業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績

当期における世界経済は、米国では好調な個人消費と企業の設備投資による景気の持ち直しが続き、また中国経済は輸出が牽引役となって、引き続き堅調に推移いたしました。日本では、新型コロナウイルス感染症の再拡大や半導体の供給不足等のマイナス要因があったものの、世界経済の正常化に向けた動きに伴い輸出が改善したことなどから景気は総じて回復基調となりました。

当社グループを取り巻く市場環境につきましては、車載関連市場は部品不足による自動車の減産の影響がみられたものの、新車需要の持ち直しなどにより総じて堅調に推移しました。産業機器関連市場は製造業を中心に設備投資需要が高まったことで国内市場、海外市場のいずれも好調となりました。

このような経営環境のもと当社グループにおきましては、第9次中期経営計画に基づき企業価値向上のための諸施策を着実に実行してまいりました。

構造改革では、生産拠点のスマートファクトリー化の一環として生産工程の一部自動化等を推し進め、設備稼働率の向上による増員・増備なき増産対応を実施してまいりました。また、原材料価格やエネルギー価格の上昇に対応するため、生産性の改善に加え製品の販売価格是正にも努めてまいりました。

商品企画改革では、次世代を担う新たなシーズの創造と具現化を目指し、営業部門、開発部門の意識改革の推進や連携の強化を図りました。製品開発では、5G通信基地局などに向けて耐熱性に優れたリード形アルミ電解コンデンサ「GⅩMシリーズ」を開発したほか、クラウドやIoT普及に伴って消費電力の増加が進むデータセンター向けには、リード形導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ「PSGシリーズ」に高容量化アイテムを追加して製品体系の拡充を図りました。販売においては戦略市場に向けて、高付加価値品である導電性高分子タイプやハイブリッドタイプのアルミ電解コンデンサを重点的に拡販いたしました。

これらの結果、当期の連結業績につきましては、売上高は1,403億16百万円(前期比26.7%増)となり、営業利益は87億98百万円(前期比196.1%増)、経常利益は80億38百万円(前期比284.3%増)となりました。しかしながら、独占禁止法関連損失の計上などにより、親会社株主に帰属する当期純損失は121億24百万円(前期親会社株主に帰属する当期純利益20億38百万円)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

(コンデンサ)

中国を中心としたアジア地域において、車載・産業機器関連の需要が増加したことにより、売上高は1,349億47百万円(前期比27.2%増)、セグメント利益は82億58百万円(前期比226.9%増)となりました。

(その他)

アモルファスチョークコイルの売上増加などにより、売上高は53億69百万円(前期比15.1%増)、セグメント利益は5億40百万円(前期比21.4%増)となりました。

 

 生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

コンデンサ

134,291

28.3

その他

3,238

23.1

合計

137,530

28.2

(注)金額は販売価格によっております。

 

② 受注実績

当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

コンデンサ

173,097

30.0

95,763

66.2

その他

6,465

36.8

2,077

111.7

合計

179,562

30.2

97,840

67.0

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

コンデンサ

134,947

27.2

その他

5,369

15.1

合計

140,316

26.7

(注)総販売実績に対して10%以上に該当する得意先はありません。

 

(2)財政状態

 当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末(以下前期末)比166億91百万円増加し、1,561億40百万円となりました。

 流動資産は、棚卸資産の増加を主な要因として、前期末比149億10百万円増加し、964億34百万円となりました。

 固定資産は、投資その他の資産が前期末比9億99百万円増加したことを主な要因として、597億6百万円となりました。

 当連結会計年度末の負債の合計は、前期末比238億81百万円増加し、1,114億24百万円となりました。

 流動負債は前期末比149億44百万円増加し692億23百万円、固定負債は前期末比89億36百万円増加し、422億1百万円となりました。

 有利子負債(短期借入金、長期借入金及びリース債務の合計額)は前期末比5億86百万円増加し、584億7百万円となりました。

 当連結会計年度末の純資産の合計は、親会社株主に帰属する当期純損失の計上による利益剰余金の減少などにより、前期末比71億89百万円減少し、447億15百万円となりました。

 これらの結果、自己資本比率は前期末37.0%から28.4%となり、1株当たり純資産額は2,544円62銭から2,190円33銭となりました。

 

(3)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ10億34百万円増加し、247億54百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、51億5百万円の収入(前連結会計年度は20億67百万円の収入)となりました。

 主な収入は減価償却費62億53百万円であり、主な支出は棚卸資産の増加42億40百万円であります

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、52億8百万円の支出(前連結会計年度は30億34百万円の支出)となりました。

 主な支出は有形固定資産の取得による支出50億31百万円であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、2億18百万円の支出(前連結会計年度は34億70百万円の支出)となりました。

 主な収支は借入金による収入7億9百万円、リース債務の返済による支出9億24百万円であります。

 

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は584億7百万円となっております。

 

(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、期末時点の状況をもとに、各種の見積りと仮定を用いております。実際の結果につきましては、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りと仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 

(繰延税金資産)

 当社グループは、繰延税金資産について、将来の課税所得見積額と実行可能なタックス・プランニングを考慮し、繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合は、繰延税金資産を取崩し、税金費用が計上される可能性があります。

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