(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度における当社グループを取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化するなか、電子部品の需給ひっ迫や世界的なサプライチェーンの混乱などにより、一部の生産活動が停滞した一方、各国の経済回復に向けた施策に支えられて景気は持ち直し、総じて需要は底堅く推移しました。
当社グループは第15次中期経営計画の方針である「持続的成長に向けた製品戦略の加速」に沿って事業を展開し、主力製品ではインド市場で二輪向け製品が拡大したほか、伸長事業と位置付けたパワーモジュール製品やEV用急速充電器などが中長期的な成長の足掛かりとして一定の成果をあげました。
このようななか、当連結会計年度では、売上高は92,168百万円(前期比14.6%増)、営業利益は5,562百万円(前期は1,080百万円の損失)、経常利益は5,828百万円(前期は1,164百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は5,902百万円(前期は5,561百万円の損失)となりました。
第15次中期経営計画最終年度である2022年3月期における経営指標に対して、売上高840億円の目標値に対し921億円、営業利益30億円の目標値に対し55億円となりました。
また、当社グループは持続可能な地球環境と社会の実現に向け、新たに「環境ビジョン2050」を策定しました。引き続き、クリーンエネルギー製品、省エネルギー製品の市場供給や新技術の開発などによって環境負荷低減の貢献度を継続的に高め、グローバルな環境先進企業を目指してまいります。
セグメントの業績は次のとおりであります。
当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しております。前期比較につきましては、前期の数値を変更後のセグメント区分に組替えた数値で比較しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。
また、セグメント間の取引については相殺消去して記載しております。
(デバイス事業)
デバイス事業の売上高は36,381百万円(前期比24.5%増)、営業利益は5,038百万円(前期は85百万円の利益)となりました。
主力の自動車、産機および家電市場は、サプライチェーンの混乱などがみられたものの、需要は底堅く、増収となりました。損益面においては、増収効果や事業構造改革が寄与し、大幅な増益となりました。
(電装事業)
電装事業の売上高は47,072百万円(前期比13.1%増)、営業利益は3,709百万円(前期比69.0%増)となりました。
主力の二輪市場は、新型コロナウイルス感染症の影響が残ったものの、経済活動が徐々に再開したことで、事業全体で前期からは増収となりました。損益面においては、増収や事業構造改革効果にくわえて為替相場が円安に推移したことなどにより、増益となりました。
(その他)
その他の売上高は8,714百万円(前期比9.2%減)、営業利益は696百万円(前期比11.0%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フ ローで8,290百万円増加、投資活動によるキャッシュ・フローで7,907百万円減少、財務活動によるキャッシュ・ フローで1,273百万円増加した結果、前連結会計年度末に比べ資金は2,515百万円増加し、当連結会計年度末は29,161百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、8,290百万円のプラス(前期は3,618百万円のマイナス)となりまし た。これは、主に棚卸資産の増加額が4,440百万円となったものの、税金等調整前当期純利益が6,821百万円、 減価償却費が5,548百万円となったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、7,907百万円のマイナス(前期は5,675百万円のマイナス)となりま した。これは、主に投資有価証券の売却による収入が1,143百万円となったものの、有形固定資産の取得による支出が8,931百万円となったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、1,273百万円のプラス(前期は9,936百万円のプラス)となりまし た。これは、主に長期借入金の約定弁済が5,125百万円、社債の償還による支出が1,525百万円となったもの の、長期借入金8,300百万円の資金調達を実施したことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
デバイス事業(百万円) |
37,888 |
31.5 |
電装事業(百万円) |
48,514 |
17.0 |
報告セグメント計(百万円) |
86,402 |
22.9 |
その他(百万円) |
8,315 |
△8.2 |
合計(百万円) |
94,718 |
19.4 |
(注)1.金額は、販売価格によっております。
2.セグメント間の取引については含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高 (百万円) |
前年同期比 (%) |
受注残高 (百万円) |
前年同期比 (%) |
デバイス事業 |
41,345 |
35.5 |
10,579 |
87.4 |
電装事業 |
47,023 |
12.2 |
2,423 |
△2.3 |
報告セグメント計 |
88,369 |
22.0 |
13,003 |
60.0 |
