業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染拡大の影響、米中問題の動向及びその先行き、政策に関する不確実性、世界的な半導体不足、原油高などが世界経済に与える影響、また本年に入りロシア/ウクライナ情勢の悪化が加わり、より一層の混迷、先行き不透明な状況で推移しております。特に新型コロナウイルス感染症の拡大は引き続き大きな影響をもたらしており、2021年7月12日の日本政府による第4回目の「緊急事態宣言」発出により、顧客への訪問や対面での商談が著しく制限される中、当社グループにおきましては、不要不急の外出制限、検温やマスク着用等の対策を実施した上で、在宅勤務の継続及びWeb会議の開催により、感染拡大防止と営業活動の両立に努めてまいりました。

このような経営環境のもと、電子・通信用機器事業につきましては、2020年に商用運用が開始された5G関連市場や公共関連市場を中心とした拡販営業に加え、新型コロナウイルス感染症による非接触型営業(インサイドセールス)として、新規顧客の引合い増加を目的としたホームページの刷新・拡充など、時代の変化に合わせた取組みにより、新規市場や顧客開拓にも力を入れ新たな領域の受注獲得を行ってまいりました。

また、継続的に「製品の高付加価値化への取組み」、「事業領域の拡大・開拓」、「業務提携先との共同開発」を推進しながら、自社開発品の提案強化を図ってまいりました。

結果、従来のアナログ高周波製品以外に各種業務用無線で使用される光関連製品をはじめ、高速信号処理に不可欠なデジタル信号処理装置、大容量データの無線伝送に必要なミリ波帯、テラヘルツ帯域製品等、新規開拓顧客と新しい市場からの引き合いも増加しており、次世代の光ネットワーク構築に向けた研究開発に用いられる『光半導体信頼性評価装置』の受注や、『Beyond 5G/6Gの産学協同研究』の採用など、積極的な取組みが大きな成果につながっております。

移動体通信分野におきましては、第3四半期までは5G関連市場をはじめ、高周波コンポーネントの需要は好調に推移してまいりましたが、第3四半期に入り、格安料金プランに切り替えるユーザが想定以上に増加したことにより、通信事業者各社は減収減益となることを発表しており、その影響でインフラ投資が抑制されました。また、投資を抑えてインフラを拡大する手段として、インフラシェアリングの需要が増加することが予測されますので、当社はインフラシェアリングでのシェア拡大を目指し取り組んでまいります。

海外向け移動体通信設備関連につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により、遠隔での新規顧客への提案活動は継続しておりますが、大きな進展はございません。

公共分野におきましては、関西国際空港様採用の『空港MCA用光DASシステム』をはじめとした業務用無線や、災害対策、監視システム向けとしての光伝送装置、デジタル信号処理装置等の需要が増加してきており、更なる需要拡大を図ってまいります。また、『国土強靭化対策』としての国家プロジェクトへの開発段階からの参画で、長期的、安定的な受注の確保に取り組んでまいります。

その他にも、ドローンビジネス市場に向けた監視ユニットには自社開発技術の投入や、民間衛星ビジネスへの参入など、積極的な事業領域の拡大を推進していくとともに自社開発品の提案強化により、電子・通信用機器事業全体としての安定した事業基盤を確立するべく、引き続き当社グループの収益拡大に向けた活動を継続してまいります。

再生可能エネルギー事業においては、北海道登別市太陽光発電所を2021年6月に売却しました。また、小型風力発電所や太陽光発電所の売却は、概ね計画どおりに推移、達成し、当期は新たに28基の小型風力発電所が連系いたしました。今後は発電所の売却資金や銀行によるプロジェクトファイナンス、協調融資、サスティナブル融資等、資金調達の多様化を図り、当社を取り巻くステークホルダーの皆様に精緻な収益構造、成長性を担保してもらうべく、最短でのIFRS(国際財務報告基準)導入を見据え、2023年3月期より小型風力発電所の保有を中心とした国内企業では唯一無二の再生可能エネルギー事業におけるビジネスモデル構築を目指し、同事業の組織をはじめとする各種機構、構造改革に着手いたします。同時に1基毎が小規模な小型風力発電所の開発によって、リスク分散や収益性・機動性を確保することで事業リスクの低減を図り、新たな再エネ電源の開発を加速することで、継続的な温室効果ガスの削減に貢献してまいります。

 

