事業等のリスク

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下の通りであります。

なお、記載した事項は、有価証券報告書提出日(2022年6月29日)現在において当社グループが判断したものですが、当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。

 

(1) 各事業領域におけるリスク

①グローバル展開によるリスク

当社グループは、海外での売上が大半を占め、生産及び販売活動は北米やヨーロッパ並びにアジア等でも行われているため、日本のみならず世界各地における諸規則や諸規制等の変更、経済動向、天災又は悪天候、テロ攻撃や地域紛争、戦争、疫病の発生・蔓延、人材確保の不安定さ、インフラ面の未整備などにより当社グループの業績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

これら事業全般にわたるリスクに関しては、今後、グループ経営体制を自立型から連帯型の連峰経営にシフトチェンジし、更にグループ横断の対策組織を編成するなど柔軟に対応していく方針です。

また、当社グループの事業に大きく影響を与えた新型コロナウイルス感染症拡大に対しても、グループ横断の対策プロジェクトを発足することで、当社グループを取り巻く状況の把握や対策を協議し対応してまいりました。

②光源事業におけるリスク

現行の光源事業はビジュアルイメージング分野及びエレクトロニクス分野を中心としたランプの消耗品収益モデルが主体となっていますが、近年、従来のランプから固体光源への代替が一部の分野において急速に進んでおり、既存市場におけるランプの総需要は減少しています。市場により代替化の進捗は異なりますが、現在、特にビジュアルイメージング分野を中心にその動きが加速しています。エレクトロニクス分野においては、まだ技術的課題が多く代替化には一定の時間を要すると予測していますが、想定を超える革新的な技術の進展があった場合、当社グループの業績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

また、世界各国の経済動向や各事業分野における事業環境変化により、消耗品が搭載される機器の需要及び装置の稼働状況に想定を超える大幅な変化が生じた場合、収益力の低下につながる可能性があります。

なお、今後、当社グループとしては、技術の進展を含む事業環境変化から常に長期的な需要予測を更新し、それに応じて柔軟に対応していきます。具体的には、需要予測を基に、それに見合った生産等の体制へ柔軟に変化させていくことや、既存技術や製品を活用した競争優位のある光源を新規市場で展開するなどの新規事業創出に力を入れてまいります。

③光学装置事業におけるリスク

光学装置事業では、製品及びサービスの競争力を強化するため、EUVリソグラフィマスク検査用EUV光源、半導体パッケージ・プリント基板・電子部品向けの露光装置といった成長分野において、研究開発投資を継続的に行っています。しかしながら、研究開発投資において想定した成果が十分かつ迅速にもたらされない可能性、又は競合他社に技術開発を先行されてしまう可能性があります。これらは、当社グループの業績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

今後の技術動向や市場環境変化及び取引先動向を早期に情報取得できる体制を構築し、柔軟に事業体制及び技術開発動向変化に対応していく考えです。

④映像装置事業におけるリスク

映像装置事業では、取引先として映画館や公共施設、企業、アミューズメントパーク、代理店等がありますが、市況環境の変化により取引先の経営状況の悪化が加速した場合、取引先が契約の条項を履行できなくなる可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。中長期的には映画館市場において、映像コンテンツのストリーミングサービスの充実・普及拡大、消費者のコンテンツ消費行動・スタイルの変化により、シネマチェーンの存続に影響を与えるほどの大きな業界構造変化が起こった場合、プロジェクターを中心とした映像装置の需要に大きな変化が生じ、当社グループの業績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

引き続き、取り巻く事業環境や技術動向の変化を早期に情報取得できる体制を構築し、柔軟に事業体制及び技術開発動向変化に対応していく考えです。

 

(2) 各事業領域共通のリスク

①原材料等の調達に係るリスク

光源事業の製造において、主要原材料としてタングステンやモリブデン等のレアメタルや特殊ガスを使用しています。また、光学装置や映像装置においても、主要な半導体等関連部材などを外部調達していることから、全世界的な供給不足や価格高騰が急速に生じた場合、安定した製品供給に支障がでることや、製造原価が大幅に上昇し、当社グループの業績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

これらの調達については、当社グループ全体での最適化を図れるよう、横断的な調達共有会議等を設置し、幅広い供給元から安定した原材料供給量を安定した価格で受けることができるよう努めています。

②知的財産権によるリスク

当社グループは頻繁な技術革新を伴う業界に属しており、特許、商標及びその他の知的財産権の保護・維持・管理が、各市場シェア及び競争力維持のために重要となります。しかし、当社グループの保有する当該権利が第三者に侵害された場合や、当社グループが第三者の保有する当該権利を侵害した場合、訴訟へと発展する可能性があります。こうした知的財産権の保護が大きく損なわれるような場合には、当社グループの業績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

③外国為替のリスク

当社グループは、円建とともに外貨建も含めて一般事業取引や投融資を行っています。従って、外貨建の商取引及び投融資の損益は、外国為替の変動による影響を受ける状況にあります。為替の変動が当社グループの業績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性がありますが、為替予約等を適宜行うことで為替リスクの軽減を図っています。

④有価証券の価格変動リスク

当社グループは有価証券を保有しており、価格変動が当社グループの業績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

