事業等のリスク

2【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況などに関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもリスク要因には該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1)事業の環境、外部環境

① 市場の動向について

 当社グループは、インターネット関連サービス市場を主たる事業領域としており、当社グループの事業はこれらの市場動向の影響を受けております。インターネット関連サービス市場には、当社設立後もシェアリングエコノミー、Fintech、MaaSといった新たな事業領域が生まれており、その利用者も急激に増加しておりますが、将来においてインターネットに代わる新たなサービスが提供され、インターネットを利用する機会が減少した場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 競合について

 当社グループが提供するカスタマーリレーション事業における主な事業領域は今後も成長が期待されている市場であるため、新たに参入してくる競合企業が出現する可能性があり、当社グループの提供するサービスと比較して低コスト・高品質となった場合に、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、新たな技術などを利用したサービスあるいは新たなビジネスモデルが登場し、当社グループの対応が遅れた場合に、当社グループのサービスが不適応化するおそれがあります。その場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 新サービスの開発

 当社グループは、インターネット関連サービス市場を主たる事業領域として、新たなインターネット関連サービスが急激に拡大した際に生じる課題に対して、カスタマーリレーション事業の提供及び新しいサービスを提供していく予定であります。新サービスの開発にあたっては、市場のニーズ及び技術の動向を注視しながら慎重に検討を重ねたうえで取り組んでまいりますが、当該サービスを取り巻く環境の変化などにより、計画どおりの成果が得られない場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 教育予算の動向について

 当社グループの一部の事業は、各都道府県など教育委員会、公立学校、私立学校法人にサービスを提供しているため、政府及び地方自治体の教育予算の動向により影響を受けます。政府及び地方自治体の教育予算の方針変更あるいは財政状況の悪化により教育予算が削減された場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)事業上のリスク

① 新型コロナウイルス感染症について

 当社グループは、東京、仙台、福岡、札幌、沖縄、宮崎、フィリピン共和国に拠点を持ち、各拠点において重大な支障なく事業継続ができるよう、リモートワークの推進や事業所在席率の抑制、時差出勤などを実施し、サービス提供を継続しております。しかしながら、当社グループの従業員が新型コロナウイルス感染症に感染し、従業員同士の接触などにより事業所内で大規模感染などが発生した場合には、事業所の一時閉鎖やサービス提供の一時停止が発生し、当社グループの事業活動、財政状態及び経営成績などに影響を及ぼす可能性があります。また、顧客企業において新型コロナウイルス感染症の影響により財政状態が悪化し、事業継続や外注費の支払いなどが困難になった場合、当社グループの有する売上債権の回収が困難となる可能性があります。

 

② 契約解約について

 当社グループは、サービス提供先との契約期間を原則6か月間とし、期限到来後は同じ契約期間毎の更新となっております。契約期間内に解約する場合には原則として一方の当事者が相手方に3か月前に書面で通知することにより解約が成立する内容となっており、当社グループの意思とは関わりなく突発的な解約が発生する可能性があります。今後、収益性の高い取引先の解約が多発した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

③ データの取得について

 当社グループは、インターネットモニタリングにおいて、ソーシャルメディア上で生成されたデータをAPI連携により自動的に収集しております。しかしながら、ソーシャルメディアの運営方針の変更により制限が加えられた場合や禁止された場合にデータの取得が困難になることから、サービスの提供内容及び品質に影響するおそれがあります。また、データを取得するための新たな手段を構築するための対応コストが発生した場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ ネットワークトラブルについて

 当社グループは、顧客企業及び利用者のニーズに対応するため、24時間365日のサービス提供体制を構築しておりますが、その業務環境は通信ネットワークに依存しており、サーバーなどの自社設備や第三者の通信設備などのインターネット接続環境が良好に稼働することが前提であります。そのため、サーバーの停止、コンピュータウィルスによる被害、外部からの不正侵入、システムの不具合、災害や停電などによる通信ネットワークの切断などが生じた場合には、サービスの提供に支障をきたし、また、ネットワークトラブルの障害や不具合の原因が当社グループにあった場合には、顧客企業からの信用が低下し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 情報漏洩について

 当社グループにおけるサービス提供において、一部個人情報を含む機密情報や、顧客企業のサービス提供における機密情報を扱っており、これらの情報に関しては高い水準の情報管理体制の構築及び運用が求められております。当社グループにおいては、ISMSの認証取得及びプライバシーマークの認定取得に加えて、顧客企業の機密情報が外部に漏洩することのないよう、当社グループ関係者などとの間で秘密保持契約を締結するとともに、設備面においてもアカウント管理システム、入退室管理システム及び監視カメラ設置などの諸施策を講じております。しかしながら、当社グループにおいて、業務上知り得た機密情報などについて何らかの要因により外部への流出などが生じた場合には、顧客企業からの信頼を著しく低下させ、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 人材の獲得及び育成について

