業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

  当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。なお、当社グループは、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前連結会計年度との比較・分析の記載はしておりません。

  当社グループは、当連結会計年度の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。)等を適用しております。

 

 ①財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末における資産合計は2,564,738千円となりました。その主な内訳は現金及び預金1,717,761千円、売掛金272,034千円、営業投資有価証券154,685千円、投資その他の資産262,904千円であります。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債合計は866,314千円となりました。その主な内訳は、未払金291,234千円、1年内返済予定の長期借入金116,664千円、未払法人税等178,098千円、未払消費税等78,456千円であります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は1,698,423千円となりました。その主な内訳は、資本金224,331千円、資本剰余金224,331千円、利益剰余金1,082,233千円、非支配株主持分165,463千円であります。
 

 ②経営成績の状況

(全般的概況)

 我が国においては、政府の成長戦略において、産業競争力強化の観点からスタートアップ企業の支援及びスタートアップエコシステム強化の重要性が提唱され、各種取組みが実行されています。そのような状況の中、2021年(暦年)における我が国のスタートアップ企業への投資額は過去最高値を記録したほか、ディープテックベンチャーへの民間融資に対する債務保証制度やファンドによる海外投資規制の緩和など、制度面の拡充についても積極的に図られています。

 また、直近においても、政府においてスタートアップ企業の育成のための5か年計画の策定が発表されるだけでなく、2022年3月15日に提言された経団連の「スタートアップ躍進ビジョン~10X10Xを目指して~」において、5年後までに起業数10倍、ユニコーン企業数100社・デカコーン企業2社以上が成長目標に据えられるなど、より一層スタートアップ企業の支援及びスタートアップエコシステム強化に向けた取り組みが実行されつつあります。

 

 項目ごとの経営成績の状況は以下の通りです。

(売上高)

 タレントエージェンシーサービス及びオープンイノベーションサービスが好調に推移し、当連結会計年度の売上高は2,348,687千円となりました。タレントエージェンシーサービスは、採用ニーズの強い企業や需要の高いポジションの支援強化、採用支援サービスの営業強化が功を奏しました。また、オープンイノベーションサービスは、「Public Affairs」やスタートアップ企業の資金調達を支援する「資金調達支援」等の営業を強化しました。

 

(売上原価、売上総利益)

 当連結会計年度の売上原価は361,776千円となりました。これは主にタレントエージェンシーサービスにおける求人媒体への支払手数料及びオープンイノベーションサービスにおける外注費です。結果として、売上総利益は1,986,910千円となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益、経常利益)

 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は1,384,595千円となりました。これは主に人件費及び地代家賃です。結果として、営業利益は602,315千円、経常利益は606,167千円となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、461,522千円となりました。

 当社グループは、当連結会計年度より、投資事業開始に伴う社内管理体制の変更により、報告セグメントを従来の「成長産業支援事業」の単一セグメントから「タレントエージェンシー&オープンイノベーション事業」と「ベンチャーキャピタル事業」の2区分に変更しております。

 

 各セグメント及びサービス別の経営成績は下記の通りであります。

 

(タレントエージェンシー&オープンイノベーション事業)

・タレントエージェンシー

 タレントエージェンシーサービスは、スタートアップ・成長企業向けに人材紹介を中心とした人材支援サービスを提供しております。当連結会計年度においては、スタートアップ・成長企業の資金調達額の増加を背景とした人材需要の高まりにより、求人ニーズが高水準で推移するとともに、新規取引の引き合いも強い状況が継続しました。

 このような中、採用ニーズの強い企業や経営幹部・エンジニアなどの需要の高いポジションの支援強化や採用ニーズの高いクライアントの採用をより強力に支援する採用支援サービスの営業強化が功を奏した結果、当連結会計年度における売上高は2,156,780千円となりました。

 

 タレントエージェンシー全体の主要な業績評価指標は以下のとおりです。

期間

前事業年度

(自 2020年4月1日

 至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

人材紹介取引数(人)

