(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
イ 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ3,011百万円(19.2%)増加の18,686百万円、負債は、前連結会計年度末に比べ2,713百万円(67.0%)増加の6,764百万円、純資産は、前連結会計年度末に比べ298百万円(2.6%)増加の11,921百万円となりました。
ロ 経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の長期化による厳しい状況から徐々に回復しつつあるものの、度重なる感染拡大のリスクに加え、資源価格の高騰、半導体等の部品不足など、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
このような事業環境の下、当社グループにおきましては、中期経営計画ローリングプラン(2021-2023)に基づき、持続的成長のための経営基盤強化への積極的な投資に取り組んでまいりました。
当連結会計年度におきましては、新たにグループに迎え入れた「株式会社シバウラ防災製作所」を当社グループの中核事業に成長させるべく、海外市場への販売体制の強化等を図るとともに、グループ全体のシナジー創出を目的とした設備投資計画を推進してまいりました。
また、各部門の人員増強に加え、新人事制度及び教育制度導入による人材投資・育成にも積極的に取り組んでまいりました。
業績につきましては、サーマル部門が半導体市場の活況により引き続き好調に推移した上、消防ポンプ部門をグループに迎えたことにより、受注高及び売上高は前連結会計年度と比べ、大幅に増加いたしました。
以上の結果、受注高は12,829百万円(前期比39.6%増)、売上高は12,372百万円(前期比35.6%増)となりました。
利益面におきましては、子会社取得費用等により販売費及び一般管理費が増加したものの、売上高の増加及びSSP部門の利益率改善等により営業利益は1,270百万円(前期比65.9%増)、経常利益は1,338百万円(前期比59.6%増)となりました。しかしながら、長野工場の建替えに伴う減損損失及び2022年3月に公表いたしました「当社の一部製品に関する不正行為について」に記載の対象製品に関する改修見込額を特別損失として計上したため、親会社株主に帰属する当期純利益は387百万円(前期比33.8%減)となりました。
なお、新型コロナウイルス感染症による当連結会計年度における業績への影響は軽微であります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の残高は、前連結会計年度末に比べ、212百万円増加し5,740百万円となりました。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フローの状況)
当連結会計年度の営業活動によって得られた資金は1,203百万円(前期比558百万円減)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益682百万円、製品改修関連損失引当金の増加額459百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フローの状況)
当連結会計年度の投資活動によって使用した資金は1,265百万円(前期比321百万円増)となりました。これは主に連結の範囲の変更を伴う子会社の取得による支出1,528百万円、有価証券及び投資有価証券の売却及び償還による収入406百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フローの状況)
当連結会計年度の財務活動の結果獲得した資金は226百万円(前期は460百万円の使用)となりました。これは主に長期借入金の純増減額628百万円、配当金の支払額370百万円によるものであります。
(キャッシュ・フロー指標の推移)
|
2018年12月期 |
2019年12月期 |
2020年12月期 |
2021年12月期 |
自己資本比率(%) |
71.1 |
74.5 |
74.2 |
63.8 |
時価ベースの株主資本比率(%) |
52.7 |
54.3 |
51.8 |
48.0 |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) |
2.0 |
0.9 |
0.3 |
1.8 |
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
52.6 |
124.8 |
404.6 |
70.7 |
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
※いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により算出しております。
※利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を採用しております。
③ 生産、受注及び販売の実績
イ 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
生産高(千円) |
前年同期比(%) |
SSP部門 |
823,598 |
118.0 |
サーマル部門 |
1,745,592 |
118.8 |
メディカル部門 |
1,216,474 |
123.9 |
PWBA部門 |
1,292,208 |
109.7 |
消防ポンプ部門 |
1,570,306 |
- |
合計 |
6,648,181 |
153.6 |
備考 |
(SSP部門) 上記生産実績の外、防災設備工事の施工高は下記のとおりであります。 |
|
4,104,004 |
90.4 |
(注)1 金額は、販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 SSP部門の生産高には、防災設備工事で使用する機器も含まれております。
