当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度における世界経済は、米国経済が堅調に推移し一方で中国経済が減速する等国ごとに跛行性が見られるものの、全体としてはコロナ禍から緩やかに回復することになりました。
事業を取巻く外部環境としては、ワクチン接種の拡大により新型コロナウイルス感染拡大に一定の歯止めがかけられましたが、年後半には感染力の強い変異株が発生し、ウィズコロナ下での経済活動の継続を強いられることになりました。また、米中の緊張関係は長期化の様相を呈し、年度の終わりにかけてはウクライナ危機が起こり先行きの不透明感を深めることとなりました。
当電子部品業界におきましては、家電、車載、情報通信、産機の各市場は総じて好調に推移しました。
車載市場では、半導体調達難の影響から車載メーカーによる在庫積み増しとその在庫調整の動きもあり、また年後半には半導体不足から自動車減産が起こりましたが、中国、米国を中心に高水準の受注状況を維持することとなりました。情報通信市場ではスマートフォン、タブレットなどの受注が高水準を継続しましたが、足元では半導体不足などの影響による一部顧客の減産の動きも見受けられました。
家電市場では、巣ごもり需要や衛生志向の高まりを背景に、空気清浄機、調理家電などが好調に推移しましたが、足元では需要の一巡により伸びが鈍化しております。産機市場は、ウィズコロナ下での経済活動再開に伴う設備投資の回復により底堅く推移しております。
当社におきましても新型コロナウイルス感染対策や部材調達と在庫管理を徹底し、積極的な新製品の投入とコスト削減に努めた結果、当連結会計年度の売上高は482億4千3百万円(前期比0.7%減)、営業利益は7億3百万円(前期比34.2%減)となりました。経常利益は円安による為替差益14億2千6百万円を計上し、34億1千3百万円(前期比31.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は29億9千2百万円(前期比56.1%増)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりです。
なお、当連結会計年度より、2021年4月1日付で実施した組織再編に伴い、従来「その他」の区分に含めていたその他部品事業の一部を「開発センター」の区分に含めております。前連結会計年度との比較・分析については、変更後の区分及び算定方法に基づき記載しております。
コネクタは、車載市場においては、主力のカメラ用が堅調に推移したことに加え、電装品用の受注が順調に拡大し、前年を上回りました。家電市場においては、デジタルカメラ用の新規採用やVR用の受注拡大により前年を上回りました。一方、情報通信市場においては、リモートワークの拡大などに伴い好調に推移してきた米国顧客タブレット用が足元では半導体不足などによる生産調整の影響を受け、前年並みとなりました。また、スマートフォン用も半導体入手難による一部中国顧客の減産により前年を下回り、CS事業部全体としては、前年をわずかに割り込む結果となりました。
この結果、当事業の売上高は195億4千3百万円(前期比1.5%減)、営業利益は10億3千6百万円(前期比28.3%減)となりました。
車載市場において、米国を中心に自動車生産が回復したことにより、カメラモジュール、操作ユニット、タッチセンサーなどの受注が好調に推移し、前年を上回りました。情報通信市場ではウェアラブル用スイッチが、また、産機市場では事務機用タッチセンサーが好調で前年を上回りました。一方、主力の家電市場においては、住設用ユニット、エアコン用リモコンなどは前年を上回りましたが、セットトップボックス用リモコンが減少したことにより前年を下回り、SCI事業部全体としては、前年並みとなりました。
この結果、当事業の売上高は283億8千7百万円(前期比0.2%減)、営業損失は1億3千5百万円(前期は営業損失7千2百万円)となりました。
開発センターの主力事業、無線通信モジュールの売上の中心であるBluetooth®モジュールにおいて、メインとなる決済端末、モバイルプリンター、医療機器の市場は拡大傾向にありました。しかし、半導体不足の影響によりICを確保できず、売上高は前年を若干上回ったものの、目標値には届きませんでした。
この結果、当事業の売上高は3億9百万円(前期比8.2%増)、営業損失は1億9千6百万円(前期は営業損失2億9千4百万円)となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、期首残高から2億3千6百万円減少し、85億5百万円となりました。
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、前期と比較して、22億2千万円減少し、24億3千3百万円の流入となりました。
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、前期と比較して、6億9千4百万円増加し、16億3千1百万円の流出となりました。
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、前期と比較して、29億3千2百万円増加し、9億7千1百万円の流出となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(経営成績)
