業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は、以下のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における、当社グループが事業を展開する音楽関連市場は、一般社団法人日本レコード協会の調べによりますと、音楽ソフト(音楽ビデオ含む)の生産金額は前年同期比100%(2021年1月~12月)、有料音楽配信売上金額は前年同期比114%(2021年1月~12月)となりました。定額制音楽配信サービスや動画配信サービス等のストリーミング配信市場の拡大傾向が継続しつつ、CD/映像ソフトのリリース状況は回復傾向にあるものの新型コロナウイルス感染症(以下、「感染症」という。)拡大前に比べて引き続き低調であることや、ライブ・コンサートの自粛・延期・規模縮小等、前年度同様に感染症による影響を強く受けた1年となりました。
 このような情勢において、当社グループは、「権利者に選ばれ、利用者から支持される著作権管理事業者となる。」という経営理念の下、営業活動の強化による新規取引先の獲得、既存取引先における取引範囲拡大による取引金額の増加、著作権等管理事業のDX化推進による徴収・分配精度の向上や権利者・利用者に対するサービス向上、Withコロナにおける新たなサービスの開発提供等に取り組んでまいりました。
 また、2021年4月より当社管理作品の海外地域における著作権使用料の徴収を開始した他、2022年4月より演奏権管理への一部参入を果たしました。
 引き続き当社が展開する「著作権等管理事業(著作権管理業務及びデジタルコンテンツディストリビューション業務)」、「キャスティング事業」の各部門間での情報共有・営業連携を加速させ、管理楽曲・取扱原盤の利用を促進する等、当社取引先に最適なソリューションを提供し続けることにより、持続的な成長を目指してまいりました。

以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高は7,489,236千円(前年同期比122.3%)、営業利益は708,552千円(前年同期比131.3%)、経常利益は713,403千円(前年同期比132.1%)、親会社株主に帰属する当期純利益は482,550千円(前年同期比128.0%)となりました。

 

    セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

  a. 著作権等管理事業

著作権管理業務におきましては、録音権徴収額は感染症の拡大等を背景にCD/映像ソフトの新譜リリース鈍化や録音物利用の減少等の影響を受けた他、前期に大型タイトルの取扱いがあったことによる反動減がみられ、前年同期比75%となりました。一方、インタラクティブ配信徴収額はサブスクリプション型配信サービス市場の拡大や動画投稿サービスにおける作品特定精度の向上等が寄与し前年同期比124%、放送・有線放送徴収額は管理楽曲数増加や当社管理楽曲の利用割合の向上等により前年同期比153%の増収となりました。以上の結果、著作権徴収額全体で前年同期比111%と過去最高徴収額を記録いたしました。

 

 

2022年3月

管理作品数(曲)

281,114

期中新規作品数(曲)

61,245

 

 

また、他管理事業者からの過去作品6,078作品(うち、新規移管による純増1,235作品、委託範囲拡大4,843作品)の移管を実施いたしました。これらの作品は、2022年4月より新たに当社で管理する、または、管理範囲を拡大するものであり、2023年3月期業績のプラス要因となることが見込まれます。

 

 

デジタルコンテンツディストリビューション業務におきましては、ストリーミング市場伸長を背景に、取扱原盤の増加に加え、音楽・動画配信サービス事業者との連携強化、様々なプロモーション施策の実施、動画投稿サービスにおける収益化業務の促進、海外での売上増加等が奏功し、前年同期比129%と大幅増収となりました。

 

 

2022年3月

取扱原盤数(原盤)

900,051

期中新規原盤数(原盤)

121,370

 

 

以上の結果、売上高は6,882,203千円(前年同期比127.9%)、セグメント利益は1,257,874千円(前年同期比120.7%)となりました。

 

 b. キャスティング事業

感染対策を徹底したうえでのライブビューイング、ライブ配信コーディネートの取扱ジャンル拡大や新規機会創出、楽曲ブッキング等のコンテンツ利用促進コーディネート、イベント共催の取組等、Withコロナにおけるサービス提供を促進いたしましたが、感染症拡大防止のため、イベント・ライブ・コンサート等の開催が延期・中止となった他、映画館の利用制限等により、当事業で取扱いを予定していたライブビューイング案件も実施の見送りや規模縮小を余儀なくされました。

以上の結果、売上高は528,204千円(前年同期比80.7%)、セグメント利益は41,446千円(前年同期比73.3%)となりました。

 

 財政状態は、次のとおりであります。

 

(資産)

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて956,718千円増加し、6,549,537千円となりました。これは主に、現金及び預金の増加753,519千円、その他流動資産の増加115,951千円、固定資産の増加120,522千円によるものであります。

