業績

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)業績等の概要

 

①業績

 当期における世界経済は、国や地域によるばらつきはあるものの総じて回復基調となりました。欧米では景気回復の動きが強く見られ、感染対策と経済活動の両立が進みました。東南アジアや日本では変異株による感染再拡大で経済活動の制限が続きましたが、景気は持ち直し基調にありました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の収束時期が見通せないことから、世界経済の先行きは依然として不透明な状況が続きました。

 このような状況の中、当社グループは2021年度を初年度とする3ヶ年(2021年~2023年)の中期経営計画を策定し、「真に“創造・BEST・共感”のRDGに生まれ変わる」の基本方針のもと、「筋肉質な企業体質への変革」と「事業ポートフォリオの転換」を基本戦略に定めました。「筋肉質な企業体質への変革」では、早期希望退職者の募集を実施して人員の適正化と固定費削減に取り組んだほか、国内工場とタイ工場で展開していた生産拠点をタイ工場へ集約すべく量産機能の移管を進め、当期末には完了するなど、構造改革を推進しました。一方、「事業ポートフォリオの転換」では、当社の強みを活かしながら、「既存事業」は効率化により収益性を維持するとともに、サイン(屋外看板)市場に依存した売上構造からの脱却を図るべく、「新興国」「新領域」への活動にも注力しました。

 当期は、当社グループでは新型コロナウイルス感染症の感染予防・感染拡大の抑制と、事業活動の推進との両立に取り組みました。コロナ禍においてオンラインを活用したセールスプロモーション活動をより一層強化するとともに、展示会やイベントのリアル開催が再開したことから、オンラインと対面の融合を図り、顧客接点の拡大に努めました。また、経済活動の再開に伴う急速な需要回復のため一部製品で受注残を抱えていたものの、増産体制を整え安定供給に努めた結果、徐々に受注残が解消したことが売上増加の一因となりました。一方、世界的なコンテナ不足に起因する船便不足や納期の遅延、海上輸送費の高騰といった影響や、半導体をはじめとする電子部品等の部品調達リスクが顕在化しましたが、適宜対策を講じることで業績への影響を最小限に留めることができました。このように、供給面においては不安定な状況が続きましたが、需要面では、経済活動の正常化に向けた設備投資需要とイベントや屋外広告などの出力需要は高い水準で推移しました。

 これらの結果、新型コロナウイルス感染症の影響が大きかった前期と比べ、当期の経営成績は大幅な増収増益となりました。主力市場のサイン市場と成長分野のデンタル(歯科医療)市場での販売増加に加えて為替の円安効果もあり、売上高は前期比29.7%増の450億95百万円となりました。売上原価率は、売上高が大幅に増加したことに加えて増産効果などもあり、前期と比べて6.3ポイント改善しました。販売費及び一般管理費は、主に人件費や広告宣伝費、手数料が増加しましたが、売上高に対する比率は前期から5.6ポイント低下しました。これにより、営業利益は60億56百万円(前期は営業利益5億円)、経常利益は60億82百万円(前期は経常利益4億22百万円)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、第1四半期に早期希望退職者の募集に伴う費用を、第4四半期に老朽化したR&Dセンターの解体費用等の減損損失を特別損失として計上したこともあり、37億33百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益2億51百万円)となりました。

 

 なお、当連結会計年度における主要通貨の為替レート(2021年1月~2021年12月の平均レート)は、109.81円/米ドル(前期106.83円)、129.93円/ユーロ(前期121.86円)でした。

 

 当社及び連結子会社の事業は、コンピュータ周辺機器の製造販売であり、区別すべき事業セグメントが存在しないため、単一セグメントとなっております。なお、品目別の売上高は、以下の通りであります。

 

 

品目別売上高

品目

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額
(百万円)

構成比増減
(%)

前期比
(%)

