,078百万円(同1,347百万円増)となりました。

 

 

〔パワーエレクトロニクス事業〕

受注は、半導体市況の回復やスポット案件の受注により半導体製造装置用電源装置およびフラットパネルディスプレイ製造装置用電源装置が増加したことから、前期を大きく上回りました。売上は、半導体市況の回復に伴い半導体製造装置用電源装置が増加したことから、前期を上回りました。

この結果、当事業では受注高18,942百万円(対前期比4,126百万円増)、売上高16,869百万円(同2,212百万円増)、セグメント利益2,383百万円(同689百万円増)となりました。

 

当連結会計年度末における流動資産は77,646百万円となり、前連結会計年度末に比べて12,810百万円増加しました。これは主に、現金及び預金が1,573百万円、受取手形、売掛金、契約資産が合わせて1,805百万円、棚卸資産が8,826百万円それぞれ増加したことによるものであります。

固定資産は35,713百万円となり、前連結会計年度末に比べて2,154百万円減少しました。これは主に、建物及び構築物の純額が708百万円、リース資産の純額が552百万円それぞれ増加したものの、投資有価証券が3,126百万円減少したことによるものであります。

この結果、資産合計は113,359百万円となり、前連結会計年度末に比べて10,656百万円の増加となりました。

当連結会計年度末における流動負債は50,925百万円となり、前連結会計年度末に比べて133百万円減少しました。これは主に、支払手形及び買掛金と電子記録債務が合わせて1,026百万円、前受金と契約負債が合わせて7,964百万円、未払法人税等が4,503百万円それぞれ増加したものの、短期借入金と1年内返済予定の長期借入金が合わせて14,600百万円減少したことによるものであります。

固定負債は17,016百万円となり、前連結会計年度末に比べて2,761百万円増加しました。これは主に、長期借入金が2,140百万円増加したことによるものであります。

この結果、負債合計は67,942百万円となり、前連結会計年度末に比べて2,628百万円の増加となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は45,416百万円となり、前連結会計年度末に比べて8,028百万円増加しました。これは主に、その他有価証券評価差額金が1,781百万円減少したものの、特別利益に計上した受取保険金を含めて当期純利益を12,333百万円計上することとなり、利益剰余金が9,510百万円増加したことによるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、9,178百万円となり前連結会計年度末に比べ1,573百万円増加しました。


 営業活動によるキャッシュ・フローは14,956百万円のプラスとなり、前連結会計年度に比べ16,389百万円の収入増となりました。これは売上債権の増減額が20,527百万円、棚卸資産の増減額が3,773百万円それぞれ収入減となったものの、特別利益に計上した受取保険金12,774百万円を含めて税金等調整前当期純利益を17,173百万円計上した結果、税金等調整前当期純利益又は当期純損失が26,763百万円の収入増となり、加えて仕入債務の増減額が2,951百万円支出減に、前受金の増減額と契約負債の増減額が合わせて10,760百万円、法人税等の還付額が1,106百万円それぞれ収入増となったことが主な要因であります。

投資活動によるキャッシュ・フローは15百万円のマイナスとなり、前連結会計年度に比べ2,760百万円の収入増となりました。これは投資有価証券の売却による収入が1,362百万円増加し、有形固定資産の取得による支出と無形固定資産の取得による支出が合わせて493百万円減少したことが主な要因であります。

財務活動によるキャッシュ・フローは13,487百万円のマイナスとなり、前連結会計年度に比べ19,056百万円の支出増となりました。これは借入金の収支が短期と長期を合わせて19,144百万円、返済側の増加となったことが主な要因であります。

 

 

③ 生産、受注および販売の実績
a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

信号システム事業

57,056

22.0

パワーエレクトロニクス事業

19,413

49.0

合計

76,469

27.9

 

(注) 金額は販売価格によっております。

 

b. 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 

 

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

信号システム事業

56,498

0.1

92,124

12.1

パワーエレクトロニクス事業

18,942

27.9

9,112

28.0

合計

75,441

5.9

101,237

13.4

 

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

信号システム事業

56,047

17.8

パワーエレクトロニクス事業

16,869

15.1

合計

72,916

17.2

 

(注) 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

東京エレクトロン宮城

株式会社

7,375

11.9

9,356

12.8

 

 

 

(2) 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析

経営者の視点による当社グループの経営成績等に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 経営成績の状況

