課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

    文中の将来に関する事項は、提出日現在において、当社グループが判断したものであります。

 (1)会社の経営の基本方針

当社グループは、経営理念である「権利者に選ばれ、利用者から支持される著作権管理事業者となる」ことを目指し、公平・公正かつ透明性の高い著作権使用料の徴収・分配を行うこと、著作物利用に対し迅速かつ柔軟に対応すること、最新のテクノロジーを活用した効率的な管理・運営によりコストを削減することなどを心掛けております。

 (2)目標とする経営指標

当社グループが重視している経営指標は、取扱高(※)であります。取扱高は、著作権管理業務やDD業務等の徴収額を示し、市場シェアや会社の成長性を見るために有効な指標であることが当該指標を重視している理由であり、取扱高のさらなる拡大を経営目標としております。

(※)取扱高とは、著作権管理業務においては音楽著作権の利用者から徴収した金額(権利者へ分配する金額と当社の管理手数料からなります)を示し、著作権管理業務以外の事業では、取引先に対して役務提供の対価として請求を行った金額を示しております。

取扱高と売上高の関係に関して、著作権管理業務では取扱高から当社の管理手数料を差し引いた金額を権利者へ分配しており、当社は管理手数料部分を売上高として計上しております。他方で、著作権管理業務以外の事業においては、取引先への請求金額を取扱高として認識しており、原則として取扱高をもって売上高として計上しております。

 

 (3)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略

現在の音楽市場の事業環境は、一般社団法人日本レコード協会の調べによりますと、音楽ソフト(音楽ビデオ含む)の生産金額が前年比100%(2021年1月~12月)と停滞気味で推移した一方、有料音楽配信売上実績では、前年比114%(2021年1月~12月)と8年連続の増加となりました。

このような状況を踏まえ、当社グループでは、経営理念である「権利者に選ばれ、利用者から支持される著作権管理事業者となる。」の下、次代を奏でる著作権エージェントとなることを目指して、以下のような経営方針を定めております。

 

 ① 新しい時代の著作権エージェントとして、音楽文化の発展に貢献する。

 ② 公平・公正かつ透明性の高い著作権使用料の徴収・分配を行う。

 ③ 著作物利用に対して迅速かつ柔軟に対応する。

 ④ グループ事業のシナジー効果による権利者・利用者へのサービスを追求する。
  (著作権等管理事業を核として、デジタルコンテンツディストリビューション業務、キャスティング事業、音楽出版

   業務、システム関連業務等の様々なサービスの提供に取り組む。)

 ⑤ 最新のテクノロジーを活用した効率的な管理・運営によりコスト削減する。

 

 これらの経営方針に沿って、以下のとおり事業計画の基本方針を定めております。

 ① 取扱高のさらなる拡大のための施策を立案・実行する。

 ② 著作権管理事業を中心に事業連携、シナジー効果を徹底する。

 ③ 全ての事業において権利者・利用者のニーズに対応する。

 ④ 権利者の利益を追求し、時代を先読みした更なるサービスを確立する。

 

 事業計画における各事業セグメントの基本戦略は以下のとおりです。

 ① 著作権等管理事業(著作権管理業務)

著作物の利用方法が多様化・複雑化する中、当社グループのDX(デジタルトランスフォーメーション)化をより一層推進することにより、著作権使用料の徴収・分配精度の向上に努めます。さらに、グローバルに展開する大手利用者との協議を進め、著作権者のメリットとなるようなデータ・システム連携を推進してまいります。

また、権利者の様々なニーズにも対応した柔軟なサービスを実施し、音楽出版社の業務代行等をはじめとする各種サービスの提供などにより、著作物の効率的な管理サポートを行いながら著作物の円滑な利用促進に注力いたします。

 

  ② 著作権等管理事業(デジタルコンテンツディストリビューション(DD)業務)

原盤管理システムの機能拡充によって国内外の音楽配信サービスへの安定的な音源供給を継続しながら、音楽配信プラットフォームと連携した積極的なプロモーションや、ウェブメディア・SNSを通じた効果的なマーケティング等に注力し、権利者に対する付加価値提供を推進いたします。また、音楽配信サービスへの音源供給に留まらず、取扱原盤を有効活用するサービスの拡大により権利者のメリットを追求し、原盤使用料売上の拡大を目指してまいります。

 

  ③ キャスティング事業

 既存大口取引先との連携を強化しつつ、新規取引先の開拓を推進し、中長期的な視点で収益に寄与する新規コンテンツの獲得、新規事業の開発に注力いたします。

 