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

プリンター

10,053

28.9

14,411

32.0

4,358

3.1

143.4

プロッタ

1,003

2.9

1,209

2.7

206

△0.2

120.6

工作機器

4,779

13.7

7,047

15.6

2,267

1.9

147.5

サプライ

12,153

35.0

14,437

32.0

2,284

△3.0

118.8

その他

6,790

19.5

7,989

17.7

1,198

△1.8

117.7

合計

34,780

100.0

45,095

100.0

10,315

-

129.7

 

 

[プリンター]

サイン市場では、市場の成熟化と大手企業の参入により価格競争が激化している中、既存の顧客基盤を一層強固なものとすべく技術転換による付加価値提供の強化を図りました。UVプリンターのラインナップ強化として3月に発売したVersaUV(バーサユーブイ)「LEC2-640/330」では、新たに64インチモデルを追加し、非溶剤のUVインクによる大型の広告・看板製作の用途にも対応いたしました。4月には、プリンターの安定稼働を実現し、仕事の効率性を高めるサービスを提供する「Roland DG Connect(ローランドディージー・コネクト)」を発表、7月には対応言語の拡充により、サービスの提供地域を拡大しました。また、新興国モデルとして、顧客ニーズを捉えた価格競争力のある大判UVプリンター「EU-1000MF」の販売を開始いたしました。新領域では、外部パートナーとの協業(Co-Creation)を推進しました。

当期は、コロナ禍において感染予防を促す注意喚起表示などの出力需要が下支えとなりました。一部地域ではワクチン接種率の高まりに伴い経済活動の再開が加速し、対面での展示会やイベントの再開により屋外広告などの出力需要が回復したことから、サイン市場向けプリンター「VG2シリーズ」の販売が増加しました。また、コロナ禍で経済活動が制限される中、オンラインビジネスによる起業や副業数の増加を背景に、インハウスやスモールビジネス向けに卓上型の低溶剤インクジェットプリンターVersaSTUDIO(バーサスタジオ)「BN-20」の販売が増加しました。さまざまな形状のステッカーをオンデマンドで製作可能な「プリント&カット機能」を搭載していることから、コロナ禍で生まれた多様なニーズに応えるプリンターとして導入が拡大しました。10月には顧客ターゲットを絞り、機能を明確にした普及モデル「BN-20A」を投入しました。

このように設備投資需要が堅調に推移したことに加え、経済活動の再開に伴う急速な需要回復のため一部プリンターで抱えた受注残の解消に努めたことから売上が大きく増加しました。これらの結果、当期の売上高は144億11百万円(前期比143.4%)となり、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた前期を大きく上回りました。

 

[プロッタ]

8月にサイン市場向けの大型カッティングマシンCAMM-1(キャムワン)「GR2-640/540」を発売し、サイン市場向けの大型カッティングマシンの販売が増加しました。また、インハウス向けに小型カッティングマシンの販売も増加したことから、プロッタの売上高は12億9百万円(前期比120.6%)となりました。

 

[工作機器]

当社子会社のDGSHAPE株式会社では、3次元デジタルデータの活用によりさまざまな分野のものづくりの効率化促進を目指し、製造業や彫刻業、教育機関などの3Dものづくり市場を基盤に、成長分野のデンタル(歯科医療)市場においてグローバルNo.1メーカーを目指して販売地域の拡大による市場シェア獲得に取り組んでおります。デンタル市場では、歯科技工所だけでなく歯科クリニックにも着目し、対象となる顧客層の拡大に取り組んだほか、デンチャー(入れ歯)やインプラント用支台の製作を新たなデジタル化の領域として提案力を強化しました。新興国に向けては、各地域の顧客ニーズに適した機能と価格競争力のある専用モデル「DWX-52Di」を投入し、中国をはじめデジタル化が進むエジプトとASEANの一部地域で販売を開始するなど、新興国地域での売上及びシェア拡大に取り組みました。

