(1)経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態の状況
当連結会計年度末において、資産合計は、現金及び預金、受取手形及び売掛金、及びレンタル資産の増加等により、前連結会計年度末に比べ1,069百万円増加し、19,598百万円となりました。
負債合計は、買掛金及び未払法人税等の増加等、及び長期借入金の減少等により、前連結会計年度末に比べ464百万円増加し、11,776百万円となりました。
純資産合計は、利益剰余金の増加等により、前連結会計年度末に比べ605百万円増加し、7,821百万円となりました。
②経営成績の状況
当連結会計年度における経済環境は、上期は緊急事態宣言の全面解除後、経済活動再開による持ち直しの動きが出てきましたが、再度まん延防止等重点措置の実施など、持ち直しの動きに足踏みがみられました。下期については、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う活動制限が緩和され、徐々に経済活動が正常化に向かう一方、新たな変異株による感染者数の急拡大、コンテナ不足やウクライナ問題を起因とする物流の混乱や原材料価格の高騰など、外部環境の不透明感が強い状況が続きました。
当社グループは、当連結会計年度が2年目となる中期経営計画2025(2021年8月期から2025年8月期)では、Social Sharing Supporterとして更なる成長を図るため、パレット事業を成長ドライバーに「5つの事業(パレット・物流IoT・アシストスーツ・ICT・ビークルソリューション)の柱を育成」すること、および「海外展開の加速」に対する取り組みを掲げました。これらの目標達成に向かい施策を強化しておりますが、新型コロナウイルス感染症の長期化による経済活動の停滞により、対前年増収は継続しているものの、期初に策定した売上利益計画については、未達となりました。
物流業界においては、2024年問題への対応期限を1年半後に控え、「トラックドライバーの時間外労働の上限規制を遵守するために必要な労働環境の整備」の実現が喫緊の課題となっており、パレット輸送は有効な手段であるとの認識が高まっています。レンタルパレットによるパレットプールシステムは、パレットの回収及び流失防止の仕組みがあることから極めて高い関心を集めており、新型コロナウイルス感染症の影響で停滞していた導入の動きに、ようやく変化が出てきております。
このような環境の中、コンテナ不足を主因として港湾地区での保管用レンタルパレット需要は低迷していましたが、下期に入り徐々に回復、また輸送用レンタルパレット需要が着実に伸長した結果、レンタル売上は前年同期比で5.0%の成長となりました。販売売上は、原油価格上昇や円安による原材料価格高騰の影響により、前年実績を下回りました。
当社グループは、業種、規模、地域などが様々に異なる幅広い顧客と取引しており、新型コロナウイルス感染症の当社グループ業績への影響はマイナス面とプラス面の両方がありましたが、想定より長期化したことで上期についてはマイナス面の影響が強く出ました。保管用のレンタルパレットは、第1四半期に取引先の大口紛失に伴い想定を上回る受取補償金を計上しましたが、その要因からレンタル枚数が大きく減少しました。第2四半期以降、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化に伴う生産調整期間の延長、コンテナ不足による輸入貨物の減少等の要因により在庫量が回復せず需要は低迷しましたが、第3四半期以降は、経済活動の回復やコンテナ不足も徐々に緩和し回復しました。輸送用のレンタルパレットについては、引き続き家庭紙メーカーの共同利用・共同回収、玄米輸送、アクティブRFIDタグを搭載した「スマートパレット」が物流効率化の効果により拡大しました。また、医薬品輸送の追跡及び温度監視サービスや工場等の遠隔監視サービスについても堅調に推移しました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は13,329百万円(前年同期比3.1%増)、営業利益は532百万円(同0.4%増)、経常利益は1,114百万円(同31.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は680百万円(同21.3%増)となりました。
各セグメントの経営成績は次のとおりであります。
(物流事業)
トラックドライバーの高齢化や深刻なドライバー不足は年々高まってきており、総合物流施策大綱(2021-2025)においても、労働力不足対策と物流構造改革の推進(担い手にやさしい物流)等が提言されていること、また2024年度にトラックドライバーの時間外労働の上限規制が適用されることから、各企業の物流に対する問題意識は引き続き高まっております。輸送用レンタルパレットにおいて、当社のレンタルパレットを活用した家庭紙メーカーの共同利用・共同回収は、トラックドライバーの長時間労働の削減に繋がることもあり、引続き取扱量が拡大しています。未開拓の業界へのアプローチについては、新型コロナウイルス感染症の影響による活動制限が緩和されるなかで少しずつ進捗しました。保管用レンタルパレットは、コンテナ不足により依然として海外からの輸入が減少している影響で、港湾地区を中心とした需要の減少が続きましたが、経済活動の回復とコンテナ不足の緩和もあり、回復してきています。海外事業は引き続き順調に推移しました。物流IoTは医薬品輸送等で需要が拡大している「なんつい」が順調に伸長し、前年同期比でプラス成長となりました。アシストスーツでは、新型コロナウイルス感染症の状況が緩和されるなかでも、オンライン体験会等を有効に活用するとともに、家電量販店に続くその他の量販店へも拡販を図っております。また、ESGの観点から労働環境の改善策としての意識は高まっております。
この結果、物流事業では売上高12,317百万円(前年同期比2.7%増)、セグメント利益2,100百万円(同24.8%増)となりました。