さらに、中長期的な成長戦略は以下のとおりです。

 

当面は、著作権等管理事業が着実に成長曲線を描くように経営資源を投入し、中長期的には、第6区分(カラオケ演奏等、社交場における演奏等)の管理に参入し、全支分権・利用形態の管理を目指します。

 また、当社の強みであり他の音楽著作権管理事業者に無いデジタルコンテンツディストリビューション業務、キャスティング事業、音楽出版業務、システム関連業務、更には現事業から発展してこれから生まれる各種事業を含めた音楽権利ビジネスに係るあらゆるサービスを提供する著作権エージェントとなることを目指してまいります。

 

  利用促進のプロモーター

  ・楽曲の利用状況データは利用促進への重要なアセットとしても活用

  ・データを活用した配信プラットフォームへの原盤供給(DD)やキャスティングにより、楽曲の浸透速度を加速

  ・著作権の管理のみならず、利用促進まで手がけ「権利者に選ばれ、利用者から支持される」経営理念実現へ

 


 

 

(4)事業上及び財務上の対処すべき課題

① 著作権管理業務における業務効率化とサービス向上への取り組み

 順調に推移している作品数に対応するべく、引き続き業務効率化の向上を目指し、作業プロセスの見直し及びシステム開発を継続いたします。またAI・RPA等の技術の導入により業務の自動化を推進し、これまで研究・開発を進めてきたシステムの実用化を進めています。

 また、新たに参入した演奏権(第1区分及び第5区分)の管理においては、各利用者団体と連携し、安定した事業スキームを構築し、より精度の高い使用料徴収を実現してまいります。

 

② ソリューション型営業による取引拡大

 サブスクリプション型音楽配信サービス(※)や動画配信サービスの拡大、ライブ配信サービスの台頭等、音楽を取り巻く環境は大きく変貌しており、権利者ニーズにもより一層の細分化・多様化の傾向が見受けられます。

 このような環境の中で、著作権管理業務においては、権利者の意向を反映した柔軟な管理を取り入れながら、時代の変化、権利者ニーズの変化に迅速に対応できる業務運営を行っております。また、デジタルコンテンツディストリビューション業務・キャスティング事業においてコンテンツの利用促進を推進し、さらには、音楽出版業務・システム開発業務において、音楽出版社の計算業務代行や印税計算システムの開発運用を行い、音楽出版社の実務面に至るまで幅広いサポート体制を構築しております。

 当社が展開する各種の業務・事業をより発展させ、複合的な提案を実施することによって、権利者の潜在的なニーズを掘り起こし、作品・コンテンツの獲得に注力してまいります。また、作品、コンテンツの利用促進を図りながら、権利者へのマーケティングデータの提供や新規事業の開発にも引き続き注力し、当社サービスの付加価値向上に努めてまいります。

    (※)サブスクリプション型音楽配信サービス…毎月一定額の利用料を音楽配信サービスの運営会社に支払い、イン

    ターネット上のサーバーに登録されている楽曲を無制限に聴くことができるサービス。定額制音楽配信サービ

    スともよばれる

 


 

 

③ 演奏権第6区分(社交場・カラオケ演奏等)管理への進出

  当社設立以来の重要課題である演奏権管理において、2022年4月1日より、カラオケ演奏等及び社交場における演奏等を除く利用区分(主としてコンサート、映画上映等)に参入いたしました。残る第6区分につきましても、引き続き権利者・利用者団体らのご理解ご協力を得ながら可及的速やかに参入し、著作権エージェントとしてフルラインサービス体制を目指してまいります。
 

④ NexToneグループの各種業務及びサービスを支えるシステム整備

 ビジネス・プロセスのシステム化による「安定的な業務品質の担保」を重要課題としつつ、様々なデータ活用による業務効率化やコスト低減、さらには営業施策としてのシステム活用等、多方面にわたりシステム観点からのアプローチも継続してまいります。

 また、各種の利用実績確認など、これまで以上に巨大なシステムデータの解析・処理が必要となる業務領域については、一部業務利用を開始しているAI等を活用した品質向上施策のさらなる精度向上と他業務への展開を図り、次代に合わせた事業展開を推進してまいります。
 

⑤ 内部管理体制の強化

 当社グループは、内部管理体制の強化を経営上の重要課題の一つとして認識しており、グループ各社との連携のもと、内部統制機能の一層の充実とガバナンス体制の確立に努め、リスク管理の徹底を図ることで、株主の皆様をはじめ各ステークホルダーの皆様との良好な信頼関係を保ちながら、社会的責任を果たしてまいります。

 

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