文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
① 経営理念
当社グループは、経営理念として「感動と快適さを提供する商品の開発」「相互信頼を通じた豊かな関係づくり」「快活な職場づくりへの参画と社会の発展への寄与」「自己の成長と豊かな生活の実現」を掲げ事業活動を進めております。
当社グループは、ステークホルダーズの皆様に期待される会社になるため、経営理念に基づき企業ビジョン「お客様満足№1」を掲げ、お客様のお声に真摯に耳を傾け、新潟県燕三条地域の職人気質のモノづくりで、お客様にご満足いただける商品・サービスをお届けし続ける企業を目指しております。
② 目標とする経営指標
当社は業績を示す経営指標として、事業特性に照らして、取組みの成果を適切に示す観点から以下のとおり2020年度から2022年度までの中期経営計画(2020年4月24日公表)を策定し、各収益項目を掲げております。同計画では、事業規模の拡大を追求するのではなく、事業の「質」を改善することに注力いたします。つまり、まず事業構造を筋肉質に転換し、収益性と資産効率を向上させ、キャッシュ・フローの創出力を高めることで財務体質を強化します。その強化した事業収益性と財務体質を活用し、次の事業成長のための基盤を整え、事業のサステナビリティを強化してまいります。
当社は、中期経営計画の取組み成果を適切に示す観点から、以下のとおり、各収益項目、資本効率及び財務健全性を示す経営指標を数値目標として掲げております。中期経営計画の2年目である2021年度においては、すべての数値目標値を達成しており、加えて中期経営計画の3年間の累積業績目標においても1年前倒しで達成しております。
なお、2021年度の経営成績概要については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載しております。
(中期経営計画(2020-2022)数値目標及び2021年度実績)
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2020年度 実績 |
2020年度 目標値 |
2021年度 実績 |
2021年度 目標値 |
2022年度 目標値 |
売上高 (百万円) |
12,505 |
12,200 |
12,869 |
12,600 |
13,180 |
営業利益 (百万円) |
608 |
250 |
719 |
350 |
480 |
経常利益 (百万円) |
484 |
130 |
610 |
230 |
450 |
親会社株主に帰属する当期純利益 (百万円) |
164 |
60 |
419 |
150 |
300 |
ROE |
2.3% |
0.9% |
5.0% |
2.3%以上 |
4.6%以上 |
自己資本比率 |
62.2% |
59%程度 |
78.2% |
60%程度 |
62%程度 |
(注)本計画に記載されている内容は、種々の前提に基づいたものであり、記載された将来の計画数値や、施策の実現を確約したり、保証するものではありません。また、新型コロナウイルスの更なる拡大・長期化による影響は含んでおりません。なお、2022年度の中期経営計画目標は収益認識会計基準適用後の数値となります。
(2)新たな中長期的な経営戦略及び会社の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
わが国の経済はコロナショックから経済活動の正常化への過程にあります。2021年度は新型コロナウイルス感染症の影響が続くなか、ワクチン接種の普及拡大や緊急事態宣言の解除等により経済活動の正常化が期待されたものの、新たな変異株の感染が拡大し、先行き不透明な状況で推移いたしました。また、米中対立やウクライナ情勢の緊迫などの地政学的リスクは、コロナ禍における原油や原材料価格の上昇、物流費の高騰、サプライチェーンの分断を悪化させており、注視が必要な状況が継続しております。このような先行き不透明な状況は今後も継続するものと考えられ、また新型コロナウイルスがもたらした様々な影響は「新常態」と呼ばれる抜本的な社会的変化となって徐々に定着してきております。
そのような状況の中、当社グループは、「事業の持続可能性の確保」と「新常態での能動的な事業機会獲得への取組み」が重要な課題と認識しております。
当社グループは、このような急激に変化する事業環境の中で、持続可能な経営を実現するには、経営理念のもとにツインバードの存在意義や価値観を明確にすることが肝要と考えております。私たちがたどり着いたのは、やはり「お客様の喜びが私たちの喜びである」という原点であり、お客様のお声に真摯に耳を傾け、新潟県燕三条地域の職人気質のモノづくりで、お客様にご満足いただける商品・サービスをお届けし続ける企業を目指してまいります。
当社グループは、ステークホルダーズの皆様に期待される会社になるため、経営理念に基づき企業ビジョン「お客様満足No.1」を掲げ、その実現に向けて、TWINBIRDブランド価値向上、経営品質の向上、成長事業の進展を柱とする取り組みを進めてまいります。