また、来期以降の施策といたしまして北海道根室市の大型風力発電所(1.984MW)等の中型及び大型プロジェクトへの参画やインドネシア東ヌサ・トゥンガラ州フローレス島の小水力発電所プロジェクトへの参画など、未来へ向けた電源の多様化にも着手してまいります。

以上の結果、当連結会計年度における受注高は、6,325百万円(前年同期比56.5%増)、売上高は、6,236百万円(前年同期比7.5%減)となりました。損益面については、営業利益379百万円(前年同期比79.1%増)、経常利益331百万円(前年同期比172.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は148百万円(前年同期比64.8%増)となりました。

電子・通信用機器事業につきましては、需要も安定的に増加し続けており、今後も堅調に推移していくことが予測される公共関連市場を販売拡大活動の中心と位置づけ、新規顧客の開拓に注力してまいります。また、新たな市場への参入など、積極的な事業領域の拡大を推進していくとともに自社開発品の提案強化により、電子・通信用機器事業全体としての安定した事業基盤を確立するべく、引き続き当社グループの収益拡大に向けた活動を継続してまいります。

当社グループは、再生可能エネルギー事業に加え環境事業全般について国内にとどまらず、東南アジアを中心とした海外での展開を積極的に検討しており、同事業の業容拡大を図るべく、投資活動を積極的に行ってまいります。当社グループは従来以上にCO2 削減、地球温暖化への対策にグループ全従業員と共に取り組み、当社を取巻くステークホルダーの皆様にESG経営への積極的な情報開示及びSDGs目標達成に向けた積極的な挑戦してまいります。

 

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 なお、当連結会計年度の期首より、報告セグメントとして記載する事業セグメントを変更しており、当連結会計年度の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。

 

a.電子・通信用機器事業

電子・通信用機器事業については、世界的な半導体や非鉄金属材料の品薄による納期遅れ対策として、顧客の前倒し発注が増加したため、受注高は4,326百万円(前年同期比20.6%増)となりました。

しかし、売上高については、直近の電子部品等の品薄への対策を講じるも影響は避けられず、一部部品の納期遅れによる生産延伸などにより、期初計画には届かず、4,135百万円(前年同期比3.2%増)となり、セグメント利益は607百万円(前年同期比24.6%増)となりました。

 

b.再生可能エネルギー事業

第1四半期末に売却した北海道登別市太陽光発電所を含めて、稼働済み静岡県島田市のソーラーシェアリング発電所をはじめとした各太陽光発電所及び北海道にて開発を進め3月末までに連系した28基の小型風力発電所は、計画通りに売電しております。北海道登別市太陽光発電所や再生可能エネルギー発電施設を投資対象とするファンドなどへ小型風力発電所を売却し、概ね期初計画どおりに推移いたしました。他方、長崎県五島市荒神岳発電所(5.8MW)を前期(2021年3月)に売却した反動から前期に比して売上高の減少となりました。受注高は、 1,999百万円(前年同期比340.4%増)、売上高は2,100百万円(前年同期比23.2%減)、セグメント利益は178百万円(前年同期比31.4%増)となりました。

 

 財政状態は、次のとおりであります。

(総資産)

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ27百万円減少し、8,359百万円となりました。これは主に、受取手形、売掛金及び契約資産や長期貸付金が増加したものの、現金及び預金が減少したためであります。

 

(負債)

当連結会計期年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ307百万円減少し、2,916百万円となりました。

これは主に、支払手形及び買掛金、短期借入金が増加したものの、その他の流動負債に含まれる未払消費税、リース債務が減少したためであります。

 

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産の部は、前連結会計年度末に比べ279百万円増加し、5,442百万円となりました。

これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上によるものであります

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、長期借入れによる収入や株式の発行による収入などがあったものの、リース債務の返済による支出や有形固定資産の取得による支出等により、前連結会計年度末に比べ334百万円減少し、2,030百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果支出した資金は16百万円(前年同期は1,234百万円の資金獲得)となりました。

これは主に、税金等調整前当期純利益や仕入債務が増加したものの、売上債権が増加したためであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果支出した資金は165百万円(前年同期は23百万円の資金獲得)となりました。

これは主に、投資有価証券の売却による収入があったものの、有形固定資産の取得による支出や貸付による支出等があったためあります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果支出した資金は170百万円(前年同期は862百万円の資金支出)となりました。

これは主に、長期借入れによる収入があったものの、リース債務の返済による支出等があったためであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(千円)

前期比(%)

