経営成績等の概要
(1) 経営成績
当期の経営成績
当連結会計年度における国内経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、ワクチン接種の進展などにより、社会・経済活動が徐々に正常化しつつありましたが、新たな変異株であるオミクロン株の感染拡大のほか、原油価格の高騰による輸送費や原材料価格の上昇など、依然として厳しい状況が続きました。
世界経済においても、中国や欧米では緩やかな景気の回復基調にある一方、資源・エネルギー価格の上昇などによるインフレ懸念やスタグフレーションの兆しが見られ、加えて、米中対立・ウクライナ問題、中国主要都市における都市封鎖など不透明要因も多く予断を許さない状況が継続しています。
こうした経済情勢下、当社グループは第2次中期経営計画(Futaba Innovation Plan 2023)に基づき、コスト構造改革による収益の改善と積極投資による事業成長の促進に努めました。
なお、当期に実施した主な取り組みは、以下のとおりです。
・コスト構造改革としましては、生産拠点の統合や国内営業拠点の再編による輸送コストおよび固定費の削減を推進しました。
・電子デバイス関連事業の成長の促進としましては、高輝度・高精細な小型カラー有機ELディスプレイ、独自開発ICを使用した耐環境タッチセンサーなど高付加価値製品の開発を推進しました。また、オールインワンモータモジュール「Roboservo」の量産を開始し、産業用ドローンでは物資搬送用ドローンの開発と実証実験のほか、ドローン運行管理システムの共同開発を開始しました。ホビー用ラジコン機器では、カー用プロポのフラッグシップモデルである「T10PX」を開発し市場に投入しました。
・生産器材事業につきましては、ランディングページやウェビナーを活用しデジタルコンテンツをさらに充実させることで営業効率を改善しました。また、「工作機械IoTモニタリングシステム」を当社工場内に設置し稼働率の向上を実現させ、DX化事例を公開することで取引を拡大させました。また、新材料である「フェルカーボ」につきましては、リサイクル炭素繊維を使用することでSDGsの達成にも貢献しています。
以上の結果、当期における売上高は534億5千万円(前期比9.5%増)となりました。このうち海外売上高は299億3千6百万円(前期比7.7%増)となり、国内売上高は235億1千4百万円(前期比11.8%増)となりました。収益面では、営業損失は18億6千3百万円(前期は営業損失35億1千7百万円)となりました。また、経常損失は6億5千4百万円(前期は経常損失25億1千3百万円)となり、親会社株主に帰属する当期純損失は、減損損失を計上したことにより26億6千8百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失54億3千万円)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
① 電子デバイス関連
(主な製品:タッチセンサー、有機ELディスプレイ、蛍光表示管、複合モジュール、産業用ラジコン機器、
ホビー用ラジコン機器等)
タッチセンサーでは、構成比率の高い海外での車載用途において新モデルの量産開始があったものの、顧客の半導体調達難による生産調整の影響を受けたことから、売上げは前期を下回りました。
有機ELディスプレイでは、国内の車載用途や海外での事務機用途および映像用途は順調に推移しましたが、海外での車載用途やWi-Fiルータ向けにおいて、顧客の生産調整の影響等を受けたことから、売上げは前期並となりました。
複合モジュールでは、事務機用途および計測器用途が好調であり、EMSの受注も回復してきたことから、売上げは前期を上回りました。
産業用ラジコン機器では、トラッククレーン向けやFA向けが順調に推移したことから、売上げは前期を上回りました。
ホビー用ラジコン機器では、空用およびカー用プロポの新製品販売や北米のインターネット販売が好調であったことから、売上げは前期を上回りました。
② 生産器材
(主な製品:プレート製品、金型用器材、成形・生産合理化機器)
国内では、自動車関連において半導体不足などによる減産の影響があったものの、設備投資関連を含め総じて市場が回復し、モールド・プレス金型用器材およびプレート製品が好調に推移、成形・生産合理化機器も堅調であったことから、売上げは前期を上回りました。
海外では、主力の韓国において、国内景気の持ち直しによる需要の増加に加え、携帯電話向けおよび医療用途向けが順調に推移し、為替も円安で推移したことから、売上げは前期を上回りました。
(2) 当期の財政状態の概況
(資産、負債、純資産及びキャッシュ・フローの状況に関する分析)
① 総資産は、棚卸資産や土地の増加などにより、前連結会計年度末に比べ2億2千8百万円増加し、1,004億3千5百万円となりました。
負債は、支払手形及び買掛金や電子記録債務の増加などにより、前連結会計年度末に比べ9億4千1百万円増加し、136億4千6百万円となりました。
純資産は、利益剰余金の減少などにより、前連結会計年度末に比べ7億1千2百万円減少し、867億8千8百万円となりました。この結果、自己資本比率は75.3%となりました。
② 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は205億8千2百万円となり、前連結会計年度末に比べ50億8千5百万円減少しました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は、60億7千1百万円(前期は5億8百万円の使用)となりました。これは主に、棚卸資産の増加額47億5千万円や税金等調整前当期純損失13億7千9百万円などによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果獲得した資金は、13億4千7百万円(前期は23億8千9百万円の使用)となりました。これは主に、投資有価証券の売却及び償還による収入13億6千6百万円などによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、16億2千万円(前期は18億7千4百万円の使用)となりました。これは主に、配当金の支払額11億8千9百万円などの支出によるものです。
