(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度におけるazbilグループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における業績につきましては、受注高が2,869億5千万円(前連結会計年度は2,478億7千3百万円)と、前連結会計年度比15.8%の増加となりました。
売上高につきましては、2,565億5千1百万円(前連結会計年度は2,468億2千1百万円)と、前連結会計年度比3.9%の増加となりました。
損益面につきましては、営業利益は、前連結会計年度比9.8%増加の282億3千1百万円(前連結会計年度は257億2千万円)となりました。経常利益は、前連結会計年度比12.1%増加の295億1千9百万円(前連結会計年度は263億3千8百万円)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、前連結会計年度比4.3%増加の207億8千4百万円(前連結会計年度は199億1千8百万円)となりました。
(単位:百万円)
|
2021年3月期 |
2022年3月期 |
増減 |
増減率 |
受注高 |
247,873 |
286,950 |
39,076 |
15.8% |
売上高 |
246,821 |
256,551 |
9,730 |
3.9% |
営業利益 (利益率) |
25,720 (10.4%) |
28,231 (11.0%) |
2,511 (0.6pp) |
9.8%
|
経常利益 |
26,338 |
29,519 |
3,180 |
12.1% |
親会社株主に帰属する (利益率) |
19,918 (8.1%) |
20,784 (8.1%) |
865 (0.0pp) |
4.3%
|
当連結会計年度末の財政状態につきましては、以下のとおりです。
資産の状況
当連結会計年度末の資産の状況は、前連結会計年度末に比べて45億4千5百万円減少し、資産合計で2,800億5千2百万円となりました。これは主に、当社の研究開発拠点(藤沢テクノセンタ ー)の機能強化に向けた設備投資等により建設仮勘定が62億5千7百万円増加したものの、現金及び預金が95億5千7百万円減少したことによるものであります。
負債の状況
当連結会計年度末の負債の状況は、前連結会計年度末に比べて70億7千9百万円減少し、負債合計で769億1千万円となりました。これは主に、当社の標準支払条件変更等により仕入債務が89億6千1百万円減少したことによるものであります。
純資産の状況
当連結会計年度末の純資産の状況は、前連結会計年度末に比べて25億3千4百万円増加し、純資産合計で2,031億4千1百万円となりました。これは主に株主資本が、取締役会決議に基づく自己株式の取得により99億9千9百万円、配当金の支払いにより84億2千1百万円それぞれ減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により207億8千4百万円増加したことによるものであります。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の69.6%から71.5%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動による現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の増加は101億2千万円となり、前連結会計年度に比べて124億8千2百万円の減少となりました。これは主に、当社の標準支払条件の変更等により仕入債務の支払額が増加したことに加え、売上及び受注の増加を背景に当連結会計年度において売上債権及び棚卸資産が増加したことによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における投資活動に使用された資金(支出と収入の純額)は39億9千万円(前連結会計年度は2億8千3百万円の資金の増加)となりました。これは主に、当社の研究開発拠点の機能強化に向けた設備投資等により有形固定資産の取得による支出が増加したことによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における財務活動に使用された資金(支出と収入の純額)は205億8千4百万円となり、前連結会計年度に比べて135億8千8百万円の支出の増加となりました。これは主に、取締役会決議に基づく自己株式の取得に加えて、配当による支出が増加したことによるものであります。
以上の結果、資金の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末より127億6千1百万円減少し、778億9千1百万円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
ビルディングオートメーション事業 |
43,039 |
107.3 |
アドバンスオートメーション事業 |
