事業等のリスク

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理、財務の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主要なリスクには、以下のようなものがあります。当社グループは、これらの主要なリスクを適切に把握し、事前対策の検討・実施ならびに有事においては迅速な対応をはかることを経営上重要な課題と位置付けており、定期的に、リスクマネジメント担当部門において当社グループ全体を対象に潜在リスク調査を行い、その発生の可能性を認識したうえで発生の回避・軽減・移転・保有および発生した場合の対応等をまとめて取締役会に報告しております。また、万が一リスク事案が生じる場合には、適時にリスクマネジメント担当部門が中心となって関係部門と情報を共有化し、各部門と連携して適切な対応をはかり、その影響の極小化に努めてまいります。

なお、以下に記載の内容は、当社グループのすべてのリスクを網羅するものではありません。

また、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

(1) 経済や金融市場の動向に関するリスク

① 主要市場における景気動向

当社グループは、ワールドワイドに事業を展開しており、製品を販売している国または地域の経済状況の影響を受けるとともに、半導体市況等の影響を大きく受ける状況にあります。また、市場拡大の一方で高性能化・高機能化のニーズを背景にテクノロジーの高度化が見込まれ、このような景気・業界動向等の影響を受けるため、売上および収益とも市況環境の変化に伴う価格変動・需要動向に大きく影響を受ける可能性があります。

当社グループでは、世界の経済情勢、半導体市況、当社グループ製品の市場動向を注視し、中長期的な市場予測に基づき生産能力を拡充・調整すること、短期的には需要の変動に合わせて稼働状況を調整する等により、需要の急激な変化への対策を講じております。

しかし、急激な環境変化により当社グループの製品の需要が予測を大幅に下回る事態となった場合には生産設備等が余剰となる一方、想定を超える急激な需要が発生した場合には、お客様の要求に応じられず受注機会を逸し、将来の競争力低下に繋がる可能性があります。

② 為替動向および資本市場の動向

当社グループの海外売上高比率は8割を超えており、為替相場の変動は、当社グループの経営成績および財政状態、また、競争力にも影響し、当社グループの業績に影響を与えます。為替変動は、主に外貨建てで当社が販売する製品の価格設定に影響します。当社グループは、日本国内で主に製造活動を行っており、輸出による売上がかなりの割合を占めているため、当社グループの業績は、円が他の通貨、とりわけ米ドルに対して円高になると悪影響を受ける可能性があります。また、当社グループが海外に保有する資産・負債等についても、為替変動により資産等が目減り、または負債等が増大する可能性があります。

こうした状況下において、将来の為替相場の変動に伴うリスクの軽減をはかる目的で、為替予約および通貨オプションのデリバティブ取引を行っていますが、急激な為替変動は、製品等の輸出や海外からの部材等の輸入に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、国内外の株式市場の動向は、当社グループの年金資産の運用状況に大きく影響を及ぼすため、株式市場が低迷した場合、年金資産の目減りにより会社負担が増大したりするおそれがあります。

(2) 製品やサービスの欠陥や瑕疵に関するリスク

当社グループ製品の欠陥に起因する品質・信頼性に係る重大な問題が起こった場合、損害賠償責任の負担や売上の減少等により、当社グループの事業、財政状態および経営成績に悪影響を与える可能性があります。

当社グループでは、品質を事業活動の根幹に関わる事項として捉え、開発・設計から生産に至るすべての段階において品質を造り込み、優れた製品を安定的に供給することができる体制の確立に取り組んでおります。また、お客様要求の高度化、製品等の複雑化が進み、開発・製造の難度がますます高まっており、お客様の製品仕様を満たすべく技術開発ならびに品質管理システム構築等をはかり、品質の向上および外部購入品の品質管理強化に努めていますが、現時点での技術・管理レベルを超えて製品等において欠陥や瑕疵等が発生する可能性は皆無ではありません。

このような製品等の欠陥、瑕疵等が万が一発生した場合、製品回収や補修、お客様への補償、機会損失等が当社グループの売上および損益に及ぼす影響は小さくありません。

(3) 調達先等に関するリスク

当社グループは、多数の外部のお取引先から原材料および部品を購入していますが、製品の製造において使用するいくつかの原材料等については、一部のお取引先に依存しています。効率的に、かつ安いコストで供給を受け続けられるかどうかは、当社グループがコントロールできないものも含めて、多くの要因に影響を受けます。当社グループの購入する原材料等には、貴金属・地金相場等の変動や、お取引先からの供給遅延・中断や、原材料等の需給状況・市況環境などによっては、生産に必要な原材料等の調達不足が生じたり、製品コストの上昇要因となる場合があります。これらの原因等により、当社グループの事業、財政状態および経営成績に悪影響を与える可能性があります。

当社グループでは、複数購買化および適正在庫の確保といった取り組みによってサプライチェーン維持の努力をしておりますが、お取引先において自然災害、事故、経営状況の悪化等により部品、原材料等の確保が十分に行えなかった場合、製品の製造等が遅れ、お客様への納期遅延や機会損失等が発生する可能性があります。また、調達部材等について需給逼迫等により調達価格が当初見込みを上回り、製品等の利益率の悪化が起きる可能性があります。また、調達部材等については、できる限り品質確保に努めておりますが、購入部材等に不良があった場合、製品不良が発生し、お客様への賠償責任、機会損失等が発生する可能性があります。

