業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は、次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

 世界経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響や米中対立、半導体需給逼迫の影響を受け、先行き不透明な状況が続いております。これに伴い、部品原材料の値上げや輸送コストの増加などの影響が出ております。一方で、脱炭素化の世界的な流れはさらに加速しており、各国政府による公共投資及び企業による設備投資の拡大が引き続き期待されております。特に自動車の電動化は今後さらに加速し、バッテリー分野も含めた市場規模が拡大することが見込まれております。

 当連結会計年度において、脱炭素化に向けた世界各国の取り組みを受け、バッテリー、モーター、電子部品関連の計測器需要は高い状態で推移いたしました。また、海外市場における計測器需要は、中国、韓国、台湾及びアメリカ、ヨーロッパなどの幅広い地域で好調に推移いたしました。

 開発面では、14機種の新製品を市場に投入してまいりました。自動車の電動化が世界的に進み、高度化する計測技術への要求に対応したパワーアナライザを市場に投入いたしました。世界最高クラスの測定確度と様々な計測ニーズに対応する柔軟性を備えた製品であり、今後の業績への寄与が期待されております。

 生産面では、長野県上田市の本社工場で行っておりました現場測定器の生産を、隣接する坂城町の協力企業施設内に開設した坂城工場に移管いたしました。協力企業との連携により一貫生産体制を構築し、生産性の向上を図ってまいります。

 利益面では、売上高が大幅に増加したことにより、人件費及び経費は増加したものの、営業利益、経常利益ともに前連結会計年度を上回り、過去最高の結果になりました。

 以上により、当連結会計年度における業績は、売上高293億22百万円(前連結会計年度比35.3%増)、営業利益57億50百万円(同132.8%増)、経常利益59億99百万円(同126.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益45億21百万円(同118.3%増)になりました。

 なお、当社は目標とする経営指標として「売上高経常利益率20%」を掲げておりますが、当連結会計年度において、初めて達成することができました。

 当連結会計年度末における総資産は、現金及び預金、たな卸資産が増加したため、前連結会計年度末と比較して59億50百万円増加し、363億91百万円になりました。

 負債は、未払法人税等及び未払費用が増加したため、前連結会計年度末と比較して25億8百万円増加し、69億36百万円になりました。

 純資産は、利益剰余金が増加したため、前連結会計年度末と比較して34億41百万円増加し、294億54百万円になりました。

 2022年4月に予定されている東京証券取引所の市場区分の再編を受け、当社はプライム市場に移行することを選択し、2021年6月に改訂されたコーポレートガバナンス・コードへの対応を進めてまいりました。さらに、国内外でサステナビリティ活動の重要性が高まっていることを受け、当社はサステナビリティ基本方針を策定いたしました。今後は、当社グループ一体となって活動を推進してまいります。

 なお、当社グループは、電気測定器事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比較して26億94百万円増加し、142億37百万円になりました。

  当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、46億95百万円の収入(前連結会計年度比11.6%増)になりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益60億6百万円、減価償却費11億21百万円及び未払費用の増加額15億60百万円であります。主な減少要因は、たな卸資産の増加額18億90百万円及び法人税等の支払額12億75百万円であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出等により、8億26百万円の支出(同18.9%減)になりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額等により、14億34百万円の支出(同62.0%増)になりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

 当社グループは、電気測定器事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を行っておりません。

 よって、生産実績及び受注実績につきましては製品の分類別情報を、販売実績につきましては製品の分類別情報及び顧客の所在地別情報を記載しております。

a. 生産実績

 

 

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

前年同期比(%)

自動試験装置

(千円)

3,324,409

170.1

記録装置

(千円)

4,459,997

116.2

電子測定器

(千円)

14,469,189

149.0

現場測定器

(千円)

5,944,285

117.4

周辺装置他

(千円)

1,485,661

122.1

合計

(千円)

29,683,543

136.3

 (注)1.金額は売価換算価額で表示しております。

2.金額には消費税等は含まれておりません。

 

b. 受注実績

 

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

自動試験装置

3,626,903

147.6

1,373,416

132.8

記録装置

4,534,466

118.8

517,883

185.2

電子測定器

15,562,610

160.2

2,398,092

239.3

現場測定器

5,980,816

111.3

436,200

95.7

周辺装置他

1,462,791

97.8

150,591

58.2

合計

31,167,588

136.4

4,876,183

160.9

 (注)金額には消費税等は含まれておりません。

 

c. 販売実績

 (a) 製品の分類別実績

 

 

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

前年同期比(%)

自動試験装置

(千円)

3,287,927

172.3

記録装置

(千円)

4,296,231

115.0

電子測定器

(千円)

14,166,462

148.5

現場測定器

(千円)

6,000,594

115.9

周辺装置他

(千円)

1,570,786

120.5

合計

(千円)

29,322,002

135.3

  (注)金額には消費税等は含まれておりません。

 

  (b) 顧客の所在地別実績

 

 

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

前年同期比(%)

国内

(千円)

12,134,998

113.5

海外

 アジア

(千円)

13,137,867

162.5

 アメリカ

(千円)

2,234,570

153.6

 ヨーロッパ

(千円)

1,416,980

133.0

 その他の地域

(千円)

397,585

107.5

 計

(千円)

