課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営の基本方針

<企業理念体系の刷新>

当社グループは、2022年9月に創業100周年を迎えるにあたり、現行の企業理念体系を見直し、新たな企業理念体系を策定いたしました。さらに一段高いステージに上がり事業を成長させていくために、社会への貢献も意識した「パーパス(存在意義)」、「ビジョン(目指す姿)」、「バリュー(行動指針)」の3つで構成しております。

<経営の基本方針>

●品質第一主義に徹し、最高品質と環境負荷物質ゼロ化により、「ヨコオ品質ブランド」を確立する

●「技術立脚企業」として、アンテナ技術・マイクロウェーブ技術・表面改質材料技術・微細精密加工技術をさらに強化・革新するとともに、製品の付加価値向上に貢献する新技術を積極的に導入し、顧客の製品機能多様化・適用技術多様化へのニーズに応える

●プロダクト・イノベーション(事業構造・製品構造の革新)、 プロセス・イノベーション(事業運営システムの革新)、 パーソネル・イノベーション(人材の革新) の3つの革新に加え、将来成長を見据えた マネジメント・イノベーション(経営・事業運営の革新) を強力に推進することにより、「進化経営」の具現化を加速する

●業界/顧客/技術/サプライチェーン等の事業構造を重層化することにより、世界的パラダイムシフト/ドラスティックな事業環境や競争環境激変に対応可能な事業体制を確立する

 

(2)目標とする経営指標

<中期経営基本目標>

 当社グループは、以下の指標を中期経営基本目標として掲げております。

●ビジネスモデル革新による質の高い本格成長とミニマム8(エイト)の安定的な実現

ミニマム8: 売上高成長率・売上高営業利益率・自己資本利益率を8%以上確保

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

当期(2022年3月期)におきましては、当社グループは持続的な企業価値の向上を目指すとともに、より一段高いステージでの社会貢献の実現に向けて、経営の基本方針に掲げる4つのイノベーション(プロダクト/プロセス/パーソネル/マネジメント)の推進に取り組みました。

また、当社グループのターゲット市場である自動車/半導体検査/携帯通信端末/先端医療の各市場は、基本的に成長市場であり、5Gや自動運転など新たな社会インフラを形成する技術・製品の開発・普及により、中長期的な拡大が期待されております。当社グループは、これら主要市場においてより優位なポジションを獲得・確立するべく、経営の基本方針に掲げる4つのイノベーション施策を強力に推進しつつ、ビジネスモデル転換により、全社の安定成長と強靭な高収益構造を追求してまいります

この考え方に基づき策定した新中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)の重点施策は、以下のとおりです。
<新中期経営計画の重点施策>

1)マネジメント・イノベーションの推進

開発/製造/販売が一体となってお客様ニーズに突き刺さる事業運営の実現と製造マネジメント力強化

気候変動対応など、サステナビリティ課題への取組み強化

事業セグメントごとの資本コスト把握による経営推進

輸出管理体制/事業継続マネジメントシステムなど、リスク管理体制の強化

2)プロセス・イノベーションの進化

① IT環境抜本的刷新による全社生産性向上

② AI/IoTを活用した改善サイクル早期化による事業プロセスへの適用拡大

グループ社員全体への情報端末支給体制完備と間接業務の生産性向上

エコシステム構築・アライアンス推進とマネジメント体制の確立

3)業界・市場変化をチャンスに変えるプロダクト・イノベーション

車載通信機器:車載ビジネスで技術力を鍛えつつ、その強みを他成長市場へ展開

回路検査用コネクタ:高周波領域での新技術/サービス導入による半導体検査市場での当社プレゼンスの向上

ファインコネクタ事業:標準品ビジネスの強化とイーコマースを活用した継続的な新市場開拓による潜在顧客獲得・核顧客化の仕組みを確立

メディカル・デバイス事業:ステント事業強化とベンチャーエコシステム拡充

 

4)パーソネル・イノベーションの推進

① 技術革新に対応した実務教育提供体制確立と社員のエンゲージメント強化に向けたジョブ型雇用制度の導入

 戦略人材の組織的活動による獲得

人材強化プログラムの整備とキャリアプランを支援するリカレント教育プログラムの提供

後進育成/他部門連携などの評価体系への組み込みとカフェテリア方式のフリンジベネフィット体系整備

上記の重点施策を強力に推進することにより、本中期経営計画期間において中期経営基本目標である「ミニマム8」の安定的な実現を目指してまいります。

 

(4)会社の対処すべき課題

世界経済は、新型コロナウイルス感染拡大の波が繰り返すことにより、依然として経済活動停滞などの影響が残るものとみられ、当社事業環境も、半導体不足、物流費の高騰、原材料価格の上昇など極めて不透明な状況にあります。このような状況下で、当社グループは以下の点に重点的に取り組みます。

① 車載通信機器セグメント:収益体制再建

事業運営システム/業務プロセスの徹底した見直し・改善による効率化推進と原価改善取組み推進、サプライチェーンの抜本的見直し(中国工場の開発機能強化とベトナム工場へのさらなる生産移管推進、フィリピン工場の安定稼働)

② 回路検査用コネクタセグメント:ソリューション提供ビジネスへの進化

半導体前工程検査領域でのターンキービジネスのさらなる事業拡大のための体制強化、半導体デバイスの高周波・高速化に対応した製品の刷新、旺盛な半導体検査需要を取り込むための第3生産拠点の立上げ

③ 無線通信機器セグメント

ファインコネクタ事業:サプライチェーン改革の推進と標準品拡充による製品開発~製造スピード向上、イーコマース活用による販売網強化

メディカル・デバイス事業:先端医療分野における開発型OEMサプライヤー+ベンチャーエコシステム構築で、事業拡大とともに社会の発展に貢献

④ 新規事業領域

システム事業:アンテナ技術を活用したMaaS等への事業領域拡大と戦略的連携強化

また、新中期経営計画の期間を超える長期的施策として、以下の3分野で取組みを推進してまいります。

● 基礎研究

当社グループの強みである微細精密加工技術とマイクロウェーブ(高周波)技術を中心に、長期にわたる成長力を生み出す基盤となる基礎研究について、増資による調達資金を活用し、2022年12月完成予定の新技術棟「MPセンター」の建設など、体制強化と投資拡大を推進します。

● DX(デジタル・トランスフォーメーション)

開発・調達・生産・販売の各現場の生産性向上と効率化による顧客への価値提供迅速化はもちろん、これらの現場及びヘッドクォーターのリアルタイムの相互連携強化により、経営意思決定スピード及び変化対応力のさらなる向上を目指します。

● SDGs

「環境」、「地域社会」及び「多様性と包摂性」の3つの重点課題に取り組み、各施策で設定したKPIの達成を目指します。

これらを着実にかつ強力に推進することで、次々生じる激しい変化にも的確かつ迅速に対応し、激変の中でも揺るがない圧倒的な強みを確立するとともに、ステークホルダーの皆様と新たな価値の協創に邁進してまいります。

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