中期経営計画の最終年度となる当連結会計年度の経営成績につきましては、2021年1月14日に発生した火災からの早期復旧と業績の回復に注力し、2021年9月には被災した建物の復旧工事を完了させるとともに、新型コロナウイルス感染症の影響による事業環境の変化に対応しつつ中期経営計画の達成に向けて各戦略を推進し、前項「(1)経営成績等の状況の概要①」に記載のとおり、受注、売上、利益面は前期を上回りました。

しかしながら、信号システム事業は新型コロナウイルス感染症の影響により顧客の投資が抑制され、パワーエレクトロニクス事業は2019年に半導体市場が減速したことに加えて、世界的なサプライチェーンの混乱の影響を受けたことから、受注、売上、利益面ともに中期経営計画の最終年度の目標値を達成することができませんでした。

信号システム事業につきましては、鉄道信号システムにおいて、更なる設計の標準化や生産管理の強化などにより、効率のよい生産体制を構築し適正利益を創出するとともに、品質保証、検査体制を刷新し品質保証プロセスを確立してまいります。また、海外拠点との連携やエンジニアリング会社、商社との協力体制の強化による海外マーケットでの受注拡大や、製品設計時の省電力化、機器のスリム化・長寿命化などによる社会の課題解決に取り組んでまいります。道路交通システムでは、国内における厳しい事業環境の下で新しいシステムや方式への変化に迅速に対応し、モビリティ変革やスマートシティ対応製品の開発を進めるとともに、海外拠点との協業によりグローバル展開を加速してまいります。

パワーエレクトロニクス事業につきましては、拡大が見込まれる半導体需要の変動に柔軟かつ迅速に対応できる体制の更なる整備を進めるとともに、主力製品である高周波電源のグローバル展開を加速し、事業拡大を進めてまいります。

 

全社的な取り組みとして、コーポレートガバナンス・コードに関連する事項へも適切に対応し、サステナビリティへの取り組みや多様性の確保、ガバナンス体制の必要かつ適正な見直しを行って、持続可能な企業価値の向上と社会の持続的成長への参画に努めてまいります。また、経営の基盤となるコンプライアンスの徹底によって、引き続き経営の公正性、透明性を担保してまいります。

さらに、新たな事業の調査、研究・開発に取り組む体制を整備し、探索と挑戦を進めるとともに、知的財産・無形資産を活用・増強すべく、知財・無形資産ガバナンスを構築してまいります。また、業務プロセスの全体最適化と経営判断の迅速化をめざし、社内外のデータをデジタルに集約し有効に活用できるIT環境を構築してまいります。

 

なお、当社グループは、鉄道をはじめとする社会インフラを支える事業を営んでいることから、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、在宅勤務、交代制勤務などの感染防止策を講じ、感染拡大のリスクを排除しつつ事業を継続しております。また、半導体、電子部品の世界的な供給不足に対しては、生産管理を徹底し、サプライチェーンの強化を図ることで製品の供給責任を果たすとともに財務の健全化に努めてまいります。

さらに、安全対策とセキュリティを一段と強化し、重要な財産である人的資源と大切な資産を各種の災害から保全いたします。

今後も社会全体の取り組みに協力するとともに、安全を確保しながら企業の社会的責任・役割を遂行するため適切に対処してまいります。

 

 

② 財政状態の状況

信号システム事業の財政状態につきましては、セグメント資産の額が80,585百万円となり、前連結会計年度末に比べて6,267百万円増加しました。これは主に、投資有価証券が3,515百万円減少したものの、棚卸資産が7,405百万円、受取手形、売掛金、契約資産が合わせて2,211百万円、それぞれ増加したことによるものであります。

パワーエレクトロニクス事業の財政状態につきましては、セグメント資産の額が14,833百万円となり、前連結会計年度末に比べて1,477百万円増加しました。これは主に棚卸資産が1,420百万円増加したことによるものであります。

 

③ 資本の財源および資金の流動性に係る情報

当社グループの主要な資金需要は、製品製造のための材料費、労務費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用および当社グループの設備新設、改修等に係る投資であります。これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローおよび自己資金のほか、金融機関からの借入による資金調達にて対応していくこととしております。
 当社グループの資金の流動性につきましては、手許の運転資金につきましては当社および国内連結子会社においてCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入することにより、各社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うことで、資金効率の向上を図っております。また、突発的な資金需要に対しては、迅速かつ確実に資金を調達できるようにコミットメントライン契約を締結し、流動性リスクに備えております。

 

④ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について

「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、前連結会計年度末において存在していた継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況は第1四半期連結累計期間において解消したことから、当連結会計年度末においては継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況は存在しておりません。

 

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