業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、ウクライナを巡る国際情勢の緊迫化や新型コロナウイルス感染症の新たな変異株の感染拡大等、未だに様々な経済活動の自粛や制限が続いており、先行きは不透明な状況であります。

 当社をとりまく市場動向につきましては、第5世代移動通信システム(5G)の普及、巣ごもり需要や企業のDX投資等を背景としたデータトラヒックの増大、IoTデバイスの急速な普及等により、ビジネス参入機会の拡大が見込まれております。しかしながら足元では新型コロナウイルス感染症拡大に伴う顧客計画の延伸や工事案件の遅延の影響、半導体に代表される原材料の世界的な供給不足及び極度の需給逼迫による部材調達問題等の影響が顕在化、長期化しており、未だ収束を見通すことは難しい状況にあります。

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

イ.財政状態

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ6億20百万円減少し、217億96百万円となりました。

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ4億25百万円増加し、143億90百万円となりました。

 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ10億46百万円減少し、74億5百万円となりました。

 

ロ.経営成績

 当社の当連結会計年度の売上高につきましては、情報通信機器製造販売が減少した結果、247億35百万円(前年同期比15.9%減)となりました。

 損益につきましては、営業損失は8億19百万円(前年同期比11億22百万円減)、経常損失は7億94百万円(前年同期比11億70百万円減)、親会社株主に帰属する当期純損失は10億23百万円(前年同期比11億63百万円減)となりました。

 以下、セグメントの概況をご報告いたします。

 

〔情報通信機器製造販売〕

 半導体に代表される世界的な部材不足及びこれに伴う極度の需給逼迫の影響を受けた部材調達の遅れ等により、光波長多重伝送装置やIoT関連無線通信機器等について売上時期の延伸、受注の見送り、顧客側の発注計画変更等により、売上高は126億89百万円(前年同期比26.1%減)となりました。セグメント損益につきましては、部材調達に起因する売上の減少、部材価格上昇等による原価率の悪化により11億51百万円の損失(前年同期比10億58百万円損失増)となりました。

 

〔ネットワーク工事保守〕

 主に基地局関連工事が増加したものの、電力向け通信機器工事が減少したため、売上高は120億46百万円(前年同期比1.7%減)となりました。セグメント損益につきましては材料費、外注費が増加したため3億7百万円(前年同期比17.3%減)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ5億33百万円増加(前年同期比17.7%増)し、当連結会計年度末には35億40百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により減少した資金は11億2百万円(前年同期は11億14百万円の減少)となりました。

 これは主に、売上債権の減少による資金の増加が28億26百万円あったものの、棚卸資産の増加による資金の減少が11億22百万円、仕入債務の減少による資金の減少が18億71百万円、税金等調整前当期純損失が8億28百万円あったことによります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により減少した資金は10億65百万円(前年同期は6億11百万円の減少)となりました。

 これは主に、固定資産の取得により資金が9億57百万円減少、投資有価証券の取得により資金が1億6百万円減少したことによります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により増加した資金は27億1百万円(前年同期は24億14百万円の増加)となりました。

 これは主に、長期借入金の返済により資金が84百万円減少、配当金の支払いにより資金が64百万円減少したものの、短期借入れの実行により資金が25億30百万円増加、長期借入れの実行により資金が3億40百万円増加したことによります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

イ.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

情報通信機器製造販売(千円)

12,753,784

73.1

ネットワーク工事保守(千円)

合計

12,753,784

73.1

 (注)1.上記生産実績は、製造会社における生産実績を販売価格により表示しております。

2.セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

ロ.受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

情報通信機器製造販売

13,155,363

72.7

7,178,218

106.9

ネットワーク工事保守

12,989,383

134.0

2,895,021

148.3

合計

26,144,746

94.1

10,073,239

116.3

 

ハ.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

情報通信機器製造販売(千円)

12,689,042

73.9

ネットワーク工事保守(千円)

12,046,526

98.3

合計

24,735,568

84.1

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

KDDI株式会社

4,788,910

16.3

5,347,337

21.6

東京電力パワーグリッド株式会社

3,302,586

11.2

3,217,142

13.0

ソフトバンク株式会社

5,279,384

18.0

2,404,904

9.7

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 また、当連結会計年度における当社グループの経営成績等に、新型コロナウイルス感染症に起因する生産能力や工事力確保等について重要な影響は発生しておりません。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

イ.経営成績の分析

a. 売上高

 当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ46億74百万円減少し(15.9%減)、247億35百万円となりました。売上高が減少した主な要因は、情報通信機器製造販売において半導体に代表される世界的な部材不足及びこれに伴う極度の需給逼迫の影響を受けた部材調達の遅れ等により、売上時期の延伸、受注の見送り、顧客側の発注計画変更等があったことによります。

b. 営業利益

 当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ11億22百万円減益となり、8億19百万円の損失となりました。営業利益が減少した主な要因は、主に情報通信機器製造販売において、部材調達に起因する売上の減少、部材価格上昇等による原価率の悪化があったことによります。

 なお販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ3億56百万円減少し、42億70百万円となりました。

c. 経常利益

 営業利益の減益に伴い、当連結会計年度の経常利益は前連結会計年度に比べ11億70百万円減益となり、7億94百万円の損失となりました。

d. 親会社株主に帰属する当期純利益

 経常利益の減益に伴い、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ11億63百万円減益となり、10億23百万円の損失となりました。

 