(4) 自然災害や突発的事象発生リスク

地震や水害等の自然災害、火災・爆発等の事故発生、新型インフルエンザ等の感染症の流行などによって、設備等の損壊やユーティリティの供給停止、交通網や通信手段の不通、従業員の罹患などによる工場等の機能停止のほか、原材料や部品の購入、製品の販売、物流やサービスの提供などに遅延や停止が生じる可能性があります。これらの停止・遅延等が起こり、それが長期間にわたる場合、当社グループの事業、財政状態および経営成績に悪影響を与える可能性があります。近年、世界的な気候変動による自然災害や感染症のパンデミック、紛争やテロ、政情不安等が発した不測の事態によっては、想定を超える規模の被害があり得ます。

当社グループでは、防災体制の構築と事業継続能力の強化をはかるため、社内防災組織を編成し、訓練等を実施しており、耐震対策等の取り組みも行っております。また、重要な事業を継続あるいは早期復旧を果たし影響を最小限にするため、事業継続計画(BCP)を策定し、その継続的な見直しおよび改善を実施する事業継続マネジメント(BCM)を推進しております。新型コロナウイルス感染症の拡大防止に対しては、マスクの着用や手洗い・消毒の徹底などによる感染予防の励行のほか、3密(密閉、密集、密接)を避け、社員の健康・安全を確保した上で操業を継続すべく、出張や移動の抑制・自粛、テレワーク・Web会議システムの積極的な活用などの対策を推進しております。

(5) 競合・業界に関するリスク

競合他社が、低廉な人件費、安価で高品質な部品・原材料の調達、あるいは画期的な製造技術の開発等によって、当社グループと同種の製品をより低価格で製造し供給することになった場合、売上の減少、製品価格の下落等によって、当社グループの業績を大きく低下させる可能性が生じます。

当社グループでは、技術の進歩や競争激化等による製品の低価格化を想定し、お客様のニーズや市況の把握に努め、競争力のある製品等を拡充することで販売拡大に努めるとともに、コストダウン、歩留り改善等に取り組んでおりますが、価格下落が当社グループの想定を上回るリスクや、調達価格の変動等により当社グループが十分なコストダウンや販売拡大を実現できないリスクがあります。

半導体産業は技術の進歩が大変早く、競争力を維持するためには、先端技術の開発、設備投資を継続していくことが必要です。当社グループは新製品や技術の開発を進め、優位性を確保すべく努力を最大限行いますが、これらの技術開発競争で他社に優位性を奪われた場合、シェアや利益率が低下し、当社グループの売上および損益に影響を及ぼします。

(6) 知的財産に関するリスク

当社グループではノウハウを含め技術創造運動を推進しております。独自に開発した技術について、特許権その他の知的財産権を取得することは競争上の優位性をもたらす一方で、その優位性の維持は保証されるわけではなく、技術の変化によっては、その価値を失う可能性があります。また、このような知的財産権等が広範囲にわたって保護できない場合や、広範囲にわたり当社グループの知的財産権等が違法に侵害されることによって訴訟等が生じた場合、多額の費用および経営資源が費やされる可能性があります。

また、当社グループでは他社の知的財産を侵害することのないよう、他社知的財産権の調査を行っておりますが、結果として当社グループの製品または技術について他社知的財産を侵害しているとして訴訟を提起されるなどした場合、製造・販売が制約され、損害賠償やお客様への補償の支払いが発生する等、当社グループの損益に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(7) 情報セキュリティに関するリスク

当社グループが事業活動を行うなかで保有する機密情報や個人情報等の様々な情報が、不正な行為等により外部に流失した場合、信用失墜や損害賠償責任の発生等により、当社グループの事業、財政状態および経営成績に悪影響を与える可能性があります。

当社グループにおいては、社内規定の制定、従業員への教育、情報インフラの整備、構内における入室の制限・管理等の対策を実施しておりますが、情報漏洩を完全に防げるとは限りません。重要な事業活動基盤の一つである社内ネットワークにつきましては、社内体制を構築してセキュリティ対策を実施しておりますが、コンピュータウイルスの侵入や不正アクセス等のサイバー攻撃による社内ネットワークおよびシステムの運用停止、情報漏洩や改ざん等を完全に防げるとは限りません。万が一、情報漏洩等が起きた場合、当社グループの信用は低下し、お客様の情報を漏洩した場合には、法的責任が発生するおそれがあり重大な影響を及ぼす可能性があります。