当期は、ワクチン接種が進んだ地域では規制解除により経済活動が再開し、デンタル加工機の販売が好調に推移しました。同時に、急速な需要回復により受注残を抱えましたが、増産体制を整え解消を進めたことも売上増加の一因となりました。これらの結果、当期の売上高は70億47百万円(前期比147.5%)となり、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた前期を大きく上回りました。

 

[サプライ]

感染予防を促す注意喚起表示などの出力需要に加え、対面での展示会やイベントの再開が進んだことから、広告などイベントに関連する出力需要が回復し、プリンターのサプライ品であるインクの販売が拡大しました。これらの結果、サプライの売上高は144億37百万円(前期比118.8%)と前期を上回りました。

 

[その他]

出力需要の回復により顧客の製品稼働率が改善し、サービスパーツの販売が堅調に推移したことから、その他の売上高は79億89百万円(前期比117.7%)と前期を上回りました。

 

地域別の売上高は、以下の通りであります。

 

地域別売上高

地域

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額
(百万円)

構成比増減
(%)

前期比
(%)

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

日本

4,164

12.0

4,533

10.0

369

△2.0

108.9

北米

10,621

30.5

14,015

31.1

3,393

0.6

131.9

欧州

12,956

37.3

17,168

38.1

4,211

0.8

132.5

アジア

2,439

7.0

3,230

7.2

790

0.2

132.4

その他

4,597

13.2

6,148

13.6

1,551

0.4

133.7

合計

34,780

100.0

45,095

100.0

10,315

-

129.7

 

 

[日  本]

緊急事態宣言の発出に伴う自治体からの自粛要請などにより経済活動の制限が断続的に続くなか、各種イベントも再開したことで出力需要が回復し、サイン市場向けプリンターとリテイル(小売業)市場向けUVプリンターの販売が増加しました(日本におけるプリンターの売上高は8億93百万円)。工作機器では、デンタル市場において、主力機種である「DWX-52D/52DCi」の販売が増加したことに加え、2020年9月にCAD/CAM冠(デジタルデータを用いて製作した歯の詰め物や被せ物)の保険適用範囲の拡大を受けてデンタル加工機「DWX-4」の販売が増加しました。これらの結果、日本の売上高は45億33百万円(前期比108.9%)となりました。

 

[北  米]

当期は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種率の高まりに伴い、店舗の入場制限やイベントでの開催制限といった感染拡大抑制のための各種規制が解除されるなど、経済活動の再開が進みました。プリンターでは、サイン市場向けプリンターの主力機種であるTrueVIS(トゥルービズ)「VG2/SG2シリーズ」の販売が大幅に増加しました。加えて、インハウスやスモールビジネスでの需要の高まりから、ステッカーやTシャツ、トートバッグなどのオリジナルグッズを小ロット・オンデマンドに製作できるコンパクトな卓上型の低溶剤インクジェットプリンター「BN-20」の販売が大きく増加しました。このほか、経済活動の再開に伴う急速な需要回復のため受注残となっていた製品の販売が進んだことが売上増加の一因となりました。工作機器では、デンタル市場の設備投資需要は旺盛で、デンタル加工機の販売が堅調に推移しました。また、コロナ禍において、安全かつ迅速な治療の提供に向け、歯科技工の内製化ニーズが高まり、歯科技工所及び院内ラボ(技工室)を有する歯科クリニックにおいてウェット方式のデンタル加工機「DWX-42W」の導入が拡大しました。これらの結果、売上高は140億15百万円(前期比131.9%)と前期を上回りました。

 

[欧  州]

当期は、一部地域ではロックダウンなど活動制限措置があったものの、経済活動の正常化に向けて設備投資需要が堅調に推移しました。それに伴って出力需要が回復し、プリンターでは、サイン市場とリテイル市場向けプリンターの販売が大きく増加しました。同時にインクなどのサプライ品やサービスパーツの販売が大きく増加しました。工作機器では、デンタル市場において高い生産性が特長の「DWX-52DCi」の販売が増加しました。このほか、経済活動の再開に伴う急速な需要回復のため、受注残となっていた製品の販売が進んだことが売上増加の一因となりました。また、為替の円安効果もあり、売上高は171億68百万円(前期比132.5%)と前期を上回りました。

