(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2021年4月1日から2022年3月31日まで、以下、当期)の世界情勢は、先進国を中心にワクチン接種が進み、個人消費、企業投資が勢いを取り戻したことで経済回復の兆しが見られました。一方で、新型コロナウイルス感染症の変異株による感染の再拡大やロシア・ウクライナ情勢を含む地政学リスクなど、先行き不透明な状況が続いております。
このような環境のなか、当社グループは、2022年3月期の基本方針として「新製品・新市場開拓と社員の業務能力向上」を掲げ、事業活動に取り組んでまいりました。
当期の売上高は、8,890百万円(前期比18.4%増)、営業利益は1,642百万円(前期比15.5%増)となりました。為替相場において円安が進行し、為替差益143百万円を計上したこと等から、経常利益は1,948百万円(前期比22.6%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税等調整額△272百万円を計上し、1,656百万円(前期比49.7%増)となりました。
2021年10月に株式取得により連結子会社化したJGR Optics Inc.及びOptoTest Corp. につきましては、両社の2022年1-3月期の損益を当連結会計年度の業績に含めております。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
|
売上高 (百万円) |
前年同期比(%) |
セグメント利益 または損失(△) (百万円) |
前年同期比(%) |
光部品関連事業 |
3,079 |
100.7 |
403 |
73.8 |
光測定器関連事業 |
5,672 |
130.9 |
1,273 |
139.8 |
報告セグメント計 |
8,751 |
118.4 |
1,677 |
115.1 |
その他 |
138 |
116.9 |
△35 |
- |
合計 |
8,890 |
118.4 |
1,642 |
115.5 |
当連結会計年度末の総資産は、16,200百万円となり前連結会計年度末(12,561百万円)に比べ3,639百万円増加しました。流動資産は、売上債権、棚卸資産が増加したことにより、前連結会計年度末に比べ1,762百万円増加し、8,842百万円となりました。固定資産は、7,357百万円と前連結会計年度末(5,481百万円)に比べ1,876百万円増加しました。これは主にのれんを計上したことによるものです。
負債は、4,318百万円と前連結会計年度末(2,175百万円)に比べ2,142百万円増加しました。これは長期借入金、
仕入債務が増加したことによるものです。
純資産は、11,882百万円となり前連結会計年度末(10,386百万円)に比べ1,496百万円増加しました。これは、当
期純利益の計上による利益剰余金の増加によるものです。この結果、自己資本比率は73.3%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ368百万円増加し、4,458百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,406百万円の収入(前連結会計年度は1,607百万円の収入)となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益1,942百万円、減価償却費326百万円、仕入債務の増加281百万円であり、主な減少要因は、売上債権の増加533百万円、法人税等の支払額424百万円、棚卸資産の増加239百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、2,100百万円の支出(前連結会計年度は321百万円の支出)となりまし
た。主な要因は、連結範囲の変更に伴う子会社株式取得による支出1,698百万円であります。
なお、当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローの金額から投資活動によるキャッシュ・フローを控除したフリーキャッシュ・フローは、△694百万円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入等により832百万円の収入(前連結会計年度は236百万円の支出)となりました。
回次 |
第39期 |
第40期 |
第41期 |
第42期 |
第43期 |
決算年月 |
2018年3月 |
2019年3月 |
2020年3月 |
2021年3月 |
2022年3月 |
株主資本比率(%) |
89.0 |
85.8 |
86.1 |
82.4 |
71.1 |
時価ベースの株主資本比率(%) |
121.8 |
159.4 |
162.0 |
168.3 |
95.6 |
営業キャッシュ・フローマージン(%) |
16.8 |
10.7 |
13.2 |
21.4 |
15.8 |
フリ―キャッシュ・フロー(百万円) |
432 |
147 |
722 |
1,286 |
△694 |
(注)株主資本比率:株主資本 / 総資産
時価ベースの株主資本比率:株式時価総額 / 総資産