現金及び預金の増加は、著著作権等管理事業が堅調に推移し、取扱高が拡大していることによるものであります。その他流動資産の増加は、デジタルコンテンツディストリビューション業務において海外取引が増加していることに起因する消費税の還付によるものであります。また、固定資産の増加は、著作権等管理事業において使用しているシステムの継続的な改修及び新機能追加等に伴う増加によるものであります。

 

(負債)

当連結会計年度末における総負債は、前連結会計年度末に比べて614,277千円増加し、3,629,555千円となりました。これは主に、未払金の増加516,631千円、支払手形及び買掛金の増加59,901千円、役員退職慰労引当金及び退職給付に係る負債の増加24,739千円によるものであります。

  未払金の増加は、主に著作権管理業務のインタラクティブ配信における徴収額の増加に伴い、権利者への分配額が増加したことによるものであります。また、支払手形及び買掛金の増加は、主にデジタルコンテンツディストリビューション業務における増収に伴い原盤権利者へのロイヤリティ分配額が増加したことによるものであります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べて342,440千円増加し、2,919,982千円となりました。これは主に、資本金の増加39,510千円、資本剰余金の増加39,510千円、利益剰余金の増加482,550千円、自己株式の取得に伴う減少219,129千円によるものであります。

資本金及び資本剰余金の増加は、ストックオプションの権利行使に伴う新株発行によるものであります。また、利益剰余金の増加は、当期純利益の増加によるものであります。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末と比較して753,519千円増加し、5,192,542千円となりました。

 

 各キャッシュ・フローの状況とその原因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、1,121,653千円(前連結会計年度は1,259,388千円)となりました。これは主に、法人税等の支払額が246,827千円あったものの、著作権等管理事業の業績が好調に推移したことで資金が積み上がったことによるものであります。その主な内容は、税金等調整前当期純利益713,403千円の計上及び著作権等管理事業におけるシステムへの継続投資に伴う減価償却費の計上121,533千円に加え、著作権管理業務において権利者への分配が増加したことに伴う未払金の増加492,047千円により資金が増加したことによるものであります。

なお、前連結会計年度に比べて営業活動によるキャッシュ・フローが137,734千円減少しておりますが、これは主に、税金等調整前当期純利益が173,390千円増加した一方で、前連結会計年度は著作権管理業務が好調に推移し、取扱高の大幅な増加に伴い未払金が大幅に増加した反動減により、未払金の増加額が230,452千円減少したことによるものであります。


 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、△228,024千円(前連結会計年度は△213,218千円)となりました。これは主に、著作権等管理事業において使用しているシステムの継続的な改修及び新機能追加等に伴う無形固定資産の取得による支出226,142千円により資金が減少したことによるものであります。

 
 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、△140,109千円(前連結会計年度は79,740千円)となりました。これは主に、ストックオプションの権利行使に伴う新株発行による収入79,020千円があった一方、自己株式の取得による支出219,129千円があったことによるものであります。

 

 

 ③ 生産、受注及び販売の実績

 a. 生産実績

 当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

  b. 受注実績

当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

  c. 販売実績

 当連結会計年度における販売(売上)実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

著作権等管理事業

6,882,203

127.9

キャスティング事業

528,204

80.7

その他事業

78,828

89.6

合計

7,489,236

122.3

 

(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。

2.主な相手先別の売上実績及び当該売上実績の総売上実績に対する割合は次のとおりであります。

 

相手先

第21期連結会計年度

(自 2020年4月1日

  至 2021年3月31日

第22期連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

Google LLC

1,025,588

16.7

1,973,372

26.3

iTunes株式会社

1,345,849

22.0

1,571,899

21.0

Spotify AB

541,266

8.8

888,933

11.9

Amazon Digital Services LLC

705,992

11.5

836,947

11.2

 

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成にあたり、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等の連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、見積りの不確実性により、実際の結果がこれら見積りと異なる場合があります。

 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 ② 経営成績及び財政状態の分析

   経営成績及び財政状態の分析内容については、「(1)経営成績等の状況の概要」をご参照ください。

 

 ③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

   当社グループの財務政策は、安定的な運用を行うことを基本方針としております。

  運転資金及び将来の事業拡大を目的にした投資資金の財源につきまして、自己資金を財源としております。

 

 ④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」の記載のとおりであります。

 

 ⑤ 経営者の問題意識と今後の方針について

 経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の記載のとおり認識しております。それらの課題に対応するため、経営者は常に市場ニーズや内部環境及び外部環境の変化に関する情報の入手及び分析を積極的に実施し、現在及び将来における内部環境及び外部環境を認識したうえで、当社グループの経営資源を最適に配分し、最適な解決策を実施していく方針であります。

 

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