(8) 環境・気候変動に関するリスク

当社グループは、大気汚染、水質汚濁、土壌・地下水汚染、有害物質の取扱い、廃棄物処理などを規制する環境関連法令の適用を受けており、また、気候変動抑制のための温室効果ガス排出規制等の関連規制が強まっており、これらの法令・規制等に適合できない場合には、当社グループの社会的な信用低下や、対策費用の発生、規制等に適合するために必要なコストの増加などにより損益に大きな影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、社会に貢献し地球環境を守ることを企業指針の一つに掲げ、環境保全を経営の最重要事項の一つと位置付け、環境負荷の低減や環境汚染の発生防止等に努めておりますが、事業活動を通じて環境汚染等が発生しないとは限りません。また、近年の気候変動により発生頻度・影響度が増大した自然災害は、調達・物流・エネルギー供給網を寸断し、気温の長期的な変化は空調エネルギー使用量の増加を招くなど、当社グループの事業に影響を与える可能性があります。

なお、当社は2022年5月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明しました。TCFDの提言に基づき、気候変動が当社事業に及ぼすリスクと機会を分析し、経営戦略に反映するとともに関連する情報の開示を進めています。

(9) お客様に関するリスク

当社グループ製品の販売先において、一部お客様への納入割合が高くなっており、当該お客様が、事業上または技術上の重大な問題など、何らかの理由により当社グループとの取引額を削減しなければならなくなった場合、当社グループの事業、財政状態および経営成績に悪影響を与える可能性があります。

当社グループは、お客様にとって価値の高い製品・サービスをご提供することにより、お客様の成功を支え、自らの発展・成長を目指し、お客様と長期的な信頼関係を築くこと、多くのお客様とのビジネスを展開することにも努めておりますが、信頼関係が継続できない場合もしくは、取引または契約関係が継続できない場合、当社グループの売上および損益に影響を与えます。

(10) 多額な設備投資に関するリスク

当社グループが事業を営む半導体業界は技術進歩が速く、多額の設備投資が必要であり、当社グループでは実装技術等の研究開発を進め、そのテクノロジーをもとに高い成長が見込まれる分野に重点的に経営資源を投下しております。設備投資にあたっては、製品の需要予測ならびに優位性や競争力等に対して投資効果を勘案して実行しておりますが、競合他社の技術力や価格動向、最終商品の市場環境変化に伴い需要が減少し、想定した販売規模を達成できない場合、あるいは供給過剰により製品の単価が下落した場合には、当社グループの事業、財政状態および業績に悪影響を与える可能性があります。また、お客様からの機能・仕様、品質要求は高く、新製品の開発・量産にあたっては一層の高難度化に向かっており、技術開発・設備投資は重要となります。

当社グループでは、お客様と仕様、生産能力の確保・その時期などを調整し、投資効率を検討のうえ所要変動を勘案して投資を慎重に行うなど、リスクを軽減する努力をしておりますが、常に投資に応じて十分な収益が得られるとは限りません。

(11) 公的規制、政策、税務に関するリスク

当社グループは、ワールドワイドに事業を展開しており、各国および地域における政府の政策、事業・投資の許可、国家安全保障または輸出制限、関税をはじめとするその他の輸出入規制等の政府規制の適用を受けます。また、通商、独占禁止、特許、租税、為替管理、株式市場、環境・リサイクル関連の法的規制等の適用も受けております。

当社グループでは、公的規制等の分野毎に担当する部門を定めて、適時モニタリングを実施しており、公的規制等に対応すべく社内ルールの制定・改定および社内教育を行うなど、未然に違反を防止するための方策を講じております。

しかし、これらの規制を遵守できなかった場合など、当社グループの活動が制限される可能性があり、その結果、当社グループの事業成長および業績が悪影響を受ける可能性があります。

(12) コンプライアンスに関するリスク

当社グループにおいて、法令遵守・コンプライアンスの徹底をはかっているものの、国内外の関連法令、規制などに抵触する事態が発生した場合には、当社グループの社会的な信用が低下し、あるいは、多額の課徴金や損害賠償が請求されるなど、当社グループの事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、当社グループの従業員として厳守すべきことを行動規範として定め、また、個々の従業員が行動する際のガイドライン(GBS: Global Business Standards)をグループで統一的に運用するなど、社内ルールの浸透と徹底、規範遵守の企業風土の醸成と、コンプライアンスの実効性を高めるため内部通報窓口を社内外に設けるなど社内体制や仕組みの構築を推進しています。しかしながら、このような施策を講じても、コンプライアンス上のリスクを完全に排除することはできない可能性があります。

(13) 人材に関するリスク

当社グループにおいて、必要とする人材を採用および育成することは当社グループにとって重要であり、その人材の採用または育成ができない場合や、優秀な人材が定着しない場合、当社グループの成長や利益に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、製品の開発・設計・製造・販売を一貫して行うとともに、必要な技術の開発、内製化設備等を社内で対応しており、技術の高度化・革新が進むなかにおいて、高い専門性や知見・技術力を有した人材を確保・育成し、また、当社が有する要素技術・コア技術を継承・発展させる人材など、多様な優れた専門性を有する人材の獲得が必要となります。

また、従業員との間で労働契約の終了に関する合意が円滑になされない場合、法令に基づく適切な労務管理ができないこと等により従業員に重大な労働災害が発生した場合など、労務問題によって社会的な信用の低下・毀損や紛争につながる可能性があります。

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