404

685

人材紹介平均単価(千円)

2,762

2,816

(注)1.人材紹介取引数は、特定期間における人材紹介数であり、業務委託契約を除いております。

紹介した候補者が入社後一定期間内(早期)に自己都合退職した場合には紹介企業から収受した紹介手数料の一定割合を契約に基づき返金しますが、当該返金対象取引も取引数に含めております。

2.人材紹介平均単価は、特定期間における売上計上対象となった経営管理上の人材紹介売上高(業務委託契約を除く成功報酬型のコンサルティングフィー)のみを上記の人材紹介取引数で除した数値です。

紹介した候補者が入社後一定期間内(早期)に自己都合退職した場合には紹介企業から収受した報酬の一定割合を契約に基づき返金しますが、上記の経営管理上の人材紹介売上高では当該返金額を控除せず、集計しております。

3.成功報酬型以外のコンサルティングサービスは上表には含めておりません。

 

・オープンイノベーション

 オープンイノベーションサービスは、当社グループが運営するデータベース「STARTUP DB」を活用し、大手企業や官公庁・自治体とスタートアップ企業の連携を促進するサービスを提供しております。新規事業創出や既存事業変革、既存オペレーションのDX化に対して優先度高く向き合う大手企業の予算は引き続き底堅く推移している中、「Public Affairs」やスタートアップ企業の資金調達を支援する「資金調達支援」等の営業強化により、当連結会計年度における売上高は191,907千円となりました。

 

(ベンチャーキャピタル事業)

 当連結会計年度においては2社に投資を実行しております。ただし、設立初年度であり、管理費用のみが発生していることから、セグメント損失は4,318千円となりました。

 なお、当セグメントには、子会社であるフォースタートアップスキャピタル合同会社、及び同社を通じて新たに組成したフォースタートアップス1号投資事業有限責任組合が含まれております。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の期末残高は1,717,761千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、増加した資金は605,502千円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益606,167千円を計上した一方で、営業投資有価証券の増加額154,685千円に加え、売上債権の増加額81,367千円、未払金の増加額116,542千円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、減少した資金は168,161千円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出48,508千円、敷金及び保証金の差入による支出97,554千円、投資有価証券の取得による支出30,000千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、増加した資金は237,470千円となりました。これは主に、長期借入れによる収入100,000千円、非支配株主からの払込みによる収入176,000千円、新株予約権の行使による株式の発行による収入27,537千円に加え、長期借入金の返済による支出66,664千円によるものであります。

 

④生産、受注及び販売の実績

 当社グループは、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。また、受注から役務提供完了までの期間が短いため、受注実績に関する記載は省略しております

 当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。

 

サービスの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

前年同期比

(%)

タレントエージェンシー&オープンイノベーション事業

 

 

 

タレントエージェンシーサービス(千円)

2,156,780

 

オープンイノベーションサービス(千円)

191,907

 

小計(千円)

2,348,687

ベンチャーキャピタル事業(千円)

合計(千円)

2,348,687

(注)1.主な相手別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がいないため記載を省略しております。

   2.当連結会計年度より、報告セグメントを従来の「成長産業支援事業」の単一セグメントから「タレントエージェンシー&オープンイノベーション事業」と「ベンチャーキャピタル事業」の2区分に変更しているため、前年同期比の記載はしておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、過去の実績等を勘案して合理的な見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの財務諸表の作成にあたって採用する重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 

②経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営成績等の状況に関する分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要」に含めて記載しております。また、経営成績等に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に含めて記載しております。

 

③経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」をご参照ください。なお、当社グループでは売上高及び営業利益を重要な指標としております。

 

④資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの資金需要は、人員規模拡大に伴う、人件費や採用費をはじめとする人材関連投資等が中心であります。当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と財源を安定的に確保することを基本方針としており、運転資金は自己資金及び金融機関からの借入及び必要に応じてエクイティファイナンスによる資金調達を中心に考えております。

 

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