業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の蔓延により経済が急激に落ち込んだ前期と比べ、緩やかな回復傾向にありましたが、変異ウイルスの度重なる出現により、その回復の速度は遅く、特に日本におきましては、未だに新型コロナウイルス発生前の経済状況への回復を果たせておりません。

 当社グループは、国内6工場(いずれも静岡県西部に立地)にて生産を行うほか、海外6工場(中国2工場、ベトナム2工場、インド2工場)において生産を行っております。国内工場、海外工場とも十分な感染症対策を実施して生産活動を行っておりましたが、前期は中国、インドにおきまして、また当期は、インド、ベトナムにおきまして、工場立地地域における新型コロナウイルス感染症の感染拡大を背景として工場の操業停止命令あるいは生産縮小措置などが出され、当社工場の生産活動に制約が加えられました。特に、2021年7月以降、ベトナムにおいて長期にわたる生産縮小措置がとられ、一部品目において納入先企業への定期の部品納入ができない事態が発生いたしました。ベトナムからの輸送を早めるための航空貨物の臨時的な利用、日本、インド他における代替生産のための設備の購入、人員の雇用などの経費支出が重なり、部品企業としての供給責任は果たしたものの、営業成績としては目標未達となりました。

 当連結会計年度の業績は、売上高は58,790百万円(前期比30.0%増)と計画を大きく上回りましたが、営業利益は281百万円(同71.3%減)、経常利益は840百万円(同39.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は702百万円(同49.5%減)と計画を下回る結果となりました。

 提出会社の売上高は39,132百万円(前期比32.7%増)、営業利益は381百万円(同21.5%減)となりました。

 セグメントの業績は次のとおりであります。

(車載電装品)

 車載電装品では、各種電子制御ユニット等の販売増により、売上高は17,155百万円(前期比5.4%増)、営業利益271百万円(同27.1%増)となりました。

(民生産業機器)

 民生産業機器では、通信用スイッチユニット及び産業用ロボットコントローラ基板等の販売増により、売上高は19,864百万円(前期比38.8%増)となりましたが、円安の影響もあり営業利益は590百万円(同8.6%減)となりました。

(ワイヤーハーネス)

 ワイヤーハーネスでは、四輪用及び船舶用ワイヤーハーネスの販売増により売上高は21,658百万円(前期比49.2%増)となりましたが、生産が縮小したベトナム工場の代替生産をインド・日本等で実施した経費が増加した結果、営業損失は344百万円(前期は380百万円の営業利益)となりました。

(その他)

 その他では、売上高は112百万円(前期比3.0%増)、営業損失は298百万円(前期は282百万円の営業損失)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は前連結会計年度末に比べ229百万円減少し、1,964百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において営業活動による資金の支出は、4,754百万円(前期は153百万円の取得)となりました。これは主に、棚卸資産の増加額5,307百万円を反映したものであります。

 営業活動によるキャッシュ・フローは、ベトナム工場のロックダウンに伴う代替生産のための原材料の重複保有及び材料調達難への対応としての原材料在庫の積み増しによる棚卸資産の増加により、大きく資金を支出した結果マイナスとなりました。翌期においても半導体を始めとした原材料の調達難等による不安定な状況が懸念されるため、営業活動によるキャッシュ・フローを確保すべく国内外における営業活動の強化及び経費削減に努めてまいります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において投資活動による資金の支出は、1,355百万円(前期は1,494百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出1,455百万円を反映したものであります。

 主に国内外の設備の増設及び更新のための投資によるものであり、翌期については、国内における新工場建設の着手及びフィリピン子会社の設立等、グループの成長のために必要な投資を中心に投資活動を実施していく考えであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において財務活動による資金の取得は、5,700百万円(前期は1,457百万円の取得)となりました。これは主に、借入金の増加額5,986百万円を反映したものであります。

 棚卸資産の増加及び有形固定資産の取得等の資金需要に対応するため、短期及び長期の借入による資金調達を実施いたしました。今後、受注の変動に対応した生産在庫水準の適正化に努め、資金の効率的な利用を図ってまいります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

(a)生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)

前年同期比

 

千円

車載電装品

18,976,210

15.1

民生産業機器

21,275,838

31.4

ワイヤーハーネス

30,489,647

54.1

 報告セグメント計

70,741,696

34.8

その他

219,333

86.7

合計

70,961,030

34.9

(注)1.金額は販売価格で表示しており、最終工程の生産実績をセグメント別に集計し、連結会社間取引消去前の数値によっております。

2.当連結会計年度において、ワイヤーハーネスにおける生産実績の著しい増加につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

 

(b)受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

車載電装品

18,944,302

7.6

1,952,122

△12.0

民生産業機器

21,745,742

24.5

3,734,824

14.5

ワイヤーハーネス

30,123,196

46.4

2,534,051

33.4

 報告セグメント計

70,813,241

27.3

8,220,997

11.4

その他

217,590

84.2

588

△93.5

合計

71,030,832

27.4

8,221,585

11.2

(注)金額は販売価格で表示しております。

 

(c)販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)

前年同期比

 

千円

車載電装品

17,155,110

5.4

民生産業機器

19,864,158

38.8

ワイヤーハーネス

21,658,287

49.2

 報告セグメント計

58,677,557

30.1

その他

112,603

3.0

合計

58,790,160

30.0

(注)1.セグメント間の取引につきましては相殺消去しております。

 2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

   至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

   至 2022年3月31日)

 

