研究開発活動

5【研究開発活動】

 当社グループは、材料から製品までの一貫生産体制を構築しており、材料技術、プロセス技術、商品設計技術、生産技術、そしてそれらをサポートするソフトウェア技術、分析・評価技術等を独自に開発しております。これら技術を相互に連携させることにより、顧客ニーズに対する迅速かつ柔軟な対応を実現しております。さらに、外部コンソーシアムや大学、企業等とも積極的に協業することにより、将来を見越した技術・製品の開発を推進し、新たな市場やイノベーションの創出を目指しております。また、今日の通信業界における5Gの普及・拡大や自動車業界における電動化・電装化などを背景とした新たな成長ステージにおいて、競争力のある独自製品の開発を行っております。拡大するIoT社会に対しては、センサや通信技術を融合した新たな価値提供の実現に向けて取り組んでおります。近年は気候変動や資源の枯渇など多くの社会課題が深刻化しており、当社グループは研究開発活動を通じ、これら社会課題の解決へも貢献してまいります。

 コンポーネント事業分野では、小型化、大容量化、高信頼性をキーワードに、積層セラミックコンデンサ、インダクタ、EMI除去フィルタ、表面波フィルタ、センサ、リチウムイオン二次電池等の開発を推進しました。積層セラミックコンデンサについては、昨年に引き続き、自動車規格対応の商品ラインナップ拡充を行いました。今後も市場ニーズに対応したラインナップ拡充に取り組み、自動車の高性能化・多機能化に貢献してまいります。また小型化を進めることにより、部資材削減や当社工場の使用電力量削減など環境負荷低減にも貢献してまいります。

 モジュール事業分野では、小型化、高機能化、多機能化、低消費電力化をキーワードに、高周波モジュール、コネクティビティモジュール、樹脂多層基板、電源モジュール等の開発を推進しました。高周波モジュール事業分野では、機器の高機能化、多機能化、また、次世代通信技術の5Gによる高度な要求に対して、コンデンサ、ノイズ対策部品だけでなく、アンテナやフィルタを組み合わせたより高機能な高周波モジュールの提供も視野に入れ、さらなる成長を目指します。

 本社研究開発部門では、新規事業創出に向けて、長期構想「Vision 2030」で掲げる4つの事業機会(通信・モビリティ・環境・ウェルネス)において、新技術・新商品、並びに当社グループの事業を幅広く支える基盤技術の開発を行っております。取り組み事例として、CO2濃度等の空間情報をリアルタイムで可視化し分析を行う空間可視化ソリューション「AIRSual(エアジュアル)」を2021年7月から提供開始しました。本サービスにより、適度な換気や3密状態の回避を促し、感染症予防対策に貢献します。当社は、今後も社会のニーズ、市場に対応した製品の開発に取り組み、ニューノーマル時代のIoT社会に技術力・ソリューションを通じて貢献してまいります。また、当社の生産子会社、株式会社金津村田製作所は当社独自に開発した蓄電池システムを導入することにより、2021年11月より使用電力すべての再生可能エネルギー化を実現しました。本システムは大規模ソーラーパネルと当社のオリビン型リン酸鉄リチウムイオン二次電池「FORTELION(フォルテリオン)」を用いた蓄電池ユニットに、独自のエネルギーマネジメントシステムを組み合わせています。

 買収案件としてはResonant Inc.(以下、「Resonant社」)、及びEta Wireless, Inc.(以下、「Eta Wireless社」)を買収いたしました。独自の高周波フィルタ技術を有するResonant社の買収により、当社がこれまで培ってきたフィルタ技術とResonant社の技術を融合させ、さらに優れた高周波フィルタの提供を目指します。また高周波回路の消費電力を削減する「Digital ET技術」を保有するEta Wireless社の買収により、当社が有する技術とEta Wireless社の技術とを組み合わせ、さらに優れた高周波モジュールの提供を目指します。

 当社の開発体制は、技術・事業開発本部、モノづくり技術統括部、及び各事業部に属する開発部門から成ります。事業部系の開発部門では、担当品種に関する技術開発及び新製品開発に取り組んでおります。技術・事業開発本部とモノづくり技術統括部では主に、新規事業創出に向けた技術開発、要素技術開発とそのプラットフォーム化に注力しています。また、当社の関東最大の研究開発拠点である「みなとみらいイノベーションセンター」に、当社初の車載関連の展示施設「Murata みらい Mobility」とオープンイノベーションを促進する施設「Murata Interactive Communication Space」を2021年5月に開設いたしました。これらの施設を通じて、当社野洲事業所、横浜事業所などの研究開発拠点との連携を強化するとともに、技術交流など外部との連携強化を図り、オープンイノベーションを促進することで業界をリードする革新的な製品や技術を提供してまいります。

 最近2連結会計年度における各セグメント別の研究開発活動に要した費用は、下表のとおりであります。なお、各セグメントに帰属しない基礎研究費は「本社部門」として分類しております。

 

 

 

 

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(百万円)

金額(百万円)

 コンポーネント

47,364

49,712

 モジュール

35,724

40,046

 その他

 本社部門

18,639

21,539

101,727

111,297

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