(コネクティッド事業)
ICTにおいて、遠隔監視ソリューションについてはエレベーターの通信規格変更(3G→4G)に伴う大幅なデバイス入替、駐車場精算機は取引先の事業拡大に伴い、計画を上回りました。また、温湿度管理を行う「みえーるど」は工場や倉庫を中心に新規のお客様との取引が拡大しています。また、本年9月発売のDXタグは、5社で実証実験が始まりました。カーシェアリングシステムについては、半導体不足の影響による顧客のカーシェアリング車両の納車遅延が続きましたが、車載器販売は計画台数を確保しました。
この結果、コネクティッド事業では売上高1,012百万円(前年同期比8.0%増)、セグメント損失121百万円(前年同期はセグメント損失4百万円)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ429百万円増加し、当連結会計年度末には3,143百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は3,272百万円(前年同期は2,906百万円の収入)となりました。収入の主な要因としては減価償却費2,623百万円及び税金等調整前当期純利益1,084百万円等、支出の主な要因としては法人税等の支払額214百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は2,100百万円(前年同期は3,181百万円の支出)となりました。支出の主な要因としては有形固定資産の取得による支出1,839百万円及び無形固定資産の取得による支出232百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は781百万円(前年同期は675百万円の支出)となりました。支出の主な要因としては長期借入金の返済による支出1,681百万円等、収入の主な要因としては長期借入れによる収入1,000百万円によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。
b.仕入実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載に馴染まないため、当連結会計年度の仕入実績を記載いたします。セグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年9月1日 至 2022年8月31日) |
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
物流事業 |
5,498,782 |
119.59% |
コネクティッド事業 |
779,946 |
98.42% |
合計 |
6,278,728 |
116.48% |
(注)レンタル資産(固定資産計上)及び販売用器具の購入を記載し、売上原価に計上されている運送費等は除いて記載しているため、財務会計上の売上原価とは一致いたしておりません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年9月1日 至 2022年8月31日) |
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
物流事業 |
12,317,025 |
102.7% |
コネクティッド事業 |
1,012,185 |
108.0% |
合計 |
13,329,210 |
103.1% |
(注)1.セグメント間の内部売上高については相殺消去しております。
2.主たる販売先に関しましては、相手先別販売実績の総販売実績に対する割合が10%以上の販売先がないため、省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性から、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
なお、会計上の見積りに対する新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」及び、「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.当社グループの経営成績等
1)経営成績
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度と比較して401百万円増加し13,329百万円(前年同期比3.1%増)となりました。これは中期経営計画2025(2021年8月期から2025年8月期)の売上高目標15,000百万円に対し11.1%減となります。
主な要因は、パレットレンタル事業において、第3四半期以降の経済活動の回復やコンテナ不足の緩和等により、低迷していた保管用レンタルパレットの需要が回復してきたこと、及び家庭紙メーカーでの共同利用・共同回収の取り扱いが拡大したこと等により、輸送用レンタルパレットの需要が堅調に推移したことによるものであります。
(売上原価・売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度と比較して292百万円増加し9,236百万円(前年同期比3.3%増)となりました。主な要因はレンタルパレットの減価償却費用及び運送原価等が増加したことによるものであります。
その結果、売上総利益は、前連結会計年度と比較して109百万円増加し4,092百万円(前年同期比2.7%増)となりました。
(販売費及び一般管理費・営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度と比較して107百万円増加し3,560百万円(前年同期比3.1%増)となりました。これはDX化推進に伴う経費増加によるものであります。
その結果、営業利益は、前連結会計年度と比較して1百万円増加し532百万円(前年同期比0.4%増)となりました。