千円

千円

スズキ㈱

5,746,577

12.7

8,793,219

15.0

ヤマハ発動機㈱

6,697,603

14.8

8,580,399

14.6

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。

 当社グループの連結財務諸表作成にあたっては、当連結会計年度末における資産、負債の報告金額及び収益、費用の報告金額に影響を与える見積り、判断及び仮定を使用することが必要となります。当社グループの経営陣は連結財務諸表の基礎となる見積り、判断及び仮定を過去の経験や状況に応じ合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っております。しかしながら、これらの見積り、判断及び仮定は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。当連結会計年度末においては、新型コロナウイルス感染症の影響等不確実性が大きく将来事業計画等の見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、期末時点で入手可能な情報をもとに検証等を行っております。

 なお、連結財務諸表の作成のための重要な会計基準等は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。

 新型コロナウイルス感染症の影響を含め、重要な会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当連結会計年度は、中期経営計画「VISION2025」を策定し、「低炭素社会の実現に資する電子ユニット」「重要電子機器をつなぐワイヤーハーネス」「新規事業」「海外における受注生産事業」の4つの重点分野を指定し集中的に取り組んでまいりました。

 具体的には、「低炭素社会の実現に資する電子ユニット」について、世界的な脱炭素化の流れが加速している中で、当社のパワーエレクトロニクス製品の開発を加速すべくインド子会社にR&D部門を立上げ、現地技術人材を確保し、開発・製造体制の構築を進めてまいりました。また、浜松市北部に低炭素社会に適応した新工場の建設のための準備を進めております。

 「重要電子機器をつなぐワイヤーハーネス」につきましては、新たにフィリピンにおける子会社設立準備に着手するなど、BCPの観点から複数拠点からの製品供給能力の向上を図る取組みを推進してまいりました。

 「新規事業」につきましては、メディカル関連・超音波関連の新製品の開発・製造に注力しております。

 「海外における受注生産事業」につきましては、主にインドにおいて新規顧客からの受注の拡大に取組み、量産開始に向けての準備を進めております。

 

経営成績の分析

(売上高)

 当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ13,576百万円増加し、58,790百万円(前期比30.0%増)となりました。上半期は新型コロナウイルス感染症拡大による影響を受けましたが、下半期に入り客先の挽回生産等により販売は増加し、特に民生産業機器及びワイヤーハーネスで販売増となり、500億円を超える売上を計上する結果となりました。各セグメントの外部顧客に対する売上高の連結売上高に占める割合は、車載電装品が29.2%、民生産業機器が33.8%、ワイヤーハーネスが36.8%、その他が0.2%となりました。

 提出会社の売上高は、39,132百万円(同32.7%増)となり、国内においても前連結会計年度を上回る売上を計上する結果となりました。

(売上総利益)

 当連結会計年度における売上総利益は、前連結会計年度に比べ42百万円増加し、4,373百万円(前期比1.0%増)となりました。売上総利益率は、コロナウイルス感染症の影響を受けベトナム子会社がロックダウンとなり、バックアップ生産費用の発生及び国際物流費用の増加等により、前連結会計年度に比べ2.2ポイント減少し7.4%となりました。

(営業利益)

 当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ741百万円増加し、4,092百万円(前期比22.1%増)となりました。

 提出会社の営業利益は381百万円(同21.5%減)となり、国内事業はバックアップ生産の費用負担が嵩み、減益となりました。

 以上の結果、当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ699百万円減少し、281百万円(同71.3%減)となりました。

(経常利益)

 当連結会計年度における営業外収益は、為替差益及び補助金収入等の発生により前連結会計年度に比べ213百万円増加し、694百万円(前期比44.5%増)となりました。

 営業外費用は、支払補償費の発生により、前連結会計年度に比べ56百万円増加し、135百万円(同71.0%増)となりました。

 以上の結果、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べ541百万円減少し、840百万円(同39.2%減)となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度における特別利益は、投資有価証券売却益の発生により、連結会計年度に比べ42百万円増加し、48百万円(前期比834.6%増)となりました。特別損失は、固定資産処分損の減少により前連結会計年度に比べ25百万円減少し、25百万円(同50.0%減)となりました。

 以上の結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ687百万円減少し、702百万円(同49.5%減)となりました。

 

 新型コロナウイルス感染症の蔓延及びウクライナ情勢等による世界経済への影響は当面予断を許さない状況が続くと想定されるため、受注の変動に対応できる生産体制の合理化、省人化等に注力してまいります。中期的には、販売先の多角化が必須な状況であり、新規顧客の開拓、新規商品の開発を進めてまいります。

 

財政状態の分析

(流動資産)

 当連結会計年度末における流動資産の残高は、28,986百万円(前年度末比35.5%増)となりました。原材料及び貯蔵品の増加4,504百万円(同83.1%増)及び未収入金の増加1,016百万円(同265.5%増)が主な要因であります。

(固定資産)

 当連結会計年度末における固定資産の残高は、13,765百万円(前年度末比3.2%増)となりました。機械装置及び運搬具の増加266百万円(同8.0%増)及び繰延税金資産の増加183百万円(同133.4%増)が主な要因であります。

(流動負債)

 当連結会計年度末における流動負債の残高は、15,355百万円(前年度末比37.8%増)となりました。支払手形及び買掛金の増加505百万円(同11.1%増)及び短期借入金の増加3,519百万円(同78.8%増)が主な要因であります。

(固定負債)

 当連結会計年度末における固定負債の残高は、8,119百万円(前年度末比43.7%増)となりました。長期借入金の増加2,445百万円(同45.8%増)が主な要因であります。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産の残高は、19,276百万円(前年度末比7.5%増)となりました。為替換算調整勘定の増加936百万円(前期は△97百万円)が主な要因であります。

 

キャッシュ・フローの分析

 キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりです。

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、材料及び部品の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。

 当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

 短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。

 なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は15,997百万円となっております。また当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,964百万円となっております。

 

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