(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
(経済状況)
当連結会計年度における世界経済の状況は、多くの国のロックダウン解除による需要回復により年度前半は高い成長率となっていましたが、世界的なコンテナ不足等による物流コスト高騰や、中国、EU、米国等で、財政・金融支援策の効果消失等により年度末にかけて失速しました。それに加え、ロシアのウクライナ侵攻の影響によりエネルギー価格の高騰などが生じ、先行き不透明な状況となっております。
(自動車業界)
世界の自動車生産台数は世界的な半導体不足や、東南アジアでの新型コロナウイルス感染拡大による部品供給不足等により、昨年に対し伸び悩みました。一方で世界的な環境問題への意識の高まりを背景に、EVにおいては大幅に増加しました。
(取り組み)
当社グループでは、「安全第一の徹底と健康づくりの推進」「お客様に選び続けられる品質の提供」「人財の育成と労働の質向上」「グローバルでのモノづくり・供給体制の着実な強化」「新規ビジネスへの取り組み」「企業市民として社会の期待に応えるための取り組み」を年度方針に掲げ、グループ一丸となって継続的に取り組んでまいりました。
主なトピックスは、次のとおりです。
<組織変更>
2022年1月1日付けで、世の中の多様なニーズに対応した製品開発と環境変化に機動的に対応できるモノづくりの実現を目指し、スピード感をもって変革を推進できるよう組織体制を変更し、主として製品開発を担当する「5つのビジネス領域」と各工場を統括する「生産センター」に再編いたしました。
<新製品の開発>
自動運転や電気自動車などに貢献する「ステアバイワイヤコントロールユニット」や安全性向上および風抵抗低減に貢献可能な「フェンダー付けデジタルアウターミラー」、そして車両の盗難防止に貢献する「指紋認証スタートスイッチ」等を開発いたしました。
また、デジタルキーに関して様々な企業と提携し、カーシェアリング、社有車予約システム、宅配ボックスへサービスを拡大しております。
<環境への取り組み>
2050年までにCO2排出量実質ゼロを最終目標として2030年までに工場から排出されるCO2排出量を60%以上削減(2013年比)することを目指し、カーボンニュートラルな都市ガスの導入や当社専用の太陽光発電所によるオフサイトPPA(注)サービス実施に向けた協定の締結を行いました。
(注)敷地外の遠隔地に設置した発電設備から電力購入すること。
<ダイバーシティ活動の推進>
2022年1月1日付けでエグゼクティブオフィス(注)直轄の「ダイバーシティ推進室」を新設いたしました。また、経済産業省と日本健康会議が実施する「健康経営優良法人」(ホワイト500)に3年連続で選定されるとともに、厚生労働省より女性活躍推進法に基づく「えるぼし」認定で最高位(3段階目)を取得いたしました。社員の多様性を互いに認め合う職場づくりに取り組んでおります。
(注)社長、副社長を構成メンバーとする、業務執行にあたっての意思決定機関。
<SDGs経営への取り組み>
当社は、2021年度より、上記のとおり環境やダイバーシティ等「SDGs経営への取り組み」を強化してまいりました。また、社会貢献への取り組みとして、豊川市および大口町と相互の連携を強化し、地方創生の実現に必要な事業の実施に協力して取り組むため包括連携協定を締結いたしました。なお、これらの取り組みが評価され、代表的なESG株式指数の一つである「FTSE Blossom Japan Sector Relative Index」の選定基準を満たし、構成銘柄に選定されました。
<当期実績>
当連結会計年度の業績につきましては、連結売上高は487,303百万円と、前連結会計年度に比べ47,242百万円(10.7%)の増収となりました。利益につきましては、連結営業利益は9,211百万円と、前連結会計年度に比べ4,834百万円(△34.4%)の減益となりました。連結経常利益は15,557百万円と、前連結会計年度に比べ3,454百万円(△18.2%)の減益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は3,569百万円と、前連結会計年度に比べ8,457百万円(△70.3%)の減益となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
(日本)
円安の影響などにより、売上高は267,146百万円と、前連結会計年度に比べ8,675百万円(3.4%)の増収となりました。営業損失は原材料の値上がりなどにより△6,201百万円となりました。
(北米)
円安による為替換算上の影響などにより、売上高は99,791百万円と、前連結会計年度に比べ9,894百万円(11.0%)の増収となりました。営業損失は競争激化などにより△3,748百万円となりました。
(アジア)
客先生産台数の増加に加え、円安による為替換算上の影響などにより売上高は164,377百万円と、前連結会計年度に比べ36,407百万円(28.4%)の増収となりました。営業利益は、売上高の増加や合理化努力などにより19,259百万円と、前連結会計年度に比べ5,656百万円(41.6%)の増益となりました。
(その他)
