業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概況は、次のとおりであります。

 

① 財政状態および経営成績の状況

当連結会計年度における我が国の経済状況は、ロシア・ウクライナ情勢が混迷を深めていることに加え、新型コロナウイルスのオミクロン株による再拡大、半導体等の部材逼迫もあり、依然景気の先行きは極めて不透明な状況が続いております。

このような状況下、当社グループは、中期経営計画「Triangle Plan 2022」(2019年度~2021年度)に掲げる重点戦略を強力に推進し、企業価値の向上および経営基盤の強化を図るとともに受注・売上の確保に努めました。

この結果、当連結会計年度の財政状態および経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ43,173百万円増加し、189,562百万円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ8,269百万円増加し、103,657百万円となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ34,904百万円増加し、85,904百万円となりました。

b.経営成績

当連結会計年度の売上高は138,408百万円(前期110,439百万円に比し25.3%増)となりました。損益面におきましては、営業利益は14,144百万円(前期5,224百万円に比し170.7%増)、経常利益は16,313百万円(前期6,550百万円に比し149.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は12,278百万円(前期3,745百万円に比し227.9%増)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

1) 理科学・計測機器事業

電子顕微鏡を中心とした引合いが活況で、受注・売上は好調に推移しました。

この結果、当事業の売上高は85,145百万円(前期比20.7%増)となりました。

2) 産業機器事業

電子ビーム描画装置を中心に、受注・売上が堅調に推移しました。

この結果、当事業の売上高は34,003百万円(前期比41.6%増)となりました。

3) 医用機器事業

OEM供給先である富士レビオ向けの免疫分析装置の売上が好調であったことに加え、海外における生化学自動分析装置の売上が増加しました。

この結果、当事業の売上高は19,258百万円(前期比21.4%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は42,350百万円となり、前連結会計年度末に比べ27,868百万円増加しました。

当連結会計年度における各活動によるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動による資金の増加は22,603百万円(前期は3,358百万円の資金の増加)となりました。これは主に売上債権の増加による支出があったものの税金等調整前当期純利益および契約負債が増加したことなどによるものであります

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動による資金の減少は648百万円(前期は6,988百万円の資金の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出により減少したことなどによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動による資金の増加は5,517百万円(前期は3,295百万円の資金の増加)となりました。これは主に借入金の返済による支出があったものの株式の発行による収入により増加したことなどによるものであります

なお、不測の事態に備え、従来より銀行融資枠(コミットメントライン)を設定しております。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

(百万円)

前年同期比(%)

理科学・計測機器事業

87,041

115.9

産業機器事業

36,731

135.0

医用機器事業

18,523

119.1

合計

142,295

120.7

(注)1 金額は、販売価格で表示しております。

 

b.受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

理科学・計測機器事業

93,971

124.6

43,535

125.4

産業機器事業

58,118

189.9

46,795

206.3

医用機器事業

19,099

115.1

3,280

95.4

合計

171,189

139.6

93,611

153.9

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

(百万円)

前年同期比(%)

理科学・計測機器事業

85,145

120.7

産業機器事業

34,003

141.6

医用機器事業

19,258

121.4

合計

138,408

125.3

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

また、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第30号 2021年3月26日)を当連結会計年度の期首から適用しています。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)」をご参照ください。

 

①重要な会計上の見積りと見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されています。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財務状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

なお、当社グループの連結財務諸表において採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

また、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う影響は、収束の時期および業績に与える影響の見通しが依然困難な状況にあるものの、期末時点で入手可能な情報を基に最善の検討等を行っております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容

a.経営成績等

1) 財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末から43,173百万円増加し189,562百万円となりました。主な要因としては、現金及び預金が28,850百万円増加受取手形売掛金及び契約資産が41,167百万円増加建物及び構築物が4,163百万円増加しましたが受取手形及び売掛金が31,630百万円減少建設仮勘定が2,235百万円減少したこと等によりますなお、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表(1)連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)に記載のとおり収益認識会計基準等を適用したため前連結会計年度の連結貸借対照表において、「流動資産に表示していた受取手形及び売掛金は当連結会計年度より受取手形売掛金及び契約資産に含めて表示しております

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末から8,269百万円増加し103,657百万円となりました。主な要因としては契約負債が33,351百万円増加電子記録債務が3,934百万円増加支払手形及び買掛金が1,648百万円増加しましたが前受金が13,890百万円減少短期借入金が7,814百万円減少および長期借入金が5,600百万円減少したこと等によりますなお、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表(1)連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)に記載のとおり収益認識会計基準等を適用したため前連結会計年度の連結貸借対照表において、「流動負債に表示していた前受金およびその他のうち一部を契約負債に含めて表示しております。