 当社グループは、顧客企業に価値を提供し続けるためには、事業を築いていける人材の確保とその育成が重要な課題と認識しており、社内コミュニケーションの強化、人材育成と抜擢及び外部からの人材登用に努めております。しかしながら、当社グループが属する業界での人材獲得競争が激化することにより、当社グループの人材が外部に流出することや、人材の確保に支障をきたす場合があり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループのサービス提供における実務は、臨時従業員(アルバイトスタッフ)によっております。臨時従業員の確保、受け入れ体制の充実及び育成には取り組んでおりますが、採用市場の急激な変化などにより臨時従業員の確保が困難になった場合、サービスの提供及び販売活動が阻害されるおそれがあり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 大規模な自然災害について

 当社グループは、有事に備えた危機管理体制の整備に努め対策を講じておりますが、台風、地震、津波などの自然災害が想定を大きく上回る規模で発生及び流行した場合、当社グループまたは当社グループの取引先の事業活動に影響を及ぼし、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 減損損失について

 当社グループは、国内及びフィリピン共和国に子会社を有しております。子会社における事業環境の悪化により、これらの子会社の収益性が著しく低下した場合、当該子会社の固定資産について減損処理を行うことがあります。減損処理を実施した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)法的規制に関するリスク

① 労働者派遣法について

 当社は「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備に関する法律」(以下、「労働者派遣法」という。)に基づく厚生労働大臣の「一般労働者派遣事業」の許可を取得しており、労働者派遣法に基づく規制を受けております。法令を遵守して人材の確保及び事業の運営をしておりますが、法令違反に該当するような事態が生じた場合、または今後において関連法令や解釈が変更された場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② インターネットに関連する法的規制などについて

 当社グループが遵守しなければならないインターネット関連法令はごく限られておりますが、当社グループが受注する顧客企業が遵守する必要がある法令として「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備などに関する法律」、「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制などに関する法律」及び「EU一般データ保護規則」などの各種法令や、各法令の監督官庁が定める省令・指針・ガイドラインなどがあります。

 これらの法的規制は、当社グループの事業活動自体を規制するものではなく、今後において新たな法令制定などが生じた場合には、顧客企業における対応のための新たなサービス需要などが生じる可能性がありますが、一方で顧客企業の事業が何らかの制限を受けることとなった場合、または当社グループの事業が法的規制を受けることとなった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ フィリピン共和国のカントリーリスクについて

 連結子会社であるadish International Corporationは、フィリピン共和国において事業を展開しております。フィリピン共和国は、法改正などが頻繁になされる特徴があり、今後、新たな法令の制定などが生じ、当社グループの事業が法的規制を受けることとなった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、台風などの自然災害により通信システムの障害などの発生、従業員の通勤手段の断絶あるいは都市機能が麻痺する場合や、テロ活動が拡大する場合などにより、サービスの提供に支障が生じる場合は、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)当社グループの事業体制について

① 特定人物への依存について

 当社グループの創業者であり、代表取締役である江戸浩樹は、当社グループの事業及び関連市場に関する豊富な知識と経験を有しており、経営方針や事業戦略の決定など、当社グループの事業活動全般において重要な役割を果たしております。現在当社では、同氏に過度に依存しないような体制の整備、人材の登用及び育成などに取り組んでおりますが、何らかの理由により同氏による業務の遂行が困難となった場合、現状においては当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② ガバナンス体制の強化について

 子会社を含む当社グループの継続的な成長のためには、コーポレート・ガバナンスが適切に機能することが必要不可欠であると認識しており、業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、各社内規程及び法令遵守の徹底、従業員の教育に取り組んでまいります。また、コーポレート・ガバナンスを強化していくために、独立社外取締役を2名体制とすることで、モニタリングをさらに強化していく方針であります。なお、利益相反取引が生じる場合には、取締役会において少数株主の利益保護の観点から議論する方針を定めております。さらに、内部監査や監査役監査によるモニタリングを強化することでガバナンス体制の実効性を図ってまいりますが、事業の急速な拡大などにより、コーポレート・ガバナンスあるいは管理体制が有効に機能しなかった場合には、当社グループの事業に何らかの影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)その他

① 新株予約権について

 当社グループは、取締役、監査役及び従業員に対するインセンティブを目的として、ストック・オプションを付与しております。本書提出日現在、ストック・オプションによる潜在株式は118,680株であり、発行済株式総数1,796,160株の6.6%に相当しております(注)。当社グループの株価が行使価格を上回り、かつ、権利行使についての条件が満たされ、同ストック・オプションが行使された場合には、1株当たりの株式価値が希薄化することになります。

(注)ストック・オプションによる潜在株式の数及び発行済株式総数には、2022年3月1日から本書提出日までの新株予約権の行使により発行された株式数は含まれておりません。

 

② 配当政策について

 当社グループは、株主に対して利益を還元していくために、カスタマーリレーション事業における競争力を高め、事業を拡大していくことを経営の重要課題として位置づけております。このことから、創業以来配当は実施しておらず、今後においても当面の間は内部留保の充実及び事業への投資を推進する方針であります。各事業年度の経営成績を勘案しながら将来的には株主への利益還元を検討していく方針ですが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期などについては未定であります。

 

③ 主要株主の存在について

 当連結会計年度末日現在における当社の発行済株式総数は、普通株式1,796,160株であります。このうち、株式会社ガイアックス(以下、「ガイアックス」という。)は、581,300株を所有(所有割合32.37%)しております。