売上高は32,544百万円と、前連結会計年度に比べ4,929百万円(17.9%)の増収となりました。営業利益は1,307百万円と、前連結会計年度に比べ826百万円(171.4%)の増益となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、53,854百万円となり前連結会計年度末より15,750百万円減少いたしました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は前連結会計年度に比べ、20,005百万円減少し、14,677百万円となりました。
これは主に税金等調整前当期純利益が5,447百万円減少した結果であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は前連結会計年度に比べ、1,500百万円減少し、26,005百万円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は前連結会計年度に比べ、1,912百万円増加し、6,437百万円となりました。
これは主に配当金の支払額が916百万円増加した結果であります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
日本(百万円) |
219,323 |
1.2 |
北米(百万円) |
101,174 |
12.0 |
アジア(百万円) |
140,047 |
27.9 |
報告セグメント計(百万円) |
460,545 |
10.6 |
その他(百万円) |
32,399 |
18.7 |
合計(百万円) |
492,944 |
11.1 |
(注)1 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
b.受注実績
当社グループ(当社及び連結子会社)は、トヨタ自動車株式会社をはじめとして、各納入先より四半期毎及び翌月の生産計画の提示を受け、当社グループ(当社及び連結子会社)の生産能力を勘案して生産計画をたて生産しております。このため、受注実績の記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
日本(百万円) |
216,746 |
0.8 |
北米(百万円) |
99,311 |
11.0 |
アジア(百万円) |
139,012 |
28.3 |
報告セグメント計(百万円) |
455,071 |
10.3 |
その他(百万円) |
32,232 |
18.1 |
合計(百万円) |
487,303 |
10.7 |
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
||
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
トヨタ自動車㈱ |
124,276 |
28.2 |
121,027 |
24.8 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高は487,303百万円、営業利益は9,211百万円、経常利益は15,557百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は3,569百万円となりました。
上記の他、当連結会計年度における経営成績の前連結会計年度との比較分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は53,854百万円となり、前連結会計年度末に比べ15,750百万円減少いたしました。営業活動の結果獲得した資金が14,677百万円と前連結会計年度に比べ20,005百万円減少し、投資活動の結果使用した資金が26,005百万円と前連結会計年度に比べ1,500百万円減少し、財務活動の結果使用した資金が6,437百万円と前連結会計年度に比べ1,912百万円増加しております。
上記の他、各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
b.資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは現在、必要な運転資金及び設備投資資金については、自己資金又は借入等により資金調達することとしております。当連結会計年度末において、社債の残高は10,000百万円であります。
当社グループは、今後も営業活動により得られるキャッシュ・フローを基本に将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達していく考えであります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
④経営目標の達成状況
当社は、経営目標の達成状況を判断するための客観的指標として営業利益を用いております。目標達成のために、会社別・項目別に収益改善計画を立て、活動に取り組んでおります。2021年4月27日に公表した業績予想と比較しまして、当連結会計年度の連結営業利益は売上高の減少、原材料の値上がりなどにより、12,789百万円の減益となりました。
|
2022年3月期 (予想) |
2022年3月期 (実績) |
増減 |
増減率(%) |
売上高(百万円) |
495,000 |
487,303 |
△7,697 |
△1.6 |
営業利益(百万円) |
22,000 |
9,211 |
△12,789 |
△58.1 |
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