 

[ア ジ ア]

中国と韓国では、前期に新型コロナウイルス感染症の影響により大幅な減収となりましたが、当期はデンタル加工機とサービスパーツの販売が増加し、前期を上回りました。デンタル市場のデジタル化が進むインドでは、販売チャネルの開拓もあり、デンタル加工機の販売が大きく増加しました。ASEANの一部地域では、感染再拡大に伴うロックダウンにより経済活動が制限されたことでプリンターやサプライ品の販売が伸び悩みましたが、デンタル加工機とサービスパーツは前期を上回りました。これらの結果、売上高は32億30百万円(前期比132.4%)となりました。

 

[そ の 他]

オーストラリアでは、サイン市場向けプリンターと低溶剤インクの販売増加に加えて、為替の円安効果もあり、売上は前期を大きく上回りました。中南米地域では、ブラジルの販売が伸び悩みましたが、その他の中南米地域でサイン市場向けプリンターとデンタル加工機の販売が前期を上回りました。中東・アフリカ地域においても、設備投資需要が回復し、前期を大きく上回りました。これらの結果、売上高は61億48百万円(前期比133.7%)となりました。

 

②キャッシュ・フロー

 

連結キャッシュ・フロー計算書の要約

 

科目

前連結会計年度
(百万円)

当連結会計年度
(百万円)

増減
(百万円)

営業活動によるキャッシュ・フロー

4,003

5,364

1,361

投資活動によるキャッシュ・フロー

△710

△1,302

△592

財務活動によるキャッシュ・フロー

△2,210

△2,423

△212

現金及び現金同等物に係る換算差額

151

△106

△258

現金及び現金同等物の増減額(△は減少)

1,234

1,532

298

現金及び現金同等物の期末残高

12,434

13,966

1,532

 

 

[営業活動によるキャッシュ・フロー]

営業活動によるキャッシュ・フローは、53億64百万円の収入となり、前連結会計年度と比べ13億61百万円の増加となりました。主な増加要因としましては、税金等調整前当期純利益や未払金、仕入債務が増加したこと等によります。主な減少要因としましては、たな卸資産が増加したこと等によります。なお、早期希望退職の実施に伴い、特別退職金の計上及び支払いが、それぞれ増加及び減少に含まれております。

 

[投資活動によるキャッシュ・フロー]

投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度が7億10百万円の支出であったのに対し、当連結会計年度は13億2百万円の支出となり、前連結会計年度と比べ5億92百万円の支出額の増加となりました。有形固定資産及び無形固定資産の取得による支出が増加したことが主な要因となりました。

 

[財務活動によるキャッシュ・フロー]

財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度が22億10百万円の支出であったのに対し、当連結会計年度は24億23百万円の支出となり、前連結会計年度と比べ2億12百万円の支出額の増加となりました。配当金の支払額が前年に比べ増加したことが主な要因となりました。

 

 

(2)生産、受注及び販売の状況

 

当社及び連結子会社の事業は、コンピュータ周辺機器の製造販売であり、区分すべき事業セグメントが存在しないため単一セグメントとなっており、セグメントに関連付けては記載しておりません。

 

①生産実績

 

品目

前連結会計年度(千円)

当連結会計年度(千円)

前期比(%)

プリンター

6,876,839

12,216,262

177.6

プロッタ

731,178

1,055,949

144.4

工作機器

1,949,106

2,718,465

139.5

サプライ

4,566,508

6,678,760

146.3

合計

14,123,633

22,669,438

160.5

 

(注) 1.生産金額は当社の標準販売価格によっております。

2.前年同期においては、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により生産実績が減少しておりましたが、当連結会計年度においては、需要拡大に伴い、増産体制を整えたため、生産実績が著しく増加しております。