31,463 |
115.2 |
ライフオートメーション事業 |
30,132 |
103.3 |
報告セグメント計 |
104,636 |
108.3 |
その他 |
- |
- |
合計 |
104,636 |
108.3 |
(注)上記金額は、azbilグループにおける製品の製造に係る費用及び工事の施工に係る原価を集計したものであり、商品の仕入及び役務収益に対応する費用は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高 (百万円) |
前期比 (%) |
受注残高 (百万円) |
前期比 (%) |
ビルディングオートメーション事業 |
132,511 |
111.8 |
75,120 |
117.3 |
アドバンスオートメーション事業 |
109,562 |
125.2 |
42,374 |
152.7 |
ライフオートメーション事業 |
46,845 |
108.1 |
17,267 |
121.0 |
報告セグメント計 |
288,918 |
115.9 |
134,761 |
127.0 |
その他 |
54 |
99.8 |
0 |
100.1 |
消去 |
(2,022) |
- |
(464) |
- |
連結 |
286,950 |
115.8 |
134,297 |
126.9 |
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
ビルディングオートメーション事業 |
119,764 |
101.9 |
アドバンスオートメーション事業 |
94,276 |
107.4 |
ライフオートメーション事業 |
44,238 |
103.0 |
報告セグメント計 |
258,279 |
104.0 |
その他 |
54 |
99.8 |
消去 |
(1,782) |
- |
連結 |
256,551 |
103.9 |
(注)総販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先はありません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点によるazbilグループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
azbilグループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、見積りが必要となる事項においては合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は見積りによる不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりでありますが、特に次の項目が連結財務諸表作成における重要な会計上の見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
なお、新型コロナウイルス感染症が当社グループの会計上の見積りに与える影響は軽微と判断しております。
(請負工事に関する収益認識)
請負工事契約については、履行義務の充足に係る工事の進捗度を合理的に見積もり、履行義務を充足する一定の期間にわたり収益を認識しております。工事の進捗度の見積りは主に、当連結会計年度末までに実施した工事に関して発生したコストが見積総原価に占める割合に基づく方法(インプット法)によっております。
なお、収益総額、見積総原価及び決算日における進捗度について、見積り時には予見不能な事象の発生やプロジェクト案件の進捗状況等によって当初の見積りが変更された場合、認識された損益に影響を及ぼす可能性があります。
(受注損失引当金)
受注契約に係る将来の損失に備えるため、当連結会計年度末における受注残案件のうち売上時に損失の発生が見込まれ、かつ、当該損失額を合理的に見積もることが可能な案件について、翌連結会計年度以降に発生が見込まれる損失額を受注損失引当金に計上しております。
なお、将来発生する可能性のある損失をカバーするだけの十分な引当金残高を有しているかどうかを判断するために、様々な仮定や要素を考慮しておりますが、新技術・新領域の案件等において、見積り時には予見不能な事象の発生やプロジェクト案件の進捗状況等によって損失額が大きく変動する可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
azbilグループを取り巻く事業環境は、国内大型建物向け空調制御機器・システムにつきましては、都市再開発計画に基づく需要等が継続し、換気・省エネ対策に対する関心が高まりを見せる中、改修案件の需要も着実に増加しております。製造業の生産設備向けの各種機器・システムにつきましても、リモートワークや5Gサービスの急速な普及により半導体関連市場で需要が高い水準で推移し、市場による差異はありますが、全般として設備投資の回復が継続いたしました。
