文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2021年4月~2022年3月)の世界経済は、新型コロナウイルス感染症の増減の波が続く中、景気回復は続いているものの、勢いは弱まってきております。さらに、第4四半期に入ってからは、ロシアによるウクライナ侵攻に対して各国が経済制裁を発動し、それに伴った資源や食糧の高騰で、特に欧州経済は大きな影響を受けております。米国は、堅調な雇用状況と個人消費に支えられ、景気は順調に回復しておりますが、金利引き上げにより、鈍化する可能性があります。また、日米の金融政策の違いにより、為替相場は急激な円安となり、日本経済にとっては、輸入物価上昇が資源高に追い打ちをかけることになり、個人消費は強い下押し圧力を受け、先行きは不透明であります。
当社グループの属する電子部品業界におきましては、自動車関連市場では、前期から続いていた半導体不足がいまだ収まっておらず、自動車メーカー各社は生産調整を強いられております。移動体通信関連向けにつきましては、5G対応製品が牽引しているものの、やはり半導体不足の影響があり、回復状況は不透明であります。
半導体不足やその他電子部品の不足、原材料の高騰、物流の混乱については解消の目途がついておらず、新型コロナウイルス感染症の収束も見通せない中、先行きは不透明であります。
このような状況の下で、当社グループでは、移動体通信関連向け、自動車関連向けの売上は増加したものの、アミューズメント関連向けでは、新型コロナウイルス感染症による海外政府のロックダウン政策により、当社海外主力工場が一時的に稼働停止したことが影響し、全体では売上が減少いたしました。
これらの結果、当連結会計年度の連結売上高は、207,608百万円(前連結会計年度比11.3%減)となりました。利益面では、営業利益は、11,725百万円(前連結会計年度比5.3%減)、経常利益は、為替相場変動に伴う為替差益3,558百万円を計上し、15,786百万円(前連結会計年度比17.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、11,901百万円(前連結会計年度比15.1%増)となりました。
報告セグメントの売上高及びセグメント利益は、次のとおりであります。
機構部品につきましては、移動体通信関連向けが増加したものの、アミューズメント関連向けが減少したことにより、177,211百万円(前連結会計年度比12.9%減)、セグメント利益は9,078百万円(前連結会計年度比10.6%減)となりました。
音響部品につきましては、移動体通信向けが減少したものの、自動車関連向けが増加したことにより、13,817百万円(前連結会計年度比11.6%増)、セグメント利益は1,148百万円(前連結会計年度比451.9%増)となりました。
表示部品につきましては、自動車関連向けが増加したものの、家電関連向けが減少したことにより、8,431百万円(前連結会計年度比1.4%減)となったものの、セグメント利益は213百万円(前連結会計年度比26.0%増)となりました。
複合部品その他につきましては、健康機器関連向けが減少したことにより、8,147百万円(前連結会計年度比14.5%減)、セグメント利益は1,284百万円(前連結会計年度比30.3%減)となりました。
(注)各セグメント別の売上高は、外部顧客への売上高にセグメント間の内部売上高又は振替高を加算したものです。
なお、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (セグメント情報等)」に記載のとおり、当連結会計年度より、報告セグメントごとの売上高及び利益又は損失の測定方法を変更しております。
また、前連結会計年度のセグメント情報は、変更後の方法により作成したものを記載しております。
当連結会計年度末の総資産は、現金及び預金、有価証券が減少したものの、棚卸資産、有形固定資産の増加等により前連結会計年度末比9,630百万円増の171,525百万円となりました。また、負債につきましては、その他流動負債が増加したものの、仕入債務の減少等により前連結会計年度末比652百万円減の51,991百万円となりました。
なお、純資産は、利益剰余金の増加等により前連結会計年度末比10,282百万円増の119,533百万円となり、自己資本比率は69.7%となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ7,042百万円減少(前連結会計年度末は6,873百万円の増加)し、当連結会計年度末には62,479百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金は、1,230百万円の減少(前連結会計年度は12,590百万円の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益16,306百万円(前連結会計年度は税金等調整前当期純利益13,330百万円)、減価償却費3,185百万円(前連結会計年度は3,136百万円)、売上債権の減少2,183百万円(前連結会計年度は932百万円の減少)、棚卸資産の増加13,115百万円(前連結会計年度は3,809百万円の増加)、仕入債務の減少7,274百万円(前連結会計年度は2,022百万円の増加)、その他負債の増加1,687百万円(前連結会計年度は250百万円の増加)法人税等の支払3,942百万円(前連結会計年度は3,063百万円)によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金は、3,059百万円の減少(前連結会計年度は2,360百万円の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出3,823百万円(前連結会計年度は2,663百万円)によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金は、3,748百万円の減少(前連結会計年度は3,860百万円の減少)となりました。これは主に、自己株式の取得による支出1,775百万円(前連結会計年度は1,987百万円)、配当金の支払1,411百万円(前連結会計年度は1,461百万円)によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
