業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

  当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとお

 りであります。

① 経営成績の状況

  当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による経済活動抑制の影響を引

 き続き受けることになりました。段階的に経済活動が再開されているものの、景気回復への影響は限定的で、依

 然として厳しい経済状況が続いております。

  このような経済状況の中、当社の事業領域であるコンサルティングサービス市場におきましては、デジタルト

 ンスフォーメーション(DX)支援型の案件が増加しており、ビジネスコンサルティング市場全体としては逆風下

 にありながらも、成長回帰の兆しが見え始めています。2021年7月1日にIDC Japan株式会社が発表した「国内

 コンサルティングサービス市場予測」によると、国内ビジネスコンサルティングサービス市場の成長予測が上方

 修正され、2020年~2025年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は9.3%、2025年の市場規

 模は8,012億円と予測されております。

  このような経営環境のもと、当社は国内屈指の実績を持つ成果報酬型コストマネジメント・コンサルティング

 において事業成長に取り組んだほか、当連結会計年度より当社独自のDXプラットフォーム「プロサイン」に対す

 る本格的な開発投資を始めました。

  まず、成果報酬型コストマネジメント事業においては、顧客企業数を継続的に増加させ、当社が特に重視する

 企業規模(顧客売上高100億円以上5,000億円未満の中堅・大企業)に該当する顧客企業の割合を全体の8割程度

 まで上昇させるなど、当社の顧客基盤を着実に強化することができました。加えて、昨年1月に実施した報酬体

 系の改定が順調に進捗し、リピート受注も堅調なペースで確保できたほか、コンサルタントの新規採用も計画通

 り進むなど、当社コンサルティング収益の持続的な成長を実現するための事業基盤が整いつつあるといえます。

  他方で、①昨今の新型コロナウイルス感染症の感染拡大(コロナ禍)の影響を大きく受けた顧客業種からの売

 上高において期初計画対比で下振れが生じ、また、②当社子会社である株式会社知識経営研究所が提供している

 企業向けコンサルティング事業(管理者/リーダー研修、食品安全マネジメントシステムの構築等)において

 も、コロナ禍のため対面研修が遅延、キャンセルとなった等の理由により同様に売上高の下振れが生じるなど、

 厳しい事業環境が続きました。

  当社としては、当社が強みを持つ成果報酬型コストマネジメントに対する潜在需要は依然大きく、当社の市場

 ポジションも強固であると考えており、営業リード獲得の加速、新事業領域の拡大等の施策を実行することによ

 り、当該事業が早期に成長軌道に回帰するよう事業運営を行ってまいります。

  新たな成長の柱として期待されるプロサイン事業については、本年6月にソフトローンチして以降、顧客企業

 からの引き合いが想定を大幅に上回って推移した結果、2021年10月末時点において222社の導入を完了し、2022

 年10月までの導入社数目標200社を1年前倒しで達成できました。足元の好調な導入ペースを踏まえ、翌連結会

 計年度中の課金開始ならびに中期的な収益化の蓋然性が高まったものと判断し、当連結会計年度の第3四半期以

 降に計上したプロサイン開発費用をソフトウエア仮勘定として資産計上することになりました。プロサインが対

 象とする Business Spend Management領域は、グローバルで急速に普及が進んでおり、まだ黎明期にある国内市

 場において、当社が同領域のパイオニアとしてマーケット・リーダーとなるべく積極的な事業展開を進めてまい

 ります。

  以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高3,649百万円、営業利益726百万円、投資前EBITDA(注)1,008

 百万円となりました。

  なお、当社はコンサルティング事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。

 

 (注)投資前EBITDA:事業開発の途上にある新規事業(プロサイン含む)にかかる損益を控除した償却前利益

 (営業利益+償却費)

 

②財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末における資産は、前連結会計年度末に比べ1,369百万円増加し、8,892百万円となりました。

 流動資産は、前連結会計年度末に比べ1,269百万円減少し、5,404百万円となりました。これは主に現金及び預金が1,386百万円減少したことによるものであります。

 固定資産は、前連結会計年度末に比べ2,639百万円増加し、3,487百万円となりました。これは主に投資有価証券が2,296百万円、ソフトウエア及びソフトウエア仮勘定が267百万円、敷金及び差入保証金が37百万円増加したことによるものであります。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ224百万円減少し、1,031百万円となりました。