 

②受注状況

当社は、主に需要予測による見込生産方式を採っております。

 

③販売実績

 

品目

前連結会計年度(千円)

当連結会計年度(千円)

前期比(%)

プリンター

10,053,631

14,411,996

143.4

プロッタ

1,003,018

1,209,407

120.6

工作機器

4,779,201

7,047,152

147.5

サプライ

12,153,857

14,437,940

118.8

その他

6,790,544

7,989,348

117.7

合計

34,780,252

45,095,845

129.7

 

(注) 前年同期においては、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により販売実績が減少しておりましたが、当連結会計年度においては、需要拡大に伴い、増産体制を整えたため、販売実績が著しく増加しております。

 

 

(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。なお、新型コロナウイルスの感染拡大の影響に伴う会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。

 

 

②経営成績

 

[売上高]

当連結会計年度の売上高は、前期より103億15百万円増加し、450億95百万円(前期比129.7%)となりました。製品別では、主にサイン市場向けプリンターとデンタル加工機の販売が増加し、前期を上回りました。製品売上高は80億31百万円増の306億57百万円(前期比135.5%)となりました。商品売上高は、サイン市場向けプリンターのインクの販売が増加し、22億84百万円増の144億37百万円(前期比118.8%)となりました。

地域別では、日本では、リテイル市場向けUVプリンターとデンタル加工機の販売が増加し3億69百万円増の45億33百万円(前期比108.9%)となりました。北米では、サイン市場向けプリンターとサプライ品のインク、デンタル加工機の販売が増加し、33億93百万円増の140億15百万円(前期比131.9%)となりました。欧州では、サイン市場向けプリンターとデンタル加工機の販売の増加に加え、ユーロに対する為替の円安効果もあり、42億11百万円増の171億68百万円(前期比132.5%)となりました。アジアでは、デンタル加工機とサービスパーツの販売が増加し、7億90百万円増の32億30百万円(前期比132.4%)となりました。その他地域では、サイン市場向けプリンターとデンタル加工機の販売が増加し15億51百万円減の61億48百万円(前期比133.7%)となりました。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は前期を上回りました。

 

[売上原価、販売費及び一般管理費]

当連結会計年度の売上原価は、35億25百万円増加し、251億26百万円(前期比116.3%)となりました。売上原価率は、前連結会計年度の62.1%に対し、当連結会計年度は55.7%と6.3ポイント改善しました。また、販売費及び一般管理費は、人件費や広告宣伝費、手数料等が増加したことから、12億34百万円増の139億12百万円(前期比109.7%)となりました。

 

③財政状態

[資産の部]

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比べ66億67百万円増加し、429億69百万円(前期比118.4%)となりました。

流動資産は50億95百万円増加し、313億11百万円(前期比119.4%)、固定資産は15億72百万円増加し、116億57百万円(前期比115.6%)となりました。流動資産では、現金及び預金が16億23百万円、たな卸資産が28億35百万円それぞれ増加いたしました。固定資産では、減損損失を計上したこと等により建物及び構築物が1億36百万円減少した一方で、使用権資産が5億95百万円、繰延税金資産が8億8百万円それぞれ増加いたしました。

 

[負債の部]

当連結会計年度末の負債は、26億9百万円増加し、141億72百万円(前期比122.6%)となりました。流動負債では、1年内返済予定の長期借入金が14億40百万円減少した一方で、支払手形及び買掛金が9億44百万円、未払金が9億47百万円、未払法人税等が12億82百万円それぞれ増加いたしました。固定負債では、リース債務が6億2百万円増加いたしました。

 

[純資産の部]

当連結会計年度末の純資産は、40億58百万円増加し、287億97百万円(前期比116.4%)となりました。前連結会計年度末に対し、役員及び従業員向けの株式給付信託制度に基づく株式の給付等により自己株式が1億28百万円減少した一方で、当期の業績等により利益剰余金が31億円、円安の影響等により為替換算調整勘定が5億30百万円それぞれ増加となりました。

