課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。

 

(1)経営方針

①社是

私たちは社業を通じ社会に貢献します

 

②経営の基本理念

・わが社の事業原点:パレットを通じ人々の生活を便利にすること

わが社はパレチゼーション(注)の普及を目指し、パレットの設計、開発製造、販売、レンタル、リサイクル及び物流コンサルティングを手掛けるトータルパレットマネジメントカンパニーとして、より高い品質、利便性、経済性を他社より優れたシステムと企画力で提供し効率的な物流基盤の整備に貢献する。

・わが社の目指す企業像:地球と人を尊重する会社

わが社は国際的視野で物事に取り組み、時代に対応して変化する柔軟性を備え、規模より内容を重視し、高付加価値企業の実現を目指し、環境に配慮した循環型社会の構築に貢献し、またわが社で働くすべての人達がワクワク・イキイキとし、会社を通じ自己実現できる環境を追求する。

・わが社の求める社員像:情熱あふれ真摯にチャレンジする人材

わが社の人材は常に向上を目指し、変化に対応する為に自己研鑽し、失敗を恐れず、物事に対し前向きに取り組み、責任を持って困難から逃げることなく、言うべきは言い、聴くべきは聴く事によりオープンに相互理解を図り、信頼を高めるために常に挑戦する。

 

上記を経営の基本理念におき、「お客様の最前線をDXとシェアリングで支えるスマートカンパニー」として事業展開を行っております。

 

 当社グループは、地球環境保全の取組みとして、東南アジアでの植林事業へ参画しております。当社が扱う木製パレットはインドネシアやマレーシア等東南アジアから輸入されており、その土地に再び木を植えることは、木材を利用するものとしての責務だと考えています。これまでにインドネシア、マレーシア、ミャンマーで植林活動の支援を行っており、第44期連結会計年度においてはベトナムで行っております。

また、当社発祥の地である山口県及び宇部市で様々な活動を通して地域貢献を行っております。宇部市とのネーミングライツ契約、レノファ山口FC、山口ペイトリオッツへのスポンサー活動などが主な活動であります。

上記CSR活動に関しまして、第44期連結会計年度において85百万円を充てております。

 

(注)パレチゼーションとは、パレット(pallet)の上に商品を載せることによって、荷姿の標準化とフォークリフトによる機械荷役ができるメリットを持った物流システムのことであります。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略

中期経営計画2025(2021年8月期から2025年8月期)では、Social Sharing Supporterとして更なる成長を図るため、パレット事業を成長ドライバーに「5つの事業(パレット・物流IoT・アシストスーツ・ICT・ビークルソリューション)の柱を育成」すること、および「海外展開の加速」に対する取り組みを掲げました。これらの目標達成に向かい施策を強化しておりますが、新型コロナウイルス感染症の長期化による経済活動の停滞により、主力のレンタルパレット事業において、増収は継続しているものの当初計画を大きく下回る結果となっています。

2021年8月期は、売上高目標13,559百万円に対し、4.7%減の12,927百万円、経常利益については目標値1,116百万円に対し、23.8%減の850百万円と計画値を266百万円下回る結果となりました。また、2022年8月期は、売上高目標15,000百万円に対し、11.1%減の13,329百万円、経常利益については、目標値1,400百万円に対し、20.4%減の1,114百万円と計画値を286百万円下回る結果となりました。

物流業界においては、2024年問題への対応期限を1年半後に控え、「トラックドライバーの時間外労働の上限規制を遵守するために必要な労働環境の整備」の実現が喫緊の課題となっており、パレット輸送は有効な手段であるとの認識が高まっています。レンタルパレットによるパレットプールシステムは、パレットの回収及び流失防止の仕組みがあることから極めて高い関心を集めており、新型コロナウイルス感染症の影響で停滞していた導入の動きに、ようやく変化が出てきております。しかし、当初策定しました売上計画までは見込めないこと、ウクライナ問題や中国のゼロコロナ政策、インフレ率上昇による世界的金利上昇等、世界経済減速のリスクをはらんでいること、および、現在DX推進により業務改善と営業事務の効率化を進めるべく取組を開始し、今後は原価低減と稼働率向上に資する取組を進めるための各種デジタルツールの導入などを進めていることから、中期経営計画2025の目標を修正することといたしました(以下「中期経営計画2025 (ver.2)」)。

 

中期経営計画2025 (ver.2)の作成にあたり、4つのマテリアリティ(重要課題)を特定しました。

① 地球にポジティブな影響を与える事業活動

② 社会のインフラをシェアする

③ 人間尊重

④ 企業基盤の強化

 

中期経営計画2025 (ver.2)の基本方針

「豊かな社会インフラの構築をDXで実現し、循環型社会に貢献する」

パレットというハードのレンタルにとどまらず、生産工場から消費者へとモノを運ぶうえで、物流の川上から川下までのあらゆる課題解決に取り組むソリューション提案企業を目指す。

 

4つの戦略

① 環境配慮に繋がるサービスの促進

② 人を尊重し持続可能な物流を支える

③ 所有から共同利用(シェアリング)への促進

④ DX改革(先端技術)とオープンイノベーションによる新たなサービスの創出

 

