当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症による経済活動への制限が徐々に緩和されつつあったものの、ウクライナ情勢や中国でのゼロ・コロナ政策が経済活動の低迷に拍車をかけ、原油高による原材料価格の高騰、長期化する世界的な半導体の供給不足が各国経済に大きな影響を与えており、これに加え急速な円安の進行により多くの不確実性を抱えたまま景気の先行きは不透明な状況で推移しました。
当社グループとしましては、経営基本方針としている「One Stop Shopping」施策を継続して推し進め、受注範囲の拡大及び収益性の向上を目指し、新たなビジネスモデル構築に尽力して参りました。人手不足が深刻化する環境下での省力化投資によるロボット需要の拡大、さらにはロボットの作業範囲を広げるAIの進展、エネルギーを始めとする原材料高騰による省エネ・省資源化への設備投資の拡大等、当社グループには引き続き強い追い風が吹いております。当連結会計年度では大手企業の設備投資に強い復調の兆しがあったものの、長期化する半導体の供給不足が影響し、設備投資需要に供給が追いついていけないといった状況が続いております。
国内外のお客様におかれましては、原材料の高騰・供給不足から一部には生産回復の基調に水を差す状況が続いておりますが全体的には堅調に回復しており、今後中長期的には新規の設備投資・研究開発投資が順調に拡大していくものと思われます。設備・研究開発投資依存型のビジネスモデルである当社グループの業績は、短期的な変動要因はあるものの多少の時差を伴って拡大期を迎えるものと予想しております。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は283億31百万円(前期比3.8%の増)となり、損益面としましては営業利益が15億10百万円(同21.1%の増)、経常利益が16億3百万円(同16.1%の増)、親会社株主に帰属する当期純利益が10億63百万円(同22.9%の増)と増収・増益になりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首より適用しております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (会計方針の変更)」に記載しております。
なお、当社グループのセグメント別概況は次のとおりです。
(インテリジェントFAシステム事業)
インテリジェントFAシステム事業では、長期化する半導体の供給不足が大きく影響したものの、その中でもコロナ禍でのIoTを活用した設備投資の増加により各種検査装置が比較的好調だったこと、ロボット関連事業を始め水質検査システムや各種自動化システムの需要が拡大し、当社グループの「One Stop Shopping」施策も功を奏し前連結会計年度後半から利益率改善の兆しがみられ、売上高は98億20百万円(前期比1.5%の減)、営業利益は9億43百万円(同39.0%の増)と減収・増益になりました。
(IT制御・科学測定事業)
当事業のうちIT制御は主として製造業の合理化・研究開発の自動化等を目的とした設備投資の対象であるため、比較的景況の影響を受け易い傾向があります。一方、当事業の中でも科学測定分野は科学分析・計測機器等に代表される企業の新製品開発を目的とする部門や品質管理部門を対象とするため、景気の動向に左右されにくく安定的な分野であります。当連結会計年度においては、顧客の研究開発投資は依然として旺盛であり、加えて多くの製造現場で生産量の回復が堅調に進む中、生産設備への投資も堅調に回復傾向にあります。これらの結果、売上高は184億82百万円(前期比6.9%の増)、営業利益は8億22百万円(同2.0%の増)と増収・増益になりました。
当連結会計年度におけるインテリジェントFAシステム事業の生産実績は次のとおりであります。
(注) 金額は製造原価によっております。
当連結会計年度におけるIT制御・科学測定事業の商品仕入実績は次のとおりであります。
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
当連結会計年度末における流動資産の残高は176億64百万円となり、前期と比較して11億23百万円増加しました。この増加の主な要因は、現金及び預金が5億25百万円、電子記録債権が5億66百万円増加したこと等によるものであります。
当連結会計年度末における固定資産の残高は78億47百万円となり、前期と比較して3億39百万円増加しました。この増加の主な要因は、建設仮勘定が3億19百万円増加したこと等によるものであります。
当連結会計年度末における流動負債の残高は92億30百万円となり、前期と比較して17億5百万円増加しました。この増加の主な要因は、支払手形及び買掛金と電子記録債務を合わせた仕入債務が2億44百万円、未払法人税等が1億34百万円、その他の流動負債が1億48百万円増加したことと1年内返済予定の長期借入金を固定負債より11億円振り替えたこと等によるものであります。
当連結会計年度末における固定負債の残高は12億81百万円となり、前期と比較して11億31百万円減少しました。この減少の主な要因は、1年内返済予定の長期借入金を流動負債に11億円振り替えたこと等によるものであります。