 

 

④キャッシュ・フローの状況

営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度より13億61百万円増加して53億64百万円の収入となりました。

前連結会計年度は、税金等調整前当期純利益が8億48百万円となりました。また、減価償却費を13億58百万円計上し、たな卸資産が14億90百万円、売上債権が5億17百万円それぞれ減少しました。一方で減少要因として、未払金が3億38百万円減少し、法人税等の支払額が5億27百万円あり、営業活動によるキャッシュ・フローは40億3百万円の収入となりました。

当連結会計年度は、税金等調整前当期純利益が増加し、 45億96百万円 となりました。減価償却費を 12億45百万円 計上したことのほか、 老朽化したR&Dセンターの解体費用等の 減損損失を 3億15百万円 計上しました。また、仕入債務が 8億98百万円 、未払金が 3億76百万円 増加しました。一方で減少要因として、たな卸資産が 22億77百万円 増加し、法人税等の支払額が 5億74百万円 あり、営業活動によるキャッシュ・フローは 53億64百万円 の収入となりました。なお、早期希望退職の実施に伴い、特別退職金の計上及び支払いが、それぞれ増加及び減少に含まれております。

投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度より5億92百万円支出額が増加し、13億2百万円の支出となりました。

前連結会計年度は、有形固定資産の取得5億30百万円や無形固定資産の取得2億27百万円が主な支出となりました。

当連結会計年度も、有形固定資産の取得10億16百万円や無形固定資産の取得3億44百万円が主な支出となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ2億12百万円の支出額の増加となり、当連結会計年度は24億23百万円の支出となりました。

前連結会計年度は、長期借入金の返済14億40百万円、リース債務の返済3億55百万円や当社の配当金の支払額3億17百万円が主な支出となりました。

当連結会計年度も、長期借入金の返済14億40百万円、リース債務の返済3億50百万円や当社の配当金の支払額6億32百万円が主な支出となりました。

 

⑤経営成績に重要な影響を与える要因

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」に記載の通りであります。

 

⑥資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要の主なものは、製品製造のための材料等の購入、製造費用、商品等の仕入・調達費用、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資資金需要の主なものは、設備投資や新製品等の研究開発投資等であります。

運転資金需要及び投資資金需要の財源につきましては、現在保有する現預金に加え、営業キャッシュ・フローを源泉として資金を充当することを基本としておりますが、必要に応じて、金融機関からの借入、資本市場からの調達を行うことがあります。

資金の流動性に関しましては、当連結会計年度末時点で現預金を140億75百万円保有し、月次連結売上高の4.3ヶ月相当の流動性を確保しております。また、コミットメントライン契約により、自然災害等の緊急時も含め流動性を担保できるよう備えております。

 

⑦経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループでは、当期を初年度とする3ヶ年(2021年~2023年)の中期経営計画を策定いたしました。「筋肉質な企業体質への変革」と「事業ポートフォリオの転換」を基本戦略と定め、「筋肉質な企業体質への変革」では、早期希望退職者の募集を実施して人員の適正化と固定費削減に取り組んだほか、生産拠点及び量産機能をタイ工場に集約・移管するなどの構造改革を推進しました。一方、「事業ポートフォリオの転換」では、当社の強みを活かしながら、「既存事業」の効率化により収益性を維持するとともに、サイン(屋外看板)市場に依存した売上構造からの脱却を図るべく、「新興国」「新領域」への活動にも注力しました。中期経営計画では、最終年度となる2023年度の業績計画を、連結売上高480億円、連結営業利益60億円(営業利益率12.5%)、ROE15.0%、ROIC15%と設定いたしました。当連結会計年度の売上高は450億95百万円(前期比129.7%)、営業利益率は13.4%、ROEは13.9%、ROICは13.0%となりました。

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