当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
また、当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月31日)等を適用しております。このため、前年同期比較は基準の異なる算定方法に基づいた数値を用いております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が続くなか、ワクチン接種の進展や各種政策の効果等により持ち直しの動きがみられたものの、依然として厳しい状況で推移いたしました。
当防災業界におきましても、企業収益や民間設備投資に回復傾向がみられたものの、部品の供給制約や原材料価格の上昇の影響などにより、先行きは不透明な状況となっております。
このような状況にありますが、当社グループは2019年度から3年間にわたる中期経営計画「project2021~強靭な「現場力」の構築~」を策定しており、以下のビジョンと重点方針のもと、変化し続ける安全・安心ニーズを的確に捉えて迅速に対応し、飛躍的な成長へ結びつけるための基盤づくりに取り組んでまいりました。
○ビジョン
強靭な「現場力」を礎に飛躍的成長へ
○重点方針
①人財力の向上
②事業構想力・遂行力/オペレーションの精度とスピードの向上
③グループ経営の強化
中期経営計画の最終年度として、新型コロナウイルス感染症の感染防止に努めながら事業活動を展開してきた結果、当連結会計年度の受注高は110,948百万円(前年同期比2.1%減)、売上高は112,913百万円(前年同期比4.6%増)となりました。
売上原価率は、厳しい環境ながら業務の刷新・原価低減に努めたなかで、比較的採算性の高い案件が集中したことなどから、前年同期に比べ1.7ポイント改善し、65.7%となりました。
売上総利益は38,762百万円(前年同期比10.3%増)となり、売上総利益率は前年同期に比べ1.7ポイント上昇し、34.3%となりました。
販売費・一般管理費につきましては、前年同期に比べ2,055百万円増加し、売上高に対する比率は0.8ポイント上昇の23.1%となりました。
以上の結果、営業利益は12,633百万円(前年同期比14.3%増)、経常利益は13,155百万円(前年同期比14.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は9,351百万円(前年同期比22.7%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります 。
火災報知設備セグメントにつきましては、積極的な営業に努めた結果、工事付は減収となったものの商品販売が増収となったことから、売上高は42,036百万円(前年同期比10.8%増)となりました。また、比較的採算性の良い物件が集中していたことから、営業利益は8,617百万円(前年同期比44.1%増)となりました。
消火設備セグメントにつきましては、高層ビル等の一般物件は減収となった一方、プラント・トンネル等の特殊物件が増収となったことから、売上高は39,647百万円(前年同期比3.2%増)となりました。また、原価率の低減に努めたことなどから、営業利益は7,197百万円(前年同期比9.6%増)となりました。
保守点検等セグメントにつきましては、不透明な市場環境のなか着実に受注を積み上げ保守点検は増収となったものの、補修工事は減収となり、売上高は26,299百万円(前年同期比1.5%減)、営業利益は4,854百万円(前年同期比10.0%減)となりました。
その他セグメントにつきましては、駐車場関連は減収となったものの、その他が増収となったことなどから、売上高は4,929百万円(前年同期比1.8%増)となりました。また、厳しい環境ながら原価率の改善に取り組んだものの、営業利益は46百万円(前年同期比81.6%減)となりました。
当社グループを取り巻く事業環境はここ数年堅調に推移してきましたが、さらなる成長のために中期経営計画を策定し、2022年3月期の連結売上高125,000百万円、連結営業利益率10%以上を定量目標としておりました。その中期経営計画の最終年度にあたる2022年3月期の実績につきましては、前年同期に比べ増収増益ながらも連結売上高は112,913百万円で目標に対して未達となりましたが、連結営業利益率は11.2%で目標を上回りました。引き続き、新たに策定した「中長期ビジョン2028 ~期待の先をカタチに~」に2023年3月期より取り組んでまいります。
(2) 財政状態
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比べ8,724百万円増加し、148,599百万円となりました。これは、未成工事支出金が3,523百万円減少、現金及び預金が3,386百万円減少したものの、受取手形、売掛金及び契約資産が11,457百万円増加、ソフトウェアが1,046百万円増加、建物及び構築物が1,029百万円増加したことなどによります。
負債は、前連結会計年度末と比べ955百万円増加し、36,708百万円となりました。これは、未払法人税等が1,042百万円増加したことなどによります。
純資産は、利益剰余金の増加を主因として、前連結会計年度末と比べ7,769百万円増加し、111,891百万円となりました。
セグメント資産につきましては、火災報知設備は前連結会計年度末と比べ1,454百万円減少の46,305百万円、消火設備は前連結会計年度末と比べ10,093百万円増加の42,911百万円、保守点検等は前連結会計年度末と比べ166百万円減少の13,269百万円、その他は前連結会計年度末と比べ1,061百万円増加の4,999百万円となりました 。
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して3,452百万円の減少となり、47,507百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
売上債権及び契約資産の増加額8,342百万円、法人税等の支払額3,107百万円等による流出があったものの、税金等調整前当期純利益13,155百万円、減価償却費2,333百万円等により、営業活動全体では3,559百万円の流入(前連結会計年度は15,829百万円の流入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
主に固定資産の取得による支出により4,874百万円の流出(前連結会計年度は4,343百万円の流出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