 流動負債は、前連結会計年度末に比べ94百万円減少し、818百万円となりました。これは主に未払法人税等が157百万円減少したことによるものであります。

 固定負債は、前連結会計年度末に比べ129百万円減少し、213百万円となりました。これは主に社債が80百万円減少したことによるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ1,593百万円増加し、7,860百万円となりました。これは主に非支配株主持分が1,821百万円、利益剰余金が親会社株主に帰属する四半期純利益の計上により533百万円、自己株式が762百万円増加したことによるものであります。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度末より 1,386百万円減少し、4,566百万円となりました。当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

  営業活動の結果得られた資金は307百万円(前年同期は596百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等

 調整前当期純利益が523百万円であった一方で、法人税等の支払額331百万円があったことによるものでありま

 す。

 

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

  投資活動の結果使用した資金は2,679百万円(前年同期は760百万円の支出)となりました。これは主に、投資

 有価証券の取得による支出2,317百万円があったことによるものであります。

 

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

  財務活動の結果得られた資金は985百万円(前年同期は1,855百万円の獲得)となりました。これは主に、非支

 配株主からの払込みによる収入1,851百万円があった一方で、自己株式の取得による支出762百万円があったこと

 によるものであります。

 

   ④生産、受注及び販売の実績

  a.生産実績

  該当事項はありません。

 

  b.受注実績

  当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しており

 ます。

 

  c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。なお、当社はコンサルティング事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。

サービスの名称

当連結会計年度

(自 2020年11月1日

至 2021年10月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

コンサルティング事業

3,649,639

合計

3,649,639

  (注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

     2.主な相手先の販売実績は、いずれも総販売実績に対する当該割合が100分の10未満のため記載を省略して

       おります。

     3.前連結会計年度は貸借対照表のみ連結しているため、前期との比較は行っておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

  経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりでありま

 す。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 ①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

  連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについ

 ては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に

 記載のとおりであります。

 なお、会計上の見積りに対する新型コロナウイルス感染症の影響に関して、当事業年度における連結財務諸表及び財務諸表に会計上の見積りが及ぼす影響は軽微なものと判断しております。

 

   ②経営成績の分析

    a.売上高

      当連結会計年度の売上高は、売上高3,649百万円となりました。これは主に、前連結会計年度末より知識経

      営研究所を連結したことによるものと当社グループのコンサルティング事業が引き続き成長したことによる

      ものであります。

    b.売上原価、売上総利益

      当連結会計年度の売上原価は、1,473百万円となりました。これは主に、当社コンサルティング事業の拡大

      に伴い人件費が増加したことによるものであります。この結果、売上総利益は2,175百万円となりました。

    c.販売費及び一般管理費、営業利益

      当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、1,449百万円となりました。これは主に、当社コンサルティン

      グ事業の拡大並びにプロサイン事業の開発に伴う人件費の増加したことによるものです。この結果、営業利

      益は726百万円となりました。

    d.経常利益

      当連結会計年度において営業外収益が10百万円、営業外費用は主に投資事業組合管理費の計上により213百

      万円発生しております。この結果、経常利益は523百万円となりました。

    e.特別損益、包括利益

      税金等調整前当期純利益は523百万円となりましたが、法人税等合計177百万円の計上により包括利益は346

      百万円となりました。

 

    なお、当社グループは、前連結会計年度から連結財務諸表を作成しておりますが、連結子会社のみなし取得日を

   連結会計年度末日としていることから、貸借対照表のみ連結しているため、前期との比較は行っておりません。

 

   ③財政状態の状況

    財政状態の状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フ

   ローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」をご参照ください。

 

   ④キャッシュ・フローの状況

    キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャ

      ッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照くださ

   い。

 

⑤資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループは、中長期的に持続的な成長を図るため、人件費等や従業員等の採用に係る人材関連費用、並びに販売費及び一般管理費等の営業費用への資金需要があります。

 当事業年度における資金の主な増減要因については、「第2 事業の概況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しておりますが、経常的な運転資金につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローを財源としております。

 

   ⑥経営成績に重要な影響を与える要因について

    当社グループは、「第2 事業の状況2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、サービスの性質、人材の

   確保等、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

    そのため、当社グループは常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保し、市場のニ

   ーズに合ったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適

   切に対応を行ってまいります。

 

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