営業キャッシュ・フローマージン:営業活動によるキャッシュ・フロー / 売上高
フリーキャッシュ・フロー:営業活動によるキャッシュ・フロー - 投資活動によるキャッシュ・フロー
1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。
2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式数を控除)により算出しています。
3.営業活動によるキャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しています。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
光部品関連事業(千円) |
1,707,228 |
94.7 |
光測定器関連事業(千円) |
2,510,749 |
126.8 |
合計 |
4,217,978 |
111.5 |
(注)金額は製造価額によっております。
b. 受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
光部品関連事業 |
3,652,632 |
125.5 |
1,358,132 |
173.0 |
光測定器関連事業 |
9,049,751 |
247.8 |
4,928,507 |
390.9 |
報告セグメント計 |
12,702,384 |
193.5 |
6,286,639 |
307.3 |
その他 |
140,823 |
116.8 |
4,059 |
186.0 |
合計 |
12,843,207 |
192.1 |
6,290,698 |
307.2 |
(注)金額は販売価額によっております。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
光部品関連事業(千円) |
3,079,426 |
100.7 |
光測定器関連事業(千円) |
5,672,065 |
130.9 |
報告セグメント計(千円) |
8,751,492 |
118.4 |
その他(千円) |
138,946 |
116.9 |
合計(千円) |
8,890,439 |
118.4 |
(注)前連結会計年度及び当連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
Alcon, Inc. |
1,001,336 |
13.3 |
1,527,481 |
17.2 |
Huawei Technologies Co., Ltd. |
997,672 |
13.3 |
- |
- |
Fabrinet Co., Ltd. |
896,911 |
11.9 |
909,954 |
10.2 |
当連結会計年度におけるHuawei Technologies Co., Ltd.への販売実績は、総販売実績に対する割合が10%未満のため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 当社グループの当連結会計年度の経営成績等
当社グループの主要な事業分野である光通信関連市場におきましては、クラウドサービス、動画配信サービスの拡大、リモートワークやweb会議等の普及により通信トラフィックが増加し、5G通信網、データセンタ向けの需要が堅調に推移いたしました。
しかしながら、半導体をはじめとした各種素材の需給バランスの悪化により、部材の長納期化や調達価格の上昇が生じました。当社グループにおきましても、生産への影響が及ばないように、部材を先行手配し、部材調達の安定化に努めてまいりました。
当連結会計年度の売上高は、8,890百万円(前期比18.4%増)となりました。白内障手術の術前検査に用いられる光学式眼内寸法測定装置(製品名:ARGOS®)の販売が伸長したこと、及び半導体用シリコンウエハの膜厚検査に用いられるOCTシステムの販売が好調に推移したことが増収の要因となりました。
地域別では、米国と日本における売上が伸長しました。米国における白内障手術件数の増加を受けて米国市場向けに光学式眼内寸法測定装置の販売が増加しました。日本の半導体用シリコンウエハメーカーの設備投資が堅調で、膜厚検査用のOCTシステムの販売が伸長しました。
売上高の増加を受けて、売上総利益は4,337百万円(前期比20.8%増)となりました。売上高総利益率は48.8%と、前期比1.0ポイント改善しました。これは産業用OCTシステムの売上が伸長するなど、相対的に利益率が高い製品の販売が増加したことによるものです。
販売費及び一般管理費の総額は2,695百万円と、前期比526百万円増加しました。一定の制限下での出張、対面での営業活動や展示会への出展を再開したことに加えて、人材採用を積極的に行ったこと、2社の企業買収に伴う諸経費が発生したこと等から、前期比で旅費交通費、宣伝広告費及び人件費等が増加しました。
営業利益は1,642百万円と、前期比220百万円(前期比15.5%増)の増益となりました。一方、売上高営業利益率は18.5%となり、販管費増加の影響により前期比0.4ポイント減とやや悪化しました。
