文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループのMissionは創業以来磨き上げてきた技術を通して、「あかり・エネルギーとしての光の利用を進め、人々の幸せと社会の発展を支える」ことであり、社会課題の解決を通じて経済的価値の拡大、持続的な企業価値向上を実現していく、「『光』のソリューションカンパニー」をありたい姿としてのVisionに定めております。
便利・快適、感動・共有、安心・安全をキーワードに、社会的価値と企業価値を一致させ、すべてのステークホルダーとも価値を共有することで、持続的な発展に向けて活動してまいります。
(2)中期経営計画
2020年4月からスタートする3ヵ年の新しい経営計画として、「中期経営計画(2020~2022年度)」を策定し、2020年7月に発表しました。
当中期経営計画では、次の30年を見据えつつ、2030年度に売上高2,500億円、営業利益率12%以上を目指し、持続的な成長実現に向け、収益構造転換の基礎固めへの再挑戦と位置付けています。グループ経営体制を自立型から連帯型の連峰経営にシフトチェンジしながら、グループ全体で「攻める戦略」「防ぐ戦略」「束ねる戦略」を進め、当中期経営計画のゴール目標達成及び2030年度に向けた道筋の明確化を進めてまいります。
本中期経営計画のゴールとして、次の指標をKPIとして設定しました。
(野心的目標) |
営業利益率:10%超、 |
営業利益:190億円 |
(必達目標) |
営業利益率:8%超、 |
営業利益:140億円 |
なお、当社の経営方針・経営戦略は、あかり・エネルギーとしての光の利用を進め人々の幸せと社会の発展を支える「『光』のソリューションカンパニー」となることです。将来の社会課題解決に貢献することで、更なる経済価値及び企業価値の拡大につなげていくことを目指しています。今般の新型コロナウイルス感染症拡大による変化に柔軟に対応していくことは従来からの経営方針・経営戦略等に沿った考え方でもあります。その一例として、抗ウイルス・除菌用紫外線技術Care222搭載製品を社会的ニーズの急拡大に合わせ、投資優先度を引き上げ、早期事業化を実現しました。また、新型コロナウイルス感染症拡大で大きな影響を受けた映像関連分野においては、市場回復の鈍化を想定し投資の優先順位の見直し等を実施するなどの変更はありましたが、従来からの経営方針や経営戦略部分は普遍的な方針であるため、変更はありません。
光源事業戦略
多くの関連市場において成熟期を迎えていることに加え、主にプロジェクター市場では、ランプに代わる固体光源(LD・LED)の採用拡大により、ランプのリプレイス需要が減少傾向にあり、今後の持続的な成長・拡大及び収益性の維持・向上が課題となっています。加えて、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、全世界の映画館の約9割が休業するなど、シネマプロジェクター用クセノンランプの需要に大きな影響を与えました。その後、徐々に映画館は再開し、需要は戻りつつあるものの、新型コロナウイルス感染症拡大前より需要は縮小するものと想定しています。
このような背景のもと、「防ぐ戦略」として、基盤事業における製品の競争力強化を図ることで、競争優位性を維持するとともに、生産体制の見直しや固定費の削減などの抜本的な構造改革を実施してまいります。
また、「攻める戦略」では、ポストコロナの市場開拓として、主に環境衛生分野に着目し、既存技術及び製品の応用展開を含む新規事業の創出を図ってまいります。具体的には、新型コロナウイルス感染症拡大により安心・安全な社会への関心が高まるなか、抗ウイルス・除菌用紫外線技術Care222搭載製品を立ち上げ、事業拡大に向けリソースを集中し、感染症の無い世界の実現に貢献してまいります。
光学装置事業戦略
IoTや5Gの進展などによるデータセンター及び高速処理ニーズによる半導体需要拡大を背景に、最先端ICパッケージ基板の需要拡大及び技術進化により、関連する各種露光装置の需要拡大が見込まれます。また、半導体露光プロセスにおいて最先端のEUV(極端紫外線)リソグラフィを用いた半導体製造工程の導入拡大により、EUVリソグラフィマスク検査用EUV光源の販売拡大が見込まれます。
このような背景のもと、「攻める戦略」として、これら成長ビジネスの育成及び集中投資により、生産体制やリソースを確保するとともに、高い競争優位性維持のための開発投資を積極的に行ってまいります。
映像装置事業戦略
シネマ及び一般映像分野ともに、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、全世界の映画館や関連する各種商業施設及びイベントなどが休止に追い込まれ、顧客の投資意欲は急速に落ち込みました。その後、全世界の経済活動が徐々に再開され投資意欲は回復傾向にあるものの、完全な回復までには時間を要するものと想定され、新型コロナウイルス感染症拡大前と比較し、需要は縮小することが見込まれています。
このような背景のもと、「防ぐ戦略」として、今後の需要に合わせた生産体制見直しや固定費削減などの構造改革を実施するとともに、事業範囲の選択と集中を行ってまいります。また、単に製品を販売するだけでなく、付随サービスなどを提供する提案型ビジネスモデルを強化するなど、収益構造の転換を図ることで収益性を改善してまいります。
また、当社グループを取り巻く事業は、成熟期又は衰退期を迎えている分野も多く、中長期視点での新たな事業創出が大きな課題となっています。このような背景のもと、「攻める戦略」として、既存技術や製品の応用展開を含む新規事業の立ち上げに積極的に取り組んでまいります。将来の大きな社会課題に対して、ウシオの「光」技術で解決を実現する取り組みを強化してまいります。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、創業以来、光をあかりとして、エネルギーとして利用し、新しい光市場を創造し続けることで、持続的な成長を成し遂げてきました。しかしながら、当社グループの成長トレンドは2008年のリーマンショック頃を境に、大きく基調が変わり、売上は緩やかな増加が継続するも、営業利益率は漸減傾向を辿り、収益性低下に歯止めを掛けることができず、また有力な新規事業の創出にも至りませんでした。
これは、既存事業において関連市場の多くが成熟期を迎えていることや、収益の源泉である光源事業において、映像関連分野を中心に従来のランプに代わる固体光源技術の進展に伴い、ランプのリプレイス需要が減少傾向にあることなどが背景にありました。このような状況下において、今後の持続的な成長、収益性の改善・向上が課題となっています。
これらの課題に対処すべく、主に既存事業では、多様化するマーケットニーズに対応した競争力のある製品のラインナップ充実や、徹底したコスト管理、品質・生産性の向上や国内外での生産・販売拠点の統廃合などを通じた抜本的な構造改革を引き続き実行することで、収益性を改善させ、持続的に収益性を維持・向上させていくことができる体質へ改善してまいります。また、長期的な成長の道筋として、今まで以上に社会課題解決に起点を置いた新規事業創出に注力することで、社会の発展・成長とともに、当社グループが持続的に成長していくことを目指してまいります。
加えて、強固な財務基盤を背景に、事業投資(M&Aや企業提携等)にも積極的に取り組み、機動力ある事業の発展及び収益性の向上を図りながら、株主還元との適正な資産配分を引き続き検討してまいります。
さらに、当社グループをあげてESG経営を強化・推進することで、省エネルギー・省資源、廃棄物削減・リサイクル化等、持続的環境負荷低減に積極的に取り組むほか、コーポレートガバナンス、コンプライアンス体制強化による内部統制システムの充実、BCPなどリスク管理体制の整備による安定した事業継続にも引き続き取り組み、あらゆるステークホルダーからの信頼にお応えできるよう努めてまいります。
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