主に配当金の支払いにより2,293百万円の流出(前連結会計年度は2,234百万円の流出)となりました。
資本の財源及び資金の流動性につきましては、当社グループは運転資金及び設備投資資金等の必要な資金を主に自己資金で賄っております。当社グループは、防災事業を通じて社会の安全に常に貢献し続けるためには、安定的な財務状況の維持が必要であると考えており、また、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のための成長への投資機会を迅速・確実に捉えるためにも、十分な株主資本の水準を保持することを基本としております。当社グループはさらなる成長のため、研究開発などに積極的に投資していく方針であります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響等不確実性が大きく将来事業計画等の見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、当連結会計年度末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(a)繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の回収可能性は、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断しております。当該判断は、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性、タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性及び将来加算一時差異の十分性のいずれかを満たしているかどうかにより判断しております。
収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性を判断するにあたっては、一時差異等の解消見込年度及び組戻・繰越期間における課税所得を見積っております。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。
(b)退職給付債務の算定
当社グループには、確定給付制度を採用している会社が存在します。確定給付制度の退職給付債務及び関連する勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定しております。数理計算上の仮定には割引率等の様々な計算基礎があります。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。
退職給付債務の算定において、主要な仮定の変化が当連結会計年度末の退職給付債務に与える感応度は以下のとおりであります。マイナス(△)は退職給付債務の減少を、プラスは退職給付債務の増加を表しております。感応度分析は分析の対象となる数理計算上の仮定以外のすべての数理計算上の仮定が一定であることを前提としております。
当連結会計年度末(2022年3月31日)
なお、当連結会計年度末の退職給付債務の算定に用いた主要な数理計算上の仮定は「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(退職給付関係)(9)数理計算上の計算基礎に関する事項」に記載のとおりであります。
(c)減損会計における将来キャッシュ・フロー
減損損失を認識するかどうかの判定及び使用価値の算定において用いられる将来キャッシュ・フローは、中期経営計画の前提になった数値を、経営環境などの外部要因に関する情報や当社グループが用いている内部の情報(予算など)と整合的に修正し、資産グループの現在の使用状況等を考慮し見積っております。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において将来の減損損失(特別損失)が発生する可能性があります。
(d)工事損失引当金
受注時における戦略的低採算案件や工事契約における未引渡工事のうち損失の発生する可能性が高く、工事損失額を期末において合理的に見積ることの出来る工事については、当該損失見込額を工事損失引当金として計上しています。
工事の進行に伴い見積りを超えた原価が発生する場合は当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
(e)工事履行保証損失引当金
見積りや前提条件については「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4会計方針に関する事項 (3)重要な引当金の計上基準 ⑦工事履行保証損失引当金 及び(連結貸借対照表関係)※4偶発債務 (3)その他」 に記載のとおりであります。
(f)完成工事高及び完成工事原価の計上
従来は、成果の確実性が認められる工事については、工事進行基準(工事の進捗率の見積りは原価比例法)を、その他の工事については工事完成基準を適用しておりましたが、一定の期間にわたり充足される履行義務については、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に基づき収益を一定の期間にわたり認識する方法に変更しております。履行義務の充足に係る進捗度の測定は、各報告期間の期末日までに発生した工事原価が、予想される工事原価の合計に占める割合に基づいて行っております。また、履行義務の充足に係る進捗度を合理的に見積もることができないが、発生する費用を回収することが見込まれる場合は、原価回収基準にて収益を認識しております。契約内容・工程・期間について重要な変更が生じ、工事進捗度を見積る基礎となる施工実行予算の見直しを行うことで、工事原価総額及び工事進捗度に影響がある場合は、完成工事高及び完成工事原価が影響を受け、当社グループの業績を変動させる可能性があります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 金額はすべて製造原価及び実際発生原価によっております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 金額はすべて販売価格(取付工事代を含む)に換算しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 金額はすべて販売価格(取付工事代を含む)に換算しております。
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