当連結会計年度における業績につきましては、部品不足に起因するお客様の先行発注や長納期化による売上計上の遅れなどによる影響が下期以降拡大いたしましたが、前連結会計年度における新型コロナウイルス感染拡大に伴う市況悪化からの回復もあり、次のとおりとなりました。
受注高は、前連結会計年度における感染拡大に伴う受注面での減少から転じて、全体として前連結会計年度比15.8%増加と大きく伸び、2,869億5千万円(前連結会計年度は2,478億7千3百万円)となりました。これは主に、アドバンスオートメーション(AA)事業が市況の回復とともに、一部には部品不足に起因する先行発注の影響もあり増加したことに加え、ビルディングオートメーション(BA)事業が既設改修・サービス需要により、またライフオートメーション(LA)事業が製薬設備需要によりそれぞれ増加したことなどによるものです。また、売上高につきましては、AA事業が長納期化による影響が一部で見られたものの、製造装置市場等での需要回復により増加し、BA事業、LA事業もそれぞれ増加したことから、前連結会計年度比3.9%増加の2,565億5千1百万円(前連結会計年度は2,468億2千1百万円)となりました。
損益面につきましては、営業利益は、費用面で感染拡大における勤務対応関連費用の負担増や中期経営計画に基づく施策からの研究開発費等の増加があったものの、増収影響に加えて事業収益力強化施策の効果等も継続し、前連結会計年度比9.8%増加の282億3千1百万円(前連結会計年度は257億2千万円)となりました。また経常利益につきましては、営業利益の増加及び為替差益の計上等により前連結会計年度比12.1%増加の295億1千9百万円(前連結会計年度は263億3千8百万円)となり、親会社株主に帰属する当期純利益につきましても、前連結会計年度に投資有価証券売却益や国内の工場統合による固定資産売却益の計上があったことに加えて、当連結会計年度においては子会社の繰延税金資産の回収可能性の見直しなどによる税金費用の増加がありましたが、前連結会計年度比4.3%増加の207億8千4百万円(前連結会計年度は199億1千8百万円)となりました。
セグメント毎の経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については次のとおりであります。
ビルディングオートメーション(BA)事業
BA事業を取り巻く事業環境は、国内市場においては、首都圏における都市再開発案件や工場向け空調の需要が継続しており、換気改善、省エネ・CO2削減や運用コスト低減に関するソリューションへの関心も拡大しております。また、国内市場においては新型コロナウイルス感染症の影響は限定的なものにとどまりましたが、部品調達難の影響が一部で見られました。海外市場においては、一部地域では感染症の長期化の影響により、建築計画順延・工事遅延等の影響が見られました。
こうした事業環境のもと、採算性に配慮しつつ着実な受注の獲得に取り組むとともに、お客様・社員の安全に十分配慮し、働き方改革への対応も踏まえ、施工・サービスの現場を主体に業務の遂行能力の強化と効率化を進めてまいりました。また、IoT等の技術活用を志向する国内外の顧客ニーズに対応するための製品・サービスの拡大を進めてまいりました。この結果、BA事業の当連結会計年度の業績は次のとおりとなりました。
受注高につきましては、新収益認識基準によるサービス分野への影響※1がありましたが、複数年サービス契約の更新に加えて、堅調な事業環境を背景に既設建物の改修に関する分野が増加、一部には部品不足によるお客様の先行発注の影響もあり、全体としては前連結会計年度比11.8%増加の1,325億1千1百万円(前連結会計年度は1,185億3百万円)となりました。売上高につきましては、新収益認識基準や部品調達難の影響によりサービス分野が減少いたしましたが、新築大型建物向けの分野及び既設建物の改修に関する分野が増加した結果、前連結会計年度比1.9%増加の1,197億6千4百万円(前連結会計年度は1,175億2千1百万円)となりました。セグメント利益につきましては、収益性の改善効果はありましたが、中期経営計画に基づく研究開発費と受注活動増に伴う人件費の増加及び上期に計上した感染拡大に関連した勤務対応関連費用により、前連結会計年度と同水準の138億6千2百万円(前連結会計年度は140億2千3百万円)となりました。
中長期的には、堅調な国内での当期の受注動向に加えて、今後も大型の再開発案件や多数の大型建物の改修が計画されており、納入実績を基にこれらの需要を確実に獲得してまいります。さらに、脱炭素化の動きを受けての省エネ・CO2削減に向けたニーズや、感染拡大に起因する換気・入退室管理等の安全・安心に対するニューノーマル時代のオフィス需要等に対し、リモートメンテナンス、クラウドサービスや新空調システムといったソリューションを提供することで、持続的な成長を目指してまいります。あわせて、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進や事業プロセス変革を含めた取組みを進め、更なる高収益体質を実現してまいります。
(単位:百万円)
