業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの新たな変異株の拡大により行動制限がなされ、景気への下押し圧力が強まる時期もありましたが、ワクチン接種が進んだことで行動制限も徐々に緩和されてきており、総じて景気動向は回復基調で推移いたしました。また、世界経済は、新型コロナウイルス変異株の拡大により、中国におけるゼロコロナ政策による一部地域での厳しい行動制限に加え、2月下旬からのロシアによるウクライナ侵攻を受けて、ロシアに対する経済・金融制裁が発動されるなど、先行き不透明な状況が続いております。

 また、当社の報告セグメントが属する半導体業界においては、世界的な半導体不足、それに伴う部材価格の高騰や長納期化が解消されず、また、円安が大幅に進んでおり、事業環境は予断を許さない状況が継続しております。

 そのような状況において当社グループは、各事業セグメントにおいて新規顧客の開拓、取扱商品と事業領域の拡大、対面に頼らない営業手法の構築に努めるほか、M&Aにも取り組み、2021年10月15日付でシーアールボックス株式会社の株式を取得いたしました。

 

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

当連結会計年度末の総資産額は9,177百万円となり、前期末に比べ797百万円の増加となりました。主な内訳は、現金及び預金3,753百万円、売掛金3,461百万円、商品及び製品1,041百万円であります。

負債につきましては、6,504百万円となり、前期末に比べ371百万円の増加となりました。主な内訳は、買掛金1,766百万円、短期借入金(1年内返済予定の長期借入金含む)3,354百万円、長期借入金622百万円であります。

純資産につきましては、2,673百万円となり、前期末に比べ426百万円の増加となりました。

 

b.経営成績

 当連結会計年度の売上高は、16,166百万円(前期比9.7%増)、売上総利益は、2,756百万円(前期比18.5%増)となりました。販売費及び一般管理費は、事業規模の拡大による地代家賃や人件費等の増加もあり2,034百万円(前期比24.9%増)と増加したものの、売上総利益の増加が販管費の増加を上回ったことで、営業利益は721百万円(前期比3.5%増)、経常利益は711百万円(前期比4.2%増)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は382百万円(前期比10.6%増)となりました。

 

 

(単位:千円)

財務諸表科目

前連結会計年度

自 2020年4月1日

至 2021年3月31日

当連結会計年度

自 2021年4月1日

至 2022年3月31日

前期比

 売上高

14,742,554

16,166,841

9.7%

 売上原価

12,416,377

13,410,558

8.0%

売上総利益

2,326,177

2,756,282

18.5%

 販売費及び一般管理費

1,629,169

2,034,703

24.9%

営業利益

697,007

721,579

3.5%

 営業外収益

39,728

27,642

△30.4%

 営業外費用

53,892

37,952

△29.6%

経常利益

682,843

711,268

4.2%

 特別利益

45,693

 特別損失

58,009

税金等調整前四半期純利益

682,843

698,952

2.4%

 法人税等合計

285,869

277,100

△3.1%

親会社株主に帰属する四半期純利益

345,839

382,352

10.6%

 

 セグメントごとの業績は、次のとおりであります。

 

(メモリ製品製造販売事業)

 メモリ製品製造販売事業においては、製品としての産業用メモリの開発に取り組むほか、新規商材としてASRock Industrialの産業用PC、産業用マザーボード、その他エンドユーザー向け新商材としてUSB Power Delivery 対応充電器の取扱を開始し、IoTソリューション事業においては、自社独自製品としてクラウド上で常時監視が可能なバッテリーセンサーの開発・営業活動に取り組み、加えて、半導体不足を受けて部材調達先の新規開拓による部材確保に努めてまいりました。また、M&Aの検討にも取り組み、2021年10月15日付でシーアールボックス株式会社の株式を取得いたしました。半導体不足の影響により、IoTソリューション事業において一部減産となるとともに、部材価格の上昇による粗利率の低下はありながらも、法人向け・産業機器向けメモリ需要が引き続き強く、その売上高が伸びたことで、全体としての売上はほぼ前年並みながら、若干の増益となりました。

