当社グループは経営基本方針として、FA業界における「One Stop Shopping」を目指しております。顧客が抱えている多方面の要望(提案、設計、製造、設置、工事、保守)を一手に引き受けられるようグループの連携強化に取り組んでおります。
研究開発型企業である当社グループにとって顧客へ「提案」できることが最大の付加価値であり、そのためには顧客ニーズに即したテーマを設定し要素技術の研究と新技術のキャッチアップが最優先課題と考えております。近年のテーマとしてはAI(Artificial Intelligence)、IoT(Internet of Things)、カーボンニュートラル、DX(Digital Transformation)があります。その中でもAI、IoT、カーボンニュートラルに焦点を当て研究を行ってまいります。
AIの分野は成長が著しく、FA業界においてはビッグデータとの融合により画像検査や予兆保全等の質の向上に貢献しています。予兆保全を例に取りますと、IoTの普及により密に大量に取得できるようになった設備の情報にAIを適用することで、熟練者でなければ見抜けなかったような機械の不調を自動的に検出できるようになりつつあります。技術開発部門ではAIの活用方法を提案するために、カスタムのAIモデル作成の調査・研究を行ってまいります。
IoTのセンサは小型軽量、低消費電力ながら通信距離も長く取れ、多く設置できるというメリットがありますが、電源供給または電池交換作業は未だ必要です。例えば橋梁の劣化を見るべく梁やワイヤの伸縮を取得する電池駆動のセンサを付けたとして、数年に1回は電池交換が必要で工事費が掛かります。電源の供給が見込めない箇所への設置には一次電池か太陽電池+二次電池という組み合わせが一般的ですが、二次電池も繰り返しの充放電で劣化していくためいずれ交換が必要です。これを改善すべく近年製品化された全固体電池を利用して電池交換不要・小型・長期運用可能なIoTセンサ用電源の研究を行ってまいります。
カーボンニュートラルの関連としてはEV化が大きな領域となっております。EVに使用されるバッテリーはリチウムイオン電池に相当するエネルギー密度の物がまだ無く、まだ十数年は使用されると考えられます。リチウムイオン電池は内部のセパレータ(絶縁体)への異物混入による発熱や発火の事故は未だゼロにはならず、金属異物検査装置のニーズは留まることがありません。リチウムイオン電池は高出力になっても1個あたりは小さいため、高感度化は早急な課題です。異物検査装置「Milvus(ミルバス)」はこれまでに無いレベルの極小異物を検出する検査装置として設計し、センサ部の開発、処理アルゴリズムの開発を経て今後フィールドテストを行う段階となっております。早急な市場投入を目標に製品開発の期間短縮に寄与するため研究を行っております。
当社の研究開発体制は、研究開発本部でエレクトロニクス分野の基礎研究と応用製品開発、ロボット本部でメカトロニクス設計、第一エンジニアリング本部でソフトウェアテクノロジーに基づいた制御アプリケーション開発やネットワークアプリケーション開発を行っております。それに加えグループの中央研究所として、カナダの研究開発機関であるKyoritsu Electric Corporation (Canada)には引き続き組み込みシステムに特化した基礎研究開発に専念させ、市場対応の強化を図っていく方針であります。また、顧客満足度の向上に品質面を強化すべく品質保証部を充実し今後とも競争力の高い新製品の開発に邁進いたします。
なお、インテリジェントFAシステム事業における当連結会計年度の研究開発費の総額は
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