課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社グループは「つながりを常によろこびに(Delight in Every Connection)」をミッションに掲げ、「As In Your Hometown」というビジョンの実現を目指してサービスの開発及び提供をしております。

① つながりを常によろこびに

 ソーシャルメディアやコミュニケーションサービスなどの多様化・発展によってもたらされた「つながり」は、人と人がつながるからこそ起きる新たな問題を生み、ときには社会問題のような大きな課題に発展することもあります。「つながり」から生じる課題を解決することを通じて、「つながり」が「よろこび」であり続けられる世の中の実現を目指しております。

 

② As In Your Hometown

 情報技術の発展により、人と人とのやりとり、生活、コミュニティや社会のあり方が大きく変化しております。一方で、個人がアクセスできる情報の質や種類、量は立場や経験により大きく異なっており、同じ情報であっても、皆が同じようにアクセスでき、同じように感じるわけではありません。このような時代において、インターネットを通じた社会が、利用者にとって健全で心地よい「居場所」となるよう貢献していきたいと考えております。

 

 このミッション及びビジョンのもと、当社グループの持続的な成長と企業価値の向上を目指してまいります。

 

(2)経営戦略

 当社グループは、創業間もないスタートアップ企業から時価総額1,000億円を超える大手企業まで幅広くサービスを提供し安定的な成長を続けております。今後のさらなる成長に向け、当社の得意とする事業領域に引き続き重点を置き、各事業領域におけるサービス提供ノウハウを集約することで、顧客企業に対しより最適かつ最新のサービスを提供してまいります。

 また、重点事業領域において事業を展開している顧客企業に対し、顧客企業のサービスの初期段階からカスタマーリレーションにおけるパートナー企業として当社グループのサービスを提供することで、顧客企業のサービス成長に寄与し、当社グループの付加価値をより一層高めてまいります。

 

(3)経営環境

 当事業年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響により、厳しい状況にありました。米国、欧州、アジア各地域で経済活動の再開が進められておりますが、新型コロナウイルス感染症の再拡大によるリスクをはらんだ状況が続いております。

 こうした世界情勢のなか、IT市場は、人手不足を背景に業務の効率化及び自動化を図ることに加え、業務の非対面化のために、新しいIT技術(AI、IoT及びRPAなど)を用いた既存システムの再構築や機能追加などの需要を受けて、堅調に推移しております。

 今後のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の収束状況によるところが大きいものの、中期的にみると企業のIT投資は徐々に積極性を取り戻し、それに伴うビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)(注1)事業の市場規模は緩やかに増加するものと予測しております。

 当社グループが提供するカスタマーリレーション事業は、ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)市場に属しており、2020年度の国内非IT系BPO市場は前年度比2.5%増の1兆8,172億円(事業者売上高ベース)となり、2025年においては2兆402億円に達すると予測されております(注2)。このうち、当社グループのカスタマーリレーション事業においてサービスを提供している主な事業領域は、ソーシャルメディア領域、ソーシャルアプリ領域、シェアリングエコノミー領域、Fintech領域、MaaS領域であります。

 当社グループの顧客企業が属するシェアリングエコノミー領域では、国内シェアリングエコノミー市場規模(資産・サービス提供者と利用者の間の取引金額ベース)が2021年度において過去最高の2兆4,198億円となり、現状のペースで成長した場合は、2030年度には14兆2,799億円と大幅拡大する予測に修正されております。(注3)。

 また、Fintech領域においても大きな成長が見込まれ、2022年度の国内Fintech市場規模(Fintech系ベンチャー企業売上高ベース)は1兆2,102億円に達すると予測されております(注4)。加えて、当社グループが注視しているMaaS領域においては、国内MaaS市場規模は2025年には2兆1,042億円に達すると予測されております(注5)。

 このように当社グループがサービスを提供し得意としている事業領域においては、今後も顧客企業の属する市場のさらなる拡大が見込まれており、市場拡大とともにカスタマーリレーション事業の需要拡大が見込まれる経営環境となっております。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 今後当社グループが成長を成し遂げていくために、対処すべき主な課題は以下のとおりであります。

