当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大が依然として収束せず、経済活動への制約が継続しているものの、各種施策の効果により景気回復に向けた動きへの期待が高まっております。
このような中、当社グループの業績につきましては、医療機器事業及び環境機器事業の販売が期末にかけて緩やかに回復したほか、微粒子計測器事業の販売が好調に推移したことから、売上高・営業利益・経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益は、いずれも過去最高を更新いたしました。
[医療機器事業]
個人消費者を顧客とする補聴器では、新型コロナウイルス感染症の拡大により人流が減少した期間においては補聴器販売店への来店者数が伸び悩んだものの、感染拡大が収束した期間においては人流が戻り来店者数・販売ともに回復したため、前連結会計年度の売上高を上回りました。また、医用検査機器では、健診市場において前連結会計年度は受診者数の減少により医療機関の経営環境が悪化し設備投資の先送りが見られましたが、当連結会計年度はその反動による需要がオージオメータの堅調な販売につながったことなどにより、前連結会計年度の売上高を上回り、医療機器事業全体では増収増益となりました。
[環境機器事業]
都市部を中心とした建設需要が引き続き活況であることから、工事現場等で使用される騒音計や振動計の販売が堅調に推移しました。また、新型コロナウイルス感染症の影響による先行きの不透明感から、前連結会計年度は民間企業の設備投資において消極的な姿勢が継続しておりましたが、当連結会計年度は徐々に設備投資意欲の改善が見られた中で需要を確実に販売へつなげたほか、官公庁の防災関連の予算案件が地震計の好調な販売につながったことなどにより、前連結会計年度と比べて増収増益となりました。
[微粒子計測器事業]
半導体関連市場においては、世界的な需要拡大による深刻な半導体不足が続く中、逼迫した供給体制を改善するために活発な設備投資が継続していることに加え、テレワーク向けとしてパソコンの需要が高まったことや、クラウドサービスの利用拡大に伴うデータセンターの新設等により設備投資がさらに加速し、半導体製造工場で使用される液中微粒子計の販売が好調に推移しました。そのため、当連結会計年度は売上高、営業利益ともに過去最高を更新しました。
以上の結果、売上高は前連結会計年度と比べて2,169百万円増、営業利益は884百万円増、経常利益は914百万円増となりました。
当連結会計年度の業績を前連結会計年度と比較しますと、次のとおりとなります。
当社グループでは「売上高250億円」「売上高営業利益率15%」及び「自己資本当期純利益率(ROE)10%」を2025年3月期までに達成すべき経営指標として取り組んでおります。当連結会計年度につきましては、売上高226億円、売上高営業利益率13.7%、自己資本当期純利益率9.1%となり、いずれも目標を達成できておりません。
これらの達成に向けた施策として、医療機器事業では、補聴器において、新製品投入によるラインナップの充実に加え、耳鼻科との連携をより強化して難聴の方へ当社製品を広く周知していくことで売上高の拡大を図るほか、医用検査機器においては、国内市場における耳鼻科を中心とした医療機関の設備投資需要を着実に販売へつなげてまいります。
環境機器事業では、官公庁の防災関連の予算案件による地震計の需要に加え、都市部における活況な建設工事等に伴う騒音計及び振動計の需要により収益を確保しつつ、中国、東南アジア、欧州など海外市場における営業活動の強化を図ってまいります。
微粒子計測器事業では、半導体関連市場での微細化に伴う最先端機種へのニーズに対応していくとともに、医薬関連市場での拡販や生物粒子計数器による新市場の開拓を進めてまいります。
なお、経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 及び 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格によっております。
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 販売実績に対し10%以上に該当する販売先はありません。
(資産)
資産の部は、前連結会計年度末に比べて2,473百万円増加し、33,157百万円となりました。これは主に現金及び預金の増加1,277百万円、電子記録債権を含む受取手形及び売掛金の増加994百万円によるものであります。
(負債)
負債の部は、前連結会計年度末に比べて910百万円増加し、7,868百万円となりました。これは主に支払手形及び買掛金の増加159百万円、未払法人税等の増加460百万円、退職給付に係る負債の増加169百万円によるものであります。
(純資産)
純資産の部は、前連結会計年度末に比べて1,562百万円増加し、25,289百万円となりました。これは主に利益剰余金の増加1,701百万円によるものであります。
当社グループは、従来から営業活動により多くのキャッシュ・フローを得ております。なお、現在及び将来にわたって必要な営業活動及び債務の返済などの財源は、自己資金のほか金融機関からの資金調達によることとしております。これら営業活動及び財務活動により調達した資金については、事業運営上必要な流動性を確保することに努め、機動的かつ効率的に使用することで金融負債の極小化を図っております。
当連結会計年度のキャッシュ・フローを前連結会計年度と比較しますと、次のとおりとなります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて1,355百万円増加し、7,181百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べて777百万円増加し、2,841百万円となりました。これは主に税金等調整前当期純利益3,171百万円を計上したためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べて185百万円減少し、951百万円となりました。これは主に有形固定資産の取得として530百万円、無形固定資産の取得として555百万円を支出したためであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べて24百万円減少し、541百万円となりました。これは主に配当金として528百万円を支出したためであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
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