 その結果、当事業における売上高は8,901百万円(前期比0.7%減)、営業利益は351百万円(前期比4.8%増)となりました。

 

 

(通信コンサルティング事業)

 通信コンサルティング事業においては、本社や大阪営業所の移転、東京と和歌山のコンタクトセンターの拠点拡張や、採用の推進による人員増により、事業規模が大きく拡大いたしました。通信建設工事においては、従来の屋内電波対策に加えてキャリア3Gサービス終了に伴う基地局撤去工事・5Gへのリプレイス工事が開始し、受注件数が大きく増加いたしました。更に、インターネット回線関連工事やIoT関連、監視カメラ関連など、電波対策以外の工事案件も規模が拡大しております。また、コンタクトセンター事業についても、新規営業の強化により一部大口案件の獲得に繋げるとともに、グループ会社間の合併により、営業・運用の機能連携が進みました。

 その結果、当事業における売上高は4,265百万円(前期比19.1%増)、営業利益380百万円(前期比13.6%増)となりました。

 

 

(HPC事業)

 HPC事業においては、ホームページコンテンツの充実、オンラインイベントの活用などによるビジネスチャンスの獲得に努めたほか、西日本方面の営業強化を目的に、新規拠点として大阪営業所の開設も行いました。売上高は大きく伸びたものの、半導体不足の影響による部材原価の上昇や、急激な円安の影響を受けて粗利率が低下しており、また、人員増と拠点拡張に伴う販管費の増加もあって、前期比で減益となりました。

 その結果、当事業における売上高は2,823百万円(前期比32.9%増)、営業利益は179百万円(前期比18.2%減)となりました。

 

 

 

(単位:千円)

 

前連結会計年度

自 2020年4月1日

至 2021年3月31日

当連結会計年度

自 2021年4月1日

至 2022年3月31日

前期比

メモリ製品製造販売事業

 

 

 

売上高

8,962,870

8,901,371

△0.7%

営業利益

335,732

351,956

4.8%

 

 

 

 

通信コンサルティング事業

 

 

 

売上高

3,581,375

4,265,673

19.1%

営業利益

335,391

380,995

13.6%

 

 

 

 

HPC事業

 

 

 

売上高

2,123,632

2,823,080

32.9%

営業利益

219,367

179,358

△18.2%

 

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)残高は、前連結会計年度末に比べ4百万円減少し3,728百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動による資金の減少は、147百万円(前連結会計年度は948百万円の資金の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益698百万円、仕入債務の増加99百万円による資金の増加要因があった一方で、棚卸資産の増加510百万円、法人税等の支払額339百万円による資金の減少要因があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動による資金の減少は112百万円(前連結会計年度は183百万円の資金の減少)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出75百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出27百万円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動による資金の増加は253百万円(前連結会計年度は396百万円の資金の増加)となりました。これは主に、短期借入金の純増加150百万円、長期借入れによる収入500百万円といった資金の増加要因があった一方で、長期借入金の返済による支出380百万円といった資金の減少要因があったことによるものであります。

 

 

③ 仕入及び販売の実績

a.仕入実績

品目

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

メモリ製品製造販売事業(千円)

8,191,928

8.78

通信コンサルティング事業(千円)

179,115

△10.71

HPC事業(千円)

2,607,692

47.70

その他(千円)

33,982

85.35

合計(千円)

11,012,719

15.74

(注)1.金額は仕入価額により記載しております。

 

b.販売実績

品目

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

メモリ製品製造販売事業(千円)

8,890,918

△0.52

通信コンサルティング事業(千円)

4,264,045

19.19

HPC事業(千円)

2,812,800

32.60

その他(千円)

199,076

87.58

合計(千円)

16,166,841

9.66

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

(株)マウスコンピューター

4,301,511

29.2

4,266,073

26.4

ソフトバンク(株)