定量目標

売上高177億円、経常利益19億円、ROE13%以上(長期的に15%以上を目指す)

 

また、非財務指標(人的資本・製造資本・知的資本・社会関係資本)の強化につきましても、一部の指標を修正し、推進してまいります。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、連結売上高及び連結経常利益を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、取締役会等で監視を行っております。

 

(4)経営環境及び対処すべき課題

当社グループを取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が徐々に緩和されるなかで、ウクライナ問題や中国のゼロコロナ政策による物流の混乱やコンテナ不足、世界的な原材料価格の高騰等により依然として先行き不透明な状況が続いております。物流業界においては、2024年問題への対応期限を1年半後に控え、総合物流施策大綱(2021-2025)(注1)にも記載されているとおり「これまで進捗してこなかった物流のデジタル化や構造改革を加速度的に促進させる好機」となっています。「トラックドライバーの時間外労働の上限規制を遵守するために必要な労働環境の整備」を実現するために、パレット輸送は有効な手段であり、パレットの回収及び流失防止の仕組みが充実しているレンタルパレットによるパレットプールシステムへの関心は極めて高くなってきています。また、女性や高齢者を中心とした「新たな労働力の確保に向けた対策」として、当社アシストスーツへの関心も引き続き高いレベルを維持しています。そのような中で、当社グループは中期経営計画の達成を目指し、経営体制の強化ならびに業務執行の効率化、迅速化を図る目的で組織変更を行いました。事業ごとの課題を以下のとおり認識し、SFA(営業支援ツール)や社内業務効率化ツールの新規導入並びに活用により、それぞれの施策を強力に推し進めてまいります。なお、今回の組織変更による報告セグメントの変更はございません。

 

①パレット等物流機器のレンタル事業:

物流を取り巻く環境は、トラックドライバーの人手不足や高齢化、長時間労働への取り組みなどを背景に物流需給が逼迫化しており、また運輸部門におけるカーボンニュートラルの必要性の高まりから、今後もパレット輸送の需要が拡大していくものと考えております。保管用パレットレンタルに加え、輸送用パレットレンタルの拡大に向け、パレット利用による経済効果やCO2削減効果等の指標を用いて業界内パレットプールシステム(注2)を推進し、アクティブRFIDタグを搭載した「スマートパレット」については、パレットと荷物の紐付けやロケーション管理等の新技術開発を推進し、顧客の物流効率化や生産性向上に貢献できるよう取り組みます。また、レンタルパレットの稼働率向上による当社粗利率の拡大を目指し、プラスチックパレットの最適調達及び効率的な運用を行ってまいります。

②パレット等物流機器の販売事業:

省力化・省人化をキーワードに、アクティブRFIDタグ等物流の効率化に繋がる高付加価値商品の販売を進め、顧客との信頼関係を構築し、同時にパレット等物流機器のレンタル需要も掘り起こします。また、生産性向上のため、Webによる受注体制を深化させます。

③アシストスーツ事業:

社会的課題である腰痛への対策としてアシストスーツの市場は大きく、今後拡大していくものと考えております。発売以来の累計販売台数が2万台を突破し、動力を伴わないタイプのサポートジャケットは、市場へ浸透してまいりましたが、動力を伴うタイプのサポートジャケットについては高額ということもあり、まだまだ浸透しておりません。現在、アシストスーツ事業の取組として、直販中心の販売戦略からECサイトや販売代理店の活用、量販店との協業などの販売を拡大しており、量販店での販売、販売代理店サポート体制の充実や、Web体験会を通じて商品の認知度を更に上げ、製造・物流業以外の業態でも導入いただけるよう進めてまいります。

④物流IoT事業:

既存の追跡ソリューションの機能拡充や新しいソリューションを提供することで、顧客に付加価値を提供してまいります。顧客への効率的で付加価値の高いサービスを提供するため、パレット等物流機器のレンタル事業及び販売事業とのシナジー効果を発揮できるよう追求してまいります。

⑤ICT事業:

目視不要による業務改善への貢献をキーワードに遠隔監視技術の強化を行いつつ、顧客の拡大の為に社外パートナーとの連携による遠隔監視ソリューション提供も進めてまいります。また、今期より導入されるDXタグ(注3)を活用したソリューションの提案により、様々な用途や顧客ニーズに応えると共にデータ利用によるコンサルティングの充実、また将来的にはAIやビッグデータ解析等の最新技術を積極的に導入する予定です。このようにサービス提供を拡大しリカーリング売上を拡大し、粗利益率の改善を図ります。

⑥ビークルソリューション事業:

既存顧客の増車計画に対応した車載器の安定供給、自社運営事業の拡大、自治体や自動車販売会社等の新規顧客開拓、キーボックス型モビリティ無人貸渡システムの提供等を行いレンタカーや他モビリティサービスへの導入を進め、MaaS事業への参画を促進してまいります。

 

(注)1.政府における物流施策の指針を示し、関係省庁が連携して総合的・一体的な物流施策の推進を図るものです。

2.パレットプールシステムとは、同一のパレットをより多くのユーザーが相互に循環利用する仕組みです。

3.物流機器等の在庫・入出 庫管理システムに用いていたアクティブ RFID タグを小型化し、機能追加を行ったものです。

 

 

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