 

イ.当社グループとガイアックスの関係について

 当社グループは、ガイアックスより独立した企業集団であります。当社はガイアックスからの新設分割にて2014年10月1日に設立されたのち、2017年11月10日付で当社役職員に対する第三者割当増資を実施し、2018年1月17日付でガイアックスが所有する当社株式の一部譲渡が行われ、また、2018年1月18日付でベンチャーキャピタルなどに対する第三者割当増資を実施しております。これによりガイアックスの所有割合は2018年1月18日付で65.46%となりました。また、当社代表取締役である江戸浩樹、当該第三者割当増資の引受人及びガイアックスとの間で、ガイアックスにおける当社株式の保有目的を純投資とする旨の株主間契約を締結いたしました。ガイアックスは、当社について企業会計基準適用指針第22号第16項の要件を満たしており、当社グループの財務及び経営などの方針に対し重要な影響を与えることができなくなったことから、当社グループは、ガイアックスにおける2018年12月期第1四半期連結会計期間より連結の範囲から除外され(注)、また、ガイアックスの属性は親会社から主要株主に変更となっております。なお当該株主間契約は上場時に終了しております。当連結会計年度末におけるガイアックスの所有割合は32.37%となっており、本書提出日現在においても、ガイアックスは、当社について企業会計基準適用指針第22号第24項の要件を満たしていることから、当社はガイアックスにおける連結の範囲から除外されております。

 今後ガイアックスが方針を転換し、ガイアックスの連結グループへ再編成されるリスクがあります。これについては、ガイアックスが経営方針に基づき当社株式を段階的に売却していくことを開示しており、同時に当社とガイアックスの間で、ガイアックスが将来にわたり当社の財務及び営業、又は事業の方針の決定に対して、直接又は間接的に重要な影響を与えることができないことが明らかであると認識し、当社をガイアックスの連結対象とする計画がないことを表明した文書を取り交わしております。なお、今後におきましても、ガイアックスは数年かけて保有している当社株式のすべてを売却していく方針であります。

 当社とガイアックスの関係性について重大な変化は生じないものと認識しておりますが、ガイアックスの方針変更などにより当社の独立性に影響を及ぼす可能性があります。

 

ロ.株式の売却について

 ガイアックスは、グループ外における投資育成支援及びグループ内で創設される新規事業から構成されるインキュベーション事業を展開しており、当社グループはインキュベーションセグメントに位置づけられ、当社株式は営業投資有価証券として保有されております。そのため、将来において株式が売却される可能性があり、そのような場合には短期的に需給が悪化することにより当社の株価が下落する可能性があります。

 

ハ.取引関係について

 当社グループとガイアックスとの取引については、他の企業の取引条件との比較などにより取引条件の適正性を確保できており、今後も僅少ではありますが、取引の合理性及び取引条件の妥当性が認められる範囲で当社グループのカスタマーリレーションサービスの提供などの取引関係を継続していく方針です。なお、事業上の関係以外の資金、経営指導料や貸借などの取引及び人的関係は解消しており、当社グループの経営方針、事業展開などの重要事項の意思決定において、現状ガイアックスに対して事前承認を要する事項などはなく、独立性・自立性は保たれていると認識しております。

 なお、ガイアックスグループと当社グループとの取引は減少傾向にあり、売上高に関しては当連結会計年度で当社グループ売上高全体の1.0%となっております。

 

ニ.競合関係について

 当社グループは、インターネットの発展に伴って発生する課題に対してカスタマーリレーション事業を展開しております。一方でガイアックスは、ソーシャルメディア領域におけるコンサルティング及びマーケティング支援などを提供するソーシャルメディアサービス事業、グループ外における投資育成支援及びグループ内で創設される新規事業から構成されるインキュベーション事業を展開しております。ともにインターネット関連産業においてサービスを提供しているものの、それぞれの事業領域が異なるためシナジー関係にはありません。

 今後も、当社グループ及びガイアックスは、インターネット関連産業において新たな事業の可能性や投資の検討を日々行っていくことから、当社グループは投資機会の追求にあたり、ガイアックスと競合する可能性があります。当社といたしましては、引き続きガイアックスとの連携を検討するなどの対応を行ってまいりますが、ガイアックスの事業戦略が変更された場合には、当社グループの事業に何らかの影響を及ぼす可能性があります。

 

(注)ベンチャーキャピタルなどの投資企業が売却などによるキャピタルゲイン獲得を目的として投資を行う場合など、他の会社などの意思決定機関を支配する要件に該当しても、実質的に支配していないことが明らかであるときには、一定の要件を満たすことを前提として、子会社または関連会社に該当しないこととすることが認められております。ガイアックスは当社グループの株式保有方針、取引関係及びシナジー効果などを勘案して、キャピタルゲイン獲得を目的とした営業投資有価証券として保有していると判断されたことから、当該根拠となる会計基準(企業会計基準適用指針第22号「連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針」第16項及び第24項)を適用し、子会社または関連会社には該当しないものとして取り扱っております。

 

 

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