(3) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前期比(%) |
電子デバイス関連(百万円) |
20,766 |
120.4 |
生産器材(百万円) |
27,573 |
109.4 |
合 計 (百万円) |
48,340 |
113.9 |
(注)1.セグメント間の内部売上高又は振替高を含んでいます。
2.金額は売価換算値で表示しています。
② 受注実績
製品の性質上、原則として需要予測に基づく見込み生産を主体としていますので記載を省略しています。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前期比(%) |
電子デバイス関連(百万円) |
22,718 |
110.4 |
生産器材(百万円) |
30,732 |
108.8 |
合 計 (百万円) |
53,450 |
109.5 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しています。
2.最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は、当
該割合が100分の10以上の相手先が無いため、記載を省略しています。
(4) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす見積りについては、過去の実績と勘案し、合理的に判断していますが、見積りには不確実性が伴い、実際の結果と異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりです。
② 経営成績の分析
当連結会計年度の当社グループの売上高は534億5千万円、営業損失は18億6千3百万円、経常損失は6億5千4百万円、親会社株主に帰属する当期純損失は26億6千8百万円となりました。
売上高については、前期比9.5%増となりました。収益面では、売上高の増加などにより営業損失は18億6千3百万円(前期は営業損失35億1千7百万円)となり赤字縮小となりました。経常損失は為替差益を計上したことから6億5千4百万円(前期は経常損失25億1千3百万円)となりました。親会社株主に帰属する当期純損失は、減損損失を計上したことなどから26億6千8百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失54億3千万円)となりました。
③ 財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、棚卸資産や土地の増加などにより、前連結会計年度末に比べ2億2千8百万円増加し、1,004億3千5百万円となりました。
当連結会計年度末の負債は、支払手形及び買掛金や電子記録債務の増加などにより、前連結会計年度末に比べ9億4千1百万円増加し、136億4千6百万円となりました。
また、当連結会計年度末の純資産は、利益剰余金の減少などにより、前連結会計年度末に比べ7億1千2百万円減少し、867億8千8百万円となりました。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末76.7%から1.4ポイント減少して75.3%となり、1株当たり純資産額は前連結会計年度末に比べて29円95銭減少して、1,782円55銭となりました。
④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
・ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は205億8千2百万円となり、前連結会計年度末に比べ50億8千5百万円減少しました。
営業活動の結果使用した資金は、60億7千1百万円(前期は5億8百万円の使用)となりました。これは主に、棚卸資産の増加額47億5千万円や税金等調整前当期純損失13億7千9百万円などによるものです。
投資活動の結果獲得した資金は、13億4千7百万円(前期は23億8千9百万円の使用)となりました。これは主に、投資有価証券の売却及び償還による収入13億6千6百万円などによるものです。
財務活動の結果使用した資金は、16億2千万円(前期は18億7千4百万円の使用)となりました。これは主に、配当金の支払額11億8千9百万円などの支出によるものです。
・ 資金需要及び財務政策
当社グループでは、今後もグローバルな市場への展開のために、主に日本における研究開発が不可欠であると考えており、そのための研究開発投資とグループ内の事業投資を今後も継続していきます。
また、当社グループでは引き続き財務の健全性を堅持し、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出すことによって、当社グループの成長に必要な資金を調達していくことが可能であると考えています。
⑤ 経営者の問題認識と今後の方針
経営者の問題認識と今後の方針については、本項に記載のほか、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。
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