|
2021年3月期 |
2022年3月期 |
増減 |
増減率 |
受注高 |
118,503 |
132,511 |
14,008 |
11.8% |
売上高 |
117,521 |
119,764 |
2,242 |
1.9% |
セグメント利益 (利益率) |
14,023 (11.9%) |
13,862 (11.6%) |
△160 (△0.4pp) |
△1.1%
|
※1 新収益認識基準によるサービス分野への影響:
新収益認識基準の影響は主にサービス分野において発生しており、受注高では約32億円の減少影響がありましたが、売上高及びセグメント利益への影響は軽微であります。
アドバンスオートメーション(AA)事業
AA事業を取り巻く国内外の市場の動向につきましては、5G関連投資の広がりなどを受けた半導体製造装置市場での需要が高い水準で推移しております。新型コロナウイルス感染症は未だ収束していませんが、製造装置市場を中心に市場全般で設備投資が回復いたしました。
こうした事業環境のもと、これまで注力してきた海外での成長戦略が成果として現れるとともに、継続して取り組んでいる収益力強化に関わる各種施策の進展により、収益体質が一段と強化されました。一方、部品調達難に伴い一部製品においては納期が長期化するなどの影響がありました。この結果、AA事業の当連結会計年度の業績は次のとおりとなりました。
受注高につきましては、世界的な半導体投資の拡大等を背景とした製造装置市場での需要の継続と海外での事業成長を主因に、一部には部品不足に起因するお客様の先行発注の影響もあり、全体として大きく増加し、前連結会計年度比25.2%増加の1,095億6千2百万円(前連結会計年度は875億2千3百万円)となり、受注残も大きく積み上がりました。売上高につきましては、製造装置市場向け及び海外事業を中心に増加しましたが、部品調達難の影響で一部製品の売上計上が遅れたこともあり、前連結会計年度比7.4%増加の942億7千6百万円(前連結会計年度は877億7千8百万円)にとどまりました。セグメント利益につきましては、営業強化に伴う経費や中期経営計画に基づく研究開発費の増加があるものの、増収及びこれまで取り組んできた収益力強化施策の効果により、セグメント利益率の改善が継続し、前連結会計年度比29.1%増加の132億3千6百万円(前連結会計年度は102億5千1百万円)となりました。
中長期的には、人手不足、脱炭素への対応、新技術の導入による生産性向上等を目的とした継続的な製造装置・生産ラインの自動化に係る投資の拡大が見込まれます。引き続き3つの事業単位※2(CP事業、IAP事業、SS事業)を軸に、海外事業をはじめとした成長領域への展開を推し進め、AIやクラウド、MEMS※3等の技術を取り入れた製品・サービスの開発、市場投入を加速させ、アズビルならではの新しいオートメーション領域を創出していくことで、高い競争力を持った事業成長を目指してまいります。
(単位:百万円)
|
2021年3月期 |
2022年3月期 |
増減 |
増減率 |
受注高 |
87,523 |
109,562 |
22,038 |
25.2% |
売上高 |
87,778 |
94,276 |
6,497 |
7.4% |
セグメント利益 (利益率) |
10,251 (11.7%) |
13,236 (14.0%) |
2,985 (2.4pp) |
29.1%
|
※2 「3つの事業単位(管理会計上のサブセグメント)」
CP事業 :コントロールプロダクト事業(コントローラやセンサ等のファクトリーオートメーション向けプロダクト事業)
IAP事業:インダストリアルオートメーションプロダクト事業(差圧・圧力発信器やコントロールバルブ等のプロセスオートメーション向けプロダクト事業)
SS事業 :ソリューション&サービス事業(制御システム、エンジニアリングサービス、メンテナンスサービス、省エネソリューションサービス等を提供する事業)
※3 MEMS(Micro Electro Mechanical Systems):センサ、アクチュエータ、電子回路を一つの基盤の上に微細加工技術によって集積した機器。
ライフオートメーション(LA)事業
LA事業は、ガス・水道等のライフライン、製薬・研究所向けのライフサイエンスエンジニアリング、そして住宅用全館空調システムの生活関連(ライフ)の3つの分野で事業を展開しており、事業環境はそれぞれ異なります。
売上の大半を占めるガス・水道等のライフライン分野は、法定によるメータの交換需要を主体としており、基本的には安定した需要が見込まれますが、LPガスメータが循環的な不需要期にあるなど、一部市場では変化が見られます。またライフサイエンスエンジニアリング分野では、製薬プラント設備への投資増加が続いております。こうした事業環境や取組みを背景に、LA事業の当連結会計年度の業績は次のとおりとなりました。
