課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

 当社グループは、経営理念として以下を掲げております。

① 安全で高品質な製品の提供を通して、社会に貢献できるメーカーを目指す

② 高い技術力で顧客に信頼される企業を目指す

③ 取引先・株主・社員の満足度を高めることを目指す

④ 法令を遵守し倫理性の高い企業活動を通して、透明性のある企業を目指す

 この理念の下、差別化された高付加価値製品の開発、販売に注力することにより、収益力を高め企業価値の向上に努めてまいります。

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略

 当社グループは、中期経営計画ローリングプラン(2021-2023)に基づき、引き続き以下のビジョンと重点方針の下、持続的成長のための経営基盤への投資を積極的に取り組むことにより、企業体質の強化を目指します。

<ビジョン>

「安心を創造し人と社会をつなぐ企業を目指す」

<重点方針>

① 開発組織の陣容拡大と環境整備

② 社員が意欲をもって業務を遂行できる人事制度・組織の構築

③ オンリーワン製品の開発に注力し、高収益を目指す

④ 外部企業との提携、海外市場進出等による事業拡大への挑戦

⑤ ガバナンス、コンプライアンス対応強化

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、ROE(自己資本利益率)及びEBITDAマージンを重視しております。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当連結会計年度において、2022年3月31日付け「当社の一部製品に関する不正行為について」にて公表いたしましたとおり、当社が製造している一部製品に関し、2013年9月から2020年10月までの間に当社で製造した製品について、型式承認時に承認された部品とは異なる部品を一部用いて製造し、当該事実が発覚することを防ぐために、型式適合検定受検時に不正な手段を用いて型式適合検定に合格していたことが判明いたしました。

 当社では、本件不正行為が判明した後、本件対象製品の安全性検証を第一と考え、消防法及び規格省令に基づき本件対象製品本体及び設置場所における試験並びに機能、動作、安全性に関する検証を実施してまいりました。

 その結果、一部、規格省令に不適合項目はありますが、感知器や中継器に異常がある場合には、受信機に異常表示がされるという自動試験機能が備わっております。これまでの設置環境下において異常は出ておらず、現時点では機能喪失もなく、万一今後トラブル表示が発生した場合でも、適切な監視対応を行うことでご使用いただけると判断しております。

 しかしながら、消防機器を取り扱う当社としての社会的責任に鑑み、不正行為により出荷した本件対象製品の全数約10,000台について、代替製品への交換を進めてまいります。

 上記、不正行為が発覚したことに対し、当社は、その重大性に鑑み、コンプライアンスに精通した弁護士、及び当社社外監査役を構成員とする特別調査委員会を設置し、本件不正行為の詳細な経緯に関する調査結果、本件不正行為の原因分析及び再発防止策等の提言を受領いたしました。その調査結果等も踏まえ、当社としては、本件不正行為の原因は以下のとおりであると考えております。

 ① 法令遵守・コンプライアンス意識の欠如

 ② 消防法・検定制度の理解不足

 ③ 内部監査機能の機能不全

 ④ 組織内の連携体制の不全

 ⑤ 部門間の相互チェック機能の欠如

 

 具体的には、一部部品について、既にメーカーが生産を中止していたものの、かかる生産中止情報及び実際の在庫情報が社内で共有されないまま受注を獲得し、納期遵守を優先して、法令及び社内規程等を逸脱し、本件不正行為に及んでしまいました。更には、内部監査機能や部門間の連携、相互チェック機能が不十分であったことにより、本件不正行為を社内で防止することができなかったものと考えております。

 上記の原因を踏まえ、当社は、本調査委員会による再発防止策の提言等も踏まえつつ、以下のとおり、再発防止策を策定いたしました。

 ① 法令遵守・コンプライアンスに関する定期的な研修等の実施

 ② 品質保証体制の強化

 ③ 社内規程類の整備、改訂

 ④ 消防法・検定制度に関する外部講習会や社内研修会の実施

 ⑤ 内部監査室の役割・機能の強化

 ⑥ 部門間の情報共有の制度・機会の強化

 ⑦ 他部門による確認・承認を行う仕組みの導入

 

 当社は、上記の再発防止策に基づき、法令遵守・コンプライアンス意識の向上や、内部監査及び品質保証体制の強化、部門間の相互チェック機能の強化、社内規程の改訂や内部通報制度の実効性確保等、再発防止に向けて取り組んでまいります。

 このような事態を二度と繰り返さないとの断固たる決意をもって、再発防止の徹底及び信頼回復に努めてまいります。

 

セグメントごとの課題は次のとおりであります。

 

 SSP部門におきましては、今回の不正行為を重く受け止め、対象製品の全数交換を最優先課題といたします。また、二度と同様の事態を起こさないための再発防止策の徹底を図るとともに、人材育成、補強にも取り組んでまいります。

 サーマル部門におきましては、市場の変化に迅速かつ柔軟に対応するための開発及び生産体制の一層の強化を図るとともに、多様化・高度化する顧客の課題を解決に導く技術提案力を高めていくため、新技術へのチャレンジを推進してまいります。

 メディカル部門におきましては、原材料及び半導体不足に伴う部品の入手難が懸念されることから、サプライチェーンの連携強化を図り、製品の安定供給体制の構築に尽力してまいります。

 PWBA部門におきましては、引き続き部材の入手難や価格高騰による生産への影響が懸念されることから、製品を安定的に供給するための調達力を高めるとともに、ユニット製品など付加価値を高めた提案活動を推進してまいります。

 消防ポンプ部門におきましては、部品価格の高騰及び生産中止等のサプライチェーンの潜在的リスクを抱えております。急激な事業環境の変化にも柔軟かつ迅速に対応し、海外調達の推進による徹底した原価低減活動に取り組むことで、事業体質の強化と収益力向上に努めてまいります。

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