経常利益は、為替相場において円安が進行し、為替差益143百万円を計上したこと等から1,948百万円(前期比22.6%増)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、最近の業績動向及び今後の見通しを踏まえ、繰延税金資産の回収可能性を慎重に検討し、回収可能性が見込まれる部分について、繰延税金資産を計上した結果、法人税等調整額△272百万円を計上し、1,656百万円(前期比49.7%増)となりました。
なお新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、感染拡大によるロックダウンの影響を受けてベトナム生産委託工場の操業一時停止や中国国内での営業活動の停滞等の事態が発生しましたが、感染の鎮静化に伴い次第に正常化しております。
当社グループでは以下の対策を実施して、感染拡大防止に取り組んでおります。
原材料調達について、調達先多重化の一層の推進、長納期品の事前確保
一部従業員の在宅勤務への切り替え
web会議等の活用推進
マスク着用、手洗い、消毒の励行
検温、PCR検査の実施
昼食時間の2交代制
会議室への同時入室人数の上限設定
自家用車での通勤
b. 経営成績に重要な影響を与える要因
「第一部 企業情報 第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
c. 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、高付加価値製品の創出により利益を確保し、株主価値の拡大をはかることを目指し、売上高総利益率50%、売上高営業利益率15%、フリーキャッシュ・フローの確保を目標とすべき経営指標としております。
d. セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
<光部品関連事業>
当事業には、(1)主に光伝送機器メーカーに対して光通信用部品を提供する事業、(2)LCOS技術を利用した空間光変調器(SLM)を研究開発機関等に提供する事業が含まれております。
当期は、半導体をはじめとした部材不足、新型コロナウイルス感染症の感染拡大と米中貿易摩擦を背景としたサプライチェーンの混乱の影響を受けて、光伝送機器メーカーが必要な部品を十分に調達できない状況にあり、関連部品である当社の光部品につきましては在庫調整が行われました。
この結果、売上高は3,079百万円と前期並みとなりました。セグメント利益は403百万円となり前期のセグメント利益547百万円に比べ26.2%減少いたしました。
なお、第3四半期より、当社等が採択された「Beyond 5G研究開発促進事業」への委託研究が本格的に開始され、当社はSDM空間光スイッチ技術の研究開発に取り組んでおります。
<光測定器関連事業>
当事業には(1)主に光通信用部品の製造現場または研究開発に使用する波長可変光源とその他測定器を提供する事業、(2)製造業向け及び医療向けにOCTシステムとOCT光源を提供する事業、(3)眼科で利用される光学式眼内寸法測定装置を医療機器メーカーと医療機関向けに提供する事業が含まれております。
当期の売上高は5,672百万円(前期比30.9%増)となりました。
光通信向け光測定器につきましては、前年上期の中国向け大型案件に相当するものがなかったものの、主として製造工程のインライン検査用途で幅広く顧客の需要を取り込んだことで、前期同等の売上水準を維持しました。OCTシステムにつきましては、半導体用シリコンウエハの製造にかかる設備投資需要の高まりを受けて、前期比で増収となりました。光学式眼内寸法測定装置につきましては、米国における白内障手術の増加に牽引され、前期比で増収となりました。さらに、JGR Optics Inc.及びOptoTest Corp.を連結子会社化したことにより、増収となりました。
セグメント利益は1,273百万円となり、前期のセグメント利益910百万円に比べて39.8%増加しました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、当期末現在、約44億円の現金及び現金同等物を有しています。
当社グループの資金需要のうち主なものは、製品製造に使用する原材料や部品の調達等の製造原価と、販売費及び一般管理費の他、既存製品の改良および新製品の開発に向けた設備投資によるものであります。また、今後は、当社グループの企業価値向上につなげるためのM&Aにも資金を積極的に投入していく考えです。現時点におきましては、これらの資金を営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金や投資有価証券の売却により充当していく予定であります。
資金の流動性については、連結売上高の3カ月分を目安に適正水準の範囲でコントロールする方針です。また、投資有価証券の償還や売却を進めることで手許流動性を確保しており、資金的な不安はありません。但し、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化も想定し、資金調達も含め、手許流動性を高めることに努めます。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
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