受注高につきましては、製薬市場での製薬設備需要の増加を背景にライフサイエンスエンジニアリング分野が増加したことを主因に、前連結会計年度比8.1%増加の468億4千5百万円(前連結会計年度は433億5千万円)となりました。売上高につきましては、ライフライン分野が市況変化、感染拡大及び部品調達難の影響もあり減少した一方、ライフサイエンスエンジニアリング分野では感染拡大等により売上進捗に影響が見られたものの、前連結会計年度における受注増加を背景に増加したことから、前連結会計年度比3.0%増加の442億3千8百万円(前連結会計年度は429億4千2百万円)となりました。セグメント利益につきましては、ライフライン分野の減収に伴う減益を主な要因として、ライフサイエンスエンジニアリング分野においても増収ながら事業伸長に伴う経費増加や素材価格高騰、エネルギーコスト/輸送費等が増加したことにより前連結会計年度比19.7%減少の11億5千1百万円(前連結会計年度は14億3千4百万円)となりました。
LA事業では今後も引き続き、同事業を構成する各事業分野の収益の安定化・向上に取り組んでまいります。また、これと並行して、エネルギー供給市場における事業環境の変化を捉え、従来からの製品提供型の事業に加え、IoT等の技術を活用し、各種メータからのデータを活用したサービスプロバイダとしての新たな事業を創出し、売上高拡大、利益の向上に取り組んでまいります。
(単位:百万円)
|
2021年3月期 |
2022年3月期 |
増減 |
増減率 |
受注高 |
43,350 |
46,845 |
3,494 |
8.1% |
売上高 |
42,942 |
44,238 |
1,295 |
3.0% |
セグメント利益 (利益率) |
1,434 (3.3%) |
1,151 (2.6%) |
△283 (△0.7pp) |
△19.7%
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2022年度の見通し
azbilグループは、2030年度をゴールとする長期目標を設定し、この第1ステップとして4ヵ年の中期経営計画(2021~2024年度)を策定、目標達成に向けた取組みを進めております。「持続可能な社会」の実現に向けて、現在、様々な社会課題やお客様の課題が生まれており、こうした課題への解決策を提供できるオートメーションの役割が拡大、需要の増加が期待されます。中期経営計画では、こうした事業機会を捉え、当社グループならではの技術・製品・サービスを活かした新たな課題の解決策を提供することにより持続的な成長を目指しております。
当社グループを取り巻く次期の事業環境は、新型コロナウイルス感染症再拡大による影響、サプライチェーンの混乱・部品調達難、インフレ、地政学リスクなど不透明な状況が継続すると思われますが、大型建物向けの空調制御機器・システムに関する需要は堅調であり、工場・プラント等の生産設備に関する需要につきましても、DXの進展による需要の拡大を背景とした半導体製造装置の活況を中心に、全体として堅調な需要の継続が期待されます。
2022年度の業績につきましては、国内大型建物や製造装置等の堅調な市場の需要を確実に捉え、期首受注残の積み上がりを背景に部品調達難による影響等を想定のうえで増収を計画いたします。利益面につきましても、これまで取り組んできた事業収益力強化施策に加え、DX推進を通じた業務効率化のグローバル展開等により更なる改善を実現し、研究開発・設備等への成長投資を実施しつつも、増益を目指します。
BA事業は、大型建物向けの空調制御機器・システムの需要が引き続き高い水準で推移しており、新築建物における期首受注残の積み上がりと、収益性の良い既設建物の改修需要の拡大を背景に増収・増益を見込んでおります。
AA事業は、部品調達難の状況継続が見込まれますが、前年度における市況回復並びに先行発注等により積み上がった受注残と販売力強化施策等による海外事業の伸長を基に増収・増益を計画いたします。
LA事業は、製薬市場需要拡大等を背景としたライフサイエンスエンジニアリング分野の伸長並びにライフライン分野におけるクラウドサービスの展開により、増収・増益を見込みます。
なお、業績予想等は、当社が現時点で入手可能な情報と合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績は様々な要因により異なる可能性があります。
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(単位:億円) |
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2022年3月期 実績 |
2023年3月期 見通し |
増減 |
増減率 |
ビルディング |
売上高 |
1,197 |
1,290 |
92 |
7.7% |
セグメント利益 (利益率) |
138 (11.6%) |
145 (11.2%) |
6 (△0.3pp) |
4.6%
|
|
アドバンス オートメーション事業 |
売上高 |
942 |
995 |
52 |
5.5% |
セグメント利益 (利益率) |
132 (14.0%) |
140 (14.1%) |
7 (0.0pp) |
5.8%
|
|