(営業外損益・経常利益)
当連結会計年度における営業外損益は、受取補償金による収益等により前連結会計年度と比べて262百万円増加しました。
その結果、経常利益は、営業外収益の増加等により前連結会計年度と比較して264百万円増加し1,114百万円(前年同期比31.1%増)となりました。これは中期経営計画2025(2021年8月期から2025年8月期)の目標値1,400百万円に対し20.4%減となります。また、売上高経常利益率は8.4%となりました。
(特別損益・親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の特別損益は、減損損失による損失等により前連結会計年度と比較して16百万円減少しましたが、法人税等は増加しました。
その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、680百万円(前年同期比21.3%増)となりました。
2)財政状態
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は5,951百万円となり、前連結会計年度末に比べ764百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が444百万円増加及び受取手形及び売掛金が247百万円増加したことによるものであります。固定資産は13,646百万円となり、前連結会計年度末に比べ304百万円増加いたしました。これはレンタル資産が316百万円増加したことによるものであります。
この結果、資産合計は19,598百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,069百万円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は4,499百万円となり、前連結会計年度末に比べ922百万円増加いたしました。これは買掛金が710百万円増加及び未払法人税等が224百万円増加したことによるものであります。固定負債は7,277百万円となり、前連結会計年度末に比べ458百万円減少いたしました。これは退職給付に係る負債が49百万円増加した一方で、長期借入金が535百万円減少したことによるものであります。
この結果負債合計は11,776百万円となり、前連結会計年度末に比べ464百万円増加いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は7,821百万円となり、前連結会計年度末に比べ605百万円増加いたしました。これは利益剰余金が581百万円増加したことによるものであります。
3)キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。
c.当社グループの資本の財源及び資金の流動性
当社グループの主な資金需要は、物流事業におけるレンタル資産(パレット等物流機器)の取得に係る設備投資の資金であります。資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、金融機関からの借入による資金調達等にて対応しております。
d.セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
わが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の新たな変異株による感染者数の急拡大、コンテナ不足やウクライナ問題を起因とする物流の混乱や原材料価格の高騰など、今後とも外部環境の不透明感が続くと思われますが、経済活動はウイズコロナ環境下で徐々に回復していくものと想定しております。
また、当社グループは、「中期経営計画2025」(2021年8月期から2025年8月期)の3年目を迎えますが、新型コロナウイルス感染症による影響を取り入れた「中期経営計画2025 (ver.2)」を2022年10月14日に発表いたしました。
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、次のとおりであります。
(物流事業)
物流につきましては、2024年問題を1年半後に控え、トラックドライバーの時間外労働の上限規制を遵守するために必要な労働環境の整備に有効なパレット輸送への関心は高い状態が続くものと見込んでおります。
このような事業環境のもと、物流事業においては、パレットの回収及び流失防止の仕組みが充実しているレンタルパレットによるパレットプールシステムの推進等により引き続き輸送用パレットレンタルの拡大に向けて取り組んでまいります。また、9月にオープンしたDXデポの活用によりアクティブRFIDタグを搭載した「スマートパレット」、「パレットファインダー」等の付加価値の高いサービス提供を進めてまいります。また、レンタルパレットの稼働率については、引き続き効率的なレンタルパレットの調達及びオペレーション管理を行うことで上昇を図り、粗利益率の改善を図ってまいります。アシストスーツについては、清水建設㈱と共同開発した「SUPPORT JACKET Bb+FIT フルハーネスジョイントタイプ」等新商品を市場へ投入することで商品の認知度を上げ、量販店との協業など販売チャネルの拡大を図ってまいります。
(コネクティッド事業)
コネクティッド事業のうち、ICT事業については、遠隔監視ソリューションにおいて駐車場や工場設備等の遠隔監視サービスの強化及び9月に発売されたDXタグにより、様々な用途や顧客ニーズに応えるサービス提供を拡大し、粗利益率の改善を図ってまいります。ビークルソリューション事業については、既存顧客への車載器の安定供給を中心に、自社運営事業の拡大や自治体や自動車販売会社等の新規顧客開拓を図り、新型コロナウイスによる影響の最小化に努めてまいります。
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