① 市場環境の変化に対応した価値提供

 インターネット上では次々と新しいサービスが提供されており、新たな価値を生み出しているスタートアップ企業の成長を支援することが当社の成長において重要であると考えております。そのため、当社はユーザーサポートからカスタマーサクセスへと支援体制を転換し、サービス開発を進めてまいります。

 

② 人材の獲得

 当社の持続的な成長には、当社の企業理念に共感し高い意欲を持った人材の確保、並びにその育成が重要であると認識しております。そのため、社員の紹介による採用の促進や採用PR活動を通して当社の認知を高めるとともに、社員がそれぞれのキャリアを構築できるようになるべく、タレントマネジメントに取り組んでまいります。また、当社では各サービスを提供していくうえで、多数のオペレータースタッフを雇用しておりますが、労働人口の減少に伴い人材獲得における競争が激化しております。更なるニューノーマル時代への変化を見据え、様々な人材が多様な働き方を選択できる環境整備とともに、採用活動の高度化を一層強化してまいります。

 

③ 新規サービス開発、M&Aなどによる新たな収益基盤の創出

 当社は、これまでに既存のビジネス領域から派生した再考アラートサービス「matte」、SNS炎上対策サービス「Pazu」を開発してまいりました。今後も新規開発に取り組み、新たな収益源を確立していくことが、持続的な成長と中期的な企業価値向上に不可欠であると考えております。

 当社グループにおいては、社会的問題の解決と当社グループの成長を両立すべく、SDGsやソーシャルグッドに関する様々な社会テーマに沿った新規サービスの開発に取り組んでまいります。また、新規サービスの開発において、ビジネスパートナーの開拓やM&Aなども積極的に推進してまいります。

 

④ 技術の革新

 当社グループは、人の目による精度の高いサービス提供を中心に行ってまいりましたが、昨今のAI(注6)やRPA(注7)などによる自動化が広がりつつあり、これらを活用した業務プロセスの効率化が求められております。当社グループはそのための技術研究開発を行っており継続して推進してまいります。

 

⑤ 内部管理体制の強化

 当社グループは、今後もサービス開発を行っていくことで事業の拡大を見込んでおりますが、事業の拡大及び継続的な成長を実現していくためには、コーポレート・ガバナンスのさらなる強化が重要であります。内部統制及び管理部門を強化し、より一層のコーポレート・ガバナンスの強化に努めてまいります。

 

⑥ 財務体質の強化

 当社グループは、安定した財務基盤のもと、手許資金の充実を図ることで財務健全性を確保し、成長への計画的な投資及び機動的な投資などに対応できる体制を整えるとともに、原価及び販売費及び一般管理費のコントロールなどによるフリーキャッシュ・フローの確保に取り組み、財務体質の強化に努めてまいります。

 

(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループが提供するカスタマーリレーション事業は、ストック型ビジネスモデルであると認識しております。このため、契約獲得数の増加及び契約保有数に対する解約率を意識しております。そのうえで、企業価値の増大を目指すため、「売上高」と「経常利益」を重要な経営指標としております。

 2022年2月10日に公表いたしました2022年12月期の連結業績予想におきましては、売上高3,352百万円、営業利益34~94百万円、経常利益30~90百万円を計画しております。

 

(注)1.「ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)」とは、業務プロセスの効率化を目的として、企業が社内の業務の一部を外部に委託することを表す言葉であります。

2.出典:BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)市場に関する調査結果(矢野経済研究所調べ)

3.出典:シェアリングエコノミー市場調査 2021年版(情報通信総合研究所調べ)

4.出典:2019 FinTech市場の実態と展望(矢野経済研究所調べ)

5.出典:2019年度版 MaaS市場の実態と将来予測 -サービス化する自動車産業1 市場分析編-(矢野経済研究所調べ)

6.「AI」とは、Artificial Intelligenceの略で人工知能を指し、人間の知的ふるまいの一部をソフトウエアを用いて人工的に再現したものであります。

7.「RPA」とは、Robotic Process Automationの略で、ロボットによるホワイトカラーの業務の効率化・自動化の取り組みを表す言葉であります。

 

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