業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(経営成績等の状況の概要)

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

(1) 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度の世界経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が進み、各国ではウイズコロナ政策が拡大し落ち着きを取り戻しつつありますが、一方で、半導体、電子部品や原材料等の需給ひっ迫の影響が継続している中、中国において感染が再拡大したことによるゼロコロナ政策を実施した結果、物流の寸断によるサプライチェーンの混乱が発生しており、先行き不透明な状況が続いております。さらにロシアによるウクライナ侵攻が勃発したことにより、地政学的リスクが高まり、半導体や素材等の供給難と価格高騰に加えて、貴金属やエネルギー価格の高騰も継続していること等、世界経済の先行きは 不確実性が増大しております。

 当社グループの属するエレクトロニクス業界においては、経済回復やデジタル化が進展しており需要の拡大基調が顕著となってきております。環境規制によりEV等の環境対応車へのシフトが早まる可能性があり、自動車関連市場向け部品の需要が拡大しており、また、ゲーム機市場向け等全体的に受注は堅調に推移しております。一方、半導体、電子部品や原材料等の調達難から一部顧客の生産計画の見直しによる納入調整要求や、物流ひっ迫等によるサプライチェーンの混乱等不安定要因が多く、また、サプライヤーからの価格調整要求も強く予断を許さない状況が継続しております。

このような状況の中、当社グループは、引き続き原価低減のための自動化、省人化を継続的に推し進め、生産効率を向上させるとともに、半導体、電子部品や原材料等の調達難や価格高騰に対し、サプライヤーとの生産情報の共有や生産効率を上げるための計画生産を実施し、業績への影響を最小限となるよう努めてまいりました。

この結果、当連結会計年度の売上高は151億9百万円(前年同期比25.7%増)となりました。営業利益は16億98百万円(前年同期比125.0%増)、経常利益は20億24百万円(前年同期比129.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は15億84百万円(前年同期比109.7%増)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

電子部品事業においては自動車関連市場やカメラ関連市場における半導体等の供給不足による生産計画の変更の影響が全体としては軽微であったことから、当連結会計年度は前連結会計年度と比較し、ゲーム機市場向け、自動車電装向け、生活家電向け、医療ヘルスケア向けの全ての市場で大きく伸びました。

この結果、電子部品の売上高は145億55百万円(前年同期比26.5%増)となり、営業利益は16億70百万円(前年同期比136.7%増)となりました。

その他の事業においては環境対応緩衝材が半導体関連市場向け、医療機器向けや自動車関連向けに順調に推移しましたが、機械設備の製造販売は新型コロナウイルス感染症の影響を受け、低調でした。

この結果、その他事業の売上高は5億53百万円(前年同期比8.1%増)、営業利益は10百万円(前年同期比60.5%減)となりました。

 

財政状態の状況は次のとおりであります。

当連結会計年度末の財政状態につきましては、総資産が前連結会計年度末に比べ18億17百万円増加し、290億87百万円となりました。その内訳は、流動資産が19億65百万円増加し178億11百万円、固定資産が1億47百万円減少し112億75百万円となっております。

負債は前連結会計年度末に比べ5億32百万円増加し、47億39百万円となりました。その内訳は、流動負債が5億32百万円増加し28億92百万円、固定負債は前連結会計年度末並みの18億46百万円となっております。

これらの結果、純資産は前連結会計年度末に比べ12億85百万円増加し243億48百万円となり、自己資本比率は前連結会計年度末の82.9%から81.9%となりました。

 

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、次のとおりとなりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によって得られたキャッシュ・フローは、17億88百万円(前年同期は4億9百万円)となりました。これは、税金等調整前当期純利益20億32百万円(前年同期は8億83百万円)、減価償却費7億75百万円(前年同期は6億97百万円)、売上債権が1億4百万円増加(前年同期は9億70百万円の増加)、棚卸資産が7億21百万円増加(前年同期は76百万円の増加)したことなどによります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は7億57百万円(前年同期は9億73百万円の使用)となりました。これは、有形固定資産の取得に5億92百万円(前年同期は10億48百万円)、投資有価証券の取得に2億1百万円(前年同期は1百万円)支出したことなどによります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は6億48百万円(前年同期は4億67百万円の使用)となりました。これは配当金の支払い4億92百万円(前年同期は3億95百万円)、株式給付信託(BBT)等の自己株式の取得1億0百万円(前年同期は0百万円)などによります。

この結果、当連結会計年度の現金及び現金同等物の残高は、6億67百万円増加(前年同期は10億45百万円の減少)し、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は75億10百万円(前年同期は68億42百万円)となりました。

 

(3) 生産、受注及び販売の状況

 ①生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

電子部品

15,024,029

130.2

その他

552,775

107.9

合計

15,576,804

129.2

 

(注) 1  セグメント間の取引については相殺消去しております。

2  金額は販売価格によっております。

 

 ②受注実績

当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

電子部品

15,599,943

125.8

3,427,806

143.8

その他

666,295

133.1

138,278

545.1

合計

16,266,239

126.1

3,566,085

148.0

 

(注)  セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

 

 ③販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

電子部品

14,555,751

126.5

その他

553,382

108.1

合計

15,109,134

125.7

 

(注) 1  セグメント間の取引については相殺消去しております。

2  主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上を占める相手先がいないため記載を省略しております。

 

 

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1) 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度の経営成績は、電子部品事業においては、半導体等の供給不足に加え、ロシアによるウクライナ侵攻による地政学的リスクが高まり電子部品や原材料等の調達難による生産計画の変更や価格高騰懸念はありますがその影響が全体としては軽微であったことから、当連結会計年度は前年度と比較し、幅広い市場で好調に推移致しました。