ロ.財政状態の分析

a. 資産

 当連結会計年度末における資産の残高は、前連結会計年度末に比べ6億20百万円減少し217億96百万円となりました。これは主に、現金及び預金が5億33百万円増加、商品及び製品が4億6百万円増加、仕掛品が2億32百万円増加、原材料及び貯蔵品が4億82百万円増加、建物及び構築物が5億40百万円増加したものの、売掛金が29億20百万円減少したことによります。

b. 負債

 当連結会計年度末における負債の残高は、前連結会計年度末に比べ4億25百万円増加し143億90百万円となりました。これは主に、支払手形及び買掛金が16億56百万円減少、電子記録債権が2億14百万円減少、未払金が2億51百万円減少したものの、短期借入金が25億30百万円増加、長期借入金が2億10百万円増加したことによります。

c. 純資産

 当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末に比べ10億46百万円減少し74億5百万円となりました。これは主に、利益剰余金が親会社株主に帰属する当期純損失の計上により10億88百万円減少したことによります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

イ.キャッシュ・フローの状況の分析等

a. キャッシュ・フローの分析

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末の30億7百万円から5億33百万円増加し、35億40百万円となりました。これは営業活動によるキャッシュ・フローでは、売上債権の減少がありましたが、棚卸資産の増加、仕入債務の減少、税金等調整前当期純損失等により差引き11億2百万円の資金が減少し、投資活動によるキャッシュ・フローでは、固定資産の取得等で差引き10億65百万円の資金が減少、財務活動によるキャッシュ・フローでは、短期借入れ、長期借入れの実行、配当金の支払い等により差引き27億1百万円の資金が増加したことによります。

 

b. キャッシュ・フロー指標のトレンド

 当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりであります。

 

2021年3月期

2022年3月期

自己資本比率 (%)

31.9

27.7

時価ベースの自己資本比率 (%)

15.2

14.3

キャッシュ・フロー対有利子負債比率 (年)

インタレスト・カバレッジ・レシオ (倍)

 (注)1.自己資本比率:自己資本/総資産

2.時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

3.キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

4.インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

5.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

6.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

7.キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

8.2021年3月期及び2022年3月期については、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスのため、キャッシュ・フロー対有利負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオは記載しておりません。

 

ロ.資本の財源及び資金の流動性

a. 資金需要の主な内容

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、材料費、労務費、製造経費及び外注費から構成される製品製造費用及び工事原価費用があります。

 その他に販売費及び一般管理費からなる営業費用があり、営業費用の主なものは、人件費及び販売活動費用であります。また、当社グループの研究開発費は営業費用の一部として計上されております。

 また、設備資金需要としましては、製品製造や品質向上のための設備投資として、有形及び無形の固定資産の購入があります。

b. 財務政策

 当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金又は借入により資金調達することとしております。このうち借入による資金調達に関しましては、運転資金については短期借入で、設備投資等の長期資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。

 なお、当連結会計年度末における短期借入金の残高は60億30百万円、長期借入金の残高は6億95百万円であります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。連結財務諸表の作成に当たっては、資産・負債の評価及び収益・費用の認識に関して、必要な見積り及び判断を行っております。これらの見積り及び判断には不確実性が伴うことから、実際の結果は見積り及び判断と異なる場合があります。

 なお、新型コロナウイルス感染症の影響の会計上の見積りに用いた仮定については、「第一部 企業情報 第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しておりますのでご参照下さい。

 

イ.繰延税金資産

 当社グループは、繰延税金資産について、実現可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当額を計上しております。評価性引当額の必要性を判断するに当たっては、将来の課税所得等の慎重な見積りを行い検討しますが、繰延税金資産の全部又は一部を将来実現できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を費用として計上します。同様に、計上金額を上回る繰延税金資産を今後実現できると判断した場合、繰延税金資産への調整により当該判断を行った期間に利益を増加させることになります。

 

ロ.退職給付に係る負債

 当社グループでは確定給付企業年金制度、確定拠出年金制度及び退職一時金制度を採用しており、退職給付費用及び退職給付債務は数理計算に使用される前提条件に基づいて算出しております。その前提条件には、割引率、退職率、死亡率、昇給率及び年金資産の期待運用収益率等の重要な見積りが含まれております。

 実際の結果が前提条件と異なる場合や前提条件が変更された場合、その影響は数理計算上の差異として把握され、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。

 

ハ.工事損失引当金

 当社グループは、受注工事に係る将来の損失に備えるため、手持ち受注工事のうち損失の発生が見込まれ、かつ、その金額を合理的に見積もることができる工事について、損失見積り額を工事損失引当金として計上しておりますが、当初予想しえなかった見積りを超える追加原価等により損失が発生した場合、追加の引当が必要となる可能性があります。

 

ニ.固定資産の減損

 当社グループは、減損の兆候のある資産又は資産グループについて、回収可能価額に基づき減損の判定を行っております。固定資産の回収可能価額については、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しております。従って、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、減損損失が発生する可能性があります。

 

④ 経営上の目標の達成・進捗状況

 2020年6月25日提出の有価証券報告書の「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載の中期経営計画(2020年度~2022年度)の2年目である2021年度の実績は以下のとおりです。

 売上高については、通信キャリア向け光伝送機器等の光伝送機器事業において世界的な部材不足及びこれに伴う極度の需給逼により売上時期の繰延等が生じたこと、また2020年度において一部前倒し受注等があったことで最終年度目標を早期に達成した影響もあり、2021年度においては、計画最終年度である2022年度の売上目標を11.7%下回る結果となりました。

 営業利益については、情報通信機器製造販売における部材調達に起因する売上の減少、部材価格上昇等による原価率の悪化により、2022年度目標を大きく下回る結果となりました。

単位:百万円

 

中期3年計画最終年度

(2022年度)

2021年度

実績

連結売上高

28,000

24,735

連結営業利益

1,100

△819

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