その他 |
9,937 |
4.0 |
1,520 |
23.2 |
合計 |
98,306 |
19.9 |
14,523 |
55.1 |
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
デバイス事業(百万円) |
36,381 |
24.5 |
電装事業(百万円) |
47,072 |
13.1 |
報告セグメント計(百万円) |
83,453 |
17.8 |
その他(百万円) |
8,714 |
△9.2 |
合計(百万円) |
92,168 |
14.6 |
(注)1.セグメント間の取引については含まれておりません。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先
|
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
||
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
ピー・ティ・アストラホンダモーター |
7,236 |
9.00 |
9,875 |
10.71 |
3.販売実績が総販売実績の100分の10未満の相手先については記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2022年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。これらの見積りについては、継続的に評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、実際の結果はこれらと異なる場合があります。
②当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析
a.資産、負債及び純資産の状況
当連結会計年度末の総資産は、135,041百万円(前期比7,234百万円増)となりました。これは、主に現金及び預金や棚卸資産の増加によるものであります。
負債は77,812百万円(前期比581百万円減)となりました。これは、主に長期借入金が増加したものの、朝霞事業所建設費用の支払いによるその他流動負債の減少、及び社債の減少によるものであります。
純資産は、57,229百万円(前期比7,815百万円増)となりました。これは、主に利益剰余金の増加によるものであります。
以上の結果、1株当たり純資産は5,552円41銭となりました。
b.連結損益及び包括利益計算書の分析
当連結会計年度の売上高は92,168百万円(前期比14.6%増)となりました。当社グループを取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化するなか、電子部品の需給ひっ迫や世界的なサプライチェーンの混乱などにより、一部の生産活動が停滞した一方、各国の経済回復に向けた施策に支えられて景気は持ち直し、総じて需要は底堅く推移しました。このようななか、営業利益は5,562百万円(前期は1,080百万円の損失)、経常利益は5,828百万円(前期は1,164百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は5,902百万円(前期は5,561百万円の損失)となりました。
③経営成績に重要な影響を与える要因と今後の見通し
新型コロナウイルス感染症の再拡大によるサプライチェーンの混乱、ロシアのウクライナ侵攻など、世界経済の先行きは不透明感が強まっています。
パワーデバイス分野においては、世界経済悪化に伴う急激な需要の減少や、原材料費、物流費高騰による調達コストの増加、競争激化など、外部環境の変化に影響を受けるリスクを伴っております。また、アジアを中心とする二輪市場においては、需要の急変、為替変動の影響など不安定要素をはらんでおります。さらに、各製品の生産拠点において、日常の安全衛生管理および危機管理のための対策は取っておりますが、予期せぬ天変地異、災害、停電などの事態が発生した場合、その影響を完全に防止または軽減できないことがあります。
一方、EV化の進展などモビリティ分野を中心にパワーエレクトロニクス製品の需要は中長期的には拡大を見込んでいます。このような環境下、当社グループは、「長期ビジョン2030」及び「第16次中期経営計画」のもと持続的成長と企業価値向上に努めてまいります。
④資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローで前連結会計年度より11,908百万円多い8,290百万円のプラスとなりました。これは、主に税金等調整前当期純利益が6,821百万円となったことによるものであります。投資活動によるキャッシュ・フローでは、前連結会計年度より2,231百万円多い7,907百万円の資金を使用いたしました。これは、主に朝霞事業所の設立や生産設備増強、維持更新投資によるものであります。財務活動によるキャッシュ・フローでは、前連結会計年度より8,662百万円少ない1,273百万円の資金を得ております。これは、主に長期借入金の約定弁済が5,125百万円、社債の償還による支出が1,525百万円となったものの、長期借入金8,300百万円の資金調達を実施したことによるものであります。
これにより当社グループの有利子負債の残高は39,880百万円となり、前連結会計年度末に比べて1,325百万円増加いたしました。また、手元資金の残高は前連結会計年度末に比べて2,515百万円増加し、29,161百万円となりましたので、必要な手元流動性は十分に確保されていると考えております。
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