2,132,949

14.5

2,521,903

15.6

(株)ユニットコム

2,431,230

16.5

1,929,399

11.9

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社が判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択や適用、資産負債及び収益費用の金額並びに開示に影響を与える見積りを行わなければなりません。経営者はこれらの見積りについて、過去の経験及び実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 なお、個々の「重要な会計方針及び見積り」につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の分析

 流動資産は、前連結会計年度末に比べ788百万円増加し8,764百万円となりました。これは主として、商品及び製品の増加438百万円、原材料の増加97百万円などによるものであります。

 固定資産は、前連結会計年度末に比べ9百万円増加し412百万円となりました。

 この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べ797百万円増加し9,177百万円となりました。

 流動負債は、前連結会計年度末に比べ309百万円増加し5,724百万円となりました。これは主として、買掛金の増加121百万円、短期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)の増加243百万円などによるものであります。

 固定負債は、前連結会計年度末に比べ61百万円増加し779百万円となりました。これは主として、長期借入金の増加26百万円、資産除去債務の増加29百万円などによるものであります。

 純資産は、前連結会計年度末に比べ426百万円増加し2,673百万円となりました。これは主に当期純利益421百万円を計上したことによります。

 

b.経営成績の分析

(売上高)

 売上高は、前連結会計年度に比べ1,424百万円増加(9.7%増)の16,166百万円となりました。

 売上高の内訳は、メモリ製品製造販売事業が8,890百万円、通信コンサルティング事業が4,264百万円、HPC事業が2,812百万円となっております。また、売上高全体に占める割合は、メモリ製品製造販売事業が55.0%、通信コンサルティング事業が26.4%、HPC事業が17.4%となっております。

(売上原価)

 売上原価は、前連結会計年度に比べ994百万円増加の13,410百万円となりました。また、原価率は、83.0%となり、前連結会計年度に比べ1.2%低下しました。

(販売費及び一般管理費)

 販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ405百万円増加の2,034百万円となりました。主な増加の要因は、給与及び手当の増加224百万円、地代家賃の増加52百万円などによるものであります。また、売上高対販売費及び一般管理費比率は、12.6%となり、前連結会計年度に比べ1.5%上昇しました。

(営業利益)

 営業利益は、前連結会計年度に比べ24百万円増加の721百万円となりました。

(経常利益)

 経常利益は、前連結会計年度に比べ28百万円増加の711百万円となりました。

(税金等調整前当期利益)

 税金等調整前当期利益は、前連結会計年度に比べ16百万円増加の698百万円となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ36百万円増加の382百万円となりました。

 なお、事業全体の包括的な分析及びセグメント別の分析は、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績等の状況」をご参照ください。

 

c.キャッシュ・フローの分析

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

 

③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、子会社株式の取得等によるものであります。

当社グループは、事業運営上必要な資金を確保するとともに、経済環境の急激な変化に耐えうる流動性を維持する事を基本方針としております。

短期運転資金は営業活動により得られたキャッシュ・フロー、自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。また、当社は、金融機関との間で合計4,650百万円を限度とするコミットメントラインを設定しており、資金需要に応じて機動的な資金調達を実行しております。

これら営業活動及び財務活動により調達した資金については、事業運営上必要な流動性を確保することに努め、機動的かつ効率的に使用してまいります。今後については、IoT関連投資、商品の仕入、有望な新規事業領域への進出、子会社株式の取得等に積極的に投資してまいります。

なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は4,016百万円、現金及び現金同等物の残高は3,728百万円となりました。

 

④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは収益性指標として売上高、営業利益及び経常利益を重視しております。

売上高は業績予想比1,166百万円増(7.8%増)、営業利益は業績予想比28百万円減(3.8%減)及び経常利益は業績予想比38百万円減(5.2%減)となりました。これは主に、半導体価格の上昇を売価に転嫁した分、売上高は増えたものの、半導体価格の上昇や急激な円安による為替の影響により原価率が上昇したことによるもので、詳細は、事業全体の包括的な分析及びセグメント別の分析は、「3(経営者による財政状態経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析) (1)経営成績等の状況の概要 b.経営成績」をご参照ください。

 

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