⑤情報セキュリティに関するリスク

当社グループは、情報システム・情報通信ネットワークの安全性及び信頼性を確保するため、外部からのサイバー攻撃(侵入防止・検知)への対策、標的型攻撃に対する社員への啓発・教育などを行い、情報セキュリティ及びサイバーセキュリティを強化しています。しかしながら、外部からのサイバーテロやコンピュータウイルスの侵入、自然災害による設備の損壊があった場合、それらを完全に防止できるものではなく、被害の規模により、当社グループの業績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

⑥新型コロナウイルス等感染症の拡大によるリスク

新型コロナウイルス感染症拡大のような全世界の経済活動に大きな影響を与えるウイルス蔓延によるパンデミック状態が生じた場合、感染流行地域でのオフィスや工場への出勤制限などが行われ、生産活動への制限や、リモートでの事業遂行を行わなければならないリスクが生じます。

また、人の移動が制限されることによって、装置製品の立ち上げ作業や設置済みの製品に対する保守メンテナンスサービスの提供に遅延が発生するリスクが生じます。

光源事業においては、映画館の休業によるシネマプロジェクター用クセノンランプの需要減少、映像装置事業においては、シネマ及び一般映像分野ともに、全世界の映画館や関連する各種商業施設及びイベントなどが休止するリスクが生じ、顧客の投資意欲に影響を与える可能性があります。

なお、今回の新型コロナウイルス感染症拡大では、当社グループ及び各事業横断的なコロナ対策会議を設立し、業務遂行への影響を最小限に留めるよう努めてまいりました。また、リモートワークや時差通勤など感染抑制につながる施策を積極的に取り組み、新型コロナ感染防止に努めております。また、やむを得ない出張に対する特別規定の整備や、海外駐在員を含む従業員の安心・安全の確保に努めました。事業面でも、特に影響の大きいシネマ関連事業に関する情報収集を行い、各国の新型コロナウイルスによる感染状況などを把握し、適切に対処できるよう心掛けました。また、各拠点での感染状況やワクチンの普及状況など生活関連情報も共有し、必要な支援を行う体制を構築するなどの対応により、事業運営への影響を軽微に留めてまいりました。

 

(3) TCFD提言に沿った情報開示

 

ガバナンス・リスク管理

「ESG推進本部」と関連する委員会で検討した気候関連課題について、代表取締役社長が議長を務める「コーポレート戦略会議」にて年4回以上審議し、年1回以上の頻度で審議結果を取締役会へ報告しています。また、取締役会では気候関連目標及びそれに対する進捗のモニタリングを実施しています。

リスク管理においては、リスクの種類ごとに責任部門及び対応責任者となる取締役または執行役員を任命しています。気候関連リスクは、全社リスク管理の下で定期的に識別及び評価、モニタリングされ、四半期に一度の全社リスク評価により重大であると評価されたリスクは取締役会へ報告されます。

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戦略

①気候変動シナリオの選択

IEA(国際エネルギー機関)等が公表している気候変動シナリオから1.5-2℃シナリオ及び4℃シナリオを選択し、2050年における気候変動の影響を分析しました。

 

②分析のプロセス

光源事業、光学装置事業及び映像装置事業へ影響する主な気候変動リスク・機会を外部情報に基づいて整理し、それぞれのリスク・機会に関する将来予測データを収集しました。これに基づいて、脱炭素社会への移行に伴うリスク・機会と気候変動に起因する物理リスクについて事業影響を試算し、当社事業に2050年までに影響を与えうる重要なリスクと機会を特定しています。

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③シナリオ分析結果

重要度の高いリスク・機会の財務影響を分析した結果、特に気温が上昇する4℃シナリオにおいては、生産拠点が洪水等で被災することによる影響が大きいことを特定しました。一方で、該当する生産拠点への適切な保険手配により、気候変動影響を軽減できることが確認できました。

 

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*1 IEAによる炭素価格の予測値と当社の各国におけるGHG排出量から試算

 

指標と目標

①実績

・GHG排出量(SCOPE1、2、3)※1

・環境配慮型製品、スーパーグリーン製品の売上高※2

※1:2016年~2020年のGHG実績について、当社ウェブページにて全連結範囲で、地域別、スコープ別に開示しています。排出量はGHGプロトコルに基づき算定しています。

※2:当社では環境性能を向上させた製品を「環境配慮型製品」として認定し、その中でも既存製品とは一線を画した革新的環境対応技術を採用した製品を「スーパーグリーン製品」として認定しています。

 

②目標

最近の気候変動に関する国際的な見地から、当社では2018年にSBT(Science Based Targets)目標を設定し、認定されました。以降毎年この目標値の見直しを行い、現在はSCOPE1+2およびSCOPE3についてそれぞれ、2030年度までに2017年度比で33%のGHG排出量削減を目標値としています。事業所での活動等によるCO2排出削減のみならず、環境配慮型製品の開発により、SCOPE3にあたる製品使用段階でのCO2排出削減も進めて参ります。さらに現在、2050年までにウシオグループでカーボンニュートラルを達成する目標の設定を検討しています。

 

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