売上高は、車載市場においては、中国や米国を中心に自動車生産が回復したことにより前連結会計年度に比べて増加しましたが、情報通信、家電市場においては、主要得意先の半導体不足などによる生産調整や需要減少により、前連結会計年度に比べて減少しました。営業費用は、継続的な原価低減活動等に努めましたが、原材料高騰の影響や売上高の減少により、前連結会計年度に比べて売上比で0.7%悪化し、営業利益は7億3百万円となりました。
営業外損益の主なものは、為替差益、不動産収支、雇用調整助成金であります。2021年3月末が1US$=110.71円、2022年3月末が1US$=122.39円と為替レートが円安傾向になり、主に当社の保有する外貨建ての債権、債務を期末時点で評価したことによる為替差益が発生し、経常利益は34億1千3百万円となりました。
特別損益の主なものは、固定資産除却損、減損損失、投資有価証券評価損であります。親会社株主に帰属する当期純利益は29億9千2百万円となりました。
(財政状態)
(単位:百万円)
流動資産は、前連結会計年度末に比べて9.8%増加し、317億3千万円となりました。これは、商品及び製品が8億7千1百万円、原材料及び貯蔵品が18億7千3百万円それぞれ増加したことなどによります。固定資産は、前連結会計年度末に比べて7.6%増加し、230億6千3百万円となりました。これは、有形固定資産が7億8千7百万円、投資有価証券が5億2千5百万円それぞれ増加したことなどによります。
この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて8.9%増加し、547億9千4百万円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末に比べて2.1%減少し、151億7千8百万円となりました。これは、短期借入金が10億5千6百万円減少し、支払手形及び買掛金が3億7千4百万円、リース債務が3億5千3百万円それぞれ増加したことなどによります。固定負債は、前連結会計年度末に比べて26.7%増加し、89億7千2百万円となりました。これは、長期借入金が10億3千3百万円、リース債務が8億8千8百万円それぞれ増加したことなどによります。
この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて7.0%増加し、241億5千万円となりました。
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて10.4%増加し、306億4千3百万円となりました。これは、利益剰余金が26億8千3百万円増加したことなどによります。
なお、今後の見通しにつきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
また、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)
当社グループは適正利潤を伴う売上の継続的拡大を目的に経営に取り組んでおり、中期経営計画(2022年3月期~2024年3月期)の最終年度である2024年3月期において、売上高607億円、営業利益率5.0%、ROE(自己資本当期純利益率)8.0%、ROA(総資産経常利益率)6.0%、期末有利子負債残高100億円を目標として掲げております。当連結会計年度においては、売上高482億円、営業利益率1.5%、ROE(自己資本当期純利益率)10.2%、ROA(総資産経常利益率)6.5%、期末有利子負債残高126億円となりました。
次期においては、「売上拡大と安定的な利益創出」と「新たな成長に向けた企業構造改革」を中期経営計画の基本方針として、事業環境の変化を踏まえて成長戦略の実行と企業体質強化を図り、目標とする経営指標の達成に向けて安定収益確保と資本効率改善に努めてまいります。
(キャッシュ・フローの状況)
(単位:百万円)
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、前期と比較して、22億2千万円減少し、24億3千3百万円の流入となりました。
主に、税金等調整前当期純利益32億5千4百万円、減価償却費26億9千6百万円による流入、棚卸資産の増減額23億5千1百万円による流出によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、前期と比較して、6億9千4百万円増加し、16億3千1百万円の流出となりました。
主に、有形固定資産の取得による支出19億7千6百万円による流出によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、前期と比較して、29億3千2百万円増加し、9億7千1百万円の流出となりました。
主に、自己株式の取得による支出4億7千9百万円、配当金の支払額3億2千3百万円による流出によるものです。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、材料の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、投資有価証券の取得等によるものであります。当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は126億8百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は85億5百万円となっております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4.会計方針に関する事項」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
お知らせ