研究開発活動

5【研究開発活動】

当連結会計年度の研究開発活動は、中期経営計画「Logisnext SolutionS 2023」を見据えて、当社技術本部の持つ強みを最大限活かしつつ、海外開発拠点とも密接な連携を取って新製品の市場投入を計画通り達成しました。セグメント別の主な研究開発活動は次の通りです。

 

〔国内事業〕

(フォークリフト・特殊搬送車両部門)

エンジンフォークリフトについては、自社グループ製各種エンジンを搭載し、最新の排出ガス基準に適合した優れた環境性能と経済性を考慮した低燃費の両立を実現した「ERSIS(エルシス)」(0.9~3.5 トン積)の販売を開始しました。スムーズな走行と加速、トップクラスのマスト上昇速度やパワフルな登坂能力などオペレーターにとって頼もしい作業性能を備え、車両統合管理システム「IPS※1」の各種機能による高い安全性も実現しています。さらにマストやトランスミッション、リアアクスルなど車体各部に自社開発コンポーネントを採用し、重量物荷役作業に欠かせない信頼性と耐久性を確保しています。

※1 IPS : Integrated Presence System

 

その他、大型フォークリフト運転時に AI(人工知能)による人の接近を検知・警告する機能を有したフォークリフト AI 人検知システム「グッドファインダー」の販売を開始しました。「グッドファインダー」は独自の AI 映像解析技術により、計11台の監視カメラで捉えた映像から人のみを高速・高精度で判別、車両と人との接近を検知すると、警告音と LED 点灯により運転者へ危険を知らせ周囲の安全確認を促します。また、停車時に人を検知すると車両の発進を抑える発進抑制機能も標準装備しています※2。監視カメラは近距離用と遠距離用の2種類があり、車速によって検知範囲を自動で切り替えます。多数のカメラを搭載することにより死角を極限まで少なくし、取得した画像から深層学習※3を用いて車両周囲の人のみを検知するコントローラは、映像処理時の動作遅れを生じさせない処理能力も有しています。

※2 公道走行仕様車両は除きます。

※3 ディープラーニングとも呼ばれ、音声の認識や画像の特定、識別、予測などをコンピュータに学習させる

機械学習の手法の一つです。自動運転車をはじめ、さまざまな分野への実用化が進められています。

 

特殊搬送車両について、スラグダンプトラック・自走式ベルトコンベアでは、特定特殊自動車排出ガス2014年基準適合エンジン搭載モデルの市場投入を開始し、ストラドルキャリア・RTG※4でも環境負荷の低い動力源への置き換えを進めております。また、RTGでは、運転者の作業環境改善に向けた遠隔自働システムの開発を進めております。

※4 Rubber Tired Gantry crane:タイヤ式門型クレーン

 

(物流システム部門)

当社は、有人フォークリフトの搬送サイクルに近づくために、国内トップクラスの搬送速度を実現し、物流倉庫への導入に最適なレーザー誘導方式無人フォークリフト「プラッターオート H タイプ」を、2021年8月に発売いたしました。有人フォークリフト用に設置された通路幅とラックスペースでの運用を可能とし、マルチテナント倉庫での柱ピッチに最適なラック配置に対応することが可能となり、倉庫内エリアの有効活用に貢献します。また、レーザー誘導方式の採用により床面工事が不要の為、レイアウト変更が容易であり、環境負荷の大幅低減を実現し、工事制限のある貸し倉庫などへの導入を可能としております。さらに、作業者との共存が必要となる物流倉庫での使用を想定し、安全性にも配慮しており、車両の全周囲をカバーする障害物センサーによる旋回時の巻き込みを防止、フォーク先端に接触検知機構による荷役動作中の異常にも迅速に対応するほか、4色LEDライトが待機・異常停止・充電中などの状態を周囲の作業者に分かりやすく表示します。

 

また、当社は、三菱重工業㈱が開発した自律化・知能化ソリューションコンセプト「ΣSynX(シグマシンクス)」に基づくAGFを三菱重工業㈱と共同で開発しております。このΣSynXコンセプトは、無人搬送車(AGV)や無人フォークリフト(AGF)を効率的に連携させる技術や、人や物を検知し回避させる技術など、さまざまなコア技術から構成されております。

今後、このΣSynXを適用したAGFである新コンセプト機「SynX-Vehicle」で検証するコア技術は、順次、当社のAGFに適用し、お客さまの課題解決に直結するソリューションを提供していきます。

 

〔海外事業〕

(フォークリフト部門)

欧州においては、バッテリーフォークリフトについて、エンジンフォークリフト代替として使用可能な、パワーとパフォーマンスを持ちつつ、クラス最高の電費を実現する「EDiA XL」(4.0~5.5トン積)を市場投入しました。

「EDiA XL」は、登坂時や加速時に一時的に駆動力を上げる「オートブースト」、マスト下降時の振動逓減制御、滑りやすい路面での左右輪のトルク制御によるスリップ抑制など先進的な新機能を搭載しました。カーボンニュートラル社会の実現に向け、これからますます電動フォークリフトの需要増加が見込まれる中、市場ニーズに応えられる製品です。また、「EDiA EX」(2.5~3.5トン積)に同先進的新機能を搭載しアップデートを実施、市場投入しました。

 

北米においては、バッテリーフォークリフトについて、欧州向カウンターバランス車(1.4~2.0トン積)に北米規格適合仕様を追加し市場投入しましたが、引き続き伸長するバッテリーフォークリフトのアプリケーション多様化の対応を進めていきます。

 

中国においては、国内向け「ALESIS(アレシス)」と同様、バッテリーフォークリフト(1.0~3.5トン積)の統合モデルを大連工場で生産を開始、市場投入しました。国内向けと同様に、オペレーターのスキルに合わせて操作フィーリングを設定できる「カスタムフィーリングシステム」や作業時の安全を確保する「センシング制御システム」などの機能を装備し、また広く見やすい広視界設計や旋回時の安定性を改善する低重心構造設計の採用による「使いやすさ」と「快適性」、さらに防水・防塵規格「IPX4」レベルの達成による「信頼性」と「耐久性」を向上しました。

 

当連結会計年度中の研究開発費のセグメント別金額は、国内事業2,573百万円及び海外事業2,076百万円、合計4,649百万円です。

 

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