当社は、企業理念「可能性の追求を通して総合的な高度技術により、情報社会の発展に寄与する」に基づき、研究開発活動を進めております。
開発センターは先進的な開発を行い、各事業部門では担当分野の技術・商品開発を推進し、開発センターと各事業部が連携して、コアテクノロジーの深耕と新耕(裾野拡大)に注力しております。生産技術センターでは、各事業部・事業所と連携し、国内外の製造現場における自動化・省力化の推進、新技術の発信共有やネットワークを介したリモートメンテナンス・監視・予兆保全システム開発などに取り組むとともに、3Dプリンターによる試作品や設備部品の製作も行なっています。また、技術管理部ではシミュレーション技術の向上や当社が創造した知的財産の適切な保護とその活用を進めています。
開発体制は、国内だけでなくアメリカ・メキシコ・中国・フィリピン・シンガポールとグローバルに拠点展開を行い、且つ、各拠点間の連携を図っています。各設計拠点は、その地域でのワンストップソリューション(営業・設計・生産の一貫体制)での設計役割を果たすと共に、コロナ禍による海外出張が困難な状況下での連携による成果も上げています。
当連結会計年度における主な研究開発成果は次のとおりです。
接続部品では、導電糸を織った配線生地やフィルムシートに装着でき、洗濯にも耐える実用性を備えた「テキスタイルコネクタ」を開発しました。このコネクタはウェアの高機能化を推進します。E-Bike用では、プロ仕様の自動変速機やパワーメーターへの急速充電用コネクタを開発し、着脱の容易さと過酷な環境でも破壊しない堅牢性を兼ね備えており、好評を博しております。車載カメラ用コネクタでは、各種リアケースに対応し、耐ノイズ性にも優れた標準モジュールと基板用ソケットを開発、フローティング機能を持たせることでカメラ取り付けの自由度を広げました。また、希薄燃焼で自動車の燃費を改善する圧力センサー用コネクタを商品化しました。このコネクタは独自技術の瞬断しない構造をモジュール化しており、様々な機種に展開できる拡張性に優れています。
スイッチでは、実装時の更なる自動化・省力化に向けて、端子上に予備はんだをレーザーで溶融し形成する工法を内製で確立しました。
リモコンでは、低消費電力のBluetooth Low Energyマイコンを使用し、太陽光でエナジーハーベスティングする環境に配慮した無線リモコンを開発しました。
ユニットでは、ミリ波レーダー技術を用いて室内の人の位置や人数、ペット等の動物の心拍数などの生体情報、移動体の距離や相対速度の検知を、独自アルゴリズムで実現した MilwebⓇ を開発しました。 また、ToF(Time of Flight)方式を用いた車室内乗員検知用ToFカメラモジュールの技術確立を行いました。
タッチセンサーでは、静電容量方式のタッチパネル上に取り付けて操作可能なロータリー式入力デバイスであるジョグダイヤル・オン・タッチパネルを開発しました。 また、ストレッチャブルセンサの開発にも取り組んでいます。
IoT事業への取り組みでは、Sub GHz帯通信/Sigfox通信を主軸に、オフィス・物流向けにモジュール開発に加え、ユニット開発にも取組んでいます。
エコ関連製品では、太陽電池によるエナジーハーベスティングと、Sub GHz帯のマイクロ波を電気に変換する空間伝送型ワイヤレス給電のハイブリッドシステムを特徴とする自立電源型環境センサーを開発し、CES2022イノベーションアワードを受賞しました。
新技術では、オープンイノベーションによる技術(海外スタートアップ企業との協業)を活用し、ヘルスケアビジネスの強化を図っています。例えば、非接触型の生体センサーでは、車載向けに心拍数/呼吸数などの生体情報を取得する技術開発を進めており、民生向けには、取得した生体情報を活用したアルゴリズム開発にも注力しています。また、筋電センサーについてはハードウェア開発に加え、センシング技術や分析アルゴリズムを応用した製品開発にも積極的に取組んでいます。更に、日本語音声による認知症診断支援アルゴリズム開発に向けた共同研究・開発を開始しましたが、この研究で開発するAIアルゴリズムは、30秒程度の日本語の自由な文章の音声データで認知機能低下の分析を可能とし、認知症の早期スクリーニングへの貢献を図っています。
生産技術面では、特に成形工程・組立工程における検査の自動化やロボット活用による工程の省力化などを推進しています。コネクタの製造工程においては部品や組立状態の検査を自動化することで、目視検査工程の削減、検査結果の安定化、工程不良の削減を実現しました。リモコンでは海外生産工場において組立工程の自動化を推進しており、マレーシア工場、中国工場に自動組立検査機を順次導入しています。カメラモジュールではレンズ調整の自動機を独自開発し、量産を開始しました。製造現場にはIoT技術の導入を推進、国内工場は予兆保全システムや稼働状況のリアルタイム監視システムの活用段階で、海外工場への展開も積極的に推進しています。
設計・開発環境ではフロントローディング型設計開発システムを構築・推進し、シミュレーション技術(強度解析・電磁界解析・高周波/高速伝送解析・温度特性解析・樹脂流動解析・プレス成形解析など)の活用強化と解析スピードアップに努め、設計品質の向上及び開発リードタイムの短縮を図っています。
なお、当連結会計年度の研究開発費は
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