当連結会計年度末における純資産の残高は149億99百万円となり、前期と比較して8億87百万円増加しました。この増加の主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益等により利益剰余金が8億53百万円増加したこと等によるものであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動により得られた資金の合計額が投資活動及び財務活動により支出された資金を上回ったため、前連結会計年度末に比べ5億25百万円増加し、68億12百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、12億5百万円(前期は18億75百万円の収入)となりました。これは主として売上債権の増加額が3億62百万円と法人税等の支払額が3億61百万円あった一方、仕入債務の増加額が2億44百万円と税金等調整前当期純利益が16億66百万円あったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は、4億58百万円(前期は1億55百万円の支出)となりました。これは主として投資有価証券の売却による収入が1億45百万円あった一方、有形固定資産の取得による支出が6億45百万円あったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は、2億24百万円(前期は47百万円の支出)となりました。これは主として配当金の支払額が2億20百万円あったこと等によるものであります。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり重要な会計方針等は「第5 経理の状況1 連結財務諸表等注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。連結財務諸表の作成にあたっては、経営者の判断のもと、一定の前提条件に基づく見積りが必要な場合があり、これらの見積りについては過去の実績等を勘案し合理的に判断しております。
また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては「第5 経理の状況1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
イ 売上高
当連結会計年度の売上高は283億31百万円(前期比3.8%の増)となりました。
インテリジェントFAシステム事業では、コロナ禍でのIoTを活用した設備投資の増加により各種検査装置が比較的好調であり、ロボット関連事業を始め水質検査システムや各種自動化システムの需要が拡大したものの、長期化する半導体の供給不足が大きく影響し、売上高は98億20百万円(同1.5%の減)となりました。
IT制御・科学測定事業では、顧客の研究開発投資は依然として旺盛であり、加えて多くの製造現場で生産量の回復が堅調に進む中、生産設備への投資も堅調に回復傾向にあったため、売上高は184億82百万円(同6.9%の増)となりました。
ロ 営業利益
当連結会計年度の営業利益は15億10百万円(前期比21.1%の増)となりました。
インテリジェントFAシステム事業では、当社グループの「One Stop Shopping」施策が功を奏し前連結会計年度後半から利益率改善の兆しがみられたこと等により営業利益は9億43百万円(同39.0%の増)となりました。
IT制御・科学測定事業では、利益率が前連結会計年度より僅かに低下したものの、売上高の堅調な推移に合わせて8億22百万円(同2.0%の増)となりました。
ハ 経常利益
当連結会計年度の経常利益は16億3百万円(前期比16.1%の増)となりました。
これは主として、貸倒引当金繰入額20百万円を計上した一方、受取配当金38百万円、仕入割引30百万円等の営業外収益を1億22百万円計上したこと等によるものであります。
二 親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は10億63百万円(前期比22.9%の増)となりました。
これは主として、投資有価証券売却益を80百万円計上した一方、法人税、住民税及び事業税5億34百万円を計上したこと等によるものであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品及び製品、原材料の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。
また、投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。運転資金及び設備投資資金は、自己資金及び金融機関からの借入等により調達しております。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、顧客である製造業の設備投資意欲、とりわけ当社グループが得意とするFA技術とIoTの融合分野であるインテリジェントFAシステムに対する購買意欲であり、さらにこの購買意欲に影響を与える最大の要因としては景気変動による設備投資動向の変化、当社製品がIoTを含む最先端のIT技術を駆使したFAシステムを常に提供できる体制を整え、顧客ニーズの変化を的確に捉えているかということが考えられます。加えて製造業各社が海外での生産を拡大させており、これに伴って発生する新たな需要を的確にフォローし、当社グループの海外ビジネス推進体制を整備して海外ビジネスの強化・拡大にどこまで取り組めるかということも重要な要素と考えております。
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