ライフ |
売上高 |
442 |
465 |
22 |
5.1% |
セグメント利益 (利益率) |
11 (2.6%) |
13 (2.8%) |
1 (0.2pp) |
12.9%
|
|
その他 |
売上高 |
0 |
1 |
0 |
82.7% |
セグメント利益 (利益率) |
0 (11.1%) |
0 (0.0%) |
△0 (△11.1pp) |
-
|
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連結 |
売上高 |
2,565 |
2,750 |
184 |
7.2% |
営業利益 (利益率) |
282 (11.0%) |
298 (10.8%) |
15 (△0.2pp) |
5.6%
|
|
経常利益 |
295 |
302 |
6 |
2.3% |
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親会社株主に帰属 する当期純利益 (利益率) |
207 (8.1%) |
215 (7.8%) |
7 (△0.3pp) |
3.4%
|
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
azbilグループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況、② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおり健全な財務基盤を維持し、必要な運転資金等への十分な流動性も確保していると認識しております。加えて、パンデミック、大規模な自然災害の発生等、不測の事態でも事業を継続し、供給責任を果たすことのできる強固な財務基盤を引き続き維持しております。また、安定的な外部資金調達能力の維持向上を重要な経営課題として認識しており、当社グループは格付投資情報センターより発行体格付「シングルA+(安定的)」を取得して社債発行枠200億円を設定するとともに、コマーシャル・ペーパーについて格付「a-1」を取得して発行枠200億円を設定しております。さらには、複数の金融機関との間で合計100億円のコミットメントラインを設定し、緊急時の流動性を確保しております。あわせて、国内子会社については親会社を通じたキャッシュ・マネジメントにより、資金調達の一元化と資金効率化、流動性の確保を図るとともに、海外の一部地域においても域内でのグループファイナンスを実施しております。
当社グループの資金需要としましては、営業活動上の運転資金に加えて、設備投資及び研究開発のための資金や配当支払いなどを見込んでおり、主に営業活動によるキャッシュ・フローや内部資金のほか、一部借入による資金調達も行っております。借入による資金調達に関しましては、主に短期借入金で調達しておりますが、当連結会計年度末現在で短期借入金の残高は80億4千6百万円で、前連結会計年度末に比べて9億8千9百万円減少しております。
他方、営業活動によるキャッシュ・フローや内部留保を含めた資本を活用し、持続的な成長の実現や事業基盤の整備・強化に向けて、国内外生産拠点の再編・拡充をはじめとする設備投資や技術革新に対応した研究開発、サービスの高付加価値化や事業の効率化に必要なDX等への投資を実現しております。当連結会計年度の設備投資の総額は112億4千4百万円、研究開発費の総額は121億8百万円となりました。今後につきましても、成長に向けた商品・サービスの拡充、先進的なグローバル生産・開発の構造改革等、事業基盤の強化・拡充に注力するとともに、M&Aといった将来の成長投資を進めてまいります。
株主還元につきましては、経営の重要課題の一つと位置付けており、連結業績、純資産配当率(DOE)・自己資本当期純利益率(ROE)等の水準に加え、上記の成長投資及び健全な財務基盤の確保のための内部留保等を総合的に勘案し、配当水準の向上に努めつつ安定した配当を維持していきたいと考えております。詳細は「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご確認ください。
④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、株主価値増大に向けて連結ROE(自己資本当期純利益率)の向上を基本的な目標としており、収益性と資本効率の向上を通して、2030年度をゴールとする長期目標※1として、売上高4,000億円規模、営業利益600億円規模、営業利益率15%程度、ROE13.5%程度を目指しております。また、この長期目標達成に向け、2024年度を最終年度とする4ヵ年の中期経営計画※においては、最終年度の売上高3,000億円、営業利益360億円、営業利益率12%、ROE12%程度を達成することを目標としております。
※ 2021年5月14日、当社グループは長期目標、中期経営計画(2021~2024年度)を策定・公表いたしました。
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