4 防災設備工事の施工高は、当期完成工事高+次期繰越施工高-前期繰越施工高を記載しております。
5 繰越施工高は、未成工事支出金より推定したものであります。
6 当連結会計年度より「株式会社シバウラ防災製作所」を連結の範囲に含めたことに伴い、新たなセグメントとして消防ポンプ部門を追加したため、当該部門の前年同期比は表示しておりません。
ロ 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
SSP部門 |
5,570,713 |
102.9 |
3,230,227 |
112.8 |
サーマル部門 |
2,517,423 |
174.5 |
906,379 |
341.6 |
メディカル部門 |
1,309,520 |
103.7 |
363,702 |
105.5 |
PWBA部門 |
1,224,301 |
114.2 |
243,317 |
167.6 |
消防ポンプ部門 |
2,207,491 |
- |
809,581 |
- |
合計 |
12,829,449 |
139.6 |
5,553,208 |
153.4 |
(注)1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 SSP部門には、完成工事高も含まれております。
3 当連結会計年度より「株式会社シバウラ防災製作所」を連結の範囲に含めたことに伴い、新たなセグメントとして消防ポンプ部門を追加したため、当該部門の前年同期比は表示しておりません。
ハ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
SSP部門 |
5,205,183 |
96.9 |
サーマル部門 |
1,876,349 |
134.5 |
メディカル部門 |
1,290,489 |
104.1 |
PWBA部門 |
1,126,190 |
100.5 |
消防ポンプ部門 |
2,873,853 |
- |
合計 |
12,372,066 |
135.6 |
(注)1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 SSP部門には、完成工事高も含まれております。
3 当連結会計年度より「株式会社シバウラ防災製作所」を連結の範囲に含めたことに伴い、新たなセグメントとして消防ポンプ部門を追加したため、当該部門の前年同期比は表示しておりません。
4 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
販売高(千円) |
割合(%) |
販売高(千円) |
割合(%) |
|
東レ・メディカル株式会社 |
1,176,721 |
12.9 |
1,235,565 |
10.0 |
西華産業株式会社 |
1,489,840 |
16.3 |
1,153,233 |
9.3 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当連結会計年度は、当社の一部製品に関する不正行為につきまして、関係者の皆様には多大なるご心配とご迷惑をお掛けし、深くお詫び申し上げます。このような事態を二度と繰り返さないとの断固たる決意をもって、再発防止の徹底及び信頼回復に努めてまいります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ 経営成績の分析
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
当連結会計年度より「株式会社シバウラ防災製作所」を連結の範囲に含めたことに伴い、新たな報告セグメントとして「消防ポンプ部門」を追加しております。
なお、「消防ポンプ部門」につきましては、前期比を表示しておりません。
SSP(Safety Security Protection)部門
当該部門におきましては、電力基幹産業向けの警報・消火設備や特定顧客向け国内外工場設備への特殊消火設備が堅調に推移したものの、特定顧客向け大型工事案件は若干減少いたしました。なお、産業用の小型感知器、防爆型煙感知器につきましては、半導体市場の活況に伴う需要増を背景に売上高が増加いたしました。
以上の結果、受注高は5,570百万円(前期比2.9%増)、売上高は5,205百万円(前期比3.1%減)となりました。
当該部門では、電力基幹産業向けの警報・消火設備の受注活動を継続するとともに、既存設備の入れ替えや改修工事の提案、差別化したガス消火設備等の受注活動を推進してまいります。
また、課題である人材育成及び体制の強化を図るとともに、産業向け特殊防災設備に関する提案、新製品の開発など、将来に向けた取り組みを進めてまいります。
サーマル部門
当該部門におきましては、半導体市場における設備投資需要の拡大が続く中、主力製品である半導体製造装置向け熱板及びセンサーの出荷が好調に推移し、受注・売上ともに大幅に増加いたしました。
以上の結果、受注高は2,517百万円(前期比74.5%増)、売上高は1,876百万円(前期比34.5%増)となりました。
当該部門では、主力製品である熱板及びセンサーなど、高い成長が見込まれる半導体市場における設備投資需要に支えられ、引き続き堅調に推移するものと予測しております。
メディカル部門
当該部門におきましては、新型コロナウイルス感染症の長期化により、主力製品である海外市場向け人工腎臓透析装置及び当該関連製品の出荷が、客先における在庫調整等により厳しい状況で推移いたしました。一方、国内市場向け人工腎臓透析装置の関連製品につきましては需要・出荷ともに堅調に推移いたしました。
以上の結果、受注高は1,309百万円(前期比3.7%増)、売上高は1,290百万円(前期比4.1%増)となりました。
当該部門では、主力製品である海外市場向け人工腎臓透析装置の出荷数量は前年並みと見込んでおります。また、人工腎臓透析装置以外の製品の海外市場参入に向けた活動を推進するとともに、客先販売力向上を支援すべく原価低減活動に注力してまいります。