一方、その他の事業においては、環境対応緩衝材が期を通して順調に推移しましたが、機械設備の製造販売は新型コロナウイルス感染症の影響を受け、当事業全体では低調でした。

連結売上高は前連結会計年度と比べ25.7%増加し151億9百万円となり、営業利益は前連結会計年度と比べ125.0%増加し16億98百万円となりました。

当社グループの主要セグメントである電子部品事業を地域別に分析いたしますと、日本では、季節品の暖房機向け前面操作ブロックの需要は回復しましたが、第4四半期になり急速に半導体入手難の影響より給湯器向けや自動車電装向けは顧客の生産計画変更により売り上げが減少しましたが、医療ヘルスケア向けは安定して堅調に推移いたしました。この結果、売上高は73億21百万円(前年同期比17.7%増)、営業利益は8億97百万円(前年同期比148.5%増)となりました。
 アジアでは、中国市場向けの可変抵抗器やエアコン用固定抵抗器、デジタルカメラ、ビデオカメラ向け前面操作ブロックは、前年度より回復し好調に推移いたしました。この結果、売上高は69億31百万円(前年同期比36.5%増)、営業利益は7億93百万円(前年同期比128.8%増)となりました。

北米では、自動車電装向けの回復がやや遅れましたが、全体的には回復基調で、前年比プラスとなりました。この結果、売上高は3億2百万円(前年同期比42.8%増)、営業利益は27百万円(前年同期は0百万円の営業損失)となりました。

経常利益については、後半に円安が進行し前連結会計年度は48百万円の為替差損が当連結会計年度は1億59百万円の為替差益に転じたこともあり前連結会計年度と比べ129.2%増加し20億24百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度と比べ109.7%増加し15億84百万円となりました。

2021年5月に策定した中期5ヵ年計画の初年度にあたる当連結会計年度の実績が数値目標を上回る結果となりましたので、その実績を踏まえて中期経営計画の見直しを行い、一部修正をいたしました。中期経営計画の取組施策により、既存領域の拡大や顧客ニーズを捉えた新製品開発を実行し、一部新製品の拡販を今年度より開始し、加えて、スタートアップ企業への出資等医療分野への取り組みを強化した結果、医療分野からの引き合いも増えており既存領域が確実に拡大しております。また、産業機器市場向け等既存市場への製品の横展開、顧客業界のニーズ・トレンドを捉えた新製品開発を進め、既存領域の拡大を目指しております。

そのうえで、中期計画を3段階に分け、段階毎の売上高・営業利益の目標値を再設定、既存領域の拡大を目指した当連結会計年度の結果を第1ステップとし、基礎となる地固めの年となる2022年度~2023年度を第2ステップと位置づけ、その着実な実行のための人的投資や設備インフラ投資等による体制強化を図り、将来の事業拡大を見据え積極的な投資計画を策定し、当初計画売上高153億円、営業利益12億円から売上高160億円、営業利益14億円に修正いたしました。さらに第2ステップでの体力強化の元、新領域の拡大を目指す2024年度~2025年度を第3ステップとし、当初計画売上高180億円は変更せず、営業利益を15億円から17億円を目指してまいります。

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、顧客の設計、製造が外部のOEMやODMといわれる第三者に委託するケースが発生する等により、受注成約に大きな影響を与える要因となり、また、顧客商品の市場販売状況についても、当社グループの売上高に大きく影響を与えます。
 また、ロシアによるウクライナ侵攻の動向、新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期、収束後の市場ニーズの変化やそれによる材料費高騰や供給問題、金融引き締め等によるインフレの加速、為替の動向等により、当社グループの将来の業績に影響を与える懸念があります。

 

 

(2) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの状況の分析

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (経営成績等の状況の概要) (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

資本の財源及び資金の流動性

当社グループの資本の財源及び資金の流動性として、当連結会計年度末において有利子負債残高が43百万円ありますが、この有利子負債は非連結子会社からの借入金であります。これは当社グループでは財務体質の健全性を堅持し、継続的に効率よく事業投資が行えるよう本社にて資金管理を行い、グループ内の資金を効率よく活用するようにしているためです。

当社グループの資金需要は主に製造費用、販売費用、設備投資や研究開発費用等であり、これらは日常の営業活動によって得られた資金で賄っております。

 

(3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されています。連結財務諸表の作成にあたり、期末時点の状況をもとに、種々の見積りと仮定を行っていますが、それらは連結財務諸表、偶発債務に影響を及ぼします。連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目・事象は以下のとおりです。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響等不確実性が大きく将来事業計画等の見積りに反映させることが難しい要素もありますが、期末時点で入手可能な情報に基づいて検証等を行っております。

①棚卸資産の評価

当社グループは、棚卸資産について、正味売却価額に基づき収益性の低下を検討しております。また、一定期間を超えて在庫として滞留する棚卸資産についても、簿価を切り下げております。今後の市況や需要動向によっては、追加の評価減が必要となる可能性があります。

②繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しています。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しています。

将来の課税所得見込額はその時の業績等により変動するため、課税所得の見積りに影響を与える要因が発生した場合は、回収懸念額の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、当期純損益額が変動する可能性があります。

③退職給付債務及び退職給付費用

退職給付債務及び退職給付費用は、主に数理計算で設定される退職給付債務の割引率、年金資産の長期期待運用収益率等に基づいて計算しています。割引率は、従業員の平均残存勤務期間に対応する期間の安全性の高い長期債利回りを参考に決定し、また、年金資産の長期期待運用収益率は、過去の運用実績及び将来見通し等を基礎として設定しています。割引率及び長期期待運用収益率の変動は、将来の退職給付費用に影響を与える可能性があります。

④固定資産の減損

当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、資産のグルーピングをセグメント別に行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上しています。

固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しているため、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、固定資産の減損を実施し、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。

 

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