業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営成績等の状況の概要

 ① 経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が続くなか、ワクチン接種の普及拡大や緊急事態宣言の解除等により経済活動の正常化が期待されたものの、新たな変異株の感染が拡大し、先行き不透明な状況で推移いたしました。また、米中対立やウクライナ情勢の緊迫などの地政学的リスクは、コロナ禍における原油や原材料価格の上昇、物流費の高騰、サプライチェーンの分断を悪化させており、注視が必要な状況が継続しております。

このような経営環境のもと、当社グループは2020年4月に公表いたしました中期経営計画として、「TWINBIRDブランド価値向上」「経営品質の向上」「成長事業の進展」を基本戦略に掲げ、事業構造を筋肉質に転換し財務体質を強化するとともに、成長事業(FPSC事業)の進展に向けた取組みを進めてまいりました。上期には新型コロナワクチン接種需要に伴う当社FPSC(フリー・ピストン・スターリング・クーラー)製品の売上が大きく業績に寄与し、下期には家電業界で最大需要期となる年末年始商戦及び新生活商戦に向け、感動シンプルのブランドラインにスチームオーブンレンジを導入してリブランディング戦略を加速いたしました。その結果、中期経営計画3年間の累積業績目標を1年前倒しで達成するとともに、財務体質の強化が計画どおり進み、下期より戦略的投資(キャッシュベース約10億円)の実行を開始いたしました。

以上の結果、当社グループの当連結会計年度における売上高は12,869百万円となり、前期比364百万円の増収(増減率+2.9%)となりました。利益面につきましては、営業利益は719百万円となり前期比110百万円の増益(増減率+18.1%)、経常利益は610百万円となり前期比126百万円の増益(増減率+26.0%)、また法人税等調整額を△61百万円計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は419百万円となり、前期比255百万円の増益(増減率+156%)と3期連続の増収、3期連続の営業利益増益を実現いたしました。

 

セグメント別の業績は、次のとおりであります。

 

(a)家電製品事業

家電製品事業におきましては、前期における調理家電等の巣ごもり需要や定額給付金等による家電需要の反動を受け、家電量販市場向けの売上が減速しましたが、ホテルや病院向けの業務用家電及びOEM製品等のソリューションビジネスが順調に回復しております。

利益面では、匠プレミアムブランドラインを代表する全自動コーヒーメーカーが累計約7万台となる販売を記録するなど好調に推移したほか、下期には最大の需要期である年末年始商戦及び新生活商戦に向け、感動シンプルブランドラインにスチームオーブンレンジを投入するなど、革新的な戦略的新商品へのシフトを進め、家電製品事業の収益基盤を強化いたしました。また、直近2年間で商品点数を1/2以下に絞込みながらも商品1点当たりの売上を増加、波及効果も含めた収益性の改善を進めたことなどにより、売上総利益率は前期比0.4pt改善しました。一方、中長期的な成長の起爆剤とすべく、リブランディングや戦略的新商品の開発のため、キャッシュベースで約10億円の大胆な戦略的投資を実施いたしました。

この結果、家電製品事業の当連結会計年度における売上高は10,658百万円となり、前期比294百万円の減収(増減率△2.7%)、セグメント利益は847百万円となり、前期比67百万円の減益(増減率△7.4%)となりました。

※家電製品事業に関する四半期業績の特性について

家電製品事業につきましては、年末年始商戦や新生活商戦における販売需要が最も多くなるため業績に季節的変動があり、売上高及び利益は第4四半期連結会計期間に集中する傾向があります。

 

(b)FPSC事業

FPSC事業につきましては、新型コロナウイルス感染症ワクチン用ディープフリーザー(SC-DF25WL)について武田薬品工業株式会社向け大型案件の出荷を4月にて完了し、さらに厚生労働省からの追加受注につきましても7月及び9月に出荷し、前期からの累計出荷台数は約1万2千台となりました。これらの製品はモデルナ社ワクチンの主な接種先である医療機関や職域接種会場等への輸送・保管用に幅広く使用されており、3回目以降のワクチン接種に向けたリフレッシュサービスを11月より約6千台実施したことも、当期業績に寄与いたしました。尚、この製品は医療コールドチェーンに提供する製品として高い信頼性が求められるため定期的なメンテナンス(リフレッシュサービス)が必要となります。

この結果、FPSC事業の当連結会計年度における売上高は2,211百万円となり、前期比658百万円の増収(増減率+42.4%)、セグメント利益は906百万円となり、前期比238百万円の増益(増減率+35.7%)となりました。

 

 ② 財政状態の状況

当連結会計年度末の総資産は11,121百万円となり、前期末比1,850百万円減少いたしました。主な内訳は、現金及び預金が978百万円の減少、受取手形及び売掛金が1,284百万円の減少であります。