機構部品 |
179,350 |
△11.0 |
音響部品 |
15,113 |
23.5 |
表示部品 |
9,110 |
6.9 |
複合部品その他 |
8,543 |
△12.5 |
合計 |
212,117 |
△8.6 |
(注) 金額は販売価格により表示しております。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前期比(%) |
受注残高(百万円) |
前期比(%) |
機構部品 |
185,500 |
△7.8 |
49,867 |
19.9 |
音響部品 |
14,475 |
12.8 |
4,238 |
18.4 |
表示部品 |
9,789 |
△7.3 |
6,217 |
27.9 |
複合部品その他 |
8,928 |
7.8 |
3,279 |
31.2 |
合計 |
218,694 |
△6.1 |
63,603 |
21.1 |
(注) 金額は販売価格により表示しております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
機構部品 |
177,211 |
△12.9 |
音響部品 |
13,817 |
11.6 |
表示部品 |
8,431 |
△1.4 |
複合部品その他 |
8,147 |
△14.5 |
合計 |
207,608 |
△11.3 |
(注)1 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
任天堂㈱ |
155,861 |
66.6 |
118,013 |
56.8 |
Samsung Electronic Vietnam Thai Nguyen |
- |
- |
23,169 |
11.2 |
2 金額は販売価格により表示しております。
3 当該割合が100分の10未満の金額及び割合については、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析につきましては、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
当社をとりまく事業環境は非常に競争が激しく、アミューズメント関連部品や移動体通信関連部品等の当社グループ主力製品の需要は、これらが搭載される最終商品の需要の変動に大きく影響を受けます。またエレクトロニクス業界における頻繁な新技術の導入は、当社グループの需要動向の予測や研究開発活動の動向と密接に関わっており、経営成績に重大な影響を与える要因となっております。
当社は、売上高及び営業利益を経営上の目標としており、当連結会計年度の目標値は、売上高は260,000百万円、営業利益は11,500百万円としておりました。実績値は、売上高は207,608百万円、営業利益は11,725百万円となりました。
売上高につきましては、新型コロナウイルス感染症による海外政府のロックダウン政策により、当社海外主力工場が一時的に稼働停止となったことが大きく影響したほか、半導体不足等による顧客の減産もあり、目標達成にはいたりませんでした。
営業利益につきましては、上述の海外主力工場の一時稼働停止による減収が影響したものの、移動体通信関連向けが好調であったこと、減価償却費が想定よりも少なかったこと、為替が円安に推移したことにより、目標を達成いたしました。
②キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次の通りです。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は、自己資金及び銀行等金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、自己資金、銀行等金融機関からの借入及び新株予約権付社債の発行などによる調達を基本としております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
当社は、連結財務諸表の作成に際し、貸倒債権、棚卸資産、投資、法人税等、退職金や偶発事象等に関し、過去の実績や状況に応じ合理的であると考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っております。見積りには、特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合もあります。
(貸倒引当金)
債権の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。
(棚卸資産の評価)
棚卸資産の評価につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(退職給付費用及び退職給付に係る負債)
従業員の退職給付に備えるため、各連結会計年度末における退職給付債務及び年金資産の見込額に基づき引
当計上しております。これらは割引率、昇給率、死亡率、年金資産の長期期待運用収益率等の重要な見積りを加
味して計上しております。
(繰延税金資産)
繰延税金資産については、将来の利益計画に基づいて課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減
算一時差異について計上しております。なお、当該課税所得を見積るにあたって、前提とした条件や仮定に変更
が生じ、これが減少した場合、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。
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