PWBA(Printed Wiring Board Assembly)部門
当該部門におきましては、長引く新型コロナウイルス感染症の影響等により事務機器向け製品は減少したものの、産業機器及び医療機器向け製品が堅調に推移し、受注が増加いたしました。しかしながら、世界的な部品不足に伴う調達リードタイムの長期化等により生産調整を余儀なくされるなど、売上は微増にとどまりました。
以上の結果、受注高は1,224百万円(前期比14.2%増)、売上高は1,126百万円(前期比0.5%増)となりました。
当該部門では、新たな需要獲得に向け、協力会社との連携に加え、付加価値を高めたユニット製品等、積極的な提案活動を推進してまいります。事務機器向け製品における市況の回復が遅れているものの、産業機器や医療機器向け製品は引き続き堅調に推移するものと予測しております。
消防ポンプ部門
当該部門におきましては、消防ポンプ、消防車、保安ポンプ、全自動消火システム等の消防・防災機器の開発・製造・販売を行っております。
当連結会計年度におきましては、国内市場は新型コロナウイルス感染症の影響を受けつつも、主力の消防ポンプ・消防車・保安ポンプを中心に、地方自治体及び法人向けが堅調に推移いたしました。
海外市場におきましては、これまで不透明な状況が続いていた中国の入札動向にようやく回復の兆しが見えてまいりました。また、タイ・台湾・韓国向けの販売は、海外への渡航制限及び顧客との対面営業への制限が続くものの、引き続き好調に推移いたしました。
以上の結果、受注高は2,207百万円、売上高は2,873百万円となりました。
当該部門では、半導体等の部品不足に伴う消防車生産への懸念があるものの、国内は消防ポンプを中心に引き続き地方自治体及び総務省向け案件の受注獲得に向け注力してまいります。また、海外の主力市場である中国におきましては、中国国内における国産品優先購買の動向に注視しつつ、在外連結子会社との連携による販売体制の強化を図ってまいります。
ロ 財政状態の分析
(資産の状況)
当連結会計年度末の資産合計は、18,686百万円となり、前連結会計年度末15,674百万円に比べ3,011百万円(19.2%)増加しております。主な増加要因は株式会社シバウラ防災製作所の連結子会社化に伴う「のれん」1,042百万円(-%)、「受取手形及び売掛金」930百万円(100.3%)、「製品」519百万円(424.2%)や「完成工事未収入金」401百万円(42.4%)であります。
(負債の状況)
当連結会計年度末の負債合計は、6,764百万円となり、前連結会計年度末4,050百万円に比べ2,713百万円(67.0%)増加しております。主な増加要因は短期及び長期借入金の純増額1,578百万円(315.6%)、「支払手形及び買掛金」870百万円(74.7%)であります。
(純資産の状況)
当連結会計年度末の純資産合計は、11,921百万円となり、前連結会計年度末11,623百万円に比べ298百万円(2.6%)増加しております。主な増加要因は親会社株主に帰属する当期純利益387百万円によるものであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの分析につきましては、本報告書の「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
なお、当社グループの事業活動における運転資金の需要の主なものは、製造業に関わる部品仕入、外注費、建設業に関わる材料仕入、外注費及び各事業における一般管理費などがあります。また、投資資金の需要としては、中期経営計画に掲げている人材投資、新規事業創出等に係る投資のほか、工場の生産設備及び全社システムのシステム投資等があります。
これらの事業活動に必要な資金は、内部資金の活用を基本としておりますが、必要に応じて金融機関からの借入又は社債の発行による資金調達も行っております。借入につきましては、金額・期間等を考慮し、必要に応じて金利スワップなどの手段を活用し、金利変動リスクに備えます。充分な手元流動性資金と金融機関の借入枠を有しているため、今後の運転資金及び投資資金需要に対しても充分対処できる状況であります。
また、株主に対する継続的で安定的な利益還元を経営上の重要政策に位置づけているため、配当政策として、株主資本と連動した株主資本配当率(DOE)を採用することといたします。企業価値向上のための積極的な投資を実施しつつ、安定的な配当を継続するために株主資本配当率(DOE)3.5%程度を配当総額の目安とし、可能な範囲で積極的な利益還元を実施していく方針であります。
③ 経営方針、経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について
経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、ROE(自己資本利益率)及びEBITDAマージンを重視しており、中期経営計画ローリングプランにおける目標値をROE7%、EBITDAマージン12%として収益力の強化に取り組んでおります。当連結会計年度におきましては、ROEは特別損失658百万円を計上したことにより3.3%と目標を下回ったものの、EBITDAマージンは13%と目標を上回りました。
なお、新型コロナウイルス感染症による当連結会計年度における業績への影響は軽微であります。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当該事項につきましては、本報告書の「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
⑤ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
また、当該見積りに関する新型コロナウイルス感染症拡大による影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」を参照ください。
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