当連結会計年度末の純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益12,278百万円を計上したこと、公募および第三者割当による新株式発行により資本金が11,356百万円、資本剰余金が11,356百万円増加したことにより、前連結会計年度末に比べ34,904百万円増加し、85,904百万円となりました。以上の結果、当連結会計年度末の自己資本比率は前連結会計年度末から10.5ポイント増加し45.3%となりました。

 

2) 経営成績の状況

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年比の25.3%増の138,408百万円となりました。この要因としては、理科学・計測機器事業をはじめ、各セグメントの業績好調および円安による為替などの影響を受けたことが挙げられます。

損益面においては、営業利益14,144百万円(前期5,224百万円に比し170.7%増)、経常利益16,313百万円(前期6,550百万円に比し149.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益12,278百万円(前期3,745百万円に比し227.9%増)となりました。この要因としては、売上高が増加したことが挙げられます。この結果、営業利益は前期に比し8,919百万円増加し、補助金収入が発生したこともあり経常利益は9,762百万円増加しました。

 

また、親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益の増加に伴い、前期に比し8,533百万円増加しました。

当社グループでは、理科学・計測機器事業で培った技術を軸として産業機器事業および医用機器事業をグローバルに展開しております。

理科学・計測機器事業においては、各国政府の経済政策等により景気回復が見られ、電子顕微鏡を中心とした引合いが活況で、受注・売上は好調に推移いたしました。

産業機器事業においては、新型コロナウイルス感染症が拡大する状況においても、半導体市場の活況が続き、電子ビーム描画装置が受注・売上とも好調に推移いたしました。

医用機器事業においては、OEM供給先である富士レビオ向けの免疫分析装置の売上が好調であったことに加え、海外における生化学自動分析装置の売上が増加しました。

2022年度から2024年度を対象とする中期経営計画「Evolving Growth Plan」では、前中期経営計画「Triangle Plan 2022」の基本的なビジョンである「70年目の転進」を基本としながら、「YOKOGUSHI」戦略をさらに発展させるとともに、研究開発力、ものづくり力、サービス力のUPにより顧客満足度の向上を図ることを通じ、事業規模の拡大と高収益化につなげます。また、より長期的かつ持続的な成長を実現するために必要な「次の打ち手」についても、新中期経営計画の次を見据え継続して改善・強化に取り組んでまいります。

 

b.経営成績に重要な影響を与える要因について

 「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

③資本の財源および資金の流動性についての分析

1) キャッシュ・フローの分析

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

2) 資金需要

 当社グループの資金需要は、営業活動については、生産活動に必要な運転資金(材料・外注費および人件費等)、受注獲得のための販売費、製品競争力強化および新製品開発を目的とした研究開発費が主な内容であります。投資活動については、製造用冶具設備および研究開発用設備への設備投資等が主な内容であります。

 今後、成長分野に対しては必要な設備投資や研究開発投資等を継続していく予定です。

3) 財務政策

 当社グループは、運転資金、投資資金についてはまず営業キャッシュ・フローで獲得した資金を投入し、不足分については有利子負債の調達を実施しております。

 長期借入金、社債等の長期資金の調達については、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境、既存借入金の償還時期等を考慮の上、調達規模、調達手段を適宜判断し公募増資も視野にいれつつ実施していくこととしております。

 また、資金調達コストの低減に努める一方、過度に金利変動リスクおよび為替変動リスクに晒されないよう、適切なヘッジ手段を検討・実施しております。

 

④経営上の目標の達成・進捗状況

当社グループは、企業価値の向上と継続的な成長を確保するため、適正な利益を継続的に確保することを重点に置いております。このため、経営指標として、売上高営業利益率、売上高経常利益率、自己資本当期純利益率(ROE)、自己資本比率を重視しております。

当連結会計年度における売上高営業利益率は10.2%(対前期比5.5ポイント増)、売上高経常利益率は11.8%(対前期比5.9ポイント増)、自己資本当期純利益率(ROE)は17.9%(対前期比10.1ポイント増)、自己資本比率は45.3%(対前期比10.5ポイント増)となりました。

今後も引き続き当該指標の改善に邁進していく所存でございます。

 

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