負債は2,419百万円となり、前期末比2,483百万円減少いたしました。主な内訳は、短期借入金が1,050百万円の減少、一年内返済予定の長期借入金が523百万円の増加、長期借入金が1,190百万円の減少であります。

純資産は8,701百万円となり、前期末比633百万円増加いたしました。親会社株主に帰属する当期純利益を計上しましたが、配当の支払などにより利益剰余金が289百万円増加しております。

これらの結果、自己資本比率は78.2%(前期末比+16.0pt)と財務体質は大きく改善しており、今後の事業展開に向けた戦略的な投資余力を十分に確保しております。

 

 ③ キャッシュ・フローの状況

営業活動によるキャッシュ・フローは1,517百万円の収入となり、前期比630百万円の収入増加となりました。FPSC事業における厚生労働省向けの販売に伴う売掛金を回収したこと等により、売上債権の増減額による収入が1,286百万円発生しております。

投資活動によるキャッシュ・フローは524百万円の支出となり、前期比467百万円の支出増加となりました。新商品製造に使用する金型投資等により、有形固定資産の取得による支出が418百万円となりました。また前期は政策保有株式の売却等により、投資有価証券の売却による収入が418百万円発生しておりましたが、当期は同様の収入は発生しておりません。

財務活動によるキャッシュ・フローは1,985百万円の支出となり、前期比2,524百万円の支出増加となりました。前期はFPSC事業の戦略的な拡大を目的として新株予約権の行使による株式を発行し、1,499百万円の資金を調達いたしました。当期におきましては、有利子負債の返済により短期及び長期借入金を1,716百万円圧縮いたしました。また現金及び現金同等物の期末残高は1,009百万円となり、前期末から979百万円の減少となりました。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 ① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。

なお、たな卸資産の評価については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しています。また、新型コロナウイルス感染拡大にともなう会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 追加情報」に記載しています。

 

固定資産の減損処理

減損損失は、減損の兆候が見られる資産グループについて減損損失の認識を判定し、当該資産グループから得られる将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失を計上することとしています。

減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては決算時点で入手可能な情報に基づき合理的に判断していますが、経営環境の変化や地価の変動等、前提とした条件や仮定に変更が生じ回収可能価額が減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

繰延税金資産

繰延税金資産の回収可能性は、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性、タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性及び将来加算一時差異の十分性に基づき、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかにより判断しています。

当該見積り及び仮定について、外部環境の変化等により見直しが必要となった場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

 

 ② 経営成績、財政状態、キャッシュ・フローの状況の分析

 「(1)経営成績等の状況の概要」に記載しています。

 資本の財源及び資金の流動性については「(4)資本の財源及び資金の流動性」に記載しています。

 

(3)生産、受注及び販売の実績

 ① 生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年3月1日

至 2022年2月28日)

前年同期比(%)

家電製品事業(千円)

7,396,291

102.8

FPSC事業(千円)

988,047

137.5

合計(千円)

8,384,338

106.0

 (注) 金額は製造原価によっており、消費税等は含まれておりません。

 

 ② 商品仕入実績

 商品仕入実績については、当社グループの業務形態上、重要性が乏しいため記載を省略しております。

 ③ 受注実績

 当社グループの生産活動は、その多くを見込生産でおこなっておりますので、受注実績は記載しておりません。

   ④ 販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年3月1日

至 2022年2月28日)

前年同期比(%)

家電製品事業(千円)

10,658,236

97.3

FPSC事業(千円)

2,211,689

142.4

合計(千円)

12,869,925

102.9

     主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年3月1日

至 2021年2月28日)

当連結会計年度

(自 2021年3月1日

至 2022年2月28日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

㈱ケーズホールディングス

2,079,746

16.6

1,645,096

12.8

 (注)  本表の金額には消費税等は含まれておりません。

(4)資本の財源及び資金の流動性

 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

 運転資金需要のうち主なものは、材料の仕入のほか、製造原価、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。

 短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。

 当連結会計年度における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は1,474百万円となっております。

 また、当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は1,009百万円となっております。

 当連結会計年度において、取引先金融機関6行が参加したシンジケートローン契約(総額2,500百万円)を締結いたしました。今後の成長戦略を実現するさまざまな戦略的投資に対して機動的に資金調達することが可能になるとともに、複数の金融機関からの調達条件及び事務窓口を一本化することにより、安定的かつ効率的に資金調達を実行できるようになります。これにより、今般の新型コロナウイルス感染症がさらに長期化、又は感染拡大が進行した場合においても、状況に応じた機動的な借入負担に対する余力を備えております。

 

(5)目標とする経営指標の分析

 目標とする経営指標の分析につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1) 経営の基本方針 ② 目標とする経営指標」に記載のとおりであります。

 

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