2020年にスタートした中期経営計画の着実な実行により、財務体質を大きく改善し、投資余力を確保することができた結果、家電製品事業の収益化、FPSC事業の新展開などを今後も加速していきます。具体的には、家電製品事業では、収益性の高い商品への絞り込みを継続するとともに、今後は体験価値を訴求する戦略的新商品の開発、マーケティング投資をおこないます。FPSC事業では、国内でのワクチン運搬庫の成功実績をもとに、ワクチン接種が進んでいない海外地域・国での拡販を着実に進めます。さらにFPSCの技術を活かし、ワクチンに次ぐ医薬品分野、とりわけ生物由来の医薬品のコールドチェーン構築と事業拡大を企図しております。DXの加速としては、DXロードマップに基づく業務領域別投資及びITインフラ強化投資に取り組んでおります。以上により、2021年度は約10億円の戦略投資を実行しております。
1.ブランド価値向上
ブランド価値向上では、戦略投資を通じて3つの変革を起こし、次のステージに向かいます。「価値訴求の変革」では、製品そのものの性能や仕様、あるいは価格といった商品価値の訴求から、体験価値や商品ストーリーの訴求に転換します。「お客様とのコミュニケーションの変革」では、従来はご購入前に重きを置いていましたが、ご購入後の継続的なコミュニケーションにも注力し、一人でも多くの方にツインバードのファンになっていただき、継続的なご購入を促進していきます。「販売チャネルの変革」では、ホームページとECサイトの統合リニューアルなど、ツインバードの世界観を表現する売り場を増やし、リアルとデジタルを融合し、お客様の体験価値の最大化を図ります。このうち、「体験価値訴求型へのシフト」としては、これまでは多様なユーザーに主にエントリークラスのさまざまな商品を提供してきましたが、これからは少人数世帯で、シンプルでこだわりのある生活者をターゲットとしていきます。そして、素晴らしい「感動と快適の体験価値」を提供する、ラインナップの拡充への商品開発投資を加速していきます。
これらのブランド価値向上のための戦略や変革を支える基盤を構築するため、また新潟・燕三条発のブランドであることを伝えていくとともに、「本質的に価値ある家電を追求する」という想いのもと、2021年11月9日に2つのブランドラインを新設しました。“匠の技を、おうちで好きなだけ味わう”ことを実現した「匠プレミアム」と、本当に必要なものだけがくれる感動と快適を長く提供する「感動シンプル」の2つのブランドラインを立ち上げております。また、家電メーカーとして私たちが社会やユーザーに提供していく価値や商品開発の考え方を明確に打ち出すべく、新たにブランドプロミス「心にささるものだけを。」を策定しました。さらに、「共創」の姿勢を表した「一対の鳥」を表現した従前のコーポレートロゴについても、その意思と歴史を受け継ぎつつも、より時代の変化に対応した現代的なロゴマークへ、要素を洗練させ、これからもお客様とともに歩み続けるという意思を込めて刷新しております。ものづくりの町「新潟・燕三条」という場所で家電を作り続けてきたからこそ辿り着いた「安心できる品質と、ずっと使ってもらえる機能と、タイムレスなデザインをもった“本質的に価値ある家電”」をこれからもお届けしてまいります。
2.FPSCのさらなる事業展開
FPSC事業では、日本市場でのワクチン運搬庫ビジネスにおいて、2,500万人分(モデルナワクチンの総輸入量より推定)のワクチン接種に貢献し、成功実績を積み上げてきました。世界に目を向けると、100人当たりの新型コロナワクチン接種率は、日本、欧米、中国で進む一方、その他アジア諸国では5割、アフリカに至っては1割未満となっています。人口換算では、アジアで12億人、アフリカでも11億人が接種を待ち望んでいると推定されます。ツインバードでは、このように特にワクチン接種が遅れている地域でのコールドチェーン構築に取り組み、感染収束に貢献したいと考えています。さらに、コールドチェーン構築による新たな事業領域への参入にも挑戦します。遺伝子型ワクチンにおけるコールドチェーン構築の実績と、持ち運びができ、極低温まで精密な温度管理ができるといったFPSC方式の技術的優位性を活かし、生物系の抗体医薬品、iPSなどの細胞治療薬、さらには最先端の遺伝子治療薬など、厳格な温度管理が要求される領域でのコールドチェーン構築への事業拡大を図っていきます。
3.DXの加速
当社は、中期事業戦略を実行し、継続的に企業価値を高めていくには、「デジタル企業としての企業文化の変革」が必須と認識しています。そのために、2020年度からDXの実践を通じて、電子化・見える化を可能とする「デジタル基盤の構築」を基礎に、間接業務を中心にベストプラクティスに基づく「自動化・効率化の実現」を図り、さらに新たな付加価値創造のための「ビジネスモデルの変革」、「デジタルマーケティングの実現」に取り組んでいきます。
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