電子・通信用機器事業

2,855,065

+2.2

再生可能エネルギー事業

合計

2,855,065

+2.2

 

(注) 1.金額は製造原価によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b. 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(千円)

前期比(%)

受注残高(千円)

前期比(%)

電子・通信用機器事業

4,326,213

+20.6

1,601,877

+13.5

再生可能エネルギー事業

1,999,353

+340.4

△100.0

合計

6,325,566

+56.5

1,601,877

+5.9

 

(注) 1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(千円)

前期比(%)

電子・通信用機器事業

4,135,658

+3.2

再生可能エネルギー事業

2,100,538

△23.2

報告セグメント計

6,236,197

△7.5

調整額

△100.0

合計

6,236,197

△7.5

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

D社

1,920,000

28.5

E社

840,000

13.5

 

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

4.顧客との各種契約において秘密保持条項が規定されているため、社名の公表は控えさせて頂きます。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 経営成績等

 当社グループの当連結会計年度の経営成績については、電子・通信用機器事業につきましては、2020年に商用運用が開始された5G関連市場や公共関連市場を中心とした拡販営業に加え、新型コロナウイルス感染症による非接触型営業(インサイドセールス)として、新規顧客の引合い増加を目的としたホームページの刷新・拡充など、時代の変化に合わせた取組みにより、新規市場や顧客開拓にも力を入れ新たな領域の受注獲得を行ってまいりました。

 また、北海道登別市のメガソーラー発電所を2021年6月に売却したことにより、売上高は6,236百万円(前年同期比7.5%減)となりました。

 セグメントごとの経営成績等の詳細は、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。

 営業利益は、電子・通信用機器事業においては増益でありましたが、再生可能エネルギー事業においては、北海道登別市太陽光発電所や再生可能エネルギー発電施設を投資対象とするファンドなどへ小型風力発電所を売却し、概ね期初計画どおりに推移いたしました。売上高は、長崎県五島市荒神岳発電所(5.8MW)を前期(2021年3月)に売却した反動から前期に比して減少となりました。しかしながら、継続的に「製品の高付加価値化への取組み」、「事業領域の拡大・開拓」、「業務提携先との共同開発」を推進しながら、自社開発品の提案強化を図っため、利益は379百万円(前年同期比79.1%増)となりました。

b. 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループでは、セグメント毎に中期経営計画を策定し、収益の最大化を目指しております。既存事業の体制を強化しつつ、新規事業への積極的な算入も視野に入れ、2024年3月期に連結売上高10,000百万円、EBITDA 1,500百万円を、2027年3月期には連結売上高20,000百万円、連結EBITDA 3,000百万円を目指しております。経営上の目標の達成状況は、当連結会計年度におけるEBITDA 561百万円となり、中期の経営収益の最大化を目指し、事業基盤の再構築に取り組んでまいります。

 

 電子・通信用機器事業の受注は拡大傾向にあり、安定した事業基盤を確立するべく、引き続き当社グループの事業領域の拡大を推進していくとともに自社開発品の提案強化により収益拡大に向けて取り組んでまいります。

 また、再生可能エネルギー事業においては、高いFIT価格の権利を有している小型風力案件の開発を強化し、保有数を高めて安定的な売電収入獲得を目指してまいります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループは、事業活動に係る短期的な運転資金については営業キャッシュ・フローで獲得した資金の他に外部借入により調達しております。一方、設備投資に係る中長期的な資金については、外部借入、リース取引、割賦購入又は新株予約権の発行などにより必要な資金を調達しております。

 今後の投資については、電子・通信用機器事業におけるミリ波ユニットの開発・製造や、再生可能エネルギー事業における大型風力発電所、小型風力発電所及び海外における小水力発電所などを設備投資計画等に照らし、資金効率を検討しながら取り組んでまいります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

新型コロナウイルス感染症の影響に関して、当社グループでは、各事業拠点において、厳重な対策を実施した上で事業活動を継続しており、当社グループの業績への影響は軽微であると見込んでおります。

新型コロナウイルス感染症は、企業活動に広範な影響を与える事象であり、また、今後の広がり方や収束時期等を予測することは困難でありますが、当社グループでは、外部の情報源に基づき、新型コロナウイルス感染症の影響を織り込んだ結果、軽微であると考えております。

当社グループでは、上述した仮定に基づき、棚卸資産の評価や繰延税金資産の回収可能性判断等の会計上の見積りを行っております。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

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