17,187,004

156.6

合計

(千円)

29,322,002

135.3

 (注)1.金額には消費税等は含まれておりません。

2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10に満たないため、記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。

 この連結財務諸表の作成に当たり、連結会計年度末における資産、負債の金額、及び連結会計年度における収益、費用の金額に影響を与える重要な会計方針及び各種引当金等の見積り方法(計上基準)につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

 また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 なお、見積り、判断につきましては、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づいた合理的と考えられる様々な要因を考慮した上で行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 経営成績等の状況

 世界経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響や米中対立、半導体需給逼迫の影響を受け、先行き不透明な状況が続いております。これに伴い、部品原材料の値上げや輸送コストの増加などの影響が出ております。一方で、脱炭素化の世界的な流れはさらに加速しており、各国政府による公共投資及び企業による設備投資の拡大が引き続き期待されております。特に自動車の電動化は今後さらに加速し、バッテリー分野も含めた市場規模が拡大することが見込まれております。

 当連結会計年度において、脱炭素化に向けた世界各国の取り組みを受け、バッテリー、モーター、電子部品関連の計測器需要は高い状態で推移いたしました。また、海外市場における計測器需要は、中国、韓国、台湾及びアメリカ、ヨーロッパなどの幅広い地域で好調に推移いたしました。

 この結果、当社グループの売上高、営業利益、経常利益ともに前連結会計年度を上回り、過去最高の結果になりました。

 また、目標とする経営指標の一つであります売上高経常利益率につきましては、20%を目標に掲げております。当連結会計年度の経営計画では、13.1%として活動をスタートいたしました。脱炭素化に向けた世界各国の取り組みを受け、計測器需要が国内外で好調に推移し、人件費及び経費は増加したものの、売上高が大幅に増加したことにより、経常利益は前連結会計年度を上回り、売上高経常利益率は20.5%と目標を初めて達成することができました。また、もう一つの経営指標であります海外売上高比率につきましては、50%を目標に掲げております。当連結会計年度におきましては、58.6%と前連結会計年度から7.9ポイント上昇し、目標を達成いたしました。これは主として中国や韓国、台湾などのアジアをはじめ、アメリカ、ヨーロッパの各地域における計測器需要が引き続き堅調に推移したことに加え、同地域に対する拡販策が奏功し、売上高が伸長したことによるものであります。

 売上高経常利益率を改善させるため、開発面では、重点市場として捉えております、バッテリー、モーター、電子部品の分野に向けて顧客密着で高付加価値製品の開発を進め、製品を販売してまいります。

 また、販売面では、海外販売会社及び中国における研究開発等を担う孫会社を中心にHIOKIブランドの浸透を図り、海外売上高の伸長を目指してまいります。

 なお、当連結会計年度における製品区分別の状況は、次のとおりであります。

(自動試験装置)

 ベアボード検査装置は、半導体市場の好況に支えられ売上高が大幅に伸長いたしました。また、新規顧客からの要望により、さらなるプロービングの高精度化に取り組み、新市場の開拓に成功いたしました。実装基板検査装置は、バッテリー分野向けの検査として新しいアプリケーションが生まれ、売上高が伸長いたしました。

 この結果、売上高は32億87百万円(前連結会計年度比72.3%増)になりました。

(記録装置)

 データロガーは、エネルギーの有効利用や予兆保全などの分野において市場の拡大を進めることができました。また、バッテリー評価向けの高耐圧多チャネルのデータロガーの売上高も大幅に伸長いたしました。当連結会計年度末には、車載通信の標準であるCANデータを扱うことを可能にする新ユニットを市場に投入しており、今後自動車市場でのさらなる需要の拡大を見込んでおります。

 この結果、売上高は42億96百万円(同15.0%増)になりました。

(電子測定器)

 世界中で活発な設備投資が続くバッテリー市場に向けて、新製品を複数機種投入し、中国市場を中心に売上高は大幅に伸長いたしました。また、5Gの普及や自動車の電子化に伴い、電子部品業界では活発な設備投資が見られ、関連の計測器の売上高も大幅に伸長いたしました。

 世界的な脱炭素化への流れから、電気自動車や再生可能エネルギー関連の研究開発も活発となり、パワーアナライザや電流センサの需要は高い状態で推移いたしました。当連結会計年度末には、高度化する計測技術への要求に対応したパワーアナライザを市場に投入いたしました。世界最高性能を実現した製品であり、今後のさらなる市場拡大が期待されます。

 この結果、売上高は141億66百万円(同48.5%増)になりました。

(現場測定器)

 再生可能エネルギーの活用が進み、通信インフラの重要度が増す中、これらの電気設備に対する保守メンテナンスの重要性が高まっております。作業効率を向上させるIoTに対応した計測器のラインアップの拡充や、高電圧化が進む電気設備を安全にメンテナンスできる高電圧プローブなど、環境の変化に対応した新製品を市場に投入いたしました。

 この結果、売上高は60億円(同15.9%増)になりました。

 

b. 資本の財源及び資金の流動性について

 当社グループの資金需要のうち主なものは、材料費、人件費、新製品開発に必要な研究開発費、営業費用、管理費用及び設備投資資金であります。これらの資金需要につきましては、自己資金を充当しております